猫の血液型は3タイプ!愛猫の血液型を知っておくメリットとは?

2022.04.26

猫の血液型は3タイプ!愛猫の血液型を知っておくメリットとは?

猫にも、私たち人間と同じように血液型があります。猫と暮らしている飼い主さんは、ご自分の猫の血液型を知っているでしょうか?血液型の種類は、人間はA型、B型、AB型、O型の4種類ですが、猫はA型、B型、AB型の3種類があるのです。猫の血液型を知っておくことは、猫と暮らす場合にはとても大切なことです。 今回は、猫の血液型について、そして自分の猫の血液型を知っておくメリットについてご紹介します。

【目次】
1.あなたの猫の血液型は何型?
 1-1.猫の血液型の決まり方は「猫AB式」
 1-2.猫は何型が多い?
 1-3.AB型には例外もある
2.血液型と猫の性格は関係する?
3.血液型を知っておくメリットは?
 3-1.輸血が必要な時、早急に対応できる
 3-2.輸血時は血液型の特定が必須
 3-3.子猫の新生子溶血を防ぐ
4.猫の血液型を調べるには?
 4-1.血液型簡易判定キットとは?
 4-2.血液型簡易判定キットの料金は?
5.愛猫の輸血を助ける「供血猫」とは?
 5-1.日本における供血猫の存在
 5-2.猫用人工血液が開発される
 5-3.供血猫になる条件とは?
 5-4.供血猫として登録するには?
 5-5.供血猫として献血する流れは?
 5-6.愛猫への負担を考えよう
6.猫の血液型についてのまとめ

あなたの猫の血液型は何型?

集まっている猫たち

あなたは飼っている猫の血液型、知っているでしょうか?
猫にも人間と同じように血液型があり、A型、AB型、B型の3種類のみが確認されています。

◆猫の血液型の決まり方は「猫AB式」

猫の血液型は、母猫と父猫それぞれから1本ずつ受け継ぐ「血液型遺伝子」の組み合わせによって決定されます。

A型の猫になる組み合わせは次の3つがあります。

・A型遺伝子+A型遺伝子
・A型遺伝子+B型遺伝子
・A型遺伝子+AB型遺伝子

AB型の猫になる組み合わせは次の2つがあります。

・B型遺伝子+AB型遺伝子
・AB型遺伝子+AB型遺伝子

B型の猫になる組み合わせは次の1つがあります。

B型遺伝子+B型遺伝子の1つとなります。

ちなみに、人間で多いと言われるO型ですが、猫には存在しません

◆猫は何型が多い?

基本的には、各遺伝子同士の優性関係は、A>AB>Bと想定されています。

つまり、A型の遺伝子とB型の遺伝子がある場合、A型遺伝子が優性なので、血液型が「A型」になります。
また、AB型の遺伝子とB型の遺伝子がある場合、AB型遺伝子が優性なので、血液型が「AB型」になるということです。

このことから、猫の血液型ではA型が最も多いとされています。
優性関係ではB型よりAB型の方が強いですが、AB型の猫の数が圧倒的に少ないためAB型はごくわずかといわれています。

血液型は猫種によっても割合が違うため、国によって猫の血液型の割合は異なるものの、いずれの場合でもA型が7割以上と圧倒的に多いようです。

◆AB型には例外もある

A型の遺伝子とAB型の遺伝子がある場合、A型遺伝子が優性なので、血液型がA型になるはずですが、A型遺伝子とAB型遺伝子が共存しているのに血液型がAB型という例が発見されています。

また、猫のAB型は、人間のようにA型遺伝子とB型遺伝子を受け継いで発言するのではなく、AB型遺伝子が独立して作用して血液型に現れていると推測されています。

そのため、A>ABは必ずしもそうであるとは言えないようです。


血液型と猫の性格は関係する?

猫の性格が血液型によって傾向があるかというと「ない」と言えます。

猫の性格は血液型で決まるのではなく、親猫の性格、生まれてからの環境といった先天的なものと後天的なものが影響します。

また、日本にいる猫のうち70%から80%以上が、A型であると言われています。
血液型で性格の傾向が出るとしたら、日本の猫はみな同じような性格になることになってしまいますね。

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血液型を知っておくメリットは?

くつろいでいる猫

猫の血液型が何かを知っておくことは、とても大切だと言えるでしょう。

◆輸血が必要な時、早急に対応できる

猫に輸血が必要になった時、血液型を知っておけば、血液型を特定するまでの時間を短縮することになりますので、少しでも処置が早く出来る可能性があります。

具体的に輸血が必要な状況としては、猫が貧血になった時、事故などで大怪我をした時、ガンになった時などがあげられます。

◆輸血時は血液型の特定が必須

輸血の治療をするには、猫の血液型を調べて特定しておかなくてはいけません。輸血を行なう時に違う血液型のものを使用してしまうと、拒絶反応や溶血反応を起こしてしまうからです。
猫の血液型がわからない状態で血液同士を混ぜ合わせてしまうと、お互いの血液が赤血球を攻撃し合うので、場合によっては重篤な症状を引き起こすことになります。

特に、血液型がB型の猫にA型の血液を輸血すると、非常に強い拒絶反の急性溶血反応を起こして、命にかかわることがあります。

◆子猫の新生子溶血を防ぐ

子猫が血液不適合の母猫からの初乳を飲むと起こる「新生子溶血」というものがあります。
生まれたばかりの子猫が母猫の初乳を飲んだ時、血液中の赤血球が破壊され、溶血性黄疸を起こしてしまう反応です。

母猫の初乳の中に、自分の血液型以外の抗原に対する抗体が含まれています。生まれた子猫が初乳を飲んだ時、この抗体が体内に取り込まれ、その抗体が子猫の赤血球を破壊してしまうことで起こります。

中でもB型の母猫からA型の子猫が生まれた時に、この新生子溶血によって、子猫が命を落としてしまうことが多いとされています。もしB型の母猫からA型の子猫が生まれたら、母猫の初乳を飲ませないことで予防が出来ますが、なかなか難しいことではありますね。

これを防ぐには、血液型不適合が起こるような交配をしないことが一番の予防となりますので、親猫の血液型を知っておくことはとても大切だと言えます。


猫の血液型を調べるには?

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動物病院で猫の血液型を調べてもらうには、血液を採取して、血液サンプルを検査機関に送って調べてもらいます。

また、動物病院では、緊急の場合に備えて「血液型簡易判定キット」を常備しているところも多くあります。

◆血液型簡易判定キットとは?

血液型簡易判定キットとは、動物病院などで簡易的に猫の血液型を調べることができるキットのことです。

血液型簡易判定キットのおおまかな使い方は、以下の通りです。

  1. 猫から血液を採取する
  2. まず猫から血液を0.4mL以上採取します。

  3. 血液の凝集反応の確認
  4. 自己凝集検査用とあるところに1滴(約40μL)滴下して、使用方法にある手順を行い、猫自身の血液で凝集反応が出るかどうかを確認します。

  5. 結果の判定
  6. A型検体用、B型検体用に1滴(約40μL)ずつ滴下して、使用方法にある手順を行い、結果を判定します。

もしA型区画でだけ凝集反応が起こった場合の血液型はA型、B型区画でだけ凝集反応が起こった場合の血液型はB型、両A、B方の区画で凝集反応が起こった場合の血液型はAB型と判断されます。

◆血液型簡易判定キットの料金は?

血液型簡易判定キットの料金は、病院にもよりますが、5000円~7000円前後のところが多いようです。

万が一愛猫に輸血が必要になった場合は、こういったキットを使用する必要があることも知っておきましょう。


愛猫の輸血を助ける「供血猫」とは?

ケージの中にいる白猫

輸血が必要な猫のために献血に協力してもらう猫のことを「供血猫」と言います。

◆日本における供血猫の存在

日本国内では、猫のための大きな血液バンクがありません。つまり、血液型がわかっている状態でも、輸血に必要となる血液が手に入らないということもあります。
また、猫の血液は長期間の保存が難しいので、輸血が必要な猫にとって、供血猫という存在がとても大切になります。

規模の大きな動物病院などでは、輸血用の血液を提供してくれる猫を住まわせているところもあります。さらに、動物病院によっては、近隣の飼い主さんに自分の猫を供血猫として登録してもらっているところもあります。

◆猫用人工血液が開発される

2018年3月には、中央大学と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構が「猫用人工血液」の開発に成功しました。
猫用人工血液は、動物医療の現場が抱えている輸血液不足の問題を解決する革新的な発明だとされて、動物の医療に大きな貢献をもたらすとして期待されています。

もし、動物用の人工血液が動物病院内に常備されることが出来れば、輸血にかかる手間などは大幅に簡略化されることになります。猫ドナーの確保をする必要が減り、血液適合性試験も不要となることがその大きな理由です。

ただし、この猫用人工血液の実用化は数年先になると考えられています。
実用化されて広まるまで、また広まった後でも、人間に献血する人が必要なのと同じように、一定数の供血猫は必要であると考えられます。

◆供血猫になる条件とは?

供血猫になるには、いくつかの条件があり、それを満たしている必要があります。主なものをご紹介します。

・1歳以上8歳未満であること
・体重が4kg以上あること
・持病がないこと
・特殊な病気にかかっていないこと
・ワクチン摂取を定期的に受けていること
・完全室内飼いであること

◆供血猫として登録するには?

供血猫として輸血の協力をしたいと考える方は、かかりつけの動物病院に問い合わせてみてください。

その動物病院がドナー登録を呼びかけていて、条件を満たしていれば、まずは血液検査などを受けます。検査によって問題がなければ、供血猫として登録できることになります。

◆供血猫として献血する流れは?

供血猫として登録されて、実際に献血することになった時の流れは以下のようなものです。

  1. 動物病院からの連絡
  2. 供血猫として登録していると、動物病院から連絡が入ります。

  3. 血液適合チェック用の採血
  4. 病院で4ccほどの採血をして、輸血される猫との血液適合チェックが行われます。血液が適合すれば、輸血用の採血が行われます。

  5. 輸血用の採血
  6. 猫の採血をしますが、採取する血液量は、40~50mlぐらいで、猫の体重の約1%に相当する量になります。

採血は10分程度で終わります。その後、点滴や健康状態、採血部分のチェックをしてもらって、問題が無ければ終了です。

◆愛猫への負担を考えよう

動物病院では、供血猫として協力してくれた場合、健康診断を無料でしてくれるなどのお礼をしてくれるところが多いようです。

ただ、供血猫となって献血をした時には、猫が一時的な貧血に陥ることになり、多くの場合は採血後に鎮静剤が必要になること、潜在的な病気が発現する可能性があることなどが考えられます。

供血猫に協力したい場合は、愛猫にかかる負担をよく考えた上で登録しましょう。


猫の血液型についてのまとめ

猫にも血液型があるため、輸血が必要になった際には、ちゃんと適応する血液型の血液を使用する必要があります。万一の時の怪我や大きな病気、また、出産を考えている猫のためにも、猫の血液型を調べておくことは大切なことと言えるでしょう。

猫の血液型を調べておきたい場合には、かかりつけの動物病院で相談してみることをおすすめします。

また、動物病院には供血猫がいるところもあり、猫の輸血にはとても重要な役割を果たしています。
供血猫として協力したい場合には、こちらもかかりつけの動物病院に問い合わせをしてみてくださいね。



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ネコ、犬、インコ、金魚などと暮らした経験を生かし、飼い主さんに役立つよ うな記事を作成しています。 ペット情報を日々チェックしながら、ペットについて勉強中です。かわいいペ ットをメインとしたイラスト作成もしています。


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