失明の可能性もある犬の眼の病気 「緑内障」

2015.06.17

失明の可能性もある犬の眼の病気 「緑内障」

「白内障」についてお話しをさせて頂きます。 わんちゃんの目の病気で「白内障」と平行して説明しなければならない病気があります。「緑内障」と言う病気です。 今回は「緑内障」についてお話をしたいと思います。

わんちゃんは、視力の弱い生き物で、人間で表すと近視に近い視力と言われています。
わんちゃんは、住み慣れた家の家具や色々な障害物、散歩道の木々や道なりの障害物がどこにあるかなど記憶する能力がある為、わんちゃん自体加齢による失明をしていても人間ほど生活には影響がありません。
その為に、愛犬が片目や両目を失明していても、飼い主は気が付かないことも多いので、早期発見がしにくいと言われています。
その目の病気の一つが「緑内障」なのです。

「緑内障」とは、目の中を満たす眼房水という液体の排泄が何らかの原因で滞ってしまうことにより眼圧が上がる病気です。強い痛みを伴い、眼圧が高い時間が長くなると網膜や視神経に障害を起こし、ついには失明してしまいます。

緑内障

この病気の初期としては下記の症状が見られます。

  • 必要以上に目をこすっている
  • 目をしょぼつかせている
  • 赤い目の色をしている
  • 目やにがたくさん出ている
  • 突然涙を流している。
  • 眼が突出しているように見える
  • 7) 眼が白く濁っている     など

    「緑内障」になると上記のように目の充血や角膜浮腫による白濁がみられ、強い痛みによりしょぼつきやこする行動がみられます。さらに進行すると目が以前より大きくなるいわゆる「牛眼」という状態になります。

    「緑内障」の治療は、基本は眼圧を落とす点眼薬や点滴治療などの内科治療になります。それで眼圧が落ち着かない場合は、レーザー照射や眼房水の抜け道を作る外科治療もありますが、多くの場合、眼圧のコントロールができなくなって義眼や眼球摘出手術を行わなくてはならなくなります。

    このようにならないためには、目の状態がいつもと違うと感じた場合にはなるべく早く動物病院で診てもらうことと、病気にならないように定期的に検診をしましょう。
    目の病気は、徐々に視力が落ちていくので、いつもと変わらない元気な愛犬の姿からは、なかなか察知しにくい所はあります。
    特に老犬と呼ばれる年齢になった愛犬を飼っている場合は、意識して見てあげて欲しいと思います。

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    Dr.佐藤 貴紀

    Dr.佐藤 貴紀

    幼い頃から大の動物好きで、獣医を志す。 麻布大学獣医学部卒業後、西荻動物病院、dogdaysミッドタウンクリニックにて副院長をつとめる。 また、獣医生命科学大学内科学教室において循環器を主に学ぶ。 2008年7月に「白金高輪動物病院」開業。 2011年4月に「中央アニマルクリニック」開院。 専門は「循環器」。全国に約60人しかいない(2013年5月現在)「日本獣医循環器学会認定医」の一人。 専門外来を特徴とし、確定診断にもこだわり、かかりつけ医を推進している。 誠実でやさしい人柄と確かな技術に惹かれて、全国の飼い主さんから相談が絶えず寄せられている。


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