「猫は液体」イグノーベル賞を受賞した驚きの説
2017年のイグノーベル賞のテーマは「不確実性」。その中でも「物理学賞」を受賞した、フランスの研究者マーク・アントワン・ファルダン氏の「猫は固体かつ液体なのか?」という研究が話題を呼びました。
そもそも猫が液体化って一体どういうこと?と不思議に思ってしまいますが、ファルダン氏の研究によると様々な説が浮上したのです。
イグノーベル賞を受賞するまでに至ったこの説には、どんな内容が隠されていたのでしょうか。
◆「猫の流動学」を研究するきっかけ
まずファルダン氏は、過去に見た「猫は液体である」というメタ研究が掲載されたサイトから、猫の流動学を考察することにしたと論文で語っています。
流動学(レオロジー)とは、物質の変形と流動に関する科学のことを言い、たまたまファルダン氏がインターネットで目にした様々な猫の画像に、液体の要素があると感じたことがきっかけになったそうです。
一般的に液体とは、容器に合わせて形を変えるものとして人々に認識されていますが、ファルダン氏の目には、個体でありながらも伸びた姿をした猫たちは、まさしく液体として目に映ったのでしょう。
ちょっと人とは着眼点が違いますが、こういう見方を出来る人が、様々な時代を築いていってくれるのかと思うと、嬉しい気持ちにもなってしまいますよね。
馬鹿げてることを真面目に語り、人々が笑いながらそれを評価する「イグノーベル賞」。誰でも少しの興味や閃きで受賞出来る可能性があるので、夢のある賞とも言えます。
◆沢山の流動特性を表す猫の写真の数々
ファルダン氏が研究結果を記した論文には、様々な流動性を表す猫の写真が多数掲載されていたそうです。
例えば、猫が花瓶やグラス、箱にすっぽり収まり液体化している猫や伸びる猫、乗っかる猫、挟まる猫、詰まる猫…など。
やはり言葉だけで説明されても説得力に欠けるので、人々に目で見て納得させるには、猫が伸びる写真や流れて液体化している写真を見せるのが得策と言えます。
イグノーベル賞でのスピーチ時に、その写真がモニターに映された際には、会場から笑いを誘うことが出来ていたようです。
難しい言葉を並べるよりも、共感出来る写真で人々の心を掴むことが、受賞にも繋がったのではと考えられますよね。
◆イグノーベル賞を受賞した時の言葉も話題に
何よりもファルダン氏のイグノーベル賞を受賞する際の意思表示が、名言っぷりを発揮しています。
「ノーベル賞を辞退するのは恰好良いかもしれないが、イグノーベル賞を辞退するのは間違いなく恰好悪い」と受賞の動機を話したと言います。後々にイグノーベル賞を受賞した人にも使われそうな、名言だと思いませんか?
どんな発言にも人を笑わすことを考えているファルダン氏は、受賞すべくして受賞した人物と言っても過言ではないでしょう。
液体化する猫たちが話題に!
インターネット上でも、液体化する猫たちが話題となっています。イグノーベル賞の受賞から、猫が液体と信じ始めた人々がネットにアップする画像は、どれも選りすぐりの液体っぷりです。
見ているだけで、笑ってしまい、ほっこりする画像をいくつかご紹介していきたいと思います。見事な液体っぷりに驚愕してしまうような、強者ばかりですよ!
◆カゴの中に入った姿はまさしく液体!
Breaking: Conclusive proof cats are not a liquid, scientists suspect some form of plasma pic.twitter.com/Xe9LWLQXAq
— HUMOROUS ANIMALS (@CUTEFUNNYANIMAL) 2017年3月24日
このカゴがもしティーカップだったのなら…この色合いといい、この溶け具合といい、まさしくカフェラテにしか見えないと思いませんか?
◆絵にかいたような伸びる姿がたまらない
今こそこの画像を貼る時じゃないか#全日本猫伸ばし協会 pic.twitter.com/oCWb2zq4GB
— マタタ (@mttkmsan) 2018年3月4日
ソファの上でどんどん溶け、どんどん伸び、まっすぐ伸びる耳は警戒心のかけらも感じさせません。見事な液体っぷりです。
◆もはや原型を留めることすら出来ない液体化!
固体と言われても俄かには信じがたいこの姿。何を求め、何を考えているのかは、神のみぞ知る…。
猫が柔らかい、伸びる理由とは?
固体でありながら、液体とも呼ばれている猫は、身体の柔軟性が高く、「軟体動物」とも呼ばれることも。SNSなどでも「伸びる猫」の画像がとても人気で、それに関するハッシュタグが付けられ、世界中の猫好きの人々で伸びる猫の姿が共有されているのです。
ではなぜ彼らは、身体が柔らかいのでしょうか?伸びる理由はどんな部分に表れているのでしょうか?
◆理由①皮膚がよく伸びる
触ればフワフワしていて、モコモコしていて、とっても柔らかい感触の猫。この毛の下に隠れた皮膚が、とても柔らかく、とてもよく伸びる性質を持っています。
お腹から後ろ足にかけての皮膚は特に柔らかく、その部位は「ルーズスキン」とも呼ばれています。
これはただの肥満ではなく、元々野生で生きてきた猫が生まれ持った大切な性質です。敵に出くわし噛みつかれたり爪で攻撃されたりした際に、深い傷を負うことや内臓を傷つけることを避けるために進化したと言われています。
また、柔軟で素早い動きを邪魔しないためにも、ルーズスキンは重要な役割を果たしているのです。
◆理由②人間よりも骨の本数が多い
猫はあの小さな身体の中に、約240本もの骨があります。人間は約200本の骨で造られているので、この骨の数よりも多い骨格の猫がしなやかな動きをするのは納得出来ますよね。
猫の背中の骨である「胸椎」は人間よりも1本多い13本で、胸椎に連動している「肋骨」も人間よりも1本多い13本で造られています。
さらに「腰椎」は人間より2本多い7本となっているので、しっかりと身体を守り、柔軟な動きが出来る仕組みとなっているのです。
◆理由③柔らかい筋肉を持っている
猫は皮膚の下にとても柔らかい筋肉を持っています。この柔らかい筋肉が激しく動いたり、怪我を防ぐために重要な働きをします。
彼らが高い場所からも上手に着地することが出来るのは、この柔らかい筋肉のお陰なのです。
この身体的な特徴を持ち合わせているので、他の動物よりも伸びる印象が強いとも言えるのではないでしょうか。
猫が「伸びる」タイミングとは?
では猫は、一体どんなタイミングで身体を伸ばすのでしょうか?身体が伸びる際、猫は一体どんな心境だと思いますか?
◆準備体操をしているため
猫と一緒に生活したことがある方なら、猫が寝起きに思いっきり伸びをしている姿を見たことがあると思います。
この行動は言わば、狩りの前の準備体操と言えます。さすがに寝起きだと瞬時にダッシュしたり、飛び跳ねたりすることが出来ないので、身体を伸ばして活発に動けるようにウォーミングアップをしているのです。
ただ家には獲物がいる訳ではないので、長時間眠って凝り固まった身体をほぐすストレッチとして身体を伸ばしているとも言えるでしょう。
◆緊張をほぐしてリラックスするため
猫は緊張や不安を感じたときに、何かしら気持ちを落ち着かせるために身体を伸ばすことがあります。
後ろ脚を片方ずつ順番に伸ばしている場合は、敵からの身の危険を感じ、いつでも逃げたり戦ったりする準備を整えているとも言われています。
そして身体が伸びることにより、リラックス効果を得ることも出来るので、猫が緊張を感じている様子で伸びている場合には、そっとしておいてあげましょう。
◆気分転換のため
猫は本能で行動する生き物なので、集中力が切れたり、飽きたりしてしまうとピタリと動きを止めて伸びをすることがあります。
これはまさしく気持ちを切り替えて落ち着きたいという意思表示となります。
伸びた後にグルーミングを始めてしまった場合、すでに過去のことには興味を失せてしまっているので、遊んでいる最中にこのような行動をとったのなら、無理に遊ぶことはやめてあげましょう。
◆くつろいでいるため
安心してリラックスして眠っている最中によく猫は伸びます。安全だと思っているからこそ、お腹を出して腕を伸ばして思う存分伸びるのです。
この行動は室内飼いの猫によく見られますが、野良猫でもお腹を見せて触ってアピールをしてきてくれる子もちゃんと居ます。
信頼関係が生まれれば、しっかりと意思表示してくれるのが猫の可愛いところとも言えますよね。
まとめ
液体化する猫についてまとめさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
フランス人のファルダン氏がイグノーベル賞を受賞したことにより、猫が固体であり液体でもあるのではという考え方が一気に世の中に知れ渡るきっかけとなりました。
自分にしか撮れない愛猫の伸びる姿や、液体化した写真を撮ってみたいという気持ちにさせてくれる、とっておきの話題とも言えますよね。
どんな人でも少し人とは違う感性や着眼点を持ち合わせてさえいれば、不思議な魅力が詰まった猫の新たな一面を見つけることだって出来るのではないのでしょうか。
狭い場所を好む猫にとって、「液体」という話題は避けては通れない課題であったような気もしますが、これからも我々人間を楽しませて驚かせてくれることだと思います。
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