猫の指はどうなっているの?
猫は四足歩行の動物です。人間の手に相当する部分は「前足」で、足に相当する部分は「後足」と表現されます。猫の後足の親指は痕跡的にしかありませんが、前足の指は合計10本、後足の指は合計8本となります。
多指症の猫は、前足の指だけが多い場合や、後足の指だけが多い場合があります。また、前後の足の指が全ての数が多いケースもあります。
また、多指症の猫は、通常の猫よりも手先が器用といわれています。転がるおもちゃを上手に片手でキャッチするなど、普通の猫にはできないことができる猫が多いようです。
指の数が多いからといって、猫の日常生活に不便なことはあまりないようで、特別な治療は必要ありません。
強いていうならば、6本も指があるために爪が研ぎにくいことがあり、そのまま爪を伸ばしておくと巻き爪になって肉球にささってしまうことがあります。定期的に爪切りをしてあげなければいけません。
多指症の猫のはじまり
6本指の猫は、近親交配の結果などが原因といわれています。多指症は優性遺伝で、猫が子供を作る場合、どちらかの親猫がこの遺伝子を持っていると多指症の猫が生まれてくる可能性があります。
多指症の猫が多く住む地域があります。多指症の猫が多いのは、アメリカ北東部とグレートブリテン島の一部の地域だといわれています。中でも最も多い地域はボストンで、実に15%を占めているという報告があります。
また、ノーベル賞作家のアーネスト・ミラー・ヘミングウェイが住んでいたフロリダ州キーウェストも多指症の猫が多い地域です。
日本では多指症の猫はほとんど見かけないようです。「幸福を呼ぶ猫」なのに見かけられないのはとても残念ですね。
6本指を持つ「ヘミングウェイ・キャット」
ノーベル賞作家のアーネスト・ミラー・ヘミングウェイは、フロリダ州キーウェストで執筆活動を行っていました。ヘミングウェイはとても猫が好きで、キーウェストに来る際に知り合いの船長から2匹の猫を譲り受けたそうです。その猫たちは指が6本ある多指症の猫でした。
大変貴重で器用な手の持ち主であると感じたヘミングウェイは「幸運を呼ぶ猫」だと信じていたそうです。現代でも、多指症の猫が生まれた場合は「幸運を呼ぶ猫」へ親しみの意味も込めて「ヘミングウェイ・キャット」と呼ぶことがあります。
また、ヘミングウェイが飼っていた猫はメインクーンだったという説が高くなっています。メインクーンの先祖は6本指であったといわれているので、キーウェストには、6本指の猫が多いというわけです。
ヘミングウェイは43匹の成猫、14匹の子猫の合計57匹の猫たちと家族と過ごしました。彼の写真の多くには、6本指の猫たちの姿が数多く収められています。
ところでヘミングウェイがいなくなった今、6本指を持つ猫たちはどのように暮らしているのでしょうか。
猫たちの健康状態はフロリダ州によってきちんと管理されていて、6本指の猫の血は脈々と受け繋がれています。
猫たちは「ヘミングウェイ博物館」のあちこちでくつろいでいるそうです。博物館はヘミングウェイの自宅をそのまま美術館になっていて、展示場の上でもお構いなしでお昼寝をする猫の姿が見られます。ベッドやソファが飾られていますが、かなりの確率で猫たちがくつろいでいます。庭やベランダにも猫たちがいます。猫専用の水飲み場があったり、ヘミングウェイの自宅をそのままミニチュア化した猫用ハウスがあります。
いつも観光客で人が多いせいか、猫たちはとても人懐っこい性格です。
最後に…
キーウェストに住んでいる猫たちは1匹1匹名前がついています。チャップリンやオードリー・ヘップバーンという名前の猫もいます。そして、60匹以上いる猫たちの約半分が6本指の持ち主だそうです。猫たちはフロリダ州によって管理されていて、たくさんのご飯をもらってのびのびとした生活を送っています。
『多指症』は病気なのですが、猫にとっては特別に不便なことはなく過ごせることがわかりました。それだけでなく「幸運を呼ぶ猫」と呼ばれ人から可愛がられているということはすごく幸せなことです。猫好きとして1度でいいから6本指の猫たちと会いたいものです。
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