アルビノとは?
◆色素が欠乏する疾患を持つ「アルビノ」
アルビノとは、動物学においてメラニンの生合成に関わっている遺伝情報が欠損し、先天的にメラニンが欠乏してしまう遺伝子の疾患が生じる個体の総称となります。
医学的には「先天性白皮症」や「先天性色素欠乏症」などと呼ばれることもあり、被毛だけではなく、全身の色素が欠乏してしまう疾患なのです。
色素であるメラニンが欠乏しているので、身体や髪などに色をつけたくてもつけられないのが特徴と言えるでしょう。
◆アルビノの2つの特徴
アルビノと呼ばれる人や動物は、体毛や皮膚も真っ白です。見た目はとにかく白いことが想像つきますが、他にはどんな特徴があるのでしょうか。
メラニンと呼ばれる物質は、身体中の細胞を守る効果があり、紫外線が当たるなどの刺激を受けると、細胞をコーティングする働きをします。
しかしアルビノはこのメラニンの量が極めて少ない、もしくは欠如しているので、日差しが強い日に短い時間であっても日光に当たってしまうと、皮膚は赤く腫れあがり火傷のような症状になってしまうのです。
そしてこのような症状を繰り返すことによって、皮膚がんの発病リスクも高くなります。
アルビノは目の色素も欠乏しています。虹彩(瞳の周りにある薄い膜)は、メラニンの量によって無色、淡青色、淡褐色などの色合いとなり、メラニンが無い場合には、無色半透明で眼底の血管の色が透けて、瞳孔と共に淡紅色となります。
ネズミやウサギにも赤い目を持つ個体が居ますが、そのような種類が居るのではなく、アルビノなのです。
ネズミやウサギの場合、「遺伝子疾患のはずなのに、よく目にすることがあるな?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
珍しいはずのアルビノが、ネズミやウサギに多く見られる理由として、実験動物として意図的に繁殖させられたという経緯あります。ネズミやウサギの目が赤いというイメージが強いのは、このような悲しい背景があったのです。
◆アルビノと白変種の違い
ホワイトタイガーなどは数が少ないので、アルビノと思われることも多いですが、「白変種(はくへんしゅ)」と呼ばれているのをご存知でしょうか。
アルビノは先天的な遺伝子の疾患ですが、白変種は正常に遺伝子は働いており、メラニンは欠乏している訳ではないので、あえて白くなっているのです。
そのため、白変種の動物はアルビノのように白い外見となりますが、瞳孔は黒く、毛色にも黒色が混ざることもあり、メラニンの産生能力が正常であることが伺えます。
猫にもアルビノがいる?
様々な動物から遺伝子疾患により生まれてくるアルビノですが、珍しいことは確かです。猫にも白猫が存在していますが、猫にもアルビノは発現するのでしょうか。
◆猫のアルビノ「アルビノホワイト」
結論から言いますと、猫にもアルビノは発現します。アルビノは遺伝子に関係なく突然変異で生まれてくるので、白猫との区別が難しいのも事実です。
この色素を持たない白猫は「アルビノホワイト」と呼ばれ希少価値が高いとされ、新しい品種として認めさせようという動きも一時期あったそうです。
ただし、アルビノは遺伝子疾患でしか生まれてこないため、「健全ではない」という理由から、アルビノホワイトを認める公認団体は、最後まで現れることはありませんでした。
こんなにも注目され、特別視されてきたアルビノホワイトですが、そもそも遺伝子がどのように働き、白い毛並として生まれてくるのでしょうか。
◆猫のアルビノが生まれる理由は突然変異
毛並が白い白猫は、両方の親から、もしくはどちらかの両親から「W」の遺伝子を受け継ぐことによって生まれます。
この遺伝子が優性で白色遺伝子であれば全身が真っ白の白猫に、白斑遺伝子であれば別の毛色と混合し、局所的に白い部分が発生するというメカニズムとなります。
一方、この白い毛を生み出すWの遺伝子に関係なく、突然変異で生まれてくるのがアルビノです。数が極端に少ないということも納得出来ることでしょう。
自然界における猫の中では最弱者層に属されるので、もしアルビノの猫にお目に掛かることが出来たのなら、かなりラッキーだとも言えるのではないでしょうか。
白猫とアルビノを見分けるポイントは?
前述した通り、アルビノの猫と白猫は区別がとても難しいです。外見的な特徴の白い毛並は、どちらの猫であっても真っ白な白猫にしか見えないからです。
しかし細かく見て行けば、アルビノか白猫かが明確に分かることでしょう。
白猫とアルビノの猫を見分けるポイントをご紹介していきましょう!
◆目の色で見分ける
猫の目の色は大きく分けて7種類(カッパー・アンバー・ヘーゼル・グリーン・ブルー・レッド・オッドアイ)に分けることが出来ます。
白猫の目は、ゴールド・茶色・緑色などの青系統以外の色をしていることが多いです。
アルビノの特徴の一つとして、目に色素がないことを前述いたしましたが、猫の場合も色素が無いことで、目の奥の血管が透けて赤く見えるという特徴が見られます。
そのため、アルビノは目の色がレッド、もしくは赤みのある青系統の色をしているかで、見分けるようにしましょう。
◆色斑があるかないかで見分ける
子猫のうちに見分ける方法として、「ゴースト・マーキング」「キトン・キャップ」とも呼ばれる色斑があるかないかで見分けることも可能です。
この色斑は、生まれたばかりの子猫の身体の一部に薄い灰色の斑点が出現し、成長と共に消えていく現象です。
この色斑は白色遺伝子を持つ子猫にしか現れないので、この斑点が確認出来た時点で、アルビノではなく白猫と判断することが出来るのです。
◆難聴かどうかで見分ける
青い目をした白猫は、難聴である確率が非常に高いとされています。オッドアイの白猫も同様、どちらかの目が青色なら、そちら側の目は難聴の可能性が高いです。
白猫の「白い毛・青い目・聴覚障害」の3つの繋がりには、「メラノサイト」と呼ばれるメラニンを形成する細胞が深く関わっています。
このメラノサイトは、色素を作る働きの他に音を増幅する内耳にある器官の「コルチ器」を形成する働きもします。
一つの細胞が異なる働きをするのに対し、白い毛を生み出すWの遺伝子が加わると、その働きを阻害する作用が新たに加わってしまうのです。
メラノサイトが欠乏され、コルチ器が影響を受けることによって、聴覚に障害が出てしまうので、白猫には難聴が多いと言われる所以になっていると言えるのでしょう。
アルビノの猫を飼うには?
もし白猫として一緒に暮らしている猫がアルビノだったとしたら、どんなことに注意をして一緒に暮らしていくべきなのでしょうか?
◆紫外線(日光)に気を付ける
メラニンが欠乏しているアルビノには、猫の大好きな日向ぼっこすら皮膚に多大なダメージを与えかねません。
「猫なのに日向ぼっこが出来ないなんてかわいそう」という気持ちが、優先されてしまうことだと思いますが、皮膚ガンなどを発症させないためにも日向ぼっこは控えましょう。
外に自由に出すことはもちろん、遮光カーテンや日よけの道具を用いて対策をしてあげてください。
◆視力に気を付ける
最弱者層に属するアルビノは、目の色素も極限に薄いので、視力が低い個体も多いようです。家の構造に慣れていない状態ですと、どこかにぶつかったりご飯の場所が分からなかったりすることも。
どれぐらい見えているのかは、私たち人間には分かってあげることは出来ないので、日頃からよく猫のことを観察して、不便そうな部分はしっかりとサポートをしてあげましょう。
よく鳴き声を上げるようでしたら、何かしらの不満やストレスを感じている証拠なので、原因を突き止め対処してあげることも必要です。
まとめ
猫の中でも真っ白な毛並を持つ白猫は、どこか神秘的でその美しさに魅了されてしまう人も少なくないはずです。遺伝子の要因でアルビノになってしまうということすら、マイナスなことではなく神々しさを感じてしまうのも、魅力の一つと言えるでしょう。
しかし、やはり他の猫よりも弱い部分が多く、気を遣ってあげなくてはいけない部分も多いです。
神経質になる必要性はないですが、紫外線や視力が弱いことを考慮し、ストレスフリーな環境でゆったりと一緒に暮らしてあげてください。
あとは普通の猫ちゃんと同じように、コミュニケーションを欠かすことなく沢山可愛がってあげてくださいね!
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