原因1:悪い汗が皮膚に長くとどまる
アポクリン腺から出る汗は、タンパク質・脂質・糖質・アンモニアなどを含んでいます。これらの成分を黄色ブドウ球菌などの雑菌が分解して、独特の臭いを放ちます。栄養たっぷりでほとんど塩分を含まない汗は、雑菌の大好物。いつまでも体に残しておかないことが、犬の体臭予防につながります。
対策としては、シャンプーやブラッシングが有効です。シャンプーやブラッシングで汗を落とし、皮膚を清潔に保つことで、臭いの多くは解消します。
雑菌はアルカリ性を好み酸性を嫌うので、弱酸性のシャンプー剤を使うと防臭になります。洗いすぎは逆効果なので、あまりごしごし洗わず、回数も1ヶ月に1回前後にとどめます。
ブラッシングは、抜け毛とともに雑菌を取り、同時に毛の内側を換気するので、皮膚を清潔に保つのに役立ちます。ブラッシング中に皮膚のトラブルにも気づくことも、臭い対策になります。
原因2:犬の皮膚は雑菌が繁殖しやすい
雑菌は、高温多湿を好みます。梅雨や夏に体臭が強くなりやすいのは、このためです。犬は、体温が38度前後で人より高く、毛でおおわれているため湿気がたまりやすいので、人より雑菌が繁殖しやすい状態です。
梅雨や夏はエアコンを使って、部屋の温度と湿度を適正に保ち、犬のいる環境を高温多湿にしないことで雑菌の繁殖を防げます。
犬自身は、湿気を毛に残さないようにすることが、年間通して体臭対策のポイントになります。とにかく濡れたらすぐ乾かすこと、生乾きではなく完全に乾かすことが大切。とくに散歩の後は、足の裏をよく洗って乾燥させます。土の汚れや肉球がかいた汗も臭いの原因になるので、しっかり洗い流して、ドライヤーを使ってよく乾かしてあげましょう。
ワンちゃんスペースに風を通したり、敷物を洗ったりして、犬のいる場所の雑菌を減らすのも有効な対策です。
原因3:耳の中に分泌物がたまっている
どんなにきれいに見えるワンちゃんでも、耳は臭います。耳にはアポクリン腺が多く、悪い汗がたまってしまって、臭いの元になります。耳がふさがっている犬種の子は、とくに注意が必要です。
1~2週間に1回を目安に、耳掃除をしてあげると良いようです。耳は皮膚が薄いので、強くこするとすぐに外耳道炎になってしまうので要注意。耳掃除は、専用の洗浄液を使うのが一般的かもしれませんが、皮膚の弱い犬には刺激が強すぎます。私は、キッチンペーパー・綿棒・ワセリンで代用しています。まず、水で濡らしたキッチンペーパーでふき、薄くワセリンを塗った綿棒でひだになった部分をコチョコチョします。ワセリンをつけると、滑りがよくなり、汚れも落ちやすいです。
耳の中に毛が多い場合は、毛を抜いたりカットしたりする方が衛生的ですが、私は怖くてやったことがありません。
耳については、定期的に動物病院で診てもらうことをおすすめします。耳垢がたまっていないか、病気になっていないか、診察して適切に処置してもらえるので安心です。
原因4:腸内環境が悪い
腸の中の悪玉菌が増えると、食べたものをうまく消化できなくなり、悪玉菌が炭水化物を分解します。このとき、腐敗臭を伴ったガスが発生して、それがアポクリン腺から出る汗に含まれるので、体臭が強くなります。
悪玉菌を減らして腸内環境を整えるには、栄養バランスのよい食事が第一であることは、犬も人と一緒です。炭水化物・油分・添加物の多いドッグフードや人間の食べ物は、体臭だけでなく健康全般に悪影響があります。添加物の少ないドッグフードを選び、適正量を与えると、体臭が改善されることが多いです。皮膚を健康に保つ栄養分(=亜鉛・銅・ビタミンA・ビタミンCなど)を多く含む食品を使って、エサを手作りすれば、さらに安心ですね。
原因5:皮膚の病気(膿皮症・脂漏症)にかかっている
膿皮症は、皮膚の傷やシワ・毛包(毛根を包み毛をつくる器官)などで細菌が繁殖して起こります。黄色ブドウ球菌などが、悪臭の元であるアンモニアや脂肪酸をつくります。
脂漏症は、皮膚が乾燥してフケが多くなる乾性脂漏症と、皮脂が多くなる湿性脂漏症があります。このうち、湿性脂漏症になってしまうと、多量の皮脂が脂漏臭を発して体臭が強くなります。
これらの病気が疑われるときは、まず動物病院に相談することをおすすめします。自宅では、湿疹や傷が悪化しないように、優しくシャンプーとブラッシングをして皮膚を清潔に保ってあげましょう。
まとめ
犬の体臭の主な原因についてお話してきましたが、ほかにも、目ヤニ・涙・よだれ・肛門腺など、体臭の原因はいろいろあります。対策も、紹介した以外にサプリメントを利用するなどの方法もありますが、全ての臭いを完全になくすことはできません。体臭も犬の個性の一つととらえて、適度に対策しつつ、うまく付き合って行けたらいいですね。
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