猫が返事をする時に見せるしぐさは?
猫は、犬と違って表情が分かりにくいと感じる人も多いですが、実は声や身体の色々な部分を使って感情を表現しています。
◆猫の返事の基本はボディランゲージ
犬も猫も、コミュニケーションの主な手段は声ではなく、体符(ボディランゲージ)です。声だけではなく、耳やひげ、尾、毛など、身体の様々な部分を使ってコミュニケーションを取っています。
猫に話しかけた時、知らん顔をしているように見えても、実はしっかりと返事をしているかもしれません。
小さな身体の動きにも何らかの意味があります。見逃さず、よく観察してみましょう。
◆猫が呼びかけに対して見せる返事のしぐさ6つ!
猫は、挨拶や何かを求める時、相槌を打つ時などに、人の顔を見ながら「んにゃ、うんにゃ、うんが」などと短めに鳴きます。こうして鳴くときは、だいたい機嫌が良いことが多いようです。
猫が嬉しい時や甘えている時のしぐさです。ご飯やオヤツが欲しい時、撫でてほしい時、遊んでほしい時、かまってほしい時などに尾を垂直に立てます。
また、尾を垂直に立てながら先端を前方に少し曲げるのは、猫にとって挨拶を意味する表現でもあります。飼い主さんが呼びかけた時や仕事から帰宅した時に、このようなしぐさを見せることが多いです。
猫が寝ている時にそばを通ったり名前を呼んだりすると、尾の先だけパタパタと小さく振るしぐさを見せることがあります。
これは、私はあなたの存在にちゃんと気づいていますよという意味の意思表示です。
猫に声をかけると、聞いていないように見えても、耳はちゃんと声のする方へ傾けています。鳴いたり寄ってきたりはしなくても、猫なりに返事をしているのだと思われます。
猫に声をかけた時、反応していないように見えても、実はゆっくりと瞬きをしていることがあります。猫は呼びかけられると、相手をじっと見て瞬きをすることで返事をします。
猫は本来、相手の顔を直視しないか、警戒心が強い場合は瞬きをせずにじっと凝視します。穏やかに相手の目を見てゆっくりと瞬きをするのは、親愛を意味しています。
猫が近くに寄ってきて飼い主さんの身体に頭をこすりつけてきたら、マーキングを意味します。この人は私の物!と主張しているのかもしれません。
また、一種の挨拶であるとも考えられます。
寝起きの時や帰宅した飼い主さんにこのようなしぐさをすることが多く、マーキングと挨拶の両方を意味しているのかもしれません。
猫が返事をする理由は?
猫が私たち人間に返事をするようになったのには、どんな理由が隠されているのでしょうか。その理由を知るために、まずは猫と人の歴史を知りましょう。
◆人間と関わり始めたヤマネコ
猫と人の歴史は古く、現在世界中に存在するイエネコの祖先は、約13万1000年前に中東あたりに生息していたヤマネコだと考えられています。
このヤマネコは、今から9500~4000年前のどこかで人間と接点を持つようになったとされており、およそ9500年前のキプロス島の遺跡から、人間と共に埋葬されたリビアヤマネコの遺骨が発見されました。
ヤマネコが自力で海を渡ったとは考えにくい為、人間がこの島に持ち込んだと推定されます。
◆だんだんと人間と共生し始めた猫
そもそも猫と人の共生関係は、人間が猫を飼い慣らしていたのではなく、猫の方から人間の生活圏に侵入してきたという考え方が主流です。
当時の人間は、キビやアワなどを主食としており、それを狙ってネズミなどの小型のげっ歯類が集まることが少なくありませんでした。ヤマネコは、それらのげっ歯類を獲物としていたと考えられ、人間にとって都合の良い動物でした。
その後も猫は人間と共生を続け、ウィスキーやビールの製造元で、原料である大麦を害獣から守るために用いられました。害獣駆除剤などの化学薬品は原料の香りや品質を損なう恐れがあるため、猫が重宝されたのです。
現在は猫がこのように使われることは少なくなりましたが、もともと猫は人間の住んでいる場所に寄り添って生きていくことが得意なようです。
◆猫は人間を仲間だと認識している
猫は犬と違って群れを作りませんが、仲間同士のコミュニケーションを得意とする動物です。コミュニケーションが得意な猫は、しだいに共生する人間に対しても意思や感情を表現するようになりました。
現代では、猫は愛玩動物としての役割が大きく、人に大きな安らぎを与えてくれます。
猫は人を仲間として認識しており、ともに生活する中で人間のコミュニケーションの仕方を少なからず学んでいます。人が嬉しい時や喜んでいる時、反対に落ち込んでいる時の差は理解しているようです。
猫は犬に比べて独立心が強く、あまり人を頼ったり依存したりはしません。しかし、社会性のある動物ですので、慣れ親しんだ人間が話しかければ、何らかの返事はしてくれるようです。
猫は見知らぬ相手に呼ばれても返事をしないことが多いので、返事をしてくれるということは、猫にとって仲間だという認識があることを意味しているのかもしれません。
猫に返事をしてもらうには?
猫は気まぐれな動物なので、時には返事をしてくれないこともあります。では、そのようなことに注意したら、返事をしてくれるようになるのでしょうか。
◆猫に好かれる行動をとる
猫は興味のない人間に対してはあまり返事を返しません。日頃からトイレやご飯の世話をしてくれる人間に比べ、よく遊んだり相手をしてくれる人間を好む性質があるようです。
また、声が低い相手や男性など、猫自身が苦手としている相手には返事を返さない場合もあるようです。
猫に声をかけても返事がないからと言ってしつこくかまい過ぎると、猫が不快感を表す場合がありますので注意しましょう。
◆猫からのアピールにかまってあげる
猫は気まぐれですが、一緒に暮らしていると、必ず猫の方からコミュニケーションをとってくる瞬間があります。その時を逃さず、沢山かまってあげることが大切です。
人間同士でも話しかけたら返事をすることが当たり前である様に、猫が相手でも話しかけられたらしっかりと返してあげましょう。そうすることで、猫との関係がより深まります。
◆かまいすぎないようにする
逆に、猫が寝ている時やリラックスしている時は、かまい過ぎずゆっくりさせてあげましょう。
また、かまっている途中で尾を大きく左右に振るようであれば、だんだん機嫌が悪くなっていることを意味しています。
ほどほどのところで中断し、また猫の方から寄ってくるのを待ちましょう。
◆しつけのひとつとして返事を覚えさせる
名前を呼んで返事をしたらおやつをあげて褒めることで、しつけのひとつとして返事を覚える猫もいるようです。
猫は犬と違って芸を覚えるのは得意ではありませんが、日常的に繰り返すことで多少時間はかかってもちゃんと覚えます。
最初は返事をしなくても、声をかけてこちらに何らかの反応や興味を示したら、褒めておやつをあげましょう。そうしていくうちに、段々反応が強くなっていくはずです。
その他の猫のしぐさの意味は?
返事をするしぐさの他にも、猫は様々なしぐさで私たち人間に気持ちを伝えようとしています。
◆ヒゲが下向き
猫はリラックスした状態でヒゲが下を向き、寝ている時などは特に力なく下に垂れています。声をかけながら撫でてあげると、気持ちよく感じてこのようにヒゲが下向きになるかもしれません。
◆ヒゲがやや上向き
猫が嬉しい時や気持ちが良い時、機嫌が良い時はヒゲがやや上を向きます。何かを褒められたりかまってもらえたりして喜んでいる時も、ヒゲは少し上を向きます。
◆尾の毛を逆立てて太くする
驚きや恐怖を感じた時や、相手を威嚇する時に、いつでも攻撃できるぞという意味のしぐさです。
尾と同時に首から背中にかけての毛も逆立てたり、腰を持ち上げて自分を大きく見せようとしたりもします。
◆尾を足の間に巻き込む
恐怖心を感じているしぐさです。弱気になっており、身体を小さくして相手に降参していることを意味します。これ以上は関わらないでほしいという意思表示です。
◆抱っこした時、尾をお腹にくっつける
猫を抱き上げた時、尾がお腹にぴったりとくっつくようであれば猫が緊張している証拠です。反対に尾がだらりと下に下がっていれば、リラックスしているという意味です。
◆尾を左右に素早く大きく振る
闘争心や不機嫌の表れです。嬉しいから振っているのではなく、イライラしたり興奮したりしている状態です。
さらにしつこくかまい過ぎると、攻撃される可能性があります。
◆カッカッカと鳴く
のどの奥を鳴らすように短く連続した鳴き方をするのは、獲物を狙っている時や欲しいものがある時です。小さな虫を見つけたり、窓の外の鳥を見つけた時などにこの声を出します。
◆遊びの途中で急に毛づくろいを始める
猫は遊びの最中などに興奮が高まると、それを紛らわせる意味で毛づくろいを始めます。遊びに飽きたわけではないので、一時休憩と考えて再び遊んであげましょう。
猫の返事のしぐさのまとめ
猫が返事をするしぐさやその意味についてご紹介しました。
猫が発する僅かなボディランゲージをなるべく見落とさないようにし、その意味を考えていくと、猫との会話が楽しくなります。ご自宅の猫さんを、よく観察してみてくださいね。
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