ペットの防災対策できていますか?
◆災害時は「ペットと同行避難」が基本
地震などの災害が実際に起きた時、ペットと暮らすおうちではどのような対応が考えられるでしょうか。
環境省が作成する「災害時におけるペットの救護ガイドライン」で推奨されている対応は「同行避難」。つまり、災害時に飼い主さんがペットを連れて避難することを指します。
一度離れ離れになったペットの捜索や保護は、災害による混乱した状況が予想されるため、普段以上に困難を極めます。迷子になっている間に、ペットが怪我をしたり、衰弱してしまうこともあるかもしれません。
「災害時はペットとの同行避難が基本」ということを、今一度しっかりと頭に入れておきましょう。
◆情報収集や事前の準備が大切!
ここで注意したいのは、同行避難した先でペットと一緒に過ごすことができるかは、各自治体や避難所の判断によって異なるということ。
例えば、避難した先の施設内で一緒に過ごすことができる場合もあれば、ペットだけ別の飼養部屋で過ごすこともあります。また、飼養部屋がなければ、敷地内で屋外飼養しなければならない場合も…
そのため、避難所のペットの受け入れ態勢などの情報収集、そして事前の準備が大切になります。
◆ペットの防災対策として準備できることは?
それでは、ペットの防災対策として、具体的にどのようなことができるでしょうか。
例えば…
・家具などの転倒防止策
・ペットを連れた状態での避難ルート、避難所の確認
・ペットのしつけ(トイレでの排泄、キャリーに慣れさせるなど)
・ペットの迷子対策(マイクロチップや迷子札など)
・ペット用の防災セットの準備 など…
これらを一度に準備しようとしても、なかなかできることではありません。特に、ペットのしつけなどは、日頃から少しずつ慣れさせることが大切です。
今回は、その中でも今すぐにでも飼い主さんが考えられる「ペット用の防災セットの準備」について、チェックしてみましょう!
ペット用の防災セットに必要なものは?
ペット用の防災セットと聞いて、「一体何から準備したらいいの…?」と迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ペット用に準備しておきたいグッズを優先順位別に確認してみましょう。
◆優先順位①動物の健康や命に関わるもの
防災セットに必ず準備するものがペットフードです。支援物資としてペットフードが届くまでは時間がかかりますし、食べ慣れていないものだとペットが食べてくれないことも予想されます。
ペットフードや水はいつも与えているものを、少なくとも5日分、できれば7日分以上は準備しておくようにしましょう。
支援物資として届いたペットフードの中に、いつも与えている療法食があるとは限りません。特に、薬などはすぐに手に入るものではないという認識でいましょう。
ペットの病気に合わせて与えている療法食や薬などがある場合は、必ず自分で準備しておくようにします。
また、食物アレルギーやフードの好き嫌いが激しい子も同様の対策が必要です。
猫や小動物の場合、避難時や避難先での滞在時にキャリーバッグやケージが必須です。また、犬の場合も瓦礫などで怪我をしないようキャリーでの移動が必要になる場合があります。
キャリーバッグは、移動時に手が空くよう抱っこタイプやリュックタイプ、肩掛けタイプのものがおすすめです。
首輪やリードは、移動する時はもちろん、ペットの脱走やはぐれたりすることを防ぐために必須です。猫の場合も、日頃から首輪やリードの着用に慣れさせておくようにしましょう。
壊れてしまったり無くなってしまった時に備え、予備のものを用意しておくと安心です。
おしっこやうんちなどの排泄物の処理をしっかりできるよう、ペットシーツを準備しておきましょう。
また、猫が落ち着くようポータブルトイレなどのグッズを事前に用意しておいたり、ダンボールなどで簡易トイレを作ることもおすすめです。
災害時は、思うように外に出て散歩できないことも予想されます。外でしかトイレしないタイプの愛犬の場合は、普段からペットシーツでも排泄できるようトレーニングしておくと安心です。
お散歩時に便利なマナーシャワーは、給水機能付きのものがおすすめです。また、ペットシーツの下などに敷く汚れ防止のシートなども準備しておくと衛生的です。
猫の場合、いつもと環境が変わるとトイレをしなくなってしまう可能性も。その場合は、普段使い慣れた猫砂や使用済みの猫砂の一部をペットシーツに乗せることで、トイレだと認識してくれることがあります。
他の人々と共同生活する避難所では、ペットの排泄物の処理やニオイ対策が欠かせません。使用済みのトイレシーツや排泄物を入れるビニール袋の準備をしておきましょう。
ビニール袋は、ニオイをしっかりと封じ込めるペット用のグッズを使用するのがおすすめです。
ペットフードを食べたり、お水を飲んだりするための食器は、軽くて丈夫な素材でできたタイプのものを準備しましょう。
持ち運びのしやすい折りたたみできるタイプのものもおすすめです。
◆優先順位②飼い主やペットについての情報
シェルターにペットを預ける場合や迷子になったペットを探す時など、飼い主さんの連絡先情報はとても重要です。飼い主さんの名前、携帯番号、避難先の住所・連絡先などが分かるといいでしょう。
また、可能であれば、飼い主さん以外の緊急連絡先、預け先の情報も合わせて準備しておきましょう。
万が一ペットとはぐれてしまった場合、ペットを探す時に必要となるのがペットの写真です。印刷物と携帯電話などの画像データの両方を持っておくといいでしょう。
特徴的な模様などがあればその部分が分かりやすいものを用意したり、飼い主である証明としてペットと一緒に写った写真も有効です。
かかりつけの獣医さん以外に診てもらうことになった時などのために、ペットの健康に関する情報をまとめておくと安心です。
例えば、ワクチン接種状況、既往症、投薬中の薬情報、検査結果、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報を記載したものを用意しておきましょう。
また、これらに合わせてペットの名前や種類、性格、しつけの有無、マイクロチップの番号、鑑札番号(犬)、普段食べているペットフードなどの基本情報も載せておくと、ペットが迷子になった際やシェルターなどに預けることになった際もスムーズに進めることができます。
◆優先順位③日常的なペット用品
防寒対策やキャリーの目隠しとして、タオルやブランケットなどの布類を用意しておきましょう。
また、飼い主さんや自分の匂いが付いているものであれば、ペットにかぶせてあげたりキャリーに一緒に入れてあげることで、ペットを落ち着かせる効果もあります。
避難時は様々な物資が不足するため、シャンプーやトリミングも普段通りの頻度でできないと考えた方がよいでしょう。
ウェットタオルを用意しておくと、体全体を手早く綺麗にでき、目や耳の掃除にも使用できます。
避難所などの普段とはちがう環境で、ペットにストレスがかかってしまうことも。
いつも遊んでいるお気に入りのおもちゃなど、自分の匂いがついたものを用意してあげることで、ペットをリラックスさせる効果が期待できます。
洗濯ネットは、慣れない環境でパニックになってしまったペットを落ち着かせるのに便利なグッズです。洗濯ネットに入れることで、ネットの上から治療などもしやすくなります。
特に猫の場合、屋外で診療しなければいけない場合や、脱走してしまった猫を保護する時に重宝します。
万が一ペットが怪我をした際などに、応急処置をする上で包帯や清浄綿があると安心です。
避難先である程度のスペースが取れる場合は、折り畳み式の簡易サークルなどを用意しておくとペットもある程度の広さで安心して過ごすことが出来ます。
ガムテープやマジックは、ダンボールで簡易ハウスを作る際や、動物情報を掲示する際など、様々な状況で使用できます。
みなさんのおうちですでに準備できているものはいくつありましたか?
これらは基本のセットになりますので、おうちの子に合わせて必要なものを足したり、必要なければ削ったりするようにしましょう。
ちなみに車内で猫と過ごす場合は…
避難した先の避難所がペットを受け入れていなかったり、他のペットとの共同生活が難しい場合など、状況によっては車内で過ごさなくてはいけない場合もあります。
今回ご紹介した防災セットの他に、車内でペットと過ごす時に準備しておきたいグッズをご紹介します!
◆シートベルトでしっかり固定!「たためるドライブペットケージ」
シートベルトで固定できるタイプの折り畳み式ペットケージです。
側面と天井面に扉があり、開ける時は巻き上げて固定できるようになっています。扉はメッシュ素材でできているので、愛犬の様子をチェックしやすくて安心ですね。
側面扉にはロック機能付き。扉のファスナーとフックをつなげることで、ペットが内側から開けてしまうのを防ぐことができます。
さらに、給水ボトル(別売り)を設置することもできるので、移動時も水がこぼれたりすることなくいつでも給水OK!
ケージを使わない時は、シートに取り付けたままコンパクトに折り畳むことができ、場所も取りません。
◆後部座席を広々快適スペースに「ドライブシートクッション」
長期的に車内で過ごす場合や大型犬などのスペースが必要なペットの場合は、こちらのドライブシートクッションが便利。
空気を入れて膨らますエアクッションを後部座席の隙間にセット。カバーを使って上から覆うことで、後部座席全体が広々としたペットのスペースになります。
カバーはメッシュ窓付きなので、運転席や助手席からもペットの様子を確認することができます。
セット内容:クッション、カバー、空気入れ、バッグ
いざという時のためにマイクロチップの装着を!
2019年6月に、ペットへのマイクロチップの装着が義務化されることが盛り込まれた動物愛護法が可決となりました。
現在、販売店やブリーダーなどで取り扱われる犬猫にはマイクロチップの装着が義務となっています。
一方、既に飼われている犬猫への装着は努力義務とされているので、まだまだマイクロチップの装着率は高くないようです。
マイクロチップは装着することで、ペットを識別することができます。
装着の際に飼い主の氏名・住所・電話番号を登録できますので、専用の機械で読み取ればその子がどこの誰が飼っている子かがわかるという仕組みです。
災害が起きると、窓ガラスが割れたり扉が開いてしまったりしてペットが逃げてしまうこともあるでしょう。
家から出たことのない猫が逃げてしまうと、無事におうちに帰れないことも多いです。
どこかで保護されたとしても、飼い主さんの連絡先が分からなければ繋ぐことができませんよね。
災害が起こる前でも、脱走してしまった際にもマイクロチップはペットを見つけるのに有効な手段となりますので、まだ装着していない飼い主さんは装着を検討してみてくださいね。
そして、装着済みの場合でも、住所や電話番号が変わった時には必ず登録情報の変更を行いましょう。
迷子を保護したのに、登録されている情報が変更されていないために飼い主につなぐことができないというパターンもあるようです。
装着をした後に引っ越しをしたり、携帯電話の会社を変えた飼い主さんは一度確認をしてみましょう。
まとめ
今回は、ペットの防災対策についてご紹介しました。
人間なにかがあってからでは、なかなかすぐに行動できないもの。飼い主さんが慌てている姿は、愛猫にも不安を与えてしまうかもしれません。
突然起きる地震などの災害に備え、大切な家族の一員である愛猫を守る方法もしっかり頭に入れておきましょう。
これを機に、みなさんもおうちの子専用の防災セットを準備してみてくださいね!
参考:人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>(環境省)
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