1.人間より良い?猫の聴力について
1-1.人間の可聴域の3倍
1-2.猫の聴力が優れている理由
2.猫が好きな音はどんな音?
2-1.高い音
2-2.鳥の鳴き声
2-3.猫の鳴き声
2-4.飼い主さんの声
3.猫が嫌いな音は?
3-1.大きな音
3-2.低い音
4.猫のために作られた音楽もある
5.まとめ
【掲載:2021.07.25 更新:2023.01.13】
人間より良い?猫の聴力について
体の小さい猫ではありますが、さまざまな身体能力が優れていますので、そういった部分も不思議で魅力的に感じる方も多いのではないでしょうか。
その中でも猫の聴力は人間よりも優れていると言われることがありますが、実際のところがどうなのかも気になるところですよね。
人間の聴力よりも猫の聴力の方が優れていると言われる所以は、どのようなところからきているのでしょうか?
◆人間の可聴域の3倍
個体差はありますが、猫は可聴域が人間の3倍以上あると言われており、私たちには聞こえない音域の音を聞き取る力が優れていると言われています。
私たちの聴力は低音であれば、20~20,000Hz(ヘルツ)程度の音を聞きとれると言われており、日常的な会話の音は、鼓膜振動を利用し、250~4,000Hz程度までの周波数を音に変換させて感じ取っています。
低い周波数だと猫も人も聞こえる範囲に大差ありませんが、超音波として定義されている20,000Hzを超える、60,000Hz以上の高い音も猫は聞き取れるので、このようなことからも猫の可聴域は人間の3倍と言われていることにも納得ですよね。
猫が集中してどこか一点を見つめているときに、耳がピクピクと動いているときは、ネズミや鳥などの小動物はもちろん、虫の歩く音や羽の音といった小さな音を感じ取っている証拠です。
飼い主さんの中には、お出かけから戻って玄関を開くと、愛猫が必ず待っていて不思議に感じている方もいらっしゃるかと思いますが、飼い主さんの足音や車の音を聞き分け、玄関までお出迎えをしていると考えられます。
なぜ猫はこんなにも聴力が発達したのか疑問に感じますが、そこには猫が野生で生きてきた環境が関係しているようです。
どんな理由があって、猫の聴力は発達したのでしょうか?
◆猫の聴力が優れている理由
猫の歴史は古く、単独での生活を好んで生きてきましたので、生きるために自分で狩りをして、獲物を捕まえなくてはいけませんでした。
とくに人間と共存するようになってからは、ネズミを捕獲する役割も担っていたので、夜行性で視力の低い猫は、音を頼りに狩りができるよう進化していったとも考えられます。
猫のかわいらしい三角の耳は、とても優れた集音器となっており、左右に180度動くことによって広範囲の音を拾える上に、獲物との距離を明確に判断できるといった、優秀な能力が携わっているのです。
また、猫特有のバランス感覚の良さは、耳の内側にある三半規管と前庭が発達しているからと言われており、ほかの動物には見られないような天性のバランス感覚を持っています。
猫は聴力だけでなく、耳の機能も発達していますので、さらにどんな音を好むのか興味を持ってしまうことでしょう。
猫が好きな音はどんな音?
聴力が優れた猫ではありますが、音に敏感な分、好きな音が存在しているのかも疑わしいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
猫が聞き取りやすい音は、8,000Hz程度の高くて柔らかい倍音だと言われていますので、その高い周波数を聞いてみれば、猫の好きな音の答えがおのずと見えてくるのではないでしょうか。
◆高い音
猫は耳の機能が発達している分、私たちが不快に感じるぐらい高い周波数でも、好きな音として認識する可能性が高いようです。
眠っているときでも耳をピクピク動かすのは、自分が好きな音を聞き分け、興味があればすぐに反応できるように、常にハンターの血が騒いでいるのかもしれませんよね。
私たちの耳には聞こえないような、虫の音やネズミなどの小動物の音に目を丸くさせている姿を見れば、猫の好きな音として認識していることにも納得です。
ほかにもおもちゃを動かした際に出る音や、袋のカサカサといった音も、猫には興味の湧く音として認識されているので、その音があるからこそ遊びにも夢中になってしまうのかもしれません。
◆鳥の鳴き声
窓辺で外の景色を眺める猫ちゃんは多く、風や空気のニオイを体で感じながらリラックスする姿は、見ているだけでこちらも癒されますよね。
そして何よりも猫が心待ちにしているのが、鳥の姿を見つけることではないでしょうか。
鳥の鳴き声は猫にとって別格で、狩りをしながら生きてきたハンターとしての習性が、本能的に残っているといっても過言ではありません。
素早い動きに高音の鳴き声を出す鳥は、猫の狩猟本能を掻き立てますので、窓辺に居る時間が多い猫ちゃんは、自ら鳥を見つける機会を増やそうと工夫している可能性が高いです。
◆猫の鳴き声
猫の好きな音の中には、猫の鳴き声も入っています。
猫の出す鳴き声は、私たちの出す声よりも1オクターブ高い周波数となっているので、本能的に心地よい音として認識されるのかもしれません。
私たちには聞こえない「サイレントニャー」も、猫には聞こえる音となりますので、飼い主さんに向かって甘えるような声を出すときは、自分自身の鳴き声を聞いて、気持ちを落ち着かせようとしている可能性も否めませんよね。
ほかにもゴロゴロと喉を鳴らす音や、子猫が母猫の母乳を吸う音などは、一定のリズムを保っており、このような音が滑らかに繋がって途切れない状態の音を「スライディング周波数」と呼びます。
また、ポルトガルの研究チームが、2015年に行った調査では、さまざまなジャンルの音楽の中で、クラッシックを聴いた猫のリラックス効果が高かったといった研究結果が発表されています。
自身の出すリラックス効果のある音は、クラッシックに通じるものがあると思うと、つくづく猫って面白い動物だと感心させられるばかりです。
◆飼い主さんの声
飼い主さんと一緒に暮らす猫ちゃんであれば、安心できる飼い主さんの声は、きっと大好きであるに違いありません。
とくにお話しをしたがる猫ちゃんにとってみれば、飼い主さんが発する言葉は、たとえ意味が分からなかったとしても、スキンシップの一環として大事にしていることでしょう。
猫ちゃんの中には自分の名前や「ごはん」や「おやつ」といった単語に過剰に反応する子も多く、その言葉を発する前後の飼い主さんの行動によって、言葉を音として認識している可能性が高いです。
優しく名前を呼ぶだけで、嬉しい気持ちで満たされ喉をゴロゴロと鳴らす子も居ますので、なるべく大きな声や怒鳴るような声を出すことを控え、猫が安心して生活できるように心掛けてあげてください。
猫が嫌いな音は?
猫の好きな音があるのであれば、猫が嫌いな音の存在も気になるところですよね。
一般的に猫は、以下のような音を苦手とするようです。
◆大きな音
聴力の優れている猫は、大きな音がとても苦手です。
普段から慣れている生活音ぐらいであれば問題ありませんが、突然何か物を落としたり、飼い主さんの声が大きくなってしまったりすると、猫が強いストレスを感じてしまうことも。
そして猫ちゃんの中には、何か怖い経験をしたことが音とリンクすることもあるので、掃除機や自然災害(地震や雷など)などの大きな音に、執拗に怖がる子も多いことでしょう。
愛猫のストレスを軽減してあげるためにも、普段から大きな音を出さないような生活を心掛けてあげてくださいね。
◆低い音
猫は本能的に、低い音も苦手なようです。
猫自身が低い鳴き声を出すときは、敵を威嚇するためのうなり声や、恐怖心を感じている不安な声となります。
これは猫だけでなく、ほかの動物にも言えることとなりますので、そのような音を猫が聞けば危険と判断し、自分の身を隠して安全を保とうとすることでしょう。
そして大きな音と低い音が合わさった花火や、前述した掃除機や自然災害の地鳴りのような音は、やはり得意な子は居ないと思いますので、猫ちゃんを安心させるためにも、なるべく傍にいるか、姿が見える距離を保ってあげてくださいね。
同様に低い声もあまり好きではない傾向にあります。猫に話しかける時にはなるべく高いトーンにするとよいでしょう。
猫のために作られた音楽もある
世の中には猫の特性を活かした猫のための音楽などもあり、猫がニャン生をまっとうできるようにと、色んな工夫が凝らされているようにも感じます。
それだけ私たちにとって身近な存在である猫ですから、たくさんの人が猫の習性を熟知し、猫が喜ぶような開発をすることには頭が下がりますよね。
普段から居てくれるだけで癒しを与えてくれる猫に対して、逆に癒しを与えようと考えた、アメリカ在中のチェロ奏者である「デビット タイ(David Teie)」さんが、猫のための音楽を商品化するプロジェクトを立ち上げ、CDを出せるまでに至りました。
そのCDは「ねこのための音楽 ~ Music For Cats」と言い、約77%の猫ちゃんが反応を見せてくれたとも言われています。
猫の好きな音がたくさん詰まった音楽となっているので、興味のある方は是非、猫ちゃんに聴かせてあげてみてくださいね!
まとめ
私たちには好きな音や音楽があるように、猫にも猫の好きな音があるということが、猫を観察していると分かってきますよね。
猫の好きな音があるからこそ、一緒に暮らす愛猫には、落ち着く音や音楽を聴かせて、リラックス効果をうながしてあげたいと考える飼い主さんも多いことでしょう。
猫には好きな音がある反面、苦手とする音も当然ありますので、それを考慮した上で、生活環境の中では猫にストレスを与えないような工夫も必要となってきます。
もちろん猫によって好きな音の好みや音域は異なってきますので、しっかり愛猫の好みを見極めて、ストレスにならない音に満たされた生活を心掛けてあげましょう。
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