1.寄生虫によって現れる猫の体の症状は?
1-1.皮膚の寄生虫の場合
1-2.おなかの寄生虫の場合
2.寄生虫が原因の猫の病気
2-1.ノミアレルギー性皮膚炎
2-2.耳疥癬(耳ヒゼンダニ)
2-3.疥癬
2-4.ツメダニ症
2-5.瓜実条虫症
2-6.トキソプラズマ症
2-7.鉤虫症
2-8.回虫症
3.寄生虫を予防するためには?
3-1.予防の薬を使う
3-2.完全室内飼いをする
3-3.トイレを清潔にする
4.猫の寄生虫の症状についてのまとめ
寄生虫によって現れる猫の体の症状は?
猫に寄生虫がいるということは、どのようにして飼い主さんは気づくのでしょうか?
ほとんどは見た目で、猫に寄生虫がいるということがわかります。
◆皮膚の寄生虫の場合
猫の皮膚など体の表面に寄生虫がいる場合には、次のような症状が見られます。
・フケが増える
・脱毛が見られる
・かさぶたができる
・耳垢が多い
・耳に発疹が見られる
・しきりに体を掻く
・皮膚が腫れる
猫の皮膚に症状が現れるのは、ほとんどがノミやダニなどの寄生虫が原因です。
猫の体の表面に寄生虫の症状が見られる場合は、お腹、背中、頭、顔、耳などあらゆる部分にその可能性があります。
赤い発疹やフケは、飼い主さんが猫の異常に気付きやすい症状だと言えるでしょう。
耳に寄生虫がついた場合には、耳に発疹ができたり、耳垢が増えたり、耳を掻くことで耳の皮膚がボロボロになってきたりします。
体の表面に寄生虫がいる場合には、かゆみがあることが多い為、猫がしきりに体を掻くので、飼い主さんが気付きやすいと考えられます。
◆おなかの寄生虫の場合
体内に寄生虫がいる時には、次のような症状が見られます。
・嘔吐する
・元気がない
・食欲がない
・貧血を起こす
・血便が出る
・肛門から虫が出てくる
・便に虫や卵が見つかる
猫のおなかの中に寄生虫がいる病気の場合、多くは下痢や嘔吐の症状が出ます。下痢や嘔吐にともない、猫は元気がなくなったり、食欲がなくなったりします。
体内に虫がいるわけですから、栄養失調になることもあります。
寄生虫によっては、症状が重症化すると、血便が出ることもあります。
肛門から条虫が出てきたり、肛門周りに虫の切れ端がついていたり、便に寄生虫の卵や体の一部がついていたりすることもあります。
ただし、猫のおなかに寄生虫がいても、必ず便や肛門を見て虫がみつかるわけではありません。猫の便に寄生虫の卵や幼虫がいることもありますが、飼い主さんが肉眼で確認できないこともあります。
寄生虫が原因の猫の病気
皮膚の寄生虫による病気
◆ノミアレルギー性皮膚炎
猫のノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが寄生することによって起きる症状です。
猫がノミに噛まれると、ノミの唾液に含まれるタンパク質などに対して猫がアレルギー反応を起こすことで、かゆみを感じます。かゆみは主に首や背中、お尻で、赤い発疹が見られます。
猫はかゆみが激しいために、患部をかきむしるので、血が出ることもあります。
猫がノミでアレルギーを起こすかどうかは、猫によって個体差があります。アレルギーの症状は、猫によってはノミが数匹寄生しただけでも起こることもあります。
◆耳疥癬(耳ヒゼンダニ)
耳疥癬は、ミミヒゼンダニが猫の外耳道に寄生して起こる病気です。
ミミヒゼンダニは猫の耳の中で繁殖して、強いかゆみを感じさせます。猫はかゆみのため、しきりに頭を降ったり、耳を後ろ足でしきりに掻いたりします。
耳疥癬は、多頭飼いをしていると猫から猫へ感染します。そのため、同居している猫や他のペットがいれば、そちらも治療が必要です。
耳疥癬は、ダニ駆除剤を投与して治療します。
◆疥癬
疥癬は、猫ヒゼンダニという寄生虫に寄生されることで症状が出る病気です。
初期には猫の顔や耳の皮膚に脱毛や赤い発疹ができて、フケやかさぶたが見られるようになります。
かゆみが強いため、猫はかゆいところをかきむしるようになります。時間が経つにつれてヒゼンダニは、顔や耳から、頭や背中、足、お腹にも寄生していきます。
猫がかゆい部分を掻きむしることによって、皮膚が厚みを帯びてぼこぼこになることもあります。
疥癬の治療には、駆除剤を使います。再発を防ぐために、猫が使っている寝床や毛布を洗って清潔にし、ダニを駆除します。
◆ツメダニ症
猫のツメダニ症は、ツメダニという寄生虫が猫に寄生することで起こる病気です。
ツメダニが寄生したところに大量にフケが出て、発疹やかさぶたができ、脱毛することもあります。
人間にうつることもあり、人間が寄生されると、とても激しいかゆみを感じます。
ツメダニは、ノミやシラミやハエなどといった寄生虫の体を介して感染したり、すでに寄生されている動物と直接接触したり、感染動物が触ったものを介して間接的にも感染します。
おなかの寄生虫による病気
◆瓜実条虫症
瓜実条虫症は、瓜実条虫という寄生虫が猫の体内に入ることで、下痢や嘔吐などの症状を起こす病気です。瓜実条虫は、ノミを介して猫に寄生し、感染します。
猫が瓜実条虫に寄生されても、無症状であることが多く、少し軟便になったりする程度です。しかし、寄生虫の数が多いと、下痢が見られるようになります。
感染してしばらくすると、猫の便に瓜実条虫の体の破片(節)が動いているのが見られることがあります。
瓜実条虫による感染は、人獣共通感染症であるため、人間にもうつる寄生虫なので、より注意が必要です。
◆トキソプラズマ症
猫のトキソプラズマ症は、トキソプラズマという寄生虫に感染することで起こります。トキソプラズマ症も、人間にうつる可能性がある人獣共通感染症です。
トキソプラズマに感染しても、初期に下痢が少し見られたあとは、症状が出ない場合が多いとされています。
子猫や老猫、他の病気で体の免疫力が弱っている猫などは、食欲がなくなったり、嘔吐や下痢をしたり、血便が出たりします。
さらに消化器症状や、発熱や咳が見られ、呼吸困難といった呼吸器症状がでることもあります。
トキソプラズマは、トキソプラズマに感染した豚肉や鶏肉を生で食べたり、すでに感染した猫の便から排泄された寄生虫の卵などが、猫の口に入ったりすることで感染します。
トキソプラズマの治療には、抗菌薬を使い、熱や嘔吐などに対しての対処療法を行います。
◆鉤虫症
猫の鉤虫症は、鉤虫という寄生虫が猫の腸に寄生することによって起こる病気です。
成猫の場合、感染しても無症状のままの場合もありますが、体の弱い猫が感染したり、たくさんの鉤虫が寄生したりした時には、下痢や軟便などの症状が現れます。
子猫のうちに鉤虫に寄生されると、発育不良が認められたり、下痢や血便が見られたりすることもあります。
重症化すると脱水を起こすこともあり、場合によっては猫の命にかかわることもあります。
◆回虫症
回虫症は、猫回虫という寄生虫に感染されて起こす病気です。猫回虫は、猫に多く見られる寄生虫です。
猫の小腸に寄生して、栄養分をとってしまうため、寄生された猫は痩せてきたり、毛艶が悪くなったりします。
また、回虫の幼虫が猫の気管や食道などを移動するので、咳や嘔吐をすることが時々あり、その際に回虫が猫の口から出てくることもあります。
子猫のうちに回虫に寄生されると、下痢や嘔吐はもちろんのこと、発育不良が見られたり、お腹が膨れてしまったりします。
治療するには、駆虫薬を投与して、下痢や嘔吐の症状に対しては対処療法を行います。
猫回虫は、人間にもうつる人獣共通感染症で、特に幼児に感染すると視力障害などの重い症状がでることもあるので、注意が必要です。
寄生虫を予防するためには?
◆予防の薬を使う
ノミの予防や駆虫には、スポットタイプの薬を使うのが一般的になっています。猫が飲むタイプの駆虫薬もあり、予防にも効果がある場合があります。
動物病院で診察してもらい、必要であれば薬を処方してもらうことになります。
◆完全室内飼いをする
寄生虫は、自然界の土や水の中でも長期間生きているものがいます。予防のためには、猫を室内飼いして、寄生虫がいる可能性のある土や水に触れないようにします。
猫が外でネズミや小鳥、カエルなどを食べることで寄生虫に感染することもあるので、外に出さないことはとても大切です。
野良猫が寄生虫に感染していて、その猫と接触することによっても、寄生虫がうつる場合が多くあります。
さらに寄生虫に触れた飼い主さんが、衣服や手などに寄生虫や幼虫、卵などを付けたまま帰宅し、猫に触れて感染させてしまうこともあります。そのため、人間も手をよく洗い、外からの感染を防ぐようにしましょう。
また、豚肉や鶏肉はよく加熱して食べるようにします。
◆トイレを清潔にする
猫のトイレはこまめに掃除をして、便はその日のうちに、早めに取り除くようにします。人間にうつる可能性のあるものも、清潔を保つことで予防につながります。
便を介して寄生虫に感染することが多いので、多頭飼いの時にも気をつけるようにしてください。
猫の寄生虫の症状についてのまとめ
猫が寄生虫に感染することはよくあることなので、しっかりと予防することが大切です。
寄生虫に感染しても、成猫の場合には症状があまりないこともありますが、子猫や老猫、免疫力の落ちた猫は、重症化しやすい傾向があります。
また、人間にうつる寄生虫もあるため、猫の寄生虫予防はとても大切です。ノミやダニの予防薬を投与するほか、猫はできるだけ完全室内飼いにして、トイレはいつも清潔にしておくように心がけましょう。
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