飼い主が外出して周りに誰もいなくなると、猫は動き出して色々なことを始めます。そう言われると、いかにもイタズラを始めたり、部屋の中で動き回ったりと、活発な運動を想像されるかもしれません。
しかしそうではなく、飼い主が居ない間多くの猫は、長い時間窓の外を見ているものです。
部屋の中にお昼寝スペースがあっても、そこで眠るより窓の外の世界を見て過ごす時間の方が多いのです。また、お気に入りのおもちゃがあっても、それで遊ぶよりは、やはり窓の外が気になってしまうようです。特に、家の中で暮らしている猫にとっては、外の世界の様子は興味深く眺められるものなのでしょう。
このように、猫は意外に何かを観察するのが好きな動物です。窓の外を眺めること以外にも、様々なものを観察する習性があります。例えば、餌を観察します。人間がいつも見ているテレビも観察の対象の1つですし、飼い主が毎日使っているパソコンも、興味深そうに眺めている物の1つです。読書が好きな飼い主で、本棚や机に本を置いてあるのなら、それらを眺めていることもあります。
自分が居ない間に多くの物へ興味を持っていることを、意外に感じる飼い主の方も居られるでしょう。特に、自分が居ない間は眠り続けているだろうと考える飼い主の方であれば、なおさらです。でも、普段眠ってばかりの猫が、飼い主の外出時を狙ってこっそり愛用品を眺めていると聞かされると、なんだか可愛らしく感じられませんか?
もちろん、飼い主が居ない間にも、猫が眠っている時間はあります。ただし、その時間はかなり短く、窓の外を眺める時間の4分の1程度にとどまります。普段は眠り続けている子であっても、一人でいるときは眠る時間が意外に少ないものです。
いつも眠ってばかりで退屈ではないのかなと不思議に思っている方は、試しに家の中にカメラを仕掛けて、外出中の屋内の様子を撮影してみると良いでしょう。一日の殆どを寝て過ごしているのんびりした子が、意外に様々な物に興味を持って動き回る、可愛い一面が見られて面白いものです。きっと、飼い猫が飼い主の興味対象に、強い関心を抱いている動物だと理解できます。
部屋の中を活発に動き回る目的は?
猫には縄張りがあることが良く知られています。例えば、野良として過ごしている猫が毎日、縄張りの中に異常がないかパトロールする習性があることも、一般的に広く知られていますね。実は、この習性は家で飼われているペットでも同じことで、家の中の様々な場所を探して、異常が無いかチェックしています。
普段、気持ちよさそうに眠っているリビングの中でも、飼い主が居ない間に、色々な場所を探してパトロールをおこないます。また、餌を貰える場所、餌が置いてある場所でもあるキッチンも、猫達にとって重要なパトロールポイントの1つです。この他にも、意外と思われるかもしれませんが、飼い主のプライベートな空間であるベッド―ルームやお風呂場、自宅で仕事をしている方であれば仕事部屋等も、チェックするポイントになっています。
こうしてパトロールを念入りにしている間、猫は知らない匂い、つまりよそ者が侵入していないか注意深くチェックしている状態です。そう言われると、まるでお巡りさんのように精力的に運動をしているように思えるかもしれませんが、猫の運動量は意外に少ないもの。放し飼いにしている場合は長い時間外にいる子もいますが、実は移動距離にして100メートル動けば多いくらいです。
縄張りのチェックをする他に激しく体を動かすのは、お気に入りのおもちゃで遊ぶときや、他のペットと一緒に過ごすとき程度です。おもちゃで遊んだり、動物同士でじゃれあう姿は、飼い主であれば目にする日常の光景でしょう。それはペットにとっても同じことで、飼い主がいない間も日常をマイペースに過ごしているものです。
これら以外で部屋の中で動くのは、部屋の中にあるお気に入りスポットに登ったり降りたりするときになります。その代表例の1つはキャットタワーです。キャットタワーを購入したものの、まったく遊んでくれなくて、がっかりした飼い主の方も少なくないでしょう。こういう場合、お出かけの間にこっそり登って遊んでいることもあるものです。
正反対の行動の理由。どう理解すればいい?
「猫はいつも眠っているもの」
こうしたイメージを持つ飼い主にとっては、自分が外出中の間も変わらず眠り続けているのだろうと思えるものです。それが実際には、飼い主が居なくなると意外に活発に動きまわるようになることがわかりました。ほとんど正反対とも言える違いですから、飼い主の方の中には、「自分が邪魔で動き回れないのではないか」と、ショックを受けて落ち込んでしまう方も居られるかもしれません。
しかし、猫が飼い主の前で眠り続けるのは、飼い主が居るから安心して眠れるという信頼があってこその行動なのです。お腹が空いたらご飯をくれたり、体が汚れたらお風呂で綺麗にしてくれたり、甘えたくなったら好きなだけ遊んでくれたりと、猫にとって人間は頼れる特別な存在です。普段の様子は、決して飼い主のことを無視したり嫌ったりしているのではなく、安心して過ごせる条件として飼い主の存在が欠かせないからと言えます。
実際に、猫は決して飼い主に対して無関心で冷淡な性格ではありません。例えば、何匹も一緒に飼っている場合は、それぞれが飼い主の膝の上に乗る時間を決めて、膝の上をシェアしている等、飼い主との時間を特別に思う様子が端々に見られることもあります。
お腹を見せて無防備な格好で眠っているのも、その場所が安心して眠れる場所だとわかっているからこそやることなのです。頼りになる飼い主がいて、安全か確保できていると判断しているからこその行動です。パソコンを操作している間に近くへ寄ってくるのも、作業を妨害したいのではなく、仲良くしたいと思っているからこそおこないます。猫は、嫌いな相手には決して近づかない習性をもつ生き物であり、向こうから近づくのは親愛の証です。
普段、一緒に過ごしていると気が付きにくい、ペットからの愛情のサインを読み取るのは飼い主として重要なことの1つです。普段一緒にいるときにはそっけなくしていても、実は飼い主の気が付かない所で寂しがったり、帰りを待ちわびていたりと、可愛い行動が多いもの。いつもはそっけない猫達も、注意深く観察してみると、色々な行動の裏に隠された信頼と愛情がよくわかるものです。
いかがでしたか。
飼い主が居ないときの猫は、いろいろなものを観察しているという、意外な行動がわかりましたね。飼い主の見ていないところでパトロールをする姿を想像すると、なんとも可愛らしいものですね。より一層、猫が愛おしく思えたのではないでしょうか。
これからも飼っている猫を大切にしてあげてくださいね。
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