「タマ」という名前の有名な猫が実在した
東京都世田谷区にある豪徳寺というお寺は、招き猫発祥の地として知られています。
かつてここの和尚さんが飼っていた猫が招き猫のモデルとなり、名前は「タマ」と呼ばれていました。そして招き猫が有名になる事で、全国的に「タマ」という名前が流行っていったと考えられています。
ところで、右手を上げている招き猫は金運・幸運を招くとされ、左手を上げている招き猫は千客万来とされてることは浸透されている情報ですが、実は、右手を上げている招き猫はオス猫、左手を上げている招き猫はメス猫と言われていること、ご存知でしたか。
招き猫には三毛猫が圧倒的に多いのですが、三毛猫のオスは幸運を招くと珍重されているのはそんな理由が関係しているのかもしれません。
猫を宝のように扱っていたため
日本に猫が入ってきた当時、猫にひもを付けて散歩をさせることが流行っていたそうで、当然珍しい生き物でしたから、宝物を表す「宝玉」にちなんで「タマ」と名付ける人が多かったと言われています。
日本の猫の起源については、弥生時代の遺跡から猫の遺骨が出土した事例がありますが、奈良時代頃、大切な書物をネズミから守るため益獣として、中国から輸入されたことが日本猫の始まりと言われています。
ネズミ防止の益獣としての使用は在来猫の役目で、舶来からの猫は唐猫(カラネコ)と呼ばれ、いわゆる貴重なペットとして繋がれて飼育するものとされていました。
猫を神秘的な動物としてきた時代の名残
かつて「タマ」という言葉は魂や霊を意味し、猫も神秘的な動物とされていたので、そのまま猫の名前に選んできたと考えられます。
実際、猫が登場する昔話も数多く残されており、神秘的な話が日本全国にあるのです。
石川県には「谷峠の猫又」、大分県には「ネズミの彫り物」、福岡県には珍しい「竜宮猫」などがあります。
福岡県に伝わる「竜宮猫」には乙姫様は登場しますが、カメは出てきません。
竜宮城に行き、戻る際のお土産に玉手箱ではなく、不思議な力をもった猫をもらって帰ってきます。
猫に小豆を1合食べさせると、3合分の宝物を産む不思議な猫の話です。
また、猫の妙術という本は享保12年佚斎樗山によって書かれた剣術の所作なのですが、猫に語らせるという不思議な一冊でもあります。
猫の名前に女性の名前を付ける習慣があった
かつて「おたま」という女性の名前から「タマ」という字をとって猫につけたところから習慣化し、「タマ」という名前が普及したと考えられています。
その家の妻や子供の名前を猫につけるということは、それだけその家に猫が欠かせない存在であったのかもしれません。
丸くなって寝る猫の特徴をそのまま名前にした
猫が寝るときのイメージは、やはり丸まっているところを想像するのではないでしょうか?
猫が丸まって寝ている様が玉のように見え、可愛らしいとのことから「タマ」と呼ばれるようになったという説もあります。
また、猫は丸いものが転がると良く遊ぶことからも「タマ」と付けられた説もあります。
猫が丸まって寝る時は、警戒心が強い状態で、外界の気温が15度以下と寒い時の寝る体勢。
室内飼いされている猫は敵に襲われることはまずないので、安心して寝ていられる証拠として、お腹を出して寝ている子が多いのです。
まとめ
猫の名前を「タマ」と付けた理由は諸説あり正確なところはわかっていませんが、昔の人は「タマ」という名前にこれほどまでの思い入れがあって付けていたということがわかりました。
現代「ペットの名前上半期トレンドベスト100」の2015年を見てみると、上位100位の中には「タマ」という名前は入っていません。むしろ珍しい名前ということでランクインしているほどです。
「タマ」という名前は今では珍しい名前ですが、猫の良さは今も昔も全く変わっていないことがわかりますね。