1.猫が紐を誤飲しやすい理由とは?
1-1.紐が猫の口に入りやすい大きさである
1-2.紐でよく遊ぶため
1-3.猫用のおもちゃに紐が使われているため
3.猫が誤飲したかもしれない時の対処法は?
3-1.猫が誤飲した時に見られる症状
3-2.猫に異常が見られたらすぐに動物病院へ
3-3.自己判断で処置しないようにする
4.猫が誤飲した時の治療法は?
4-1.誤飲の場所、どんな物を飲んだかを確認する
4-2.異物を取り出す
4-3.吐かせる
4-4.内視鏡手術、開腹手術
4-5.自然な排泄を待つ
猫が紐を誤飲しやすい理由とは?
猫が紐を誤飲しやすい理由には、次のことが考えられます。
◆紐が猫の口に入りやすい大きさである
紐は、猫が口に入れてしまうと飲み込みやすい形状のため、誤飲してしまうと考えられます。猫の歯に引っかかると、そのまま喉に入り込んでいって飲み込んでしまうこともあります。
また、長い紐でも絡まったり丸まったりして小さくなり、ボール状になりますので、その形状でさらに飲み込みやすくなると考えられます。
◆紐でよく遊ぶため
猫はトカゲや蛇など細長い物を獲物として捕まえて食べていて、紐を獲物に見立てて遊ぶことがあります。
上から下がっている紐状のものは、猫にとって格好の遊び道具になりますので、飛びついて噛みちぎったまま飲み込んでしまうこともあります。
落ちている紐を遊んでいるうちに口に入れて、そのうちに飲み込んでしまうこともあると考えられます。
また、靴紐にじゃれて遊んでいるうちに外れて飲み込んでしまったり、カーテンの吊り紐で遊んでいてちぎれて飲み込んでしまったり、といった場合もあります。
◆猫用のおもちゃに紐が使われているため
猫じゃらしには、紐が使われています。ネズミがついたおもちゃにも紐がついており、ネズミのおもちゃを追いかけているうちに紐を噛んで、飲み込んでしまうことがあります。
猫用おもちゃの飾りとしてついている紐が千切れて、それを飲み込んでしまうこともあります。
また、人間の服や、部屋のカーテンなどの布製品からは、糸くずなど紐状のゴミも出ます。猫が引っ掻いたり噛んだりしてほつれた糸でさらに遊ぶ、ということもあります。
猫が誤飲しやすいものは?
紐状態のものを含め、猫が誤飲しやすいものをご紹介します。
・裁縫の針と糸、釣り針
・人間の髪の毛
・ナッツ、果物の種
・靴紐
・洋服の飾り
・ボタン
・画鋲
・猫用おもちゃ
・鈴
・消しゴム
・風船
・人間用の薬
・クリップ
・コード、ケーブル
・リボン
・爪楊枝
・魚や鳥の骨
・デンタルフロス
人間と生活していると、猫が誤飲してしまうものはたくさんあります。
針や画鋲など尖ったものはとても危険ですが、紐状のものを誤飲した時も、気管を塞いだり、胃や腸などの内臓を傷つけてしまったりする恐れがあるため大変危険です。
・魚や鳥の骨
人間の食事によって発生する異物も多く、魚や鳥の骨、またハムや焼き豚に巻かれている紐も猫が飲み込んでしまうことがあります。
・裁縫の針と糸、釣り針
釣り道具も注意が必要で、釣り針で遊んでいるうちに飲み込んだり、疑似餌で遊んでいて飾りや本体を飲み込んだりすることもあります。
さらに、裁縫道具には、針と糸のほか、小さなボタンや布の切れ端など、猫が誤飲しやすいものがたくさんあります。
裁縫をする時には猫を部屋に入れない、後片付けをしっかりする、普段から掃除をしっかりして小さいものは猫がさわれないところに片付ける、といったことが必要です。
・人間の髪の毛
人間の髪も、猫にとっては、誤飲すると時には命にかかわるようなこともあるそうです。細くて曲がりやすいですが、多少の力では切れないこともあり、糸と同じような危険があると考えられます。
絨毯やカーペットなど、髪の毛や紐、糸くずが紛れてしまいやすいところは、掃除機でしっかりと掃除をして、綺麗にしておく必要がありますね。
◆誤飲しやすい猫とは?
どのような猫でも誤飲してしまう可能性はありますが、傾向としては、若くてよく遊ぶ性格の猫に誤飲が多いとされます。
室内飼いのシャムやバーミーズなど、純血種にも誤飲が多いと言われています。また、長毛の猫は被毛についた糸クズなどを、グルーミングの際に飲み込んでしまいやすいとされます。
猫の誤飲は、人間にとって小さいものでも、猫にとっては命に関わる大きさとなりますので、予防することが大切です。
猫が誤飲したかもしれない時の対処法は?
◆猫が誤飲した時に見られる症状
猫が誤飲したかもしれない時には、次のような症状が見られます。
・吐こうとするが何も出ない
・口を開けたり閉めたりしている
・元気がない
・食欲が落ちる
・うまく餌を食べられない、食べこぼす
・動かずにぐったりしている
・呼吸しにくそうにしている
・酸欠で歯茎や歯茎が青や紫になる
猫が吐く仕草をしているのに何も出てこなければ、喉の奥などに引っかかって吐けない状態が考えられます。
また、異物を飲み込んで喉や口に違和感があると、パクパクと口を開けたり閉じたり、口を開けて舌を動かしたりします。
その後、腹痛や気管の異常などのために元気がなくなり、遊ばなくなります。
ぐったりして動かなかったり、呼吸がしにくそうだったりする場合には、体調がとても悪くなっている状態なので、すぐに病院へ連れていった方が良いでしょう。
口周りをみて、歯茎が紫や青になったり白くなったりしてくると、うまく呼吸ができなくなっているので、大変危険です。
◆猫に異常が見られたらすぐに動物病院へ
猫に異常が見られたら、できるだけ早く動物病院へ連れて行きましょう。先に動物病院へ電話して、猫が異物を飲み込んだことを伝えておきましょう。
どのような物をいつごろ飲み込んだかがわかると、獣医さんは治療の方針を立てやすくなります。もし飲み込んだものがわかればそれを伝え、千切れた異物の切れ端などがあれば病院へ持って行きましょう。
◆自己判断で処置しないようにする
飼い主さん自身で猫の応急処置をすることは、場合によっては、とても危険だと言えます。
例えば、お尻から紐状のものが出ていたとしても、無理やり引っ張るのはやめましょう。内臓にひっかかっていて、引き出すことで猫の腸などに傷をつける可能性があります。
猫の口から紐状のものが見えており、喉の奥まで入っていってしまっている場合も、無理やりに引っ張るのが危険な時もあります。
まず動物病院にて獣医さんに指示を仰ぎ、猫を連れていくようにした方が良いでしょう。
猫が誤飲した時の治療法は?
猫が誤飲してしまった時、動物病院では次のような治療が行われます。
◆誤飲の場所、どんな物を飲んだかを確認する
レントゲン検査、バリウム検査、またはエコーによる検査で猫の体内を確認し、飲み込んだ物がどこにあるかなどを検査します。
◆異物を取り出す
もし猫の口を開けてみて、喉に異物が見えるようであれば、慎重に取り除きます。
無理に取ろうとして猫が暴れることで異物が奥に行ってしまったり、異物で口の中や気管などを傷つけたりする可能性もあるので、慎重に行います。
◆吐かせる
吐いても器官を傷つけるおそれがないものを飲み込んだとされる場合には、吐かせる処置=催吐処置が行われます。
オキシドール溶液を適量飲ませるか、トラネキサム酸の静脈注射によって嘔吐させます。どちらの方法になるかは、診てもらっている動物病院によります。
トラネキサム酸を投与する量は、猫の体重や体の状態によって決まり、投与後嘔吐した後は24時間ほどで体調も元に戻ることが多く、猫の体にそれほど負担をかけないとされています。
生理食塩水を飲ませる胃洗浄は、猫が塩で中毒になるなど命にかかわるため、危険度が高い致死性の毒物を飲み込んだなど、緊急的な場合にだけ行われるようになっています。
◆内視鏡手術、開腹手術
猫が吐き出すこともなく、自然に排泄される可能性も低い時には、手術によって飲み込んだものを取り出します。
内視鏡は猫に全身麻酔をして、口からカメラ器具を入れて、細いアーム(マジックハンド)で異物を取り除きます。
誤飲したものが鋭利なものであるとか、紐状のものが内臓にからみついていたりして危険な場合、さらに異物が大きすぎる場合には、開腹手術で取り出すことになります。
内視鏡手術の場合には猫の体に対する負担が小さくて済みます。ただ、異物を猫の口から出せないことも多いため、内視鏡で取れるものは限られてきます。
特に紐状のものは、猫の腸内でよじれたり、ピンと伸びたりして、腸を傷つける恐れがあるため、開腹手術でしか取り除けないことがあります。
◆自然な排泄を待つ
飲み込んだものが小さい時、猫に手術をするだけの体力がない時など、状況によっては、自然な排泄を待つという方法もあります。
ただし、異物が体内にある間はずっと猫の体調不良が考えられますし、いつ内臓を傷つけたり塞いだりするかわからないため、放置するのは危険です。
早く処置をしないと猫の命にかかわることもありますので、自然排泄されるのを待つという判断をするのは、難しいことだと言えるでしょう。
猫が紐を誤飲してしまった時のまとめ
猫が紐をはじめ、何かを誤飲してしまった時には、できるだけ早く動物病院へ連れていくようにしましょう。猫が暴れないように、できるだけ慌てずに、キャリーケースに入れて運んでください。
喉やお尻から紐の端が見えていても、猫の体内に傷をつけるおそれがあるため、無理やり引っ張るのはやめておきましょう。
猫が誤飲した時には、飼い主さんが見てすぐわかるような症状から、注意深く見ていないと変化に気づかない場合もあります。普段の状態をよく把握しておくことはもちろん、餌を食べたりトイレに入ったりする時にも変化がないか、気をつけて見ておくようにしましょう。
また、普段から猫の誤飲を防ぐために、小さいものや紐状のものは猫が触れないような場所に片付け、床に落ちたゴミは掃除をして片付けておきましょう。
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