1.そもそも猫の視力は?
1-1.一般的な視力はよくない
1-2.猫の世界は“色”が少ない
2.猫は鏡のなかの自分をどう思っているのか?
2-1.鏡に映るものは見えている
2-2.鏡のなかの姿を「自分」とは理解できていない
3.鏡を見てしまった猫…いったいどんな反応をする?
3-1.パターン1.「ウーッ」と強さをアピール
3-2.パターン2.「何者だ!!」と攻撃的
3-3.パターン3.突然現れる自分の姿にビックリ
3-4.パターン4.「んっ?これは何?」と興味津々
3-5.パターン5.挨拶をしたり、一緒に遊ぼうとしたりする
3-6.パターン6.「怖い…」と怯える
3-7.パターン7.鏡に映った自分の姿よりも、周りのものが気になる
3-8.パターン8.裏側はどうなっているの?
3-9.パターン9.まったく反応をしない
4.鏡を見たときの反応は個体差がある
4-1.子猫の方が反応しやすい
4-2.鏡で自分の姿が気になるのは人間だけ
4-3.いずれ鏡には興味がなくなる
4-4.怖がるときには鏡に気をつけて
5.まとめ
そもそも猫の視力は?
まずは、猫の視力について考えてみましょう。
暗闇でもスイスイと動ける運動神経の良さを見せる猫。
「視力がよいのだろう」と思いがちですが、実は「視力」はそれほどよくありません。
◆一般的な視力はよくない
猫の視力は0.1~0.2程度と言われています。
人間だったら日常生活でメガネが必要なレベルで、あまり視力が良いとは言えませんよね。
つまり、猫は、ふだんから飼い主さんの顔や、家のなかのものをはっきりと見ることはできていません。
それなのに、敵を追いかけたり捕まえたりとできるのが不思議ですよね。
猫は、一般的な視力は悪いですが、動くものを見る力、つまり「動体視力」に優れています。
動きの早いもの、ほんの少しの動きにもスピード感あふれる反応ができます。
身近でサッと何かを察知すれば、瞬時に獲物を捕まえることができるほどです。
また、猫の目の構造は、ほんのちょっとの光でもまわりが見えます。
そのため、暗闇で軽快に動けるのです。
一般的な視力は悪い猫ですが、「動くもの」や「暗闇」には強いという特徴があります。
◆猫の世界は“色”が少ない
人間が見える世界は、さまざまな色に囲まれています。
人間は、色を識別するための器官で「青」「赤」「緑」を認識できますが、猫が見分けられるのは「青」と「緑」だけと言われています。
赤色を認識できないため、人間とは違った光景が見えているようです。
猫は鏡のなかの自分をどう思っているのか?
自分が映っている鏡を見たとき、猫はどんな風に感じているのでしょうか?
そもそも「自分が映っている!!」と気付けるものなのでしょうか。
◆鏡に映るものは見えている
猫は、視力は悪いですが、近づくことで、「鏡に映るもの」は見えているようです。
鏡の大きさにもよりますが、大きめの鏡なら猫以外のものも映っているでしょうから、いろいろなものが見えているかと思います。
ただ、視力はそれほどよくないため、どこかぼんやりした感じかもしれません。
また、猫が鏡の前に立てば猫の姿が映り、猫が動けば鏡のなかの猫も動くため、「何かが動いている」ということには気づいているでしょう。
◆鏡のなかの姿を「自分」とは理解できていない
ただし、猫は鏡に映った姿を「自分」とは認識できていません。
そればかりか、そもそも自分の姿を知らない猫にとっては、鏡に映る猫の姿が「見知らぬものだ!」と怪しく感じることでしょう。
ふだん見慣れている飼い主さんの姿とは明らかに異なるため、不思議な感覚かと思います。
野生猫の場合、自分以外の“猫”という生き物を見慣れていますが、子猫時代から人間とだけ生活を共にしているペットの猫にとっては、そもそも「猫の姿」が理解できていないからです。
そのため、鏡を見ても、「自分だ」とも分からないばかりか、「猫」とも思えないのでしょう。
ただ、多頭飼いで自分以外の猫の姿を認識できる場合などは、鏡に映る自分の姿を「猫だ」と認識できているかもしれませんね。
鏡を見てしまった猫…いったいどんな反応をする?
先ほどお話したように、猫は視力が悪いため、鏡までの距離によっては「ぼんやり」しか見えません。
しかし、動体視力は良いので、鏡のなかで動くシルエットに何らかの反応を示すでしょう。
鏡を見たときの反応は、猫ちゃんによってさまざまです。
よくある代表的な反応をいくつかピックアップしてみました。
◆パターン1.「ウーッ」と強さをアピール
警戒心の強い猫ちゃんなら、突然映った鏡のなかの自分を見れば敵意を感じるはず。
そこでどんな行動をするかと言えば、シャーっと唸って強さアピールです。
猫は自分を強く見せるとき、「唸って声を出す」「毛を逆立てる」など、さまざまな行動をとります。
唸るときには、口を半開きに牙を見せ、目を見開いて、「シャー」「ウーッ」と声を出します。
そして、低めの体勢をとり、体を大きく見せるために毛を逆立てることも。
鏡に映っているのは自分とは分からないため、突然現れた謎の生物に負けまいと必死に威嚇をするでしょう。
しかし、実際には自分の姿なので、相手からも威嚇されてしまいます…。
自分が威嚇すると相手も威嚇、自分が降参すると相手も降参。
ちょっと不思議なバトルになりそうですね。
◆パターン2.「何者だ!!」と攻撃的
考えるよりも先に手が出てしまう猫ちゃんもいます。
「おまえは何者なのだ!?」と言わんばかりに、まずは臨戦態勢に突入。
そして、猫パンチを繰り出し、鏡に向かって攻撃します。
でも、鏡の表面にぶつかるだけで手ごたえがなく、不思議に思いながらもさらにパンチをするかもしれません。
なかには、いきなり襲い掛かろうと鏡に向かってジャンプをする子も。
自分が攻撃すると鏡のなかの猫も攻撃し返してくるため、「オマエ!やるのか!」とさらに攻撃性を増すかもしれませんね。
鏡への攻撃なのでぶつかると痛そう…。
でも、そんな痛さはなんのその。
相手への攻撃で真剣ですから、さらに体当たりをすることもあるでしょう。
何度も鏡にぶつかっても、決着がつくことはありません…。
◆パターン3.突然現れる自分の姿にビックリ
猫は動体視力がいいですから、鏡をパッと見たときに「動く自分」がまずは目に入るでしょう。
飼い主さん以外の動くものが突然目の前に現れ、驚愕度はかなりのものかもしれません。
楽しく遊んでいる最中に、いきなり鏡を見ると驚きのあまり動きが止まってしまう子もいます。
飼い主さんから見ると、「えっ!!」と目を見開く愛猫の様子がとてもコミカルで可愛らしく見えます。
しかし、猫にとってはドキドキで心拍数が上がっているのかもしれませんね…。
◆パターン4.「んっ?これは何?」と興味津々
マイペースな子なら、鏡を見てもあまり動じないかもしれませんね。
動いている何かにそっと近づき、そっと触れようとすることも。
まずは、自分の足を使って「何なのか?」を確認しようとするかもしれません。
鏡を触るとヒンヤリ冷たい感触が伝わってきます。
また、なかには「これは何?」「教えてよ?」と言うかのように、飼い主さんにチラチラと視線を送ってくる子もいます。
好奇心と困惑が混ざったような気持ちの表情の愛猫を見ると、とても可愛らしくなってきます。
◆パターン5.挨拶をしたり、一緒に遊ぼうとしたりする
これまでにほかの猫との交流があるケースでは、鏡に映った自分を見て、「猫だ」という認識はできるでしょう。
警戒心があまりない猫なら、まずはお近づきの印としてニオイを嗅いで挨拶をしようとするかもしれませんね。
鼻をくっつけようとすれば、鏡のなかの猫も近づいてきます。
とてもスムーズに挨拶ができますが、「ニオイがない…」ことに不思議な感覚に陥るでしょう。
また、ほかの猫だと思っているケースでは、「遊ぼうよ」と誘うような行動を見せることも。
鏡にタッチしたり、鳴いたりなどしているとき、一緒に遊んでいるつもりになっているのかもしれませんね。
◆パターン6.「怖い…」と怯える
怖がる子の場合、鏡を見て固まったり、恐る恐る鏡を眺めたりなどの反応があるでしょう。
攻撃する心理も起きず、「どうしたらいいの…」と何もできずに怯えているのかもしれませんね。
◆パターン7.鏡に映った自分の姿よりも、周りのものが気になる
鏡に映るのは自分だけではありません。
見知らぬ生物が動いているのは分かっているけれど、何よりもその背後が気になるという猫ちゃんもいるでしょう。
「そっちにも部屋があるの?」「飼い主さんみたいな人がいる!?」と、いつも見慣れているはずの部屋や飼い主さんが見えることに違和感を覚えているかもしれませんね。
◆パターン8.裏側はどうなっているの?
洗面台やドレッサー、クローゼットの鏡など、比較的大きめの鏡の場合、猫から見える“鏡のなか”景色も広がるでしょう。
手鏡や小さな鏡の場合、自分の姿全体が見えづらく、顔だけ見えたりすることも。
鏡の背後に回って確認することもあります。
◆パターン9.まったく反応をしない
鏡を初めて見る場合、何らかの反応を示すケースが多いかと思います。
しかし、鏡の存在に慣れていれば、無反応ということもあります。
鏡を見たときの反応は個体差がある
猫にとって鏡は人間のように頻繁に見るものではないため、何かしらの反応を示すことが多いでしょう。
しかし、猫の年齢や性格によっても反応には個体差があるようです。
◆子猫の方が反応しやすい
何事にも興味を持つ子猫の方が、鏡に対する反応があるようです。
月齢が浅い子の場合、初めて鏡に反応しているかもしれません。
成猫になってくると、何度も目にする鏡に慣れっこになる子がほとんどではないでしょうか。
鏡のなかの自分を何度も見ていれば、「鏡は怖くないものだ」と学習しているのかもしれませんね。
◆鏡で自分の姿が気になるのは人間だけ
人間は、「周囲からの自分の見え方」をとても気にしながら生きています。
洋服や髪型など、「人から良く思われたい」というのはもちろんですが、「嫌われたくない」と身だしなみを気にするものですよね。
猫にはそういった生活習性がないため、「鏡はあってもなくても困らないもの」なのです。
◆いずれ鏡には興味がなくなる
もともと視力が弱い猫は、ほかの猫やほかの動物などを認知するとき、ニオイや音でも感じ取っています。
聴覚に優れている猫は、初めてのニオイをじっくり嗅ぐでしょう。
聴覚も良いですから、物音を聞いて危ないことや嬉しいことを察知することもあります。
しかし、鏡を見て自分でアクションを起こしても、ニオイもしなければ何も聞こえてこないことに気づいていくでしょう。
初めて見た鏡には恐怖や興味から反応を示すかもしれません。
でも、そのうち、「ニオイもしないから面白くない」「敵だと思ったけど大丈夫そうだ」「遊びたかったのに遊んでくれない」など、興味を失っていくことも多いでしょう。
◆怖がるときには鏡に気をつけて
鏡を見せたことがなければ、興味本位から「鏡を見せたらどうなるかな?」と愛猫の反応がとても気になるかもしれません。
試しに、鏡を見せて反応を見るのも楽しそうですね。
ただ、猫の性格によっては極端な反応を見せるケースもあるので気をつけた方がいいでしょう。
ふだん、ほかの猫との交流がない場合だと、初めて見る猫の姿に極度の緊張からパニックになる可能性もあります。
もともと警戒心の強い猫なら、なおさら反応が強まるかもしれません。
パニックの度合いが強すぎて震えたり、脱糞をしたりなど、自身をコントロールできなくなるほどの場合は注意が必要です。
まとめ
猫は、鏡というものが何なのかが分かりません。
そのため、鏡に映る自分の姿も理解できず、さまざまな反応を示すでしょう。
鏡にビックリする様子や遊ぼうとしている様子、鏡と格闘している様子を見ると、一生懸命なところが微笑ましくも感じます。
威嚇で怖い表情をしている愛猫も、飼い主さん的にはほっこりするものですよね。
初めて見る鏡には反応を示しますが、いずれ慣れてくれば無反応ということも多いです。
もし、愛猫の“鏡”初体験がまだ…という方は、試しに反応を見てもいいかもしれませんね。
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