1.猫がかつおぶしを好きな理由とは?
1-1.本来は肉を主食とする猫
1-2.昔から馴染みのあったかつおぶしと猫の関係
1-3.浮世絵にも描かれた猫とかつおぶし
1-4.昔から与えられていたからかつおぶしが好き
1-5.好んで食べる様子から「猫に鰹節」ということわざも生まれた
2.かつおぶしが嫌いな猫もいる?
3.猫にかつおぶしをあげてもいい?
3-1.かつおぶしの成分は?
3-2.尿路結石症になる可能性
3-3.腎不全になる可能性
3-4.主食とかつおぶしのバランスが大切
4.猫にかつおぶしを与える効果は?
4-1.猫に必要な栄養成分が摂取できる
4-2.猫の食欲や嗜好性をあげる
5.かつおぶしの与え方・注意点は?
5-1.主食を必ず与える
5-2.ペット用かつおぶしを与える
5-3.大量に続けて与えない
5-4.病気のある猫には与えない
6.猫とかつおぶしのまとめ
【掲載:2021.06.03 更新:2022.11.10】
猫がかつおぶしを好きな理由とは?
◆本来は肉を主食とする猫
猫がかつおぶしを好きだという説は、日本人に多い考えのようです。猫がかつおぶしを好きだとされる理由といっても、猫は魚が好きなのだから当たり前のように考えられるかも知れません。
ただ、猫は本来、肉食です。魚ももちろん食べますが、魚が主食というわけではありません。
◆昔から馴染みのあったかつおぶしと猫の関係
日本の歴史で、かつおぶしが出来たのは、室町時代だと言われています。それ以前の弥生時代でも、かつおぶしの前段階とも言える「かつおを素干しにしたもの」は存在していました。
一方猫は、飛鳥時代から奈良時代にかけて日本国内にいたということが推測されています。
さらに奈良時代ごろから経典など書物をネズミの害から守るため、中国から多く猫が輸入されるようになりました。
猫は愛玩動物としてかわいがられるようになり、ネズミを獲って食べていたのはもちろんですが、人間が食べていたものも与えられていたと考えられます。
◆浮世絵にも描かれた猫とかつおぶし
江戸時代後期の浮世絵師、歌川国芳が描いた「其のまま地口 猫飼好五十三疋」には、東海道五十三次の宿場町名をだじゃれ風にして、猫のしぐさをつけて描いています。そこには、かつおぶしを押さえつけている猫(日本橋部分)やかつおぶしにかじりつく猫(江尻部分)が描かれています。
江戸時代にも、ねこはかつおぶしが好きだという説が当然のこととして捉えられていたことが伺えます。
◆昔から与えられていたからかつおぶしが好き
このように、日本人は魚やその加工品をよく食べており、日本の猫も魚やかつおぶしを餌として与えられ育ったため、かつおぶしが好きになったのでしょう。
つまり、「日本では、猫がかつおぶし好きだと言われているから」というのがひとつの理由だと言えるでしょう。
日本でかつおぶしを猫に与えるという習慣が「猫はかつおぶしが好きだ」ということになってしまったということなのです。
◆好んで食べる様子から「猫に鰹節」ということわざも生まれた
「猫に鰹節」ということわざがあるのを知っていますか?こちらも江戸時代に生まれた言葉で、「油断できないこと、危険であること」を例えた言葉です。
猫のそばに好物のかつおぶしを置くと食べてしまうことから、その状況をつくった人を責めるようなニュアンスの言葉です。
「試験前にゲームを買ってあげるなんて、猫に鰹節だよ」というような使い方をします。
響きが似ている「猫にまたたび」ということわざとは意味が異なります。こちらは「大好物」「大好物を与えることで成果を出す」といったイメージです。
注意して使い分けてくださいね。
📌【おすすめ記事】猫に纏わることわざや慣用句はなぜ多い?海外にもあるって本当?
かつおぶしが嫌いな猫もいる?
猫にかつおぶしを与えると、多くの猫が夢中で食べると思われていますが、実際には、かつおぶしに見向きもしないなど、食べたがらない猫もいることも事実です。
また、ずっとかつおぶしを食べたことがない猫でもかつおぶしを好きになったり、やはり興味を示さないものもいたりします。
実際、魚を猫にあまり与えない日本以外の地域では、猫の好物は必ずしも魚とはされておらず、魚を与えない地域もあるそうです。猫の好物としては、鶏肉やウサギの肉といったものから、カレーやパスタといった人間の食べ物であったりします。
猫が育った地域での人間の食べ物に準じて、猫の好物が決まってくることもあるようです。猫それぞれの好みや個性によるということが言えるのですね。
猫にかつおぶしをあげてもいい?
猫にかつおぶしをあげても良いかどうかということの答えとしては「あげても大丈夫。ただし、少し注意が必要になる」ということになります。
なぜなら、かつおぶしは、ミネラルが多く、塩分も多いため、猫に与えるのは良くないという説があるからです。
◆かつおぶしの成分は?
かつおぶしの主なビタミンの成分として、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸があげられます。
かつおぶしの主なミネラルの成分は、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素があげられます。
◆尿路結石症になる可能性
猫が、リン、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウムなどのミネラルを過剰に摂取してしまうと、尿路結石症になったり、腎不全になったりする可能性があります。
猫の尿路結石症とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに結石が出来てしまう病気です。
リンやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルのバランスが適切に取れていない時や、おしっこが酸性やアルカリ性に傾きすぎていると、結石が作られやすくなってしまいます。
出来た結石が膀胱の粘膜を傷つけることで、膀胱炎となることもあります。また、結石が尿道や尿管につまるとおしっこが出来なくなって、尿毒症になる可能性もあります。
◆腎不全になる可能性
猫の腎不全とは、腎臓の機能が低下して機能不全に陥った状態のことで、慢性腎不全と、急性腎不全があります。
急性腎不全の中でも、猫下部尿路疾患や腎結石などによって排尿困難になり、おしっこがほとんど出来なくなって生じるものがあります。下部尿路疾患は尿結石が原因で起こることがあります。
そのため、猫にはこれらのミネラルのバランスをうまく取って与えることが大切です。この理由から、かつおぶしは、獣医さんでも与えない方が良いとされる意見も多くあります。
◆主食とかつおぶしのバランスが大切
実はかつおぶしに含まれるミネラルや塩分は、ドライのキャットフードとあまり変わらないということがわかっています。それでは、猫にかつおぶしを与えても良いのでは、ということになりますよね。
猫の主食として、キャットフードがおすすめなのは、栄養のバランスが考えられているものが多いからです。
もし猫にかつおぶしだけを与えていれば、必要な栄養が取れないだけでなく、ミネラルも偏るので、健康に良くないでしょう。また、キャットフードを与えているのに、さらにかつおぶしも大量に与えているようであれば、これも猫の肥満につながるため、良くないでしょう。
このようなことから、猫にかつおぶしをあげるのは良いけれども、量や与え方に注意しましょうということになります。
猫にかつおぶしを与える効果は?
かつおぶしを与えるにはこれらのような注意も必要ですが、猫にとって良い効果もあります。
◆猫に必要な栄養成分が摂取できる
猫にかつおぶしを与えると、猫に必要な栄養成分が摂取できるという効果が考えられます。
かつおぶしは、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンEのほか、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛などが主要成分となっています。
かつおぶしを適切な量を与えることで、猫の健康にも良い効果があると考えられます。
ただし、かつおぶしに含まれる栄養成分の量と、どのくらいの量を与えるかにより、栄養効果が期待できるかどうかも変わってきます。
◆猫の食欲や嗜好性をあげる
かつおぶしには、食欲のない猫がフードを食べてくれるという食欲増進効果も期待できます。
かつおぶしの匂いや食感、味を好む猫は、フードを食べない時でも上に少量トッピングすることで、食べてくれるようになることがあります。
元気がない時や夏バテなどで食欲がない時にも、かつおぶしをフードや飲み水に混ぜることで、食欲が戻ることもあります。
栄養成分を取ることの効果よりも、猫がフードを食べてくれるという効果の方が大きいと言えるかも知れません。
かつおぶしの与え方・注意点は?
猫にかつおぶしを与える際には、以下のことに気をつけましょう。
・主食を必ず与える
・ペット用かつおぶしを与える
・大量に続けて与えない
・病気のある猫には与えない
◆主食を必ず与える
ペット用のかつおぶしといっても、主食になるわけではありませんので、総合栄養食のフードをちゃんと与えるようにしてください。
普段の主食であるキャットフードを与えながら、かつおぶしは少量トッピングしたり、オヤツとしてたまに少量与えたりするという与え方が良いでしょう。
◆ペット用かつおぶしを与える
ペットショップやホームセンターでは、ペット用のかつおぶしが販売されています。
見た目は人間用のかつおぶしと変わりません。ペット用とされて販売されているかつおぶしの多くは塩分の量が少なくなっています。念のため買う前に成分表をチェックしてみて、購入しましょう。
◆大量に続けて与えない
かつおぶしにはミネラルと塩分も含まれているため、与えすぎると過剰摂取になる可能性があります。
注意することは、大量に与えないこと、毎日、毎食など続けて与えることのないようにすることです。
また、特にフードを問題なく食べている猫にかつおぶしを与えると、かつおぶし無しではフードを食べなくなってしまうことも考えられます。
安易に猫にかつおぶしを与える癖をつけずに、必要のある時に与えてみるということが良いと言えるでしょう。
◆病気のある猫には与えない
腎臓や泌尿器に不安がある猫の場合には、ミネラルや塩分を摂取して健康を害してしまうことを考えて、かつおぶしは与えない方が良いでしょう。
病気になっている猫の場合には、かつおぶしだけでなく普段のフードにも気を使う必要がありますから、獣医さんにアドバイスをしてもらうようにしましょう。
猫とかつおぶしのまとめ
猫がかつおぶしを好きなのは、日本ならではの食生活の歴史から来ているのではないかということが考えられます。
実際のかつおぶしの塩分はそれほど多くないので、少量であれば問題ないと考えられます。与える量にさえ注意すれば、猫にかつおぶしを与えても、ミネラルや塩分を摂りすぎないようにできるということです。
ただ、猫は人間と暮らす時には、食べるものに関しては注意を払うべき生き物です。
かつおぶしを与えて良いかどうかは、猫の体調や、病気にかかっているかどうかなども関わってきますので、健康診断の時などに獣医さんにアドバイスを貰うことをおすすめします。
– おすすめ記事 –
・猫にマグロはOK?魚好きの猫に生魚や刺身を与える際の注意点! |
・猫に鰹節(ねこにかつおぶし)の意味とは?猫が鰹節を好きなイメージは日本だけ? |
・人気の猫おやつ6種類!おすすめのおやつのあげ方、タイミングは? |
・猫が餌を食べない理由!?猫の習性「ネオフィリア」「ネオフォビア」とは? |