ハンドクリームは猫がなめても安全?ついた手をなめる理由とは

2023.08.31

ハンドクリームは猫がなめても安全?ついた手をなめる理由とは

手のひらや甲に塗り込むハンドクリームは、猫との距離が近いことからも舐めとられてしまう機会が多くあるのではないでしょうか。 手指の荒れを予防してくれるハンドクリームは、猫が舐めても安全なのか解説します。

猫がハンドクリームの付いた手をなめる

ハンドクリームを塗る

愛猫が飼い主さんの手をなめてくれるということは、信頼関係が築けている証拠なので、飼い主冥利に尽きると感じる方も多いことでしょう。

猫と飼い主とのスキンシップはとても大切ですが、もしその手のひらや甲にハンドクリームを塗っていた場合はどうでしょうか。

人間の体に使用する以上、安全な成分のみで作られているとは思いますが、食用として作られてはいません。大切な愛猫がその成分をなめとってしまうことに懸念を抱くことは自然なことです。

塗った瞬間になめられることはもちろん、ハンドクリームを付けた手で愛猫に触れてしまえば、被毛にもクリームの成分が付着します。グルーミングを欠かさない猫に悪影響をもたらすのではないかと心配にもなりますよね。

ハンドクリームが付着した手で触れることをためらう方は多いと思いますが、猫はハンドクリームをなめても安全なのでしょうか。

◆なめても大丈夫?

ハンドクリームは人間の手に特化して開発された保湿成分入りのクリームとなるので、手の肌質を考えられた上で作られています。

私たちの手は日常的にダメージを受け続け、年齢が出やすい体の部位としても認知されていますよね。

室内に居ても水仕事で使用する洗剤の影響や、エアコン使用時の湿度の低下など、常に乾燥する環境に晒されています。

外出した際にも紫外線の影響や、昨今ではアルコール消毒を行う機会も増えたので、常に手は水分不足の状態になっているといっても過言ではないでしょう。

そのためハンドクリームを常備し、少しでも乾燥が気になったらハンドクリームを使用するという方も、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

ハンドクリームは保湿を目的として開発されていますので、水分と油分がバランスよく調合され、潤いを手指に与えつつ、油で全体をコーティングして刺激から守ってくれるような仕組みになっています。

水分は浸透率が高いので角質層にすぐ浸透していきますが、油分はそのまま表面に残って、外部からの刺激を守り、水分の蒸発を防ぐ働きをします。

体に使用するため安全性が確保されていることには違いないのですが、だからといって猫がなめることを想定して作られてはいませんし、あくまで人間の皮膚への安全性が確認されているだけとなります。

猫がなめても安全という確認ができない以上、猫にはなめさせないといった配慮が必要となってくるでしょう。

◆ハンドクリームをなめさせない方が良い理由

ハンドクリームには水分や油分のほかにも、香料として精油やアロマオイルを使用していることがほとんどです。

猫はアロマオイルや精油を分解する酵素を持ち合わせていないので、たとえ少量であったとしても体の小さな猫にとっては毒となり、体内に蓄積されていってしまうので大変危険となります。

ほかにも保存料や防腐剤、ハイドロゾール(精油の生産時に得られる副産物)などが配合されている商品も多く販売されています。

愛猫の安全を考えるのであればハンドクリームはなめさせないに越したことはありません。


猫がハンドクリームを気にする理由

そもそもなぜ、猫がハンドクリームに興味を示すのか不思議に感じる方も多いことでしょう。

私たちが良い香りと感じるような香料を使用している商品が多い中、どのような部分が猫の興味を惹くのでしょうか?

◆香りが気になる

猫は嗅覚が鋭い動物でもありますので、ニオイを頼りに安全かそうでないかの確認をすることが多いようです。

食べ物に関してもすっぱいニオイがしたときは、本能的に腐っていることを察知し、口にはしないとも言われています。

普段嗅ぎなれていないようなハンドクリームは、猫にとって安全か安全ではないかの確認をしなくてはいけないので、その確認のためになめてしまうこともあるのではないでしょうか。

なめてみてその香りや味を気に入ってしまえば、毎回飼い主さんがハンドクリームを塗ったあと、なめたがってしまうのにも納得です。

◆油分が気になる

「行燈の油をなめる化け猫」が日本怪談にも度々登場するように、猫は油を好む傾向にあると言われています。

自分で狩りをしていた野生時代には獲物を捕獲したら、まず肉よりも油やビタミンが豊富に含まれている肝臓を好んで食べていたとも言われているようです。

猫は肉食動物なので野菜などの植物を自ら好んで食べることはありませんが、その変わり植物を食べている草食動物を狩猟し、その動物の内臓を食べることによってバランスの良い栄養を摂取していたと言えるでしょう。

現代を生きる猫たちが油に興味を示すのは、野生時代に生き抜いてきた環境が深く影響していることが考えられますので、ハンドクリームの油分は猫にとって、立派な食べ物と認識している子が多いのかもしれませんよね。


猫に安全なハンドクリームの選び方

ハンドクリーム

猫がハンドクリームに興味を示す理由は理解できたとしても、前述した通り猫がなめても安全が確証されているわけではないので、なめさせないに越したことはありませんが、それでも生活必需品として手放せない方もいらっしゃることでしょう。

ハンドクリームを日常的に使用する場合には、どのような商品を選べば良いのでしょうか。

◆香り付きのものは避ける

猫に危険な精油やアロマオイルを使用しているハンドクリームは、愛猫のためにも選ぶことは避けるようにしてください。

とくに寒い季節になってくると、オレンジやゆずといった柑橘系の香りがする商品が多く市場に出回りますが、柑橘系が苦手な猫には不向きの商品と言えますよね。

良い香りがする商品は飼い主さんの気分は上がりますが、愛猫を少しでも危険から回避するためには、無香料で無添加の商品や、天然成分や100%食品由来成分の商品を選ぶようにしましょう。

◆ワセリンがおすすめ

猫の安全を考えるのであれば、100%天然由来成分でできている「ワセリン」がおすすめです。

ワセリンは石油から得た炭化水素類を脱色し、精製した保湿剤として定義されており、精製時の脱色度合いによって黄色ワセリンや、白色ワセリンといった商品が販売されています。

石油と聞くと安全ではないのでは?と、不安に思う飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、白色ワセリンは毛玉除去剤に使用され、黄色ワセリンは便秘気味の猫ちゃんに対して処方する動物病院もあるそうです。

石油は体内で消化できない鉱物油なので、毛玉やウンチを油で包んで滑りをよくして排出させるといった仕組みとなります。

消化できない成分であれば、基本的には猫の体内で吸収されることはありませんので、飼い主さんが安心するためにもハンドクリームの代用品として使用してみてはいかがでしょうか。

それでもワセリンに対しての不安が拭えない場合には、獣医師さんに相談してからの使用をおすすめいたします。

◆他の保湿クリームにも注意

ハンドクリーム同様に、体の保湿をするボディクリームや唇の保湿をするリップクリームにも注意が必要です。

ハンドクリーム同様ラベンダーなどのアロマ成分が配合されている場合がありますので、購入前に必ず成分の確認をしましょう。


ハンドクリームの出番が少ない環境づくりを

エコ加湿器と猫

ワセリンのほかにも、「オリーブオイル」「馬油」などの油は猫がなめても安全となりますが、ハンドクリームの代用品としてはベタつきなどが気になってしまい、日常使いに向いていないと感じる方も多いかもしれません。

ハンドクリームの出番が少ない環境を作ることも同時に検討してみてはいかがでしょうか。

◆部屋を加湿する

部屋の感想は、飼い主さんだけでなく猫ちゃんも静電気や肉球の乾燥を引き起こす原因となります。

適切な湿度を保つために、乾燥しがちな冬場は加湿器を利用するのもおすすめです。

◆水仕事の際に手袋をする

洗い物等の水仕事をする際には、ゴム手袋で手を守ることも有効です。

ゴム手袋は冷たい水を触らなくて済むので、特に冬場はスムーズに家事ができるでしょう。

◆夜寝る前にハンドクリームを塗る

夜眠る前に天然由来のハンドクリームを塗り、手袋をして眠るだけでも手指の保湿は保たれますので、乾燥しにくい皮膚を維持できるはずです。

工夫次第で愛猫と上手に共存することが可能となりますので、飼い主さんのやりやすい方法で愛猫の安全を確保してあげてくださいね。


まとめ

乾燥の気になる冬の季節はとくに、ハンドクリームが手放せないといった方は多いことでしょう。

ハンドクリームには猫が気になる成分が色々と含まれているので、塗ったあとになめられてしまうといった経験をされたことのある飼い主さんも多いはずです。

攻防戦を愛猫と繰り広げるよりも、どうしたら猫に安全なのかを考えた方が、飼い主さんのストレスも軽減できるのではないでしょうか。

「少量であればなめられても大丈夫」と、そこまで気にしない飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、塵も積もれば山となりますので、少量でも猫になめられないに越したことはありません。

飼い主さんの手に塗るものは、猫が口にしても安全な成分の商品のみを選ぶようにし、極力乾燥が気にならないような生活習慣を心掛けてみてはいかがでしょうか。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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