猫のことわざや慣用句はなぜ多い?海外にもあるって本当?

2022.09.17

猫のことわざや慣用句はなぜ多い?海外にもあるって本当?

「猫の手も借りたい」「猫に小判」など、猫に関することわざや慣用句は多くあります。 大昔から人間の身近な存在として親しまれていた猫だからこそ、教訓や風刺の意味を含むことわざに、猫という言葉がたくさん使われているのではないでしょうか。 この記事では、猫のことわざや慣用句にはどのようなものがあるのか、日本のみならず海外のものも含めご紹介します。

人間になじみ深い「猫」

人と並んでいる猫

私たちと共に暮らし、最高の癒しを与えてくれる猫という動物は、もともとリビアヤマネコと呼ばれるヤマネコが家畜化され、イエネコとなったことにより関係が築かれていったと言われています。

その歴史は諸説ありますが、今から約9500年前にリビアヤマネコと人間が接するようになったと言われています。2004年に地中海東部に位置するキプロス島のシロウロカンボス遺跡から、フランスの研究者たちの手によってその痕跡が発見されました。もともとキプロス島には猫は居なかったそうですし、人間の手によって猫が島に渡ったと考えられています。

イエネコの祖先となったリビアヤマネコは、今から13万年以上も前に中東の砂漠などに生息していたと言われていますので、もしかすると9500年よりも前から人と猫との関係が始まっていたのかもしれませんよね。そう考えると、ロマンに溢れていてワクワクしますよね。

現在世界中で愛されている猫ですが、こんなにも友好な関係を古の時代から築いてきたからこそ、人間が猫に寄せる想いはとても強いことが分かりますし、猫を想って纏わりのある言葉を多く生んできたことにも納得出来ますね。


猫に纏わる日本語のことわざ&慣用句

寝ている仔猫

猫に纏わった言葉が多く生まれると、その言葉を用いたことわざや慣用句もたくさん生まれていきました。

それほど「猫」という動物は人間にとって身近で、掴みどころがない上に表現力に長けた存在だったのではないでしょうか。

ことわざは教訓や風刺を含んだ言葉となり、慣用句は二つ以上の言葉を掛け合わせ、それぞれの言葉の意味を超えて特別な意味を持たせた表現となります。

とくに有名なのは「猫に小判」「猫の額」「猫を被る」「猫の手も借りたい」「猫に鰹節」「窮鼠猫を噛む」などといった、揶揄的なニュアンスの言葉が多いように感じますよね。

もちろんのんびりした猫を疎んでいるわけではなく、自由を尊重した中で共存していたからこそ、生まれてきた言葉とも言えるのではないでしょうか。

そのほかにも以下のようなことわざや慣用句もあり、猫が生活の一部として欠かせない存在であったことが伝わってきます。

◆猫も杓子も

なにもかも」や「誰も彼も」といった意味を持つ、「猫も杓子も」という言葉は、敢えて猫の存在を尊重することによって、命の尊さまで感じさせてくれますよね。

肯定的にも否定的にも使える言葉となるため、猫好きの方であれば一度は口にしてみたい言葉と言えるでしょう。

◆鳴く猫はねずみを捕らぬ

猫はねずみを捕ることが仕事のはずなのに、鳴いてばかりいる猫は何かと理由をつけて、ねずみを捕りたがらないといった意味を持ちます。

‌「口ばかり動かしてないで、手も動かせ」といった意味ですが、猫で描写されることにより、誰も傷つかない言葉になっていることが魔法のようです。

◆猫糞 ネコババ

猫が自分の排泄物(糞)に砂をかけて隠そうとする姿は、昔の人から見ると悪いことをして、その事実を隠そうとしているように映ったのかもしれません。

糞をババと読むのは汚い言葉を指すといった意味を持ち、猫が糞を隠す姿を悪い行動と捉え、このようなことわざが生まれたのではないでしょうか。

悪いことをして素知らぬ顔をするといった様子を、猫の排泄する姿に重ね合わせてこのことわざを思いついた人自身も、現世で日常的に使われていることを知るきっかけがあれば、さぞかし驚かれるはずですよね。

◆猫を追うより魚をのけよ

これぞ教訓から生まれたお手本のような言葉となりますが、その場しのぎの解決をするより、根本的な問題要素を取り除いておくべきといった意味の言葉となります。

猫は魚に目がないといった、イメージが定着している日本ならではの言葉らしく、魚を咥えて逃げた猫を追うのではなく、猫に魚を奪われないように事前にしまっておくことが大切だと教えてくれる、優しい言葉とも言えますよね。

◆猫にもなれば虎にもなる

時と場合によって弱気になったり強気になったりすることを表す言葉となり、同じネコ科の動物で表現しているところにセンスを感じます。

猫自身もこのような気質をもともと備え持っているため、猫にもピッタリな慣用句と言えるのではないでしょうか。


猫に纏わる海外のことわざ&慣用句

ロシアンブルー

日本では猫にまつわることわざや慣用句が、100個以上あるとも言われていますが、海外にはどのような猫に纏わる言葉があるのでしょうか?

◆不管黑猫白猫,能捉到老鼠就是好猫(中国語)

こちらの言葉は中国共産党の指導者であった、鄧小平氏が発した有名な言葉となり、日本語では「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」といった意味を持ちます。

日本の慣用句である「勝てば官軍負ければ賊軍」と同じような意味となりますが、誰であろうと結果を出した者こそが勝者といったニュアンスを感じますよね。

中国ではこの名句の意味がだんだんと普遍化していき、たくさんの冗談を生んでいったと言われています。

◆Le chat parti, les souris dansent.(フランス語)

「猫の留守中にねずみが躍る」という意味を持つ、フランスのことわざとなります。

フランスのことわざは言葉遣いもおしゃれで、ねずみが躍るといった姿を想像するだけで、笑みがこぼれるといった方も多いのではないでしょうか。

日本では「鬼の居ぬ間に洗濯」のような慣用句と同じ意味を持ち、目上の人が居ない時間は、束の間の自由を楽しむといったユニークなことわざと言えるでしょう。

◆All cats are grey in the dark.(英語)

直訳すると「すべての猫は暗闇の中で灰色です」という言葉になりますが、「見えないものには影響されない」というような意味が込められています。

どんな毛色や模様をした猫であっても、暗闇ではみんな一緒の灰色に見えて見分けがつかないことから、見た目なんて関係ないといったメッセージとなっているようです。

外見で判断されることなく、平等でありたいという願いも感じ取れますよね。

◆Chat échaudé craint l’eau froide.(フランス語)

「火傷した猫は冷たい水から逃げる」といった意味を持つこちらの言葉は、「羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」という日本の慣用句と同じ意味を持ちますが、猫で例えられている方がすんなりと言葉が入ってくることでしょう。

熱いお湯で火傷をしてしまった場合には、いくら冷たい水であっても恐怖を感じてしまうもので、水自体にこりごりした様子がうかがえること自体も面白いですよね。

失敗したことにより痛い目を見たのであれば、必要以上に慎重にならざるを得ないといった教訓は、常に大切にしたい言葉として胸に刻んでおきたいものです。


SNSで誕生!猫が関係した造語

アンモニャイト

海外のことわざや慣用句も日本と同様に、興味深いものが多かったですが、日本にはSNSで誕生した造語というものも存在しています。

猫が関係している造語で有名なのは、以下のような二つの言葉ではないでしょうか。

◆ニャルソック

猫が窓の外を見ている様子が、室内を警備しているかのような姿に見えることから、誕生した造語が「ニャルソック」となります。

警備会社の「ALSOK(アルソック)」を捩って作られた言葉となるため、聞き馴染みもよいことから、猫好きのユーザーを中心として広まったようです。

愛猫が窓の外を真剣に見ていたとしたら、飼い主さんの安全を守ってくれている証拠です。

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◆ニャンモナイト(アンモニャイト)

猫が丸まって眠る姿が、見事なまでにアンモナイトに似ていることから、「ニャンモナイト(アンモニャイト)」といった造語は生まれました。

寒い季節になると、猫は自分の体温を温存するために、顔を手足で包み込むように丸まります。その姿を真上から見てみると、本当のアンモナイトかのように見えます。ニャンモナイト姿をしている愛猫を見かけたときは、起こさずそっと遠くから見守ってあげるようにしましょう。

暑い時期にはひんやりとした猫鍋や寒い時期にはラウンド型のふわふわベッド、またラウンド型の爪とぎ等もありますので、是非取り入れてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

ソファに座る猫

猫は、人間にとってペットという特別な存在として認知されるようになり、さまざまな人に愛されてきたことが分かりました。

一緒に共存してきた時間はとても長く、その中で猫を使ったことわざや慣用句がたくさん生まれてきたこと自体に、感慨深さを感じずにはいられません。

こちらの記事では紹介しきれなかった、猫に纏わったことわざや慣用句はまだまだたくさんありますので、興味のある方はこの機会に是非、新たに猫のことわざなどを調べてみてはいかがでしょうか。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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