1.猫パンチとは
1-1.「猫パンチ」という言葉が生まれたのは?
2.猫が猫パンチする場面
2-1.遊んでいる
2-2.興味を持っている
2-3.威嚇をしている
2-4.不快感を表している
2-5.攻撃をしている
2-6.ケガや病気の場合
3.実は威力が強い猫パンチ
4.猫に猫パンチされたら
4-1.嫌がっている場合はしつこくしない
4-2.怪我をした場合は消毒をする
4-3.猫の爪は定期的に切る
5.猫にも利き手?
6.まとめ
猫パンチとは
猫が、飼い主さんや同居している猫や犬、お気に入りのおもちゃなどを、前足の肉球で叩くことがよくありますね。これを、通称「猫パンチ」と呼びます。
猫パンチをする時には、猫は体や頭を後ろに大きく引き、前足の片方や両方を振り上げて、対象をバシバシと素早く連打します。
猫の前足は、手のひら(肉球の部分)を内側に向けることができ、指も内側に曲げることができます。そのため、爪を出すと対象物をぎゅっと引っ掛けることもできるなど、非常に器用です。
◆「猫パンチ」という言葉が生まれたのは?
ちなみに、「猫パンチ」という言葉が生まれたのは、アメリカの俳優であるミッキー・ロークさんがボクシングに挑戦した時です。この時、猫が撫でるようなパンチを繰り出したことを、スポーツ新聞が「猫パンチ」と書いたことに始まります。
しかし猫が本気で猫パンチを繰り出す時には爪を出しているので、人間の肌に当たるとミミズ腫れになるほどの威力があり、注意が必要です。
猫が猫パンチする場面
では、猫はどんな場面で猫パンチを繰り出すのでしょうか?
◆遊んでいる
おもちゃや飼い主さん、同居猫や犬などの体にそっと優しく「ぽんぽん」「ちょんちょん」とする猫パンチは、「遊び」の猫パンチです。
パンチというより、自分の手(前足)を使って遊んでいたり、飼い主さんなどに構ってほしいと意思表示をしていたりしている場合ですね。
動くものを追う手の動きがボクシングのパンチのように見えているだけで、爪も出ておらず、威力はあまり強くありません。しかし、時間が経つにつれて、気分がエキサイトして威力が増していき、さらに時間が経つと力加減をしなくなり、痛みを感じるほどの威力になります。うっかり手を差し出すとケガをすることもあるので、気をつけてくださいね。
痛いと感じたら、「あっ」「ダメ!」などの短い言葉で、猫を一瞬驚かせて、その隙に猫から離れましょう。「強い力でパンチすると、楽しい時間が終わる」ことを学習させることになります。
◆興味を持っている
おもちゃや小さな虫などに興味を持って、「これ何?」と思って猫パンチを繰り出すことも、よくあることです。
この場合も攻撃性はなく、興味や好奇心の表れであり、「これは安全?」「じゃれてみたい」「危ないのかな?」と、安全性を確かめているのです。「偵察モード」と言ってもいいでしょう。
特に子猫は好奇心旺盛なので、興味本位で猫パンチを繰り出すことがよくあります。
興味の対象が、猫パンチによってまるで生きているかのように動くと、「遊び」の猫パンチに移行していきます。
◆威嚇をしている
猫は、できる限り直接の争いを避けようとする動物です。そのため、まずは、「威嚇」をして相手を脅かして追い払おうとします。
この時繰り出される猫パンチは、爪が出ていて、振りも大きいです。毛を逆立てて、胴を短く引き寄せ、少しつま先立ちになります。これは、自分を大きく見せて、威嚇しているのです。さらに、唸り声や「シャーッ」「フーッ」「パッ」など、様々な音を出して相手を威嚇します。
猫としては、「誰か止めに入ってくれないかな」と思っているかもしれません。しかし、縄張りを守らなければならないときや、メスにいいところを見せたいときには、鋭い猫パンチを繰り出して、相手がひるむことを期待します。
◆不快感を表している
猫同士のケンカではなく、「これ以上近づくな」「かまうな」という意味を込めた、少し鋭い猫パンチもあります。
猫パンチが届く距離は、猫にとって一番大切な「パーソナルスペース」です。精神状態が落ち着いていて、相手に気を許している場合には、パーソナルスペースに入ることを許容しますが、気分が変わってしまうと、そこは誰にも近づいてほしくないエリアに変わります。
猫はしっぽの動きで感情表現をするので、もし気分が変わったようなら、パーソナルスペースから距離を取るようにしましょう。また、多頭飼育で他の猫やペットがいる場合には、双方にケガのないように気をつけてあげたいですね。
◆攻撃をしている
「攻撃」の猫パンチには、大きく分けて、ケンカなどの時に繰り出す「怒り」のパンチと、狩りの際に繰り出す「仕留める」ためのパンチの2つのパターンがあります。
どちらの場合も、鋭い爪や牙を見せながら猫パンチを浴びせる傾向があります。
また、得体のしれない相手に遭遇したなど、何らかの原因でパニックに陥ったときに攻撃の猫パンチを繰り出すこともあります。動物病院へ行くためにキャリーに入れられそうになったときや、おもちゃ遊びで興奮しすぎたときなどに、意図せず、飼い主さんに攻撃のパンチが出ることもあります。
◆ケガや病気の場合
普段は撫でられることが好きな子が、体に触れられること自体を嫌がって猫パンチを繰り出すようなら、ケガや病気の可能性があります。
目に見える傷やケガがある、特定の部分を触られることを嫌がるなどの場合には、動物病院を受診するようにしましょう。
実は威力が強い猫パンチ
獲物を仕留めるためのパンチは、迫力も威力もあり、鳥やネズミなどの小動物に当たると気絶させてしまうほどの力を秘めていると言われています。また、猫を人として考えると、骨折するほどの威力があるそうです。このパンチが人間に繰り出されると、思わぬケガをする可能性があります。
また、猫同士のケンカの場合は、互いにケガをすることも少なくありません。放し飼いにしている場合には、野良猫とのケンカに巻き込まれる可能性があるので、帰ってきたときにはケガをしていないか忘れずに確認しましょう。
猫に猫パンチされたら
次に、猫パンチされた時の対処法について、ご紹介します。
◆嫌がっている場合はしつこくしない
「撫でていたら、突然猫パンチが飛んできた」「くつろいでいる猫に手を出して、猫パンチされた」という場合は、猫ちゃんが構われるのを嫌がっているのかもしれません。
「母猫が3回舐めたら子猫は満足する」とも言われるほど、猫は気分が変わりやすいと言われます。はじめは気持ちよさそうにしていても、しつこくされると不快になることが、ままあります。
このような時には、猫の気持ちを察して、触ったり構ったりするのをやめておきましょう。
◆怪我をした場合は消毒をする
猫に引っかかれてケガをした場合には、「猫ひっかき病」にかかる恐れがあります。まず、傷口を流水でよく洗い、きちんと消毒をしましょう。
猫ひっかき病は、ネコノミに寄生している「バルトネラ菌」によるもので、傷口の腫れ、膿み、発疹、発熱、関節の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。重症化すると、けいれん発作や意識障害による脳症などにつながる恐れもあります。
野良猫やネコノミに感染している疑いのある家猫に引っかかれた後、猫ひっかき病の兆候が見られた場合には、すぐに医師の診察を受けてください。
ちなみに、バルトネラ菌は、猫にとっては常在菌であるため問題はありません。
◆猫の爪は定期的に切る
猫パンチを受けてもケガをすることがないよう、爪は定期的に切っておきましょう。
猫にも利き手?
猫パンチを繰り出す愛猫を、よく見てみてください。決まった方の手(前足)で、パンチを繰り出していないでしょうか?
2009年にイギリスの研究家が行った実験によって、猫にも利き手が存在することが分かったそうです。
この実験では、オス猫21匹、メス猫21匹を対象として、
✓目の前に置かれたおもちゃのネズミを少しずつ遠ざけたとき、どちらの手でパンチするか
✓透明な瓶に入れたエサに対して、どちらの手でパンチするか
という3つの実験を行いました。
その結果、初めの2つの実験では、左右両手を使うことが分かり、利き手はないように思われました。しかし、3つ目の実験では、オス猫21匹のうち20匹が左手を、メス猫21匹のうち20匹が右手を使ったのです。
この結果、「猫には利き手があり、利き手には性別による偏りがある」という結論となったようです。
まとめ
猫が前足で、人や猫、おもちゃなどを叩くことを、俗に「猫パンチ」と言います。
猫パンチには、「遊び」「威嚇」「攻撃」などの種類があり、それぞれに威力が異なります。攻撃のパンチの場合には、小動物を気絶させるほどの威力があると言われています。
猫パンチでケガをした場合には、「猫ひっかき病」にかかる恐れがあるため、すぐに流水で洗って消毒をしましょう。猫ひっかき病の兆候が表れた場合には、すぐに医師の診察を受けてください。
猫パンチは、その力加減によって、「遊び」から「攻撃」まで様々な気持ちを表現するしぐさです。
猫は、しっぽの動きや目の動きでも、気持ちを表現しています。猫を撫でたり構ったりするときには、これらの仕草から猫の気持ちを察して、鋭い猫パンチを繰り出される前に少し距離を取りましょう。
愛猫からのサインをきちんと受け取って、上手にコミュニケーションを取り、しっかりした信頼関係を築いてくださいね。
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