1.猫の投薬方法
1-1.錠剤・カプセルの飲ませ方
1-2.粉薬・シロップの飲ませ方
2.ピルポケットとは?
2-1.ピルポケットの仕組み
2-2.どこで買える?
3.ピルポケットの使い方
4.その他の投薬方法
4-1.投薬用ちゅ~る
4-2.おやつに入れる
4-3.オブラートで包む
5.まとめ
猫の投薬方法
最初に、ピルポケットなどの投薬補助用品を使わずに薬を飲ませる方法について解説します。
◆錠剤・カプセルの飲ませ方
1.猫の頭を持って上に向ける
利き手と逆の手で頭の上から猫の頬骨を持ち、鼻先が75°になるくらいに持ち上げます。
45°くらいだと投薬に失敗するので、しっかり上を向かせましょう。
天井を見るように頭を上げると、口が開きやすくなります。
頬骨は、目の真横にあります。
顎を持つと嫌がられてしまうので、気をつけましょう。
2.利き手で薬を持つ
利き手の親指と人差し指で、薬を持ちます。
口を開けるために、中指はあけておきましょう。
3.薬を持った手で口を開ける
薬を持ったまま、下の前歯(切歯)に中指をかけて、口を開けます。
犬歯と犬歯の間の小さな歯が、切歯です。
切歯であれば、噛まれてもあまり痛くないでしょう。
4.口の中に薬を落とす
舌の付け根の真ん中に、静かに薬を落とし入れます。
猫が驚いて吐き出してしまうことがあるので、投げ込むように入れるのはNGです。
また、手前に落とすと、薬の苦みなどでよだれがたくさん出て“泡ぶく”になったり、猫が吐き出してしまったりするので、舌の付け根を狙うように入れましょう。
5.口を閉じて鼻先を上に向ける
薬を落とし入れたら、すぐに口を閉じ、鼻先を上に向けたままで喉を撫でおろしてあげましょう。
鼻先にふっと息を吹きかけてあげてもよいでしょう。
猫が舌を出してペロペロしたら、薬を飲み込めているサインです。
飲み込めていない場合、後で吐き出してしまうので、飲み込めていることを必ず確認してください。
6.水を飲ませる
錠剤やカプセルは、口の中や食道に張りつきやすいです。
胃まで届かないことで薬の成分が吸収できないだけでなく、食道炎を起こすこともあるので、投薬後は必ず少量の水を飲ませます。
飲ませる量の目安は、少なくとも5~6mL(ティースプーン約1杯)と言われています。
あらかじめ、スポイトやシリンジに水を用意しておくといいでしょう。
スポイトやシリンジの先端を犬歯の後ろに差し込むと、猫が口を開けてくれます。
誤嚥(肺に入ること)を避けるためにも、ゆっくり流し入れてあげましょう。
7.たくさん褒める
薬を飲ませた後には、たくさん褒めてあげましょう。
◆粉薬・シロップの飲ませ方
1.準備
粉薬(散剤)は、あらかじめ水に溶かしておきます。
薬の量によりますが、水の量は0.5㏄ほどで十分です。
水の量があまり多いと、飲むのが大変ですし、誤嚥するリスクが上がります。
水に溶いた粉薬またはシロップを、シリンジに入れます。
2.猫の頭を持って上に向ける
錠剤の時と同様に、利き手と逆の手で猫の頭を持ち、上に向けます。
3.シリンジを持つ
シリンジは、子供が鉛筆を持つような形で握り込みます。
慣れていないと量の調節が難しく、一気に全部出てしまうことがあるので、いわゆる注射器を持つ持ち方はおすすめできません。
4.犬歯の後ろにシリンジを入れる
上述の水を飲ませる時の要領で、シリンジを犬歯の後ろに入れます。
無理にこじ開けると歯肉を傷つけることがあるので、気をつけましょう。
5.ゆっくり流し込む
一気に押すと半分以上が溢れてしまいますし、誤嚥する危険性もあるので、落ち着いてゆっくり流し込みます。
液の量が多い場合は、特に誤嚥のリスクが高まるので気をつけましょう。
6.頭を上に向けておく
しばらく上を向かせたままにして、薬を確実に飲み込んだことを確認しましょう。
ピルポケットとは?
ピルポケットは、歯磨き用のトリーツで知られるグリニーズブランドの投薬補助トリーツで、犬用と猫用があります。
◆ピルポケットの仕組み
独自のやわらかい形状のおやつに錠剤やカプセルを包み込んで隠すことで、薬やサプリメントを飲みやすくします。
第一主原料は犬や猫の嗜好性が高いチキンで、犬や猫が自らで飲み込むことを促します。
無理な投薬で、愛猫や愛犬との信頼関係が損なわれることがなく、飼い主さんがケガをするリスクも軽減されます。
◆どこで買える?
ピルポケットは、動物病院で購入できます。
獣医師専用のトリーツなので、獣医さんの指導のもとで使用しましょう。
ネットでも購入できますが、ショップの会社概要などで「動物用医薬品販売に関する表示」を確認してください。
「動物用医薬品店舗販売業」であり、薬剤師または登録販売者が勤務しているショップで購入しましょう。
ピルポケットの使い方
まず、ピルポケットの穴に錠剤やカプセルを入れます。
ピルポケットの上部を練り合わせて蓋をし、薬を包み込みます。
愛猫の食べやすい大きさに調整して与えます。
大きさや形状は、愛猫に合わせて工夫する余地がありそうです。
丸い方がいい子もいれば、角の丸い三角形の方が食べやすい子もいるようです。
猫用のピルポケットにはチキンとサーモンの2種類のフレーバーがあるので、愛猫の好みに合わせてあげるとよいでしょう。
薬を触った手でピルポケットに触れると、薬の匂いが移ってしまって飲み込んでくれなくなるので注意してください。
口コミでは、ピンセットを使っているという飼い主さんもいました。
また、包み込んだ後に必要以上にこねると、薬の味がピルポケットに広がってしまいいます。
ピルポケットの匂いが手につくのが嫌な方や、成型する時に手にくっついて上手くいかない場合は、ラップで挟んで伸ばしてから薬を包むとよいというレビューもありました。
その他の投薬方法
嗜好性が高く、多くの猫が好むと高評価のピルポケットですが、やはり食べてくれない子もいます。
そこで、他の投薬方法についても、ご紹介します。
◆投薬用ちゅ~る
食べない猫がいないのではないかというほど、猫に大人気の液状おやつ・ちゅ~るの投薬補助製品です。
通常のちゅ~る(マグロ味)の4倍の粘度があり、程よい柔らかさで薬が包み込みやすくなっています。
カロリーも通常のちゅ~るより少なく、1本の量も少ないので、カロリーが気になる愛猫にもおすすめです。
封を切った先端のちゅ~るで薬を包み込み、あとは、そのまま通常のちゅ~ると同じように与えましょう。
薬を包み込める分だけのちゅ~るを絞り出して、薬を包んであげても大丈夫です。
◆おやつに入れる
おやつや、オヤツとしても使える投薬補助製品を利用してもいいでしょう。
メディボール
獣医師とペットフードメーカーが共同開発した投薬補助用のおやつです。
普段のおやつや、しつけ・訓練のご褒美にもなる嗜好性の高さで、愛猫もお薬の時間が楽しみになるかもしれません。
ソフトな形状で、手のひらで伸ばしたり丸めたりしやすく、薬の大きさに合わせてちぎるのも容易です。
また、薬に密着するため、薬だけ吐き出すことがしにくいです。
大きな錠剤やカプセルも包み込むことができるだけではなく、粉薬を混ぜ込むこともできます。
ささみ味、かつお味、チーズ味、まぐろ味、ほたてシチュー味、たら味の6種類の味が選べるので、愛猫が気に入るものが見つかるでしょう。
ちゅるビ~
ちゅ~るで有名ないなばから発売されている、外はふっくら、中はとろりとした2つの食感が楽しめるおやつです。
中のとろりとした部分を少し取り出して、中に薬を入れ、取り出した分で蓋をするとよいでしょう。
まぐろと焼きまぐろ、ささみと焼きまぐろ、ささみと焼きささみ、ささみと焼きかつお、まぐろと焼きささみ、まぐろと焼きかつおの6種類の味があります。
さらにグレインフリーのPureちゅるビ~が仲間入りしました。
嗜好性が高く、大好きな子が多いと口コミでも高評価のおやつです。
普段からおやつとして与えておけば、投薬の時も愛猫が食べてくれやすいでしょう。
◆オブラートで包む
錠剤やカプセルはもちろん、粉薬にもおすすめです。
オブラートで薬を包み、ドライフード用のふりかけや猫用のかつお節をまぶすと、薬の匂いや味がしなくなります。
オブラートを軽く水で湿らせてから、ふりかけをふりかけると、味が満遍なくつくのでおすすめです。
人間用のオブラートは、食道に張りつきやすいので避けましょう。
動物用のオブラートがネット通販でも購入できるので、活用してみてください。
まとめ
猫には、薬を飲む意味は分かりません。
嫌な味や匂いのするものを無理に口に入れられるのですから、嫌がるのも無理はないでしょう。
獣医師へのアンケートによると、薬の投与に苦労する猫は80%に上るそうです。
病気やケガで辛い思いをしている猫に、投薬でさらに嫌な思いはさせたくありません。
上手に薬を飲ませられない場合には、ピルポケットをはじめとする投薬補助製品を活用することも考えましょう。
ピルポケットは獣医師専用の投薬補助トリーツなので、獣医さんの指導のもとで使用してください。
ネットでも購入できますが、まずは動物病院で購入して、愛猫が飲んでくれるか確かめておくことをおすすめします。
また、薬を飲ませなくてもよい健康な時に、オヤツや水を使って薬を飲ませる練習をしておくのもおすすめです。
お薬の時間が少しでも嫌な時間でなくなるように、投薬後はたくさん褒めてあげてくださいね。
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