猫はひじきを食べても大丈夫?与える際に注意するべきことはある?

2024.01.31

猫はひじきを食べても大丈夫?与える際に注意するべきことはある?

ミネラルや食物繊維が豊富な海藻類は、普段の食生活の中で、できるだけ多く取り入れたい食材となりますよね。 海藻類の中でも「ひじき」は昆布やワカメと並び、日本で古くから食べられてきた海藻と言われています。 栄養価が高いからこそ、ひじきは猫に与えても大丈夫なのか、一度は考えたことのある飼い主さんは少なくないはずです。 ひじきは猫が食べたとしても、安全性の高い食べ物なのでしょうか。

ひじきとは

お皿に入った乾燥ひじき

「ひじき」は海藻の一種となりますが、ひじきについてそこまで詳しくないといった方も多いのではないでしょうか。

海藻とはその名の通り海で育つ「藻(も)」となりますが、太陽の光が海の中に降り注ぐことにより、自ら光合成を行って成長に必要な栄養や酸素を作り出します。

たくさんの種類がある海藻ではありますが、海藻は色によって分類されるため、「紅藻類(こうそうるい)」「褐藻類(かっそうるい)」「緑藻類(りょくそうるい)」といった3つに分類されるようです。

ひじきはヒバマタ目ホンダワラ科ホンダワラ属に属する褐藻類となり、私たち日本人にも馴染み深い海藻となります。

ときには長さが1メートル以上にもなる大型の海藻と言われ、円柱状の棍棒(こんぼう)のような葉がつき、この葉の部分は「芽ひじき」と呼ばれ、これが市場で出回っているひじきの大半を占めています。

芽ひじきは水で早く戻すことができるため、乾燥ひじきとしても販売されており、1年を通してご家庭で嗜めるようになっています。

◆ひじきの栄養素

海の恵みをたっぷり吸収したひじきは、たくさんの栄養素を蓄えています。

海藻全般の栄養として注目したいのは、やはりなんといっても豊富なミネラル類ですよね。

<ミネラル類>
・カルシウム
・マグネシウム
・リン
・カリウム
・ヨウ素
・鉄

<その他>
・EPA
・ビタミン類
・食物繊維

また、海藻特有の栄養ではぬるぬる成分となる「フコイダン」、褐色の色素の元となる「フコキサンチン」といった栄養素も注目を集めていますよね。

さまざまな栄養価があるのにも関わらず、海藻は低カロリーで糖質もほとんど含まれていないため、毎日の食事の中にも積極的に取り入れたい食材と言えます。

そして、ひじきは海藻の中でもカルシウムと鉄分(製造過程によって異なる)の含有量が圧倒的に多く、牛乳やレバーのような動物性食品のように脂質がほとんど含まれていないため、安心して食べることができる食材と言えるでしょう。

◆ひじきの効果

豊富なミネラル類が含まれているひじきですが、含有量の多いカルシウムは丈夫な歯や骨をつくり、鉄分は貧血を予防する効果が期待できます。

そのほかのミネラルでは「神経の興奮を鎮める」「血圧をコントロールし、血液を固まりにくくして血栓を予防する」「心臓や腎臓の機能を維持する」「塩分摂取量のコントロール」「甲状腺ホルモンを作る働き」などの効果が見込めます。

青魚に多く含まれているEPAは体内で合成できない脂肪酸となり、血液をサラサラにしてくれるだけでなく、血液中に含まれた脂肪を減らしてくれるようです。

ビタミン類は皮膚や粘膜を健康に保ってくれますし、食物繊維は便通の改善効果が期待できるなど、猫にも嬉しい食材と言えますよね。

海藻特有の栄養素となるフコイダンとフコキサンチンは、免疫力を高めてくれるだけでなく、抗酸化作用の働きにより、老化やさまざまな病気を予防してくれます。


猫はひじきを食べても大丈夫?

箱座りをしているキジトラ猫

たくさんの栄養成分が含まれていて、とてもヘルシーな食材となるひじきですが、猫に食べさせても安全なのかが気になるところですよね。

ひじきは猫が食べたとしても、問題のない食材と言えるのでしょうか。

◆少量なら問題なし

猫にひじきを与える際には、少量であれば問題ありません。

基本的に猫は総合栄養食を毎日食べていれば、必要な栄養素を摂取できているため、人間の食べ物から栄養を摂取する必要はありませんが、手作りご飯を作る機会のある飼い主さんであれば、食材の一つとして取り入れても良いでしょう。

◆疾患のある猫は注意が必要

ひじきに含まれるヨウ素は、甲状腺ホルモンを作るために必要な栄養素となりますが、「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」を患っている猫ちゃんの場合は、ヨウ素の過剰摂取により甲状腺機能に異常が起きる可能性も否めません。

マグネシウム量も多いことから、腎臓病を患っている猫ちゃんにも不向きですし、摂取量が多くなると尿路結石症といった病気を発症するリスクもあります。

ひじきをはじめとした海藻類は、アレルギー特定原材料には指定されてはいませんが、カニやエビなどが生息している海から採取するため、もともとアレルギーを患っている猫ちゃんだけでなく、すべての猫ちゃんに食物アレルギーのリスクがゼロではないことを覚えておきましょう。

また、ひじきにはほかの海藻よりも有害金属物質(ヒ素)が含まれており、必要以上に摂取してしまうと健康に害を及ぼすことでも知られているため、身体の小さな猫は人間よりも丁寧な処理や調理を心掛けなくてはいけません。


猫にひじきを与える際の注意点

水で戻したひじき

少量であれば猫に与えても問題のないひじきですが、量や特定の病気を患っている猫ちゃんに与えないだけではなく、ほかにも与える際に注意するべき点はあるのでしょうか。

◆大量に与えない

ひじきを安全に与えるためには、少量を心がけて大量に食べさせないことが一番です。

食物繊維がたくさん含まれていることもあり、大量に摂取してしまうと下痢などを引き起こしやすく、猫に負担をかけてしまうためおすすめできません。

◆下処理を怠らない

ひじきに含まれている有害物質のヒ素は、「無機ヒ素」といった水溶性の物質となります。

そのため、ひじきの下処理をする際には、生で購入してきたものは水洗いをし、乾燥しているひじきは水戻しやゆでこぼしを必ずするようにしてください。

下処理をすることによってヒ素の含有量をある程度は低減できるため、愛猫に食べさせるときにはこのような処理を怠らないようにしましょう。

◆味を付けない

猫にひじきを与えるときには必ず、味付けをしないようにしてください。

日本では煮物にして食すのがもっともポピュラーではありますが、ひじきはよく味を吸うため、猫にとっては塩分量が高くなりすぎます。

与える際には一切味付けをしていない下処理済のひじきを与えるようにし、安全に食べさせてあげましょう。


他の海藻類は食べても大丈夫?

ざるに上げたわかめ

ひじきと同じくそのほかの海藻も、少量であれば猫に与えても問題ありません。

ただ、消化が悪い点はひじきと一緒となるため、大量に与えないことを心掛けてください。

猫が食べても安全と言われている海藻は、以下の通りです。

◆海苔

「海苔(のり)」は海の野菜と言われるほど、栄養価の高い食材となっています。

磯の香りが強いことからも、匂いを嗅いで食べたがる猫ちゃんも多いですよね。

猫に海苔を与えるときには、口の中で貼り付いてしまわないように、猫の口の大きさよりも小さくなるようにカットし、フードなどにトッピングして与えてあげてください。

味付け海苔や韓国のりのような商品はカロリーも高く、ナトリウム量も通常の海苔の約3倍も含まれているため、猫に海苔を与える際には必ず、味付けがされていない商品のみを与えるようにしましょう。

◆わかめ

「わかめ」は猫の手作りご飯の材料になることが多く、猫が食べても安全な海藻です。

食物繊維が豊富なため、便秘気味の猫ちゃんや肥満が気になる猫ちゃんにも喜ばしい食材ですよね。

猫に与える際には通常よりも柔らかめに茹で、猫が喉に詰まらせないように細かく切ってから与えるようにしてください。

◆めかぶ

ぬるぬるとした食感が美味しい「めかぶ」も、猫に与えても問題ありません。

めかぶはわかめの根本部分を湯通ししたのちに細かく刻んだ食材となり、海藻特有の栄養素も豊富に含まれています。

猫に与える際には塩分の強い、パックで販売されている加工品のめかぶや、おつまみの茎めかぶなどは選ばないようにしてください。

生食用の無塩めかぶか、生めかぶを購入して湯通ししてから冷やし、その後包丁で細かく叩くことによって「たたきめかぶ」となり、猫も食べやすい状態となるためおすすめです。


まとめ

ひじき煮

私たち人間の食生活の中でも重宝しているひじきですが、たくさんの栄養効果が期待できるため、日常的に摂取したい食材となりますよね。

ヘルシーで低糖質なだけでなく、腸内環境を整えて免疫力を高めつつ、生活習慣病なども予防できるといった効果も期待できることから、愛猫にも食べさせたいと考える飼い主さんも多いはずです。

ひじきをはじめとした海藻はキャットフードの原材料にも使われていることも多く、手作りで猫用のご飯をつくる飼い主さんにも、理想的な食材と言えますよね。

しかし、栄養価が高い反面、その栄養が猫に悪影響を与える場合もあるため、与える際には少量を意識するようにし、丁寧に下処理をして安全に食べさせてあげましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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