1.猫もため息をつく?
1-1.鼻からフーっと息を吐く
1-2.猫が口呼吸することはめったにない
2.猫がため息をつく理由
2-1.遊びがひと段落し、集中力が切れた
2-2.何かを達成し、ほっとしている
2-3.すごくリラックスしている
2-4.ちょっと嫌なことがあった
3.ため息を何度も繰り返すときは?
3-1.鼻に異物が詰まっている
3-2.風邪を引いた
猫もため息をつく?
◆鼻からフーっと息を吐く
皆さんは、猫が「ため息」をつく様子を見たことがありますか?「猫のため息」と言われても、何のことだか、あまりピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実は猫も人間と同じように、ため息をつくことがあるのです。鼻から「フー・・・」と長く息を吐いたり、「フッフッ」とか「フンフン」と短く息を吐いたりするのが、猫のため息です。
様々な動画サイトでも、猫がため息をつく様子を見ることができます。ため息というよりは、「鼻息」という感じの、可愛らしい音です。それほど大きな音が出るわけではないので、注意深く見ていないと、気づかないかもしれません。
◆猫が口呼吸することはめったにない
猫は、基本的に鼻呼吸をする動物です。口から息を吐くことはめったにありません。激しく運動した後や、猫どうしのケンカの後など、興奮しているときには、呼吸が荒くなり、少し鼻がヒクヒクします。それでも口は閉じたままで、できるだけ鼻から息をしようとします。
猫が口呼吸をしているときは、体調に何らかの異常があり、鼻呼吸ができなくなっていることが考えられます。普段から、猫の様子を注意して見てあげたいものですね。
猫がため息をつく理由

では、猫はなぜ、ため息をつくのでしょう?
人間がため息をつくのは、悩み事があるとき、ストレスを感じているとき、考え事をしているときなどが多いのではないでしょうか。そんなときには、無意識のうちに、口から「ハァー」とか「フ―」と、ため息が出てしまうことがあります。
しかし、猫がため息をつく場面は、それとは少し違っているようです。
以下では、猫がため息をつく場面の代表的な例を4つご紹介します。
◆遊びがひと段落し、集中力が切れた
猫は、それほど体力がある動物ではありません。
その猫の年齢や個体差によるため、一概には言えませんが、遊びに夢中になっていられる時間は、長くても10分程度と、意外に短いものです。
猫は、激しい運動がひと段落し、集中力が切れたとき、「フー」とか「フン」と、鼻からため息をつくことがあるようです。
◆何かを達成し、ほっとしている
猫は、トイレを済ませた後など、何かを達成し、気持ちが落ち着いたときにも、ため息をつくことがあります。
猫は、トイレの後に、いわゆる「トイレハイ」といわれる状態になり、大きい鳴き声を出したり、室内を激しく走り回ったりすることがあります。この際に、ため息を出すこともあるようです。
トイレの後に、達成感を感じ、気持ちが落ち着くのは、本能的な理由からだと言われています。
野生の猫は、とても過酷な環境の下で生活しています。外でトイレ(排泄)をしている最中は、とても無防備な状態で、もし外敵が襲ってきても、すぐには逃げることができません。できるだけ自分の存在を隠し、外敵に気づかれないように、素早く用を足し、においを消してその場から立ち去る必要があります。無事にトイレを済ませた後は、緊張感から解放され、ホッとしているのですね。
◆すごくリラックスしている
猫は、すごくリラックスしているときにも、ため息をつくことがあります。例えば、自分のにおいが付いた猫ベッドや、飼い主さんのひざの上など、お気に入りの場所で横になっているときです。飼い主さんに抱っこしてもらったときに、嬉しく、安心してため息が出る猫もいるようです。そんなため息を聞くことができたら、飼い主さんもきっと幸せな気持ちになれますよね。
◆ちょっと嫌なことがあった
猫は、ちょっと嫌なことがあったときにも、ため息をつくことがあります。
例えば、爪切りが苦手な猫が爪を切られたとき、遊びで獲物(おもちゃ)を捕まえ損ねたとき、キャットタワーからジャンプして、着地に失敗したとき、飼い主さんにイタズラが見つかって、気まずいとき…などです。
猫は、緊張、不安などのストレスを感じたとき、気持ちを鎮めるために何の関係もない行動をとることがあります。これは動物行動学の分野では「転位行動」(てんいこうどう)と呼ばれています。転位行動とは、相反する衝動が拮抗して、葛藤状態になった時に取る、無関係な行動を指し、全ての動物に見られるものです。
ちょっと難しそうに聞こえてしまいますが、簡単に言うと「乱れた気持ちを落ち着けようとしている」のですね。
猫の転位行動では、「毛づくろい(グルーミング)」、「爪とぎ」、「あくび」がよく知られていますが、ため息をつく猫もいるようです。
ため息を何度も繰り返すときは?
これまで説明してきたように、猫のため息は、決して異常な行動ではありません。人間のように、どちらかというとネガティブな気持ちでため息をつく、というわけでもないようですね。猫のため息には、様々な理由があることがわかり、飼い主さんも、少し安心したのではないでしょうか。
とは言え、猫がため息を何度も繰り返すときは、何かおかしいかな?と思った方がよいかもしれません。
◆鼻に異物が詰まっている
猫は、鼻に異物が詰まっているときに、ため息を繰り返すことがあります。外に出る猫の場合は、鼻の穴に、石や木の枝、葉、虫などが詰まってしまうことがあります。もっとも、現代の猫は、終生、室内飼育が一般的ですので、鼻に異物が詰まる心配は少ないと思います。しかし、室内飼育でも、鼻に異物が詰まることが絶対にないとは言い切れません。飼い主さんの小物やアクセサリー、お子さんのおもちゃなどに興味を持ち、においを嗅いだり、舐めたりする猫もいるでしょう。
運悪く、異物が詰まってしまったとき、すぐに取ってあげられればよいのですが、詰まっている物の種類や、位置によっては、簡単には取れないこともあります。その場合は、無理に取ろうとすると、取れなくなってしまう危険もありますので、動物病院に連れて行って、取ってもらった方が良いでしょう。
できるだけ、お部屋の中を常に整理して、鼻に詰まりそうな物、誤飲の原因になるような物は、猫の手の届かない場所に片づけるのが安心です。どんなときでも、猫が安全に過ごせる環境を作ってあげたいですね。
◆風邪を引いた
猫は、風邪を引いたときにも、ため息を繰り返すことがあります。
猫の風邪には、いくつか種類がありますが、人間の風邪と同様、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、発熱などの症状が出ることが多いようです。風邪にかかると、鼻呼吸がしづらくなって、普段よりも鼻息が荒く感じるかもしれません。風邪かな?と思ったときは、早めに動物病院に連れて行った方がよいでしょう。
鼻の周りをひくひくと動かしてフーフーと荒く呼吸しているときは危険
猫が運動をした後や、興奮しているときに、一時的に少し呼吸が荒くなるのは、普通のことです。しかし、何もしていないのに、鼻の周りをひくひくと動かして、口を開けてフーフーと荒く呼吸しているときや、苦しそうにしているときは、何らかの病気の可能性もありますので、やはり、早めに動物病院で見て頂いた方がよいでしょう。
まとめ
猫は、鼻から息を吐いて、ため息をつくことがあります。猫のため息は、それほど大きな音ではないので、注意深く見ていないと気づかないかもしれません。
猫がため息をつく場面には、遊びがひと段落し、集中力が切れたとき、何かを達成し、ほっとしているとき、リラックスしているとき、ちょっと嫌なことがあったときなどがあります。人間のように、ストレスや心配事があって、ため息をついている…というわけではないようです。猫がため息をつくことは、異常ではありませんので、安心して見守ってあげて下さい。
しかし、ため息を何度も繰り返すときや、激しい運動をしたわけでもないのに、ずっと呼吸が荒く、鼻をヒクヒクさせているとき、口呼吸をしているとき、なんだか苦しそうにしているときなどは、病気の可能性を疑い、早めに動物病院に連れて行った方が良いでしょう。
この記事が「猫がため息をついたけど大丈夫?」「猫はどうしてため息をつくの?」と考えていらっしゃる飼い主さんの参考になればと思います。
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