猫の保護具であるエリザベスカラーを利用する際の注意点とは?

2022.06.30

猫の保護具であるエリザベスカラーを利用する際の注意点とは?

猫に装着すると、エリマキトカゲのようになる「エリザベスカラー」ですが、猫が怪我をしたときや術後などに、活躍する機会が出てくるアイテムとして知られていますよね。 動物病院で勧められるエリザベスカラーは、シンプルなデザインのものがほとんどなので、できることなら愛猫には可愛らしいものを、付けたいと思っている飼い主さんも多いはずです。 愛猫にエリザベスカラーの装着が必要な際、手作りをしたものを利用しても問題ないのでしょうか? そして装着の際には、どのような点を注意すべきか考えてみました。

猫のエリザベスカラーって?

エリザベスカラーをした白猫

エリザベスカラーと聞くと、中世の女王様を思い浮かべる方も多いことかと思います。

この名前の由来は16世紀のイギリス、エリザベス朝時代に洋服の仕立て襟として用いられ、丸いレースやフリルで飾られた「襞襟(ひだえり)」が元となっています。

そしてこの時代の女王であったエリザベス1世が愛着していたこともあり、その姿を彷彿させるので、猫を始めとした動物が付ける保護具のことを日本では「エリザベスカラー」と呼ぶようになったそうです。

海外では「Cone of shame(不名誉な円錐)」と呼ばれることもあり、猫がエリザベスカラーを付けられたときの表情を思い浮かべると「なるほど…」と思わずにはいられませんよね。

猫にとって付けられることが不本意であるエリザベスカラーですが、どのような場面で装着が必要となるのでしょうか。

◆エリザベスカラーが必要になる場面

猫の首に巻き付けて使用するエリザベスカラーは、以下のような場面で役立ちます。

・怪我をしたとき
・術後の傷口の保護
・皮膚が炎症を起こしているとき

エリザベスカラーは主に傷口を、舐めたり噛んだりして悪化させないために、開発されたペット用の保護具となります。

一番使用する機会が多いのは、去勢や避妊といった不妊手術の後ではないでしょうか。

手術の後は患部を舐めないように装着しますので、術後にはエリザベスカラーの装着を、獣医さんから勧められることが一般的ですよね。

エリザベスカラーを付けないでいると、猫は傷口が気になって同じ場所ばかり舐めてしまうので、完治が遅くなってしまうことがあるようです。

患部に薬を塗っていたとしても、キレイに舐めとってしまうことがあるので、このようなことからもエリザベスカラーは、猫にとって必要なアイテムと言えるでしょう。


猫にエリザベスカラーを付けているときの注意点

エリザベスカラーをしたキジトラ猫

猫にエリザベスカラーを使用する場面は限られてはいますが、使用する際にはいくつか注意しなくてはいけない点があります。

装着時にはどんなことに注意し、安全な使用を心掛ければ良いのでしょうか。

◆首回りの締め付け

エリザベスカラーはその名の通り、首に巻いて使用する保護具ですので、猫によっては違和感を覚えてしまう子も多いようです。

とくに普段首輪をしていない子であれば、なぜこのようなアイテムを取り付けられてしまうのか、不愉快な気持ちになってしまったとしても、仕方がないと言えるでしょう。

首から抜けないことも大切ですが、窮屈すぎるのも猫のストレスとなってしまうので、装着の際にはきつく締め付けないようにしてあげてくださいね。

◆身の回りの危険な物は片付ける

首上を覆うエリザベスカラーは、猫の視界を遮るので、必然的に視野が狭くなってしまいます。

視野が狭くなれば距離感が掴みづらくなるために、物にぶつかるといったことなどが多くなってしまうことでしょう。

ご飯を食べるときやトイレを使用するときなどに、ストレスがかからないような工夫をすることも大切ですし、ぶつかって危ないような物は事前に片付けておくと安心です。

◆勝手な判断で外さない

エリザベスカラーを付けることによって、猫は思うように行動できないことから、自分で外そうとしたり、怒って暴れたりすることがあるかもしれません。

ですがエリザベスカラーは、付ける必要性があるからこそ装着しているので、飼い主さんの勝手な判断で外すことはやめておきましょう。

勝手に外してしまえば患部の治りが遅くなる上に、症状を悪化させてしまう可能性も否めません。

愛猫のためにも勝手な判断はしないようにし、どうしても使用が困難なときは、必ず獣医さんに相談するようにしましょう。

◆目が届かないときはケージに入れる

飼い主さんの目が届かないときは、猫ちゃんに危険が及ばないように、ケージに入れるなどをして、安全を確保してあげてください。

目を離した隙にエリザベスカラーを着けたまま、高い場所に登るなどの行動は大変危険ですので、愛猫の元を離れるときは、必ずケージを利用するようにしましょう。

ケージがない場合は、危険なものが置かれていない部屋などに隔離し、猫ちゃんも飼い主さんも安心できるような工夫を心掛けましょう。

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エリザベスカラーを自作してもいい?

エリザベスカラーと術後服を付けた猫

猫のエリザベスカラーは基本的には、手術や怪我をした際に動物病院で貸出してもらうことや、購入することがほとんどですが、病院で処方されるのはポリプロピレン製の硬いカラーが一般的です。

動物病院にもよりますが、猫用のサイズが無い場合などには、ガムテープで固定してサイズ調整することもあるので、見た目的にもあまり良い印象が持たれないことも多いんですよね。

そんなとき飼い主さんとしては、見た目も良く負担の少ないエリザベスカラーを愛猫に装着してあげたいといった、考えが過ぎるのではないでしょうか?

手作りであれば愛猫にぴったりなものが作れますし、何より自作したエリザベスカラーには愛着も湧くことでしょう。

猫用のエリザベスカラーは、手作りをして使用しても問題はないのでしょうか?

◆夜間など応急処置に

エリザベスカラーは何かきっかけがあった際に利用するアイテムですので、どのご家庭にも準備されているわけではありませんよね。

夜間に愛猫が怪我などをして応急処置でエリザベスカラーが必要なときは、もちろん手作りをしていただいて構いません。

要は猫が患部を舐めない工夫がしてあれば構いませんので、家にあるものでエリザベスカラーを作ってあげましょう。

一番簡単なのは、クリアファイルを解体して首に合うサイズに切り、切り口をテープで止めてあげる方法です。

もちろんドーナツ型に布を切り、縫い合わせて綿を詰めた柔らかいエリザベスカラーでも問題ありません。

表とは逆になる裏の部分にも可愛い布を使用すれば、見ているだけでも微笑ましくなるのでおすすめです。

そして最も簡単なのは、カップ麺の容器を再利用する方法です。

一時期SNSでも話題になりましたが、カップうどんの容器の底をくり抜き、サイドに切り込みを入れたカラーに首を入れた猫ちゃんは、なんとも言えない可愛らしさがクセになることでしょう。

◆必ず獣医さんに相談する

応急処置としてエリザベスカラーを手作りすることは問題ありませんが、日常的に使用するのであれば、やはり獣医さんに相談する必要があります。

なぜなら症状が出ている患部によって、エリザベスカラーのサイズを変える必要があるからです。

サイズを間違ってしまえば、猫ちゃんの口元や手足が届き、患部を舐めたり引っ掻いたりができてしまうので、やはり専門家の指示のもと、正しい使い方をするのが一番です。

中にはエリザベスカラーを使用せず、術後服を推奨する獣医さんもいらっしゃいますので、使用の際にはかかりつけの動物病院で、必ず相談してから使用するようにしましょう。


猫がエリザベスカラーを嫌がるときには

エリザベスカラーは慣れるまでに時間がかかりますし、自由が利かない煩わしさから、日に日にストレスを溜めていく猫ちゃんも多いようです。

とくに毎日の楽しみであるフードが思うように食べられないことや、トイレの砂かけが上手にできないなど、猫が何気なく過ごしていた日常に支障が出てしまうことが、猫にとって一番辛いのではないでしょうか。

基本的には獣医さんから許可が出るまでは、エリザベスカラーを外ずせませんが、どうしても嫌がる場合には、ご飯のときやトイレのときだけ外してあげるなどの配慮も必要です。

飼い主さんがしっかり見てあげられる時間帯であれば、患部を舐める素振りを見せたらエリザベスカラーを取り付けてあげれば良いので、愛猫の様子を伺いつつ、ストレスを軽減してあげてください。

また、日常的に行うグルーミングもできなくなってしまうので、患部に触れないように、ブラッシングや水の要らないシャンプーなどを利用して、清潔を保つようにしましょう。

洋服を着ることが苦ではない子であれば、術後服も検討し、猫ちゃんに合った方法で症状の緩和の手助けをしてあげてくださいね。


まとめ

日常的に利用することのないエリザベスカラーですが、普段使用しないからこそ、猫にかかってしまうストレスは大きなものとなってしまいます。

愛猫が患部を舐めないことが大切ではありますが、どのように工夫をすれば、不快感を拭ってあげられるかは、飼い主さんが考えてあげる必要がありますよね。

生活環境を見直して猫にとって負担になりそうな部分は、事前に改善しておくことも、エリザベスカラーを使用する上で重要なポイントになります。

そして獣医さんから取り外しの許可が出た際には、患部を労わりながら、おもいっきりストレス発散をさせてあげるようにし、日常の生活を取り戻してあげてくださいね!



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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