猫のスプレーとは?

猫のスプレーは、比較的少ない量のオシッコを、尻尾を立てた状態で垂直面に噴射する行為です。通常のオシッコでもニオイがきついものですが、スプレーは更に強烈な刺激臭を放ちます。
では、なぜ猫はわざわざこのようなニオイの強烈なオシッコを出す必要性があるのでしょうか?
◆スプレーはマーキング行動の一種
猫のスプレーは、マーキング行動の一種だとも言われています。
猫にとってマーキングは、自分の縄張り(テリトリー)を誇示する行為となるので、自分のニオイをつけて自分の場所(物)だと主張しているようです。
他にも飼い主さんに頭を擦り付けたり、家の色々な場所に身体を擦り付けていたりするのを見たことはないでしょうか?
これもマーキングの一種となり、身体のいたる場所に存在する臭腺から出るニオイ(フェロモン)を付けて、独占欲を表しています。
愛猫がゴンゴンと飼い主さんに頭などをぶつけてくれることは、大変喜ばしいことかと思いますが、スプレーでのマーキングは大問題ですよね。
これは猫にとって大切な行為でもあるので、スプレーの原因を突き止め、対策を考える必要性があります。
◆メス猫でもスプレーをする?
基本的に縄張り争いをすることの多い、オス猫しかスプレー行為をしないと思われがちですが、メス猫はどうなのでしょうか?
立った状態で勢いよくスプレーを噴射する…ということを考えた時点で、メス猫には難しいのではないか?という疑問が出てくることでしょう。
しかし、結論から言ってしまえば、メス猫もスプレーをします。座ったような低い姿勢でスプレーする子も居れば、オス猫と同じように立った状態でする子も居ます。
メス猫だから絶対にスプレーはしない!なんてことは残念ながら無いのです。
もちろん個体にもよるので、しないメス猫も存在しますが、問題なのはスプレーをすることではなく、してしまう原因です。
まずは「なぜ愛猫がスプレーをしてしまうのか」を、しっかりと考えていきましょう。
猫のスプレーの原因は?

猫がスプレーをする原因として考えられる理由をいくつか挙げていきます。
もし自分が一緒に暮らして居る愛猫がマーキングをするのであれば、どの項目が当てはまっているのか、考えてみてくださいね。
◆スプレーの原因①自分のテリトリーの主張
猫は元々群れて生活する動物ではなく、単独で生活し縄張りを持つ生き物です。
そのため、猫のスプレー行為で一番多い理由として挙げられるのは、テリトリーの主張であると言えるでしょう。
オス猫の方が縄張り意識は強いので、圧倒的にオス猫のスプレー行為の方が多いですが、室内飼いのメス猫にも見られます。
その場合、窓付近やカーテン、部屋の角や入口などにスプレーをすることが多く、テリトリーの主張をします。
部屋の外に野良猫が来ている場合などにも、威嚇としてスプレーをすることがあります。
他にも多頭飼育のご家庭や、新しい仲間(他の動物や人間の赤ちゃん)が増えた場合にも、スプレーをしてテリトリーの主張をすることがあるようですよ。
◆スプレーの原因②メス猫を呼び寄せるため
発情期のオス猫にもスプレー行為は見られます。
メス猫は発情期に入ると大きな声で鳴き、同時にフェロモンを出します。そのニオイを嗅ぎつけてスプレーをして、オス猫は自分の存在をアピールするようです。
この時期のオス猫のスプレーは、他のライバルたちよりも「身体が大きく強い猫」を演出するために、より高い位置にスプレーをするのだそう。
猫社会にも「見栄」が普通に存在しているのが、なんとも健気で可愛らしく思えてしまいますよね。
中には発情していることをアピールするかのように、スプレーをしてニオイを拡散させるメス猫も居るようです。
◆スプレーの原因③情報の伝達
猫にとって「ニオイ」は、様々な情報が詰まっています。そのため、自分のニオイを残して、他の猫になにかしらのメッセージをスプレーによって伝えることも。
一般的にはスプレーをした猫の性別、年齢、健康状態などの伝達に使用するとされていますが、実際のところは猫のみぞ知る…といったところでしょうか。
嗅覚が優れている猫にとって、スプレーが重要な情報源であることは間違いないでしょう。
◆スプレーの原因④不安や不満
猫は精神的に落ち着かないとき、不安なとき、不満があるときにもスプレーをすることがあります。
家族構成の変化(結婚、出産、離婚など)や生活環境が変わってしまったなど、突然の変化に猫はめっぽう弱いです。
その他にもトイレが汚れている、飼い主さんが留守になりがちになった、エサが気に入らないなどもスプレーの原因になりやすいです。
普段はトイレで用を足すのに、急にスプレーをするようになってしまったのなら、その行為を始めた付近に何か変化が無かったか、記憶を遡ってみましょう。
愛猫のスプレー行為は飼い主さんにとってもストレスとなりますので、お互いが快適な環境で生活をするためにも、早急に対策をするように心掛けましょう。
猫のスプレーの対策は?
実際にスプレーをされたことのある飼い主さんなら、思い出すだけであの強烈なニオイが鮮明に蘇ってきてしまうほど、厄介な行為であると言えるでしょう。
一度されれば同じ場所に何度もされてしまう可能性があるので、掃除にも気合を入れなくてはいけません。一生懸命ニオイを消したつもりでも、鼻の利く猫は僅かなニオイを嗅ぎ取り、また粗相を繰り返すなんてことも…。
何度もスプレー行為をされないためにも、どんな対策をすべきなのでしょうか?
◆スプレー対策①去勢(避妊)手術をする
猫のスプレーには性ホルモンが関係しているため、去勢手術を行うことによって、ピッタリとスプレー行為が止まることがあります。
望ましいのはスプレー行為をしたことのないうちに手術を行うことですが、一度でもしてしまったある猫でしたら、またスプレーをしてしまう可能性が無いとは言い切れません。
一般的に生後5ヶ月以降の繁殖が可能になる前に、手術を行いたいところですが、個体の健康状態にもよりますし、ご家庭によって猫を飼ったタイミングも異なりますから、まずは獣医師さんに相談してみてください。
これはオス猫だけでなくメス猫にも言えるので、繁殖を望まれていないのでしたら、病気のリスクを軽減さるためにも、去勢や避妊手術はしておいた方がよいでしょう。
◆スプレー対策②すぐに掃除する
どんなに綺麗に粗相のニオイを拭き取ったとしても、同じ場所にまたスプレーをされてしまえば、絶望しか感じられませんよね。
スプレーの掃除は素早く処理をすることが重要です。時間が経過するにつれて、ニオイはどんどん浸透していきますので、表面だけ掃除をしても、根深くニオイが残ってしまうのです。
猫はそのニオイを嗅ぎ取ることが出来るので、上書きするように何食わぬ顔でスプレーをします。
マーキング対策用の消臭力、除菌力のある掃除スプレーで素早く掃除することが大切です。
◆スプレー対策③フェロモンスプレーを活用する
見つけたらすぐ掃除!がもっとも重要となるのですが、それでも不安という飼い主さんもいらっしゃることかと思います。
そんなときは猫のフェロモンを再現したスプレーを、使用してみてはいかがでしょうか?
ネット通販や動物病院などで入手が可能ですが、このスプレーを使用することによって、猫は安心を得られる上にストレスの緩和が期待出来てしまう優れものです。
スプレーを掃除した場所に振りかけることによって、効果を発揮してくれることでしょう。
全ての猫に効果がある訳ではないので、お試し感覚でまずは使用してみることをおすすめします。
◆スプレー対策④猫の不安や不満と向き合う
愛猫が何かを訴えるかのようにスプレー行為をしているのなら、原因を追究し解消させてあげる必要があります。ずっと不安の原因が解決されずに残ったままだと、何度でも粗相やスプレー行為に及んでしまうことでしょう。
その都度掃除が必要になり、飼い主さんもストレスが溜まっていってしまうので、お互いにとって悪循環でしかありませんよね。
まずは愛猫と根気よく、向き合ってあげてください。根気よく向き合うことによって、自ずと解決策は見えてくるのではないでしょうか。
そして愛猫がストレスフリーで生活出来る環境を、普段から整えてあげるようにしましょう。
まとめ
飼い主さんにとって厄介な猫の行為であるスプレーですが、猫にとってはせざるをえない切実な感情が関係しているようにも感じますよね。
とても困る迷惑行為ではありますが、原因が原因だけに言葉で叱ったり手を挙げたりすることは、逆効果となってしまうことでしょう。
何よりもスプレーをしないように事前に対策をすることが一番ですが、もししそうな瞬間に出くわした場合は、お尻を撫でたり遊んであげたりして、気分をそらすことも一つの手段として効果的です。
どのスプレー対策を試しても治らないようでしたら、獣医師さんに相談してみると良いでしょう。
まずは愛猫と向き合って、秘めた不安を取り除く努力をしてあげてくださいね。
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