多頭飼いに向かない猫がいるって本当?
猫は単独行動を好む動物なため、複数飼いであってもあまりほかの猫に干渉せずに、自由気ままでマイペースに過ごすイメージが強いですよね。
しかし、猫の中には多頭飼いにまったく向かない猫が存在し、飼い主さんの一存で多頭飼育を開始してしまえば、常に相手を威嚇するだけでなく攻撃して傷つけてしまったり、大きなストレスから病気になってしまったりなどの問題が発生しやすくなります。
寂しい思いを払拭させるためにと始めた多頭飼育が、結果的に双方を傷つける形になってしまえば本末転倒です。
まずは多頭飼いに向く猫、向かない猫の特徴をよく知って、二匹目のお迎えを検討している場合には、先住猫と新入り猫の性格をしっかりと見極めるようにしましょう。
◆多頭飼いに向いている猫はこんな子
猫は個体によってさまざまな性格をしている子が居ますが、以下のような一面を持つ子は比較的多頭飼いに向いていると言われています。
・協調性がある
・家族以外の人や猫を怖がらない
・物怖じしない
・大らかな性格
・活発で遊ぶことが大好き
・幼少期にほかの猫と一緒に暮らしていた経験がある
人懐っこい子は自然と協調性を持ち合わせているため、相手の様子をうかがいながら接する力が長けていますよね。
猫ちゃんなりに空気を読む力もあるため、甘えたり構ったりしてほしいタイミングが絶妙で、人の懐に入っていくのがとても上手です。
家族だけでなくお客さんや業者の方にも怖がらない子は、ほかの猫を迎え入れたとしても自ら近づいていき、しっかりと挨拶をして距離を縮めようとする子がほとんどです。
そして、性格は基本的にゆったりのんびりとしていて、遊ぶときには好奇心旺盛で活発な様子が見られる子は、どのような相手にも順応しやすい一面を持っています。
また、離乳期頃まで兄弟猫などと一緒に育てられた猫の場合、社会性をしっかり学んでいることもあって順応性に長けています。
◆多頭飼いに向かない猫はこんな子
多頭飼いに向いている猫に対して、向かない猫はどんな子が多いのかも気になるところですよね。
基本的に多頭飼いに向かない猫は、以下のような傾向が強いと言われています。
・気が強い
・神経質(繊細)
・警戒心が強い
・怖がり
・極度の甘えん坊
・高齢猫
室内で暮らしている猫にとって家の中はテリトリーとなるわけですが、独占欲や縄張り意識を強く持つ猫の場合、飼い主さんが良かれと思ってお迎えした猫であったとしても、敵とみなして攻撃する場合があります。
とくにそのようなことをするのは未去勢のオス猫が多く、気が強くて神経質といった一面を持ち合わせている子も多いようです。
また、普段から物音にびっくりしたり、新しいものに警戒したりする様子が見られる子も、多頭飼い向きとは言えませんよね。
ほかにも、極度の甘えん坊な子は飼い主さんを独占したい意識が強く、構ってもらう時間が減ってしまえば拗ねるようになってしまい、ストレスを抱えこんで体調を崩しやすくなってしまいます。
高齢の猫は一見おっとりとしていて多頭飼いに向いている気がしますが、のんびり過ごすことこそが健康維持の秘訣となるため、若い猫が新入りとして迎え入れられてしまえば、自分のペースが乱れて疲れてしまい、ストレスを溜めてしまうようになるため注意が必要です。
無理に多頭飼いしてしまうとどうなる?
双方の性格をしっかりと理解せずに多頭飼いを始めてしまうと、一緒暮らすようになってからさまざまな問題が生じるようになってしまいます。
無理矢理多頭飼育を開始した際には、どのような問題が発生してしまうのでしょうか。
◆双方のストレスの原因となる
猫は非常にストレスを溜めこみやすい動物となるため、自分の思った通りの生活ができなくなってしまうと、自分のペースが乱されてしまい、多大なストレスを抱えるようになってしまいます。
飼い主さん側は安心して暮らせる場所を提供できたとして、複数の猫を幸せにできたように感じるかもしれませんが、猫からしてみたらいきなり敵を放り込まれたと思ってしまっても仕方がありません。
相性が悪い猫同士であれば、ただただ同じ空間に存在しているだけでストレスの原因となってしまうため、安易な気持ちで多頭飼いを決めてしまうのは止めておいた方が得策です。
◆怪我につながる場合もある
先住猫と新入りの猫どちらかが相手を敵とみなしてしまえば、もちろん攻撃をして家から追い出そうとすることがあります。
とくに猫は単独行動を好み縄張り意識が強い動物となるため、自分の安全を確保するためにも相手を威嚇し続け、引っ搔いたり噛みついたりして相手を傷つけてしまうことも否めません。
怪我をしてまで相性の悪い猫同士が暮らし続けることは、飼い主さんにとっても本望ではないと思いますし、できる限りの対策をしてお互いに負担がかからないような手助けをしていきましょう。
飼ってから相性が悪かった場合
本来であれば新しい猫をお迎えする前に、先住猫と新入り猫の性格を見極めてから多頭飼いを始めるべきではありますが、実際に多頭飼育を開始してから相性の悪さに気付いた場合は、飼い主さんができる限りの対策を行い、双方にかかるストレスを最小限に抑えなくてはいけません。
双方にかかるストレスを軽減させるためには、どのような対策が有効となるのでしょうか。
◆生活スペースを分ける
相性が悪い猫同士の場合は、生活をするスペースを分けるようにし、相手の姿が見えないような工夫をしてあげましょう。
生活スペースを分ける際には必ず、それぞれが拠点とする部屋にリラックススペース(寝床)、遊べるスペース、その子だけが使えるトイレ、飲食スペースを設けるようにしてください。
別の部屋に行かなくても十分に生活できるスペースがあれば、ある程度は別の猫の気配を感じたとしても問題なく生活はできるため、完全に敵対心が消えるまではこのような対策を心掛けるようにし、環境に順応してもらえるように努めましょう。
◆いかなるときも先住猫を優先する
猫には明確な序列はありませんが、飼い主さんが新入り猫ばかりを優遇してしまえば、先住猫は快く思ってくれませんよね。
飼い主さんが明らかに新入り猫を可愛がる姿などを見せてしまうことにより、先住猫との信頼関係は簡単に崩れてしまうことはずです。
そのようにならないためにも、物事の順番は先住猫を優先するべきですし、生活スペースを分ける際にも、先住猫が好んで利用している部屋は継続して使わせてあげるようにしてください。
そして今後一緒に暮らしていく猫たちに対しては平等に愛情を注ぐようにし、双方に不満の気持ちが芽生えないような工夫をしていきましょう。
◆時間をかけて慣らしていく
相性の悪い猫同士をどんなに飼い主さんが仲良くさせようと試みても、双方に少しでも興味を示す姿勢や歩み寄る態度が見られなければ、一向に距離が縮まることはありません。
飼い主さんは猫たちの気持ちを尊重しつつ、少しずつ生活空間に慣れてきたころに、双方が使っていたタオルやおもちゃなどを交換してニオイに慣れさせる、キャリー越しに対面させるなど、時間をかけて慣らしていくことが大切です。
◆次の飼い主を探す
本来、猫を迎え入れた時点で生涯幸せにしてあげるといった責任が飼い主に生じますが、どんなに先住猫と新入り猫が安心して暮らせるように努めても、距離が縮まらないだけでなく相手を傷つけてしまう行動がなくならないようでしたら、次の飼い主さんを探すことも視野に入れておかなくてはいけません。
自分の家族や友人といった近しい存在の方が、快く引き取ってくれるようでしたら、そのまま託してみるのも一つの手段と言えますが、「手放す」といった手段は本当に色々試した中での最終手段として考えておいてください。
新しい飼い主さんを見つける前にできることは、かかりつけの獣医師さんや保護猫団体などに相談して、多頭飼いについてのアドバイスをもらってみてはいかがでしょうか。
プロの意見に耳を傾けることにより、別視点のアドバイスをもらえる場合もあるため、最後まで諦めずに多頭飼いの成功に向けて尽力していきましょう。
まとめ
猫と一緒に暮らしている方であれば、お留守番をさせている間に寂しい思いをしないようにと、多頭飼いを検討したことのある方も多いはずです。
しかし、猫ちゃんの中には多頭飼いに向いている子、多頭飼いに向かない子が存在するため、まずは先住猫がどっちよりの子なのかを見極める必要がありますよね。
多頭飼いに向かないのに新たに猫ちゃんを迎え入れてしまえば、寂しさ云々の前に多大なストレスの影響を受けて健康を損ねてしまう恐れもあるため、まずは先住猫の性格や気持ちを優先するようにしてください。