【獣医師監修】猫の血尿の原因、症状は?愛猫のおしっこで分かる病気と対策

2017.04.26

【獣医師監修】猫の血尿の原因、症状は?愛猫のおしっこで分かる病気と対策

愛猫のトイレ、毎日チェックしていますか?排泄のチェックは愛猫の健康状態を知るための重要な手がかりです。血尿は、尿石症や膀胱炎、尿路感染症の症状のひとつですが、猫のトイレは猫砂で尿が固まるタイプを使用している場合など、血尿に気づかない飼い主さんが多いのです。血尿は処置が遅れると命に関わることもあります。正しい知識を身につけて愛猫を病気から守りましょう!

猫の血尿とは?

猫 血尿 トイレ

猫の血尿とは、猫のおしっこの中に血が混じって赤色になっている状態のことです。

ただ、血尿といっても、真っ赤な尿のことだけではありません。薄いピンク色だったり、黄色い尿に点々と赤い血が混ざっているものも血尿といいます。
また、見た目には分からなくても、尿検査で潜血が出る場合もあります。

– 尿検査についての記事はこちら –
病気はおしっこで早期発見!猫の健康管理で大切な「尿検査」の方法とは?

◆猫の血尿は見つけにくい!

皆さんは愛猫のトイレはどんなタイプを使っていますか?

尿が砂を通過して下のシートに吸収する、いわゆるシステムトイレをお使いなら、尿の色の変化は気づきやすいですね。
しかし、尿を固めるタイプの猫砂をお使いの場合は尿の色がわかりにくいため要注意です。

下記のような症状がないか愛猫の様子を日々チェックしましょう。

①トイレに行く回数が多い(頻尿)
②トイレ以外の場所で粗相をする
③排泄時変な声で鳴いている


血尿の原因となる病気

– 尿石症 –

腎臓-尿管-膀胱-尿道にかけて尿石が形成された状態を尿石症といいます。
最も結石ができやすいのは膀胱と尿道です。特に尿道結石の場合は尿道が詰まって排尿できなくなり、処置が遅れると腎不全で命を落とすこともあります。

尿が出ていないと気づいたら直ちに病院で診察を受けてください。

【原因】
尿石が出来る原因についてはまだ不明な点がありますが、食餌内容や飲水量の影響により尿中の成分が過飽和状態となり、結晶化し結石となる場合や、尿路の細菌感染に伴う炎症によって脱落した細胞が核となって結石形成を誘発する場合などが主な原因として考えられています。

【特徴】
尿石症は猫では比較的多い病気で、特に3~5歳頃の若齢のオス猫に多く発症します。しかし、これに当てはまらない猫にも十分に可能性はあるので油断は禁物です。

【症状】
膀胱結石の場合は血尿や頻尿が主な症状で、腎臓への影響はあまりありません。
しかし、結石が尿道に詰まると血尿や頻尿に加え、排尿困難のため排尿時に痛みがあり、膀胱に尿が貯まり腹部の膨満がみられます。処置が遅れると腎不全に陥り命を落とすこともあります。
腎結石の場合は、血尿や細菌尿が長期に渡ってみられると同時に腎機能が進行性に悪化するので、手遅れにならないうちに適切な治療を行うことが必要です。

【治療】
排尿困難な場合は、尿道カテーテルを通し、投薬と処方食で治療していきます。カテーテルを通すのも出来ない場合は手術で結石を取り出します。
経過が長く状態が悪い場合は長期の入院が必要になることもあります。

– 膀胱炎・尿路感染症 –

臨床的にも定義的にも尿石症との識別が難しいため、これらを含めて「猫下部尿路疾患」(FLUTD)と呼ばれています。

【原因】
様々な原因があります。尿路に細菌が入り発症する場合や尿石が膀胱や尿道を傷つけて細菌が繁殖しやすい状態になり炎症の広がる場合あるいは、原因が不明ながらおそらくはストレスや自己免疫疾患、膀胱上皮のバリア機能の異常などから起きていると思われる突発性膀胱炎(突発性FLUTD)と呼ばれるものもあります。

【特徴】
早期に発見治療した場合は比較的治療は容易で治癒は早いです。
しかし、経過が長く悪化した場合は尿道閉塞をおこし尿毒症になることもあり、治療が長期になることになります。
メス猫では感染性の膀胱炎が多く、オス猫では結石が原因となって発症することが多い様です。

【症状】
頻尿、血尿、トイレ以外での粗相、痛みのため排尿時に不自然に背中を曲げたり(背湾姿勢)大声で鳴いたり、膀胱に尿が貯まりお腹が腫れてお腹を触ると痛がったりします。また、細菌の繁殖により白濁した尿が出ることもあります。

【治療】
軽度の場合は抗生物質の投与で治療します。
全身状態が悪い場合や、結石に由来する場合は長期の入院や手術が必要になることもあります。

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血尿を予防するには?

◆フードを工夫する

血尿予防のためには、フードは「総合栄養食」のキャットフードを与え、過剰なおやつは控えましょう。また、酸化防止剤などの添加物が多く含まれているものは避けましょう。尿石症になってしまうと多額のお金がかかるばかりではなく、なにより愛猫の命が危険にさらされます。

年齢や性別により特に心配な子には、「結石予防」や「FLUTDケア」のフードを選びましょう。

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◆飲水量を増やす

飲水量が少ない子には、水入れの数を増やす、水入れのタイプを工夫するなどして、お水を飲ませるようにしましょう。飲水量を増やすことは、高齢になってからの腎不全の予防にもつながります。

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◆トイレを清潔にする

下部尿路からの細菌感染を防ぐためには、常にトイレを清潔にしておきましょう。排泄時に陰部を砂に付けてしまう子にはおまるタイプの猫トイレもありますが、トイレや砂を変える時は猫のストレスにならないように十分に注意しましょう。


まとめ

猫の血尿は早期に適切な処置をすれば、それほど怖い病気ではありません。
しかし、血尿に気づかず病気が悪化してしまうと愛猫の命に関わる場合もあるので血尿と一緒に現れやすい症状を見逃さないことが大切です。

愛猫のトイレの様子、普段からちょっと意識してみてあげてくださいね。
 

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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