珍島犬は韓国の代表的な犬種!その歴史とは?
国際的に公認されている犬種の数は300種類を超えています。
数が多いので、誰もが知っているような有名な犬種から、名前を聞いても姿が頭に思い浮かばないような珍しい犬までさまざまです。
日本では馴染みがなくても、原産である地元では「超」がつくほど有名だったりするものですよね。
原産地では「国を代表する犬種」として歴史は深く、長く語り継がれていることでしょう。
韓国では、珍島犬にはどんな歴史があるのでしょうか。
◆珍島に長く生きている「珍島犬」
珍島犬がどんな起源を持っているか…については、実際のところ明確には分かっていなくいろいろな説があるようです。
珍島犬のベースとなる珍島の在来犬は、石器時代に人間の狩猟の手伝いをしていた狩猟犬だったと言われています。
そして、13世紀にモンゴル勢力が韓国に進出した当時、モンゴル兵が軍用犬として連れてきた犬と珍島の在来犬種と交雑させ誕生したのが「珍島犬」になったのではないかということです。
その後、「珍島」において、その犬種の血統が維持され、島名にちなんで「珍島犬」となったそうです。
◆珍島の三宝の「珍島犬」
珍島は、朝鮮半島の南西部に位置する島です。
海を割った「モーセの奇跡」のような体験ができる島として、観光地としても有名なところです。
年に一度、大潮のときに潮が引くと珍島の東方にある茅島との間の3キロほどの距離の海の上に道が出現します。
この「海割れ」により、二つの島が地続きとなり人々は海の上を歩くことができます。
海の上に道が出現するという、なんとも神秘的な光景です。
潮が満ちると再び海に戻り道が消えるため、歩いて渡れるのがわずか1時間ほど…。
その瞬間目指して、その時期には世界中から観光客が訪れています。
このほか、珍島では島を代表する特産品がいくつもあり、そのうちの一つが珍島犬です。
珍島犬は、「クコの実」「岩ワカメ」とともに珍島の三宝として大切に考えられている犬なのです。
◆2005年に犬種登録された珍島犬
2005年イギリスのケンネルクラブに登録された珍島犬は、国際犬連盟(FCI)で世界の犬としても公認されました。
韓国内だけで長く守られてきた珍島犬も、世界の犬として認知されたことにより多くの人に注目される機会が増えたのですね。
珍島犬の体の特徴について
珍島犬の外見的な特徴について見てみましょう。
◆珍島犬はバランスのよい中型犬
珍島犬の体高は「オスが52㎝、メスが49㎝」、体重は「オスが18~23キロ、メスが15~19キロ」が標準で中型犬です。
かつて狩猟犬として活躍していた歴史があるのも頷けるほど筋肉質でバランスのよい体をしています。
◆柴犬にも似ている雰囲気
珍島犬は、日本を代表する人気犬種の柴犬にも外見が似ています。
何かを一生懸命聞き取っているような立ち耳、そしてフサフサの毛でクルりんと丸まった尻尾、ちょっと釣り上った目元…、まるで柴犬の親戚ではないかと思えるほど似ている風貌です。
私たち日本人にとって馴染みのある日本犬と似ていることから、珍島犬を見るとなんだか心が和み、親近感が沸く方も多いかもしれませんね。
逆に、韓国の人も日本犬を見ると身近に感じ、珍島犬に通ずるものを感じるようです。
◆5色の被毛
珍島犬の被毛の生え方は、ダブルコートです。
年に二回の換毛期には抜け毛ケアが重要になる被毛タイプです。
見た目の印象を左右する被毛カラーですが、珍島犬には5つの色があります。
主流の被毛カラーはホワイトで、それ以外にはグレー、フォーン、ブラックアンドタン、ブリンドルです。
色が変わると印象が変わりますが、どのカラーの珍島犬も凛々しく、素晴らしい表情をしています。
◆珍島犬は韓国の天然記念物
珍島という美しい文化のある島で血統を守ろうと保護されてきた珍島犬は、今では国の天然記念物となり貴重な存在です。
地元、珍島では「珍島犬」の血統を絶やさないための研究が行われており、島の宝として大切にされています。
ジャパンケネルクラブでは、珍島犬は狩猟犬という用途で「コリア・ジンドー・ドッグ」として登録され、朝鮮では「コリア・ジンドー・ドッグ」「ジンドー・カエ」などと呼ばれています。
余談となりますが、韓国には珍島犬とよく似た外見を持つ「済州犬(チェジュいぬ)」という犬種もいます。
こちらも韓国ならではの在来種でかなり希少。
猟犬や軍用犬として活躍後、さまざまな理由から絶滅寸前まで数が激減したものの、今では韓国以外の国では見かけることがほぼない珍しい犬となっています。
しっぽの形が若干違いますが、珍島犬と似ていているのが特徴で地元韓国では、かなりの人気の犬だそうです。
珍島犬はどんな性格?
日本犬にも似た雰囲気がある珍島犬ですが、性格はどんな感じなのでしょうか。
◆主人に対して忠実&深い愛情を示す
珍島犬の飼い主に対する気持ちは、日本犬ともよく似ていて忠誠心が高いです。
生まれて間もない子犬から飼われることで、飼い主に対しては深い愛情を持ちます。
育ててもらっているうちに、飼い主さんが珍島犬にとって信頼できる人という位置づけになると、忠誠心を一生持ち続けます。
いろいろな犬種ありますが、「飼い主さんから愛情を受ける→忠誠心を誓う」という点では、珍島犬は他の犬種よりもその気持ちが深いと考えられています。
珍島犬の特徴を理解したうえで正しいしつけを行い、そして愛情を持って接することで築くことができる「深い絆」は一生ものです。
珍島犬は、大切な家族としてお互いに深い愛情のなかで生涯過ごしてくれるでしょう。
◆警戒心が強め
珍島犬は、狩猟犬あるいは番犬としての歴史がある犬です。
「主人」と感じている飼い主さんには強い愛情を示すのですが、それ以外の見知らぬ人には「警戒」する姿勢を見せます。
狩猟本能があるため、来客があると大胆に吠えることもあるかもしれません。
知らない人には、簡単に心を開かない性格です。
打ち解けるまでに時間がかかるので、吠えられないからと言って油断はできないでしょう。
落ち着いているように見えても、距離を取っているだけかもしれません。
可愛らしいからと気軽に珍島犬に触れようとするのはNG。
飼い主以外からのスキンシップに対しては敏感な犬です。
簡単に他人に心を奪われない点で考えると「番犬」としては最高の仕事をしてくれる犬種かもしれませんね。
◆冷静でクールなタイプ
飼い主以外にはオープンな心を持たない珍島犬は、ふだんは冷静沈着なところがあります。
外見の堂々とした風貌を裏切らず、物事に動じず勇敢な性格です。
しかし、しっかりとしつけができていれば、他人に対してむやみに攻撃的になることはない慎重派タイプです。
一見、クールでツンとした印象を持たれますが、その凛々しい風貌と内面の落ち着きも珍島犬の良さでもあります。
◆運動能力が高い
珍島犬は、韓国では今でも狩猟犬として活躍しています。
力強い自慢の脚力で、獲物を追いかけるときの走りも軽やかです。
体を動かすことが好きで、走る様子は元気そのもの。
一緒に散歩に行ったり、遊んであげたりしたときに喜ぶ姿はとても可愛らしいですね。
珍島犬を飼うならどこで購入できる?
珍島犬は、韓国の天然記念物で貴重な存在ということもあり、日本のペットショップで気軽に購入できる犬種ではないでしょう。
「珍島犬を飼いたい」と思ってすぐに入手できる犬種ではないのが現状です。
日本に、韓国珍島犬協会の東京支部があります。
珍島犬の購入を検討したら、まずは問い合わせてみるといいかもしれません。
珍島犬を飼うときに知っておきたいポイント
珍島犬と一緒に暮らせることになったら、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
◆毎日の散歩でたっぷり運動させる
珍島犬は、体力があるので走ったり遊んだりと運動が大好きです。
毎日の散歩は、1日合計1時間から2時間くらいと長めの時間を確保してくださいね。
家のなかで閉じこもってばかりだと、運動ができずにストレスになってしまうと思います。
散歩タイムは、愛犬との絆を深める時間でもあります。
忙しくても毎日外に連れ出してあげましょう。
また、通常の散歩以外でも広いエリアで自由に走らせることも重要。
週末にはドッグランや広場に連れていき、たくさん遊ばせてあげると喜びます。
◆ダブルコートの被毛のお手入れ
珍島犬は、「トップコート&アンダーコート」のダブルコートの犬種です。
被毛は、上の毛の「トップコート」、下の毛の「アンダーコート」の二重構造です。
アンダーコートは換毛時期には、抜け毛となるので被毛のケアは大切。
ブラッシングをさぼるとトップコートの下の抜けきっていない毛が溜まり毛玉となり、毛皮膚トラブルのもとになるかもしれません。
溜まった毛玉によって毛量が増えると皮膚との間の通気性がなくなってしまいます。
蒸れが起り、皮膚の炎症を起こすこともあるでしょう。
換毛時期には、ダブルコートに適したブラシを使って、こまめにブラッシングをしてあげてくださいね。
ブラッシングが不足すると汚れが溜まります。
乾燥するとパサついた毛質になり、ツヤがない印象になるでしょう。
また、ブラッシングでの適度な刺激が皮膚と被毛の健康に繋がります。
スキンシップになり、愛犬も喜ぶと思います。
●おすすめ商品
●ピン先でしっかり被毛をブラッシングできます。
●長毛種特有の美しくて健康な被毛のための必需品。
●ピンが抜けにくい特殊製法で長持ち。
◆室内での飼育がおすすめ
狩猟犬で強そうなイメージがある中型犬の珍島犬。
見た目のたくましさから、屋外で飼育するのも問題なさそうに考える人もいるのではないでしょうか。
番犬的に飼うなら屋外だというイメージなのかもしれませんね。
でも、珍島犬を飼うなら室内での暮らしがいいでしょう。
珍島犬は、飼い主との深い関わりを望んでいる犬種です。
コミュニケーションが散歩のときだけだと、「絆」を深めることが難しくなるかもしれません。
また、暑さに弱いタイプなので夏には屋外飼いの熱中症には注意しなければなりません。
室内、屋外のどちらで飼うにしても愛犬の体調を見ながら暮らしやすい環境を作ってあげましょう。
◆トラブルを起こさないためのしつけが肝心
珍島犬は、大好きな飼い主さんの指示は忠実に守ってくれる一途さがあります。
散歩やドッグランなどで外出することも多いので、いざというときに瞬時に指示を聞くことができないと周囲の人間や動物たちとトラブルを起こすこともあるでしょう。
体重は25キロ未満程度で中型犬ですが、筋力があるので力は強いです。
散歩中に急に道路に飛び出したりすれば、人にぶつかるリスクもあります。
主従関係をしっかりと構築できるように、飼いはじめたときからしつけを始めるようにしましょう。
可愛いからと甘やかし過ぎると、珍島犬にとってのリーダー的存在が不在になってしまい飼い主さんの指示を曖昧にすることが多くなります。
愛犬にとっての「主人は誰か」について誤解されることがないように、「愛情」「しつけ」にメリハリをつけて関係を築いていってくださいね。
まとめ
珍島犬についてお話ししました。
犬種名を「初めて聞いた」という人が多かったと思います。
でも、主人に忠実なところ、そして見た目の凛々しい雰囲気など、日本犬と似ているところばかりで、親近感を持ったのではないでしょうか。
珍島犬の飼い主さんへの愛情は感動するほど大きなものです。
小さなときから信頼関係ができていれば、飼い主さんに対して生涯変わらない深い愛を注いでくれます。
大切な家族の一員として、幸せな毎日を送ることができそうですね。
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