猫にアロマは危険?今すぐ確認すべき危険性について

2020.12.25

猫にアロマは危険?今すぐ確認すべき危険性について

「アロマの香りで過ごす時間が楽しみ」という方も多いのではないでしょうか?気持ちをリラックスしてくれる「アロマ」ですが、家で猫と暮らしている方には絶対に知っておいてもらいたいことがあります。なんと、アロマを使用することで猫の体にはリスクがあるので注意が必要…!いったいどんな影響があるのでしょうか?

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【目次】

初めに理解しておこう…そもそもアロマって何なの?

アロマオイル

アロマと耳にしたときに、思い浮かぶのはアロマテラピーという言葉。「癒し」「リラックス」など、植物の香りに包まれた優雅な時間をイメージする人は多いでしょう。近ごろは、健康効果も注目され、自宅でも気軽に楽しめるようになってきましたね。

ただ、「アロマって何の香り?」「そもそもどんな効果があるの?」など、アロマそのものについてハッキリ分からない人もいるかもしれません。まずは、「アロマ」のことを詳しく見ていきましょう。

◆アロマテラピーにはエッセンシャルオイル?アロマオイル?

アロマテラピーを語るうえで欠かせないのが「エッセンシャルオイル」「アロマオイル」。同じようにも思えますが、実は違ったものです。

エッセンシャルオイルとは、日本語に訳すと「精油」。これは、植物(花びらや葉、種、茎、根、樹皮など)のなかにある液体のことを指しています。
「エッセンシャルオイル(精油)」とは、ほかのものが何も混ざっていない天然の液体のことです。

一方のアロマオイルは、植物に含まれる原液のほか、用途によって人工的な材料をいろいろと混ぜ合わせて作られた混合物です。
例えば、「香りを楽しむこと」を目的としたアロマオイルは、アルコールや合成香料がプラスされています。そもそもの目的が「香りを嗅ぐだけ」なので、肌につけるとかぶれるかもしれません。

「純度100%の液体=エッセンシャルオイル」「ブレンドタイプの液体=アロマオイル」と違いをイメージできますね。

◆アロマテラピーの効果は健康から美容まで

「アロマテラピー」とは、植物や花から放たれる香りが人間の心身になんらかの働きかけをして症状を改善します。気持ちをリラックスさせる癒し効果、植物由来の成分による美肌効果をはじめ、香りが体の内部にじっくりと働きかけ、不眠や鎮静効果ももたらしてくれると考えられています。
使い方にはさまざまな方法があり、水と一緒に精油やアロマオイルを数滴入れて、超音波の力で水をミスト状にして部屋に拡散させる「ディフューザー」を使用して芳香浴をしたり、お風呂のお湯に数滴垂らして入浴を楽しんだりと生活スタイルに合わせて楽しむことができます。

◆どんなメカニズムで効果が期待できる?

アロマテラピーは、「香りを嗅ぐ⇒脳へ情報が伝わる⇒自律神経を刺激する⇒体の各部分へ働きかける」というメカニズムで効果をもたらします。人間が持つ「嗅覚」に働きかけ、さまざまな効果を発揮しています。

アロマの香りが自律神経を心地よく刺激し、不眠の解消・緊張緩和・鬱気分からの解消など、気持ちを和ませてくれるでしょう。

◆期待する効果によって選ぶ香りが違う

眠れないときにはラベンダーやカモミール、元気を出したいときにはローズマリーやレモングラスなど、期待する効果によって役立つアロマはさまざまです。最近では効果がわかりやすくパッケージに書いてある商品や、目的のためにブレンドされた商品なども販売されています。

ただし、心身をリラックスさせて症状が緩和されますが、アロマだけで病気が治るというわけではありません。あくまでもプラスα的なものとして使用されるものと考えておきましょう。


猫にアロマが危険な理由って?

上を向いた子猫

アロマの健康効果を知ると「愛猫にも効果を分けてあげたい」と思うかもしれません。でも、猫には「アロマが危険」と耳にすることも…。

猫の体にアロマがよくないのはいったいどうしてなのでしょう?

◆猫は嗅覚が優れている

猫は、動物上の分類が「肉食動物」です。見た目は可愛いですが、野生の猫たちは、新鮮な肉を獲物に選びます。

腐った肉は体に悪影響を及ぼすので、猫は悪い肉かどうかを選別しなければなりません。自然で生き抜くため、「腐った肉はNG・新鮮なお肉を食べよう」という術が身に付いたことで発達したのが嗅覚なのです。
そのため、猫は人間よりは香りに敏感な動物と言われています。

食べ物やオモチャ、飼い主さんなど、クンクンとニオイを嗅いでいるのは、香り成分を鼻から吸収し、さまざまな物を「鼻」で判別しているからです。自分が好きな香りや大好きな飼い主さんの香りなら、猫にとっては「心地よい香り」で日常的にも嗅ぎ慣れています。

しかし、アロマの香りは猫にとっては「謎めいた香り」となり、嗅いでいるだけでストレスにもなってしまうでしょう。人間がよい香りと感じたからといって、それが猫にも同じように感じ取れるかは疑問ですよね。

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◆体を舐める習慣がある猫

飼い主さんが部屋のなかでアロマの香りを充満させると、その微量な成分が愛猫の体にぴったりと付着します。そもそも猫は自分の体を舐める習慣があるので、鼻から吸収されるだけでなく、口からも体に取り込まれてしまうのです。

◆香りを体内に吸収しやすい皮膚の薄さ

人間をはじめ、動物の皮膚は、刺激をシャットアウトし体を守る機能があります。基本的に、「外部とふれ合い異物をバリアする表皮」「表皮の下にあって肌を構成する真皮」「もっとも内側にあってクッション材になっている皮下組織」と、皮膚構造は三層からなります。

猫の表皮は人間の皮膚よりもかなり薄めで、人間の半分もありません。

被毛に覆われているので皮膚が薄そうにも思えないかもしれませんが、猫の皮膚はかなりデリケートな構造です。アロマの香りが少量でも、空気中にある微々たる成分が猫の体に付着して皮膚から体内に浸透してしまうでしょう。

また、注意が必要なのはシャンプーやウェットティッシュなど直接皮膚につくものです。人間用の商品にはアロマが配合されているものも数多くあります。これらを使用してしまうと、簡単に経皮吸収されてしまうことになります。

◆取り込まれた成分を解毒できない猫

猫は、体のなかに「植物を消化および分解する」という解毒作用、グルクロン酸抱合の能力が備わっていません。そもそも肉食動物なので、植物の有害物質を解毒する作用がないのです。それもまた「猫にアロマが危険」と言われる理由のひとつと言えるでしょう。

アロマは「香り」なので、「猫が直接触らなければ大丈夫なのでは?」と思うかもしれません。
実際には、鼻からスーッと体内に侵入し、粘膜や血管を通じて猫の体中に運ばれます。しかし、人間のようにグルクロン酸抱合によって解毒して排出するという機能が期待できないので、有害な物質もじわじわと蓄積されていってしまうでしょう。蓄積された成分が猫の肝臓を脅かすため、体に大きな負担がかかることになります。

また、何も混じっていない純度100%のエッセンシャルオイルを作るには、大量の植物が必要。わずかな量にギュッと凝縮されるので、実際には何倍もの植物を使っていることになります。
そのため、「ほんの少し」と思えても、解毒機能を持っていない猫にとっては過敏反応を起こす量の「有害物質」となってしまうのです。

そして、猫と同様にグルクロン酸抱合の能力が弱いとされているフェレットについてもアロマでの中毒症状が報告されているようです。

◆人間にとって効果のあるアロマも猫にはリスクあり

さきほどお伝えしたように、化合物を含んで人工的にブレンドしたアロマオイルは、猫の体内に入るとよくない成分も含まれています。

飼い主さんと猫ちゃんが同じ空間にいるとき、「優れた嗅覚」「体を舐める習性」「薄い皮膚」「植物を分解しにくい肝臓」という体質の猫のほうが体内に入り込みやすくなっています。

一般的には健康や美容効果があるアロマでも、「人間と猫では違う」という意識を持たなければ愛猫を守れないのかもしれませんね。

◆過度な香りは猫の鼻には刺激が強い

単に「香りを楽しむだけ」というアロマテラピーだとしても、油断はできません。猫はクンクンと香りを嗅いだときに、体内に成分を吸収するので、毎日アロマを嗅いでしまうと、少しずつ成分が取り込まれていきます。

人間にとって「優雅な香り」と思えても、猫には刺激が大きいものです。体に害を及ぼす可能性が大きいですし、慣れない強い香りに猫はストレスを溜めてしまうかもしれませんね。

◆肝臓の病気になるかもしれない

猫が苦手とする成分が体内に入り込むため、猫の肝臓への負担が増えます。愛猫の体重や体調、年齢などに一概には言えませんが、ほんの少しのアロマも猫の体への影響は大きいです。次第に肝臓の病気になるかもしれないことを頭に入れておいた方がよさそうです。


猫の手の届かないところならOK?

撫でられる猫

愛猫がエッセンシャルオイルやアロマオイルを「直接触った」「飲んでしまった」となれば、急に体に異変がある可能性も否定できません。誤飲を考えると、猫と同じ空間でアロマを使うのはリスクが高いでしょう。

そこで「猫のいない部屋ならいいのでは?」「エステサロンに行ってアロマをやってもらう」など、猫のいないところでのアロマテラピーなら問題ないのではないかと思う方もいるかと思います。しかし実際には、猫の手が届かない場所でも油断はできません…。

◆猫がいない場所でも危険が及ぶケースもある

アロマ入りの入浴剤や化粧水もあります。直接肌に刷り込んで楽しむアロマで、エステに行くと、香り豊かなアロマエッセンスでのケアが体験できるでしょう。浴室やエステサロンなどなら、猫が触れることがないので安心してアロマを楽しめそうですよね。

でも、猫と違った空間でのアロマテラピーにも注意が必要です。サロン帰りの飼い主さんの肌に付着したアロマの成分を、猫が知らずに舐めてしまうかもしれません。

アロマを直接舐めると、少量でも人間よりも体が小さく解毒作用のない猫にとっては致死量になることもあります。また、ほんの微量な成分でも、それを続けていくと解毒できずに猫の体に有害物質が溜まっていきます。

猫がいない場所でのアロマでも、飼い主さんの体の表面には微量な成分が残っているので注意すべきでしょう。

アロマの入った商品を使用した場合には、絶対にその部分を愛猫に舐められないように注意して、もしもの際には獣医さんに相談するようにしましょう。

◆猫が触れる部分のアロマは洗い流す

愛猫がペロペロと舐めてくれるのは、飼い主さんとしては嬉しいものですが、穏やかなスキンシップの陰に「重大なリスクがあるのかも」と考えると怖いですよね。

もし、どうしてもアロマを楽しみたいなら、アロマオイル入りの入浴剤のお風呂を楽しんだあとには十分に換気をして、猫に触れる部分は丁寧に洗い流すなどの対象が必要かもしれません。

それでも心配というのであれば、異空間であってもアロマ自体を控えるという選択肢もひとつかもしれませんね。


猫にとって特に要注意なアロマ

アロマといっても特に猫にとって毒性が強く、注意が必要な種類もあります。

◆レモンやグレープフルーツ、ミカンなどの柑橘系

レモンやグレープフルーツ、オレンジ、ベルガモットの香りは、人間にとってはフルーティーで爽やかな香りに感じます。柑橘系の香りには、気持ちを爽快にさせたり、緊張を和らげたりなど「気分を高める」という効果があるので、芳香剤や食器洗剤などに好んで使っている人も多いでしょう。アロマでも人気がある香りです。

しかし、実は、柑橘系の香りは、猫が嫌がる香りの代表ともいえます。
これらの柑橘系の皮には、リモネンという成分があり、これは猫にとっては有毒です。リモネンは肝臓で分解できないので、猫が摂取すると嘔吐や皮膚のかぶれ、手足の震えなど重大な症状を引き起こすかもしれません。

人間にとって「心を明るくする」という効果が期待できる柑橘系のアロマは、猫には要注意です。

◆ラベンダー

不眠に効果があるラベンダーもアロマでは人気がありますが、猫にとっては危険なケトン類(カンファー)という成分が含まれています。よく眠れるように寝室でラベンダーの香りを楽しむにしても、同じ空間で愛猫と寝ている人は要注意です。

このケトン類に分類されるものは他に、ペパーミント・ローズマリー・セージなどが挙げられます。

このほかには、フェノール類やピネンを多く含むものにも注意が必要です。

フェノール類:オレガノ・クローブ・タイム・シナモン

ピネン:ユーカリ・ヒノキ・フランキンセンス・カモミール

◆ティートゥリー

ティートゥリーは猫にアロマが危険ということがわかるきっかけにもなったアロマです。過去、アメリカではティートゥリーが配合されているノミ取りシャンプーが使われていたのです。

このティートゥリーが高濃度で配合されているものを使用した猫に中毒症状が多くみられ、初めてアロマの経皮吸収が猫にとって良くないのではないかと疑われました。

その後の研究結果により、ティートゥリーはアロマの中でも特に注意しなければいけないものだということが分かったのです。

ティートゥリーは花粉や、菌・ウイルス対策によいと注目されている精油ではありますが、残念ですが猫と暮らしているおうちでは使用を絶対に避けた方がいいと言えるでしょう。


まとめ

アロマの香りは優雅で素敵な時間をもたらしてくれるので、アロマテラピーとして多くの人に注目されています。「香りだけでも愛猫と共有したい」と考えてしまいそうですが、人間にとって健康効果がある植物だとしても、猫の体では分解できずに「毒」となりリスクがあることを理解しておきましょう。

健康・美容と素敵な効果をもたらすアロマテラピーですが、愛猫と暮らしている飼い主さんは慎重に考えた方がいいのかもしれませんね。



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中岡 早苗

中岡 早苗

可愛い猫ちゃん達に囲まれながら、猫の知識や暮らしを日々学んでいます。 学んだ情報はどんどんお伝えしていきます。楽しいネコライフをおくりましょう。


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