絶滅危惧種のオセロットとはどんな猫?

2020.09.15

絶滅危惧種のオセロットとはどんな猫?

ぱっちりと大きな瞳が可愛らしいオセロット。 黒い斑点模様がワイルドでカッコよさも兼ね備えています。 そんな魅力的なオセロットですが、実は絶滅の危機に瀕しています。 オセロットがどんな猫か、日本で会える場所についてもまとめていきます。

とってもワイルドな見た目

オセロットを見たときに、まず思うのが「ヒョウっぽい」ということかもしれません。

ヒョウと言えば、体全体に散らばる斑点模様が特徴的な動物ですよね。
そして、野生動物のなかでも強いハンターというイメージがあります。

オセロットは、ヒョウの体の模様とそっくり。
ワイルドな外見をしています。
今にも瞬足で走り出しそうな引き締まったボディで、運動神経が良さそうな雰囲気がありますね。


優雅で美しい容姿

被毛の雰囲気がヒョウと似ているものの、顔立ちはやはり猫。
大きな瞳をしていて、可愛らしいです。

野性的な模様なのですが、美しい印象も受けます。
「艶のある優雅な被毛」が注目を浴びて、毛皮を作る目的で捕獲されていた過去も持っています。
ワイルドななかにも、気品や可愛さが詰まった魅力的な猫ちゃんです。


オセロットはどのくらいの大きさなの?

繰り返しになりますが、オセロットは体の模様や体つきがヒョウっぽい猫ちゃん。
その野生的な見た目から、写真を見るとヒョウのように大型の印象を受けるかもしれません。
でも、実際はヒョウよりもかなり小さめです。

ヒョウの体重は、30~90キロ。
性別で個体差がありますが体長100センチ弱~190センチほどの大きな動物です。

一方のオセロットは、体長65~120センチ程度、体重11~16キロ程度が平均的です。
見た目のワイルドさで大型に見えますが、思いのほかコンパクトなんですね。

ただ、「猫」として考えると、やはり大型と言えるでしょう。

私たちが一般的に考えているペットの猫ちゃんは5キロ前後程度の体重だとすると、オセロットは2倍以上の大きさであることが分かります。

軽やかに動けるように筋肉が発達しているので、ちょっとガッシリと大きく見えるのかもしれませんね。
顔が可愛らしいので、どこかアンバランスな印象さえ受けるかもしれません。
「強そうで怖い」というよりも、「ヤンチャで可愛い」という表現があっている感じもします。


森林や林、荒地などで生息するヤマネコ

オセロットは、南アメリカや北アメリカなどに分布しているヤマネコ。
熱帯雨林気候の森林、草原、川というように、環境的にはかなり厳しい地域が主な生息地です。

泳ぎも木登りも得意なので、木々が生い茂る深い森林のほか、いろいろな環境でも暮らせるスーパーパワーの持ち主と言えるでしょう。
一般的に猫は水が苦手で泳ぎは得意ではないですが、野生育ちのオセロットは泳ぐ能力には長けています。

どんな環境への適応力もあり、標高1200mで暮らしたり、人間が住む集落の近くにヒョイっと現れることもあるようです。

基本的には夜行性で、昼は洞窟や木々の上などでのんびりと体力を温存する生活をしています。


優れた視力&嗅覚

日中はひっそりと過ごしたオセロットは、夜になったらお食事タイムを迎えます。
オセロットが暮らすエリアでは、小動物もたくさん生息しています。
うさぎ、カエル、ネズミ、鳥など、自身の体よりも小さめの小動物を、エサとしてターゲットにすることが多いです。
泳ぎも上手で、魚捕獲の才能もあり、魚介系もお好みです。
陸からはもちろん、水中からもエサを発見できます。
基本的には食べ物に困らなそうですね。

時には、自分よりも大きい動物へも向かっていくアグレッシブな面があります。
オセロットが獲物を見つけて捕まえられるのは、優れた視力と嗅覚のおかげだとも考えられています。


絶滅危惧種とされている国も…

オセロットを絶滅危惧種としている国もあります。
その背景には、人間たちが作りだしたいくつかの原因があるようです。

◆オセロットを乱獲していた時期がある

前述したように、毛皮を目的として、オセロットがむやみに捕獲されていた時期があります。

美しくて可愛い猫ちゃんなのに、「毛皮が欲しい」という理由で捕まえるのは悲しい現実ですよね。
その乱獲の過去から生息数が減っています。
「絶滅するのでは…」と言われているのは、そんな背景もあるのです。

◆環境破壊されてオセロットが住みづらくなっている

かつてオセロットが多数生息していた地域でも、今では伐採などによって生きにくい環境になってしまいました。
人間の集落の近くに出没することがあったとしても、やはり獲物を捕まえられる森林や草原が住みやすいでしょう。
森林が少なくなれば、オセロットのエサとなる小動物も少なくなるので、結果的に個体数が減少してしまいますね。

◆出産数が少ない

オセロットの数が減っているのには「1回の出産で産むことができる子猫の数が1頭のことが多い」という背景もあります。
「そもそも生息数が少ない」、さらに「1回の出産数が少ない」などが絡み合って、なかなか数は増えないのかもしれませんね。
現在では、希少種として大事に考えられています。


ペットとして飼うのはOKなの?

美しさやワイルドさが兼ね備えられているオセロット。
人懐こさもあるので、一緒に暮らしてみたいという人もいるかもしれません。
オセロットの過去をたどると、海外ではペットとしての飼育例もありました。

ただ、かつての乱獲により個体数が激減したオセロットは、絶滅危惧種の指定があるため、野生で捕まえるということもできません。
そのため、現在ではペットとして手に入れる…ということが難しいかと思います。

また、何らかのルートで入手できそうだとしても、日本ではオセロットをペットとして飼うことはほぼできないでしょう。

日本では、オセロットは「特定動物」の指定です。

以前、日本では、特定動物を飼育するには、飼育環境の細かい条件や基準をクリアできなければ飼うことはできませんでした。

「逃げないような頑丈な檻を用意する」「定期的に環境を点検する」などの条件があり、一般的なペットとしての扱いとは違うことが求められます。
多額のお金をかけて設備投資できること、大型のオセロットを飼育するための檻を設置できる広い環境も必要ということなのです。

ただ、2020年6月には法律が改正されたため、「特定動物を飼う」こと自体が禁止されています。
オセロットも、特定動物のリストに入っていますので、新規で迎え入れること自体が不可能です。
「美しいオセロットを家族に…」というのは、なかなか現実的な話ではないようです。


日本でオセロットに会える場所は?

オセロットをペットにするのは現実的に難しいですし、野生のオセロットに会いに海外の森林や草原などの過酷なエリアには気軽に行けませんよね。

でも、綺麗な模様で人懐こい魅力的なオセロットに会ってみたいと考える人もいるのではないでしょうか。

昔は日本でも数か所にオセロットが暮らしていたようですが、現在国内でオセロットに会える場所は残念ながらないようです。

「よこはま動物園ズーラシア」という施設には昨年までメスのオセロット「メロディ」ちゃんがいたようですが、令和2年9月に腎機能不全により亡くなりました。

メロディちゃんは、ズーラシア内の『アマゾンの密林』というゾーンに暮らしていたようです。
木々の生い茂る密林をイメージしたエリアのなかで、のびのび暮らすオセロットの姿を見れないのは何とも残念なことですが、ズーラシアのSNSではかつてメロディちゃんが元気にしていた頃の写真が見られますので、ぜひ覗いてみてくださいね。

よこはま動物園ズーラシア HP: http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/zoorasia/


かわいい性格の一面もある

野生で暮らしているヤマネコの場合、普通、警戒心が高いです。
人間が近づくと、「姿を見せまい」と隠れてしまうことも多いでしょう。

でも、オセロットは、ヤマネコのなかでも人間に対しても警戒心は少なという珍しい性格です。
初めて見た人には、敵対心よりも興味心を見せてくれるかもしれません。
野生のオセロットを撮影しようと森林に入れば、オセロットの日常をカメラにおさめられるシャッターチャンスがたくさんでしょう。

野生化しているオセロットでさえ人懐こいのですから、動物園などの飼育施設で育っていると、ペットのように甘えることもあるようです。

飼育員さんに大切に育てられているオセロットは、とても可愛らしいですね。
オセロットはペットにできないので、日本では動物園でしか会うことができません。


オセロットの寿命は?

野生で生きているオセロットの平均的な寿命は、7~8年ほどと言われています。
長くても10年くらいのようです。

ただ、人間の手で飼育管理されている場合になると、寿命はグッと延びます。

絶滅危惧種でもあり、大切にしなければならないオセロット。
飼育している人たちも、飼育環境への配慮はかなりのものでしょう。
さらに、オセロットは丈夫でさまざまな環境への順応性があります。

そんな背景が重なりあって、飼育下では20年ほど、生きるオセロットが多いようです。
なかには、20歳を過ぎても元気なオセロットもいます。


オセロットに似ている猫ちゃんもいる!?

オセロットによく似た「マーゲイ」「ジャガーネコ」という猫ちゃんがいます。

どちらもオセロットと同じように、ヒョウのような黒い斑点模様が体に散りばめられています。
目がクリクリと大きく、可愛らしい印象です。

この3種がよく似ているのには、「ネコ科オセロット属」という同じ分類にいるからだという理由があります。

マーゲイもジャガーネコも、オセロットと同じようにヤマネコです。
熱帯雨林などの密林に生息している点も、共通点。

ただ、違う点もあります。

マーゲイは、3~9キロ程度なので、オセロットよりはやや小柄です。
オセロットと比べると、一回りは小さい印象を受けます。
一般的な飼い猫に近く、小ぶりな感じがするでしょう。
頭も小さいので、瞳の大きさが目立ちます。
パッチリお目目が可愛らしい印象です。
オセロットと同じように、人間に対しての警戒心も少なめと言われています。

ジャガーネコはさらに小柄で、1.5~3キロ程度が平均的。
ただ、体長は45~65センチとそれほど極端に小さいわけではなく、普通の猫と同じくらいに見えるでしょう。
スリム体型で、綺麗な印象です。
小さい体で愛らしい雰囲気がありますが、ヤマネコなのでハンターとしての腕があります。
ネズミなどの小動物をはじめとし、鳥や昆虫、カエル、トカゲなども捕食して生息しています。

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まとめ

オセロットは、美しさやカッコよさ、可愛らしさなど、魅力的な部分がたくさんあります。
人間にも懐きやすい性格なので、一目会ってみたい気持ちになりますよね。

ただ現在、絶滅の危機にあるため、なかなかお目にかかれない猫ちゃんです。

その背景には、「毛皮目的で乱獲されていた」「開拓されて密林が減ってオセロットが住みづらくなっている」という人間本位の事情が隠されていることが分かりました。
美しい猫が絶滅の危機にさらされているのも悲しいことですよね。

オセロットをはじめ、絶滅危惧種として守られている動物は世界中にたくさんいます。
実際に会う機会は少ないかもしれません。

でも、動物園や写真などで見かけたときには、これから守られていくことを陰ながら願うばかりですね。



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中岡 早苗

中岡 早苗

可愛い猫ちゃん達に囲まれながら、猫の知識や暮らしを日々学んでいます。 学んだ情報はどんどんお伝えしていきます。楽しいネコライフをおくりましょう。


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