【獣医師監修】猫の血液検査では何が分かるの?検査結果の見方が知りたい!

2020.12.29

【獣医師監修】猫の血液検査では何が分かるの?検査結果の見方が知りたい!

愛猫の健康を守るためにも、定期的な健康診断はとても重要ですが、その検査項目の中でほとんどの動物病院で行う検査といえば、血液検査が挙げられますよね。 ほんの少しの採血量で、様々な病気や体の異常が分かると言われている血液検査ですが、明確にどんなことが分かるのかも知っておきたい飼い主さんは多いのではないでしょうか。 そして血液検査を受けるにあたっての注意事項や、ローマ字が羅列された検査結果の見方も併せてご紹介していきます。

猫の血液検査

動物病院で診察を受ける猫

猫も人間と同じように、体に異常がないかの確認をするためには、動物病院で健康診断を行って、体の隅々まで検査をしてもらう必要があります。

猫はとても我慢強い性格ですので、体に異変が起きていたとしても、じっと耐えて治そうと努力をする動物です。

病気が発覚するのは、重症化してからのことも多いので、そのような状態にならないためにも、定期的な健康診断は必要と言えるでしょう。

その検査の中でも全身の状態を把握するのに役立ち、異常の早期発見に繋がる検査と言われているのが、「血液検査」となります。

猫が血液検査をすることによって、どのようなことが分かるのでしょうか?

◆どんなことがわかる?

猫の健康診断は血液検査だけでなく、問診や触診などの身体検査や、尿検査やレントゲン検査などの臨床検査が一般的となります。

血液検査で猫の健康状態がすべて分かるわけではありませんが、明確な数値を出すことにより、さらに詳しく体の状態を調べるために役立ちます。

血液は体中をめぐって必要な栄養や酸素を運搬するといった、重要な役割を担っているので、疾病特有の変動が生じやすく、体の中で何が起きているかを判断しやすいのです。

血液検査は「血球検査」「血液生化学検査」があり、血球検査はその名の通り血球(赤血球・白血球・血小板)の数を測定し、割合などを調べていきます。

血液生化学検査では血液中の物質を化学的に分析することによって、各臓器(腎臓・肝臓・膵臓など)に異常を来していないか、感染症や病気を患っていないかなどが検査によって分かるようです。

◆費用はどれくらい?

猫の血液検査は病院によって異なりはしますが、血球検査と血液生化学検査を合わせて、10,000~15,000円ぐらいで設定されていることが多いようです。

血液検査のみの検査となると高額に感じますが、そのほかの検査もセットになった健康診断であれば、色々なオプションがついて20,000円前後の病院も多いので、やはり最低でも1年に1回は、健康診断を受けさせてあげるべきなのではないでしょうか。

また、持病の経過観測で血液検査が必要な場合は、5,000~10,000円程度で検査が可能ですので、猫が何の目的で血液検査を行うのかで、費用が変わるということを覚えておきましょう。

◆保険は適用される?

基本的に猫の健康診断は自由診療となり、保険が適応されることはありません。

ペット保険は人間の保険と一緒で、怪我や病気の治療に備えるものとなりますので、健康診断の項目に血液検査が含まれている場合は、保険が適用しないと考えておきましょう。

ただし、持病の経過観測で血液検査が必要な場合は、加入している保険によっては、保険が適用することもあるので、加入されている保険の内容をしっかりと把握しておくようにしてください。


猫の血液検査を受ける時には

愛猫に血液検査を実際に受けさせる場合には、飼い主として何か準備することがあるのかも気になるところですよね。

血液検査を行うにあたって、どんなことに気をつければ良いのでしょうか?

◆獣医さんの指示に従って前日から準備

血液検査は数値がものを言う検査なので、正確な値を出すためにも、検査の数時間前から絶食を要求されることがほとんどです。

なので思い付きで動物病院に猫を連れて行き、血液検査をすることは基本的にはできませんので、そのことを踏まえた上で、動物病院に検査の予約を入れるようにしましょう。

絶食と聞くと可哀相な気もしますが、半日程度の絶食が一般的ですので、朝と夜の2回食事の時間がある猫ちゃんであれば、そこまで耐えられない時間ではないということが分かりますよね。

血液検査の予約時間にもよりますが、猫ちゃんの負担を考えて獣医師さんは午前中かお昼頃に予約を入れることが多いので、前日の夜に食事をとって、そこから検査時間まで絶食をさせるようにしましょう。

◆当日の朝はどうする?

基本的には血液検査の当日でも、お水は飲んでもいいことがほとんどなので、飲み水は常に出しておき、自由に飲める環境を整えてあげてください。

ご飯をもらえないことに違和感を覚えることにはなりますが、飲み水さえあれば猫は空腹を紛らわすことができるので、水は自由に飲ませてあげましょう。

◆結果はどれくらいでわかる?

血液検査の結果は、動物病院で使用している検査装置にもよりますが、早いもので30分前後の時間で結果が出せる病院や、検査後数日~1週間程度で結果を出してくれる病院もあります。

血液検査の結果を聞くために、再度動物病院に足を運ばなくてはいけない場合や、郵送で済む場合もありますので、検査結果がどれぐらいで出るのかも、検査の際には獣医師さんに確認しておくようにしましょう。


猫の血液検査結果の見方

検査項目

血液検査の結果は、用紙にプリントして渡されることが一般的です。

ですがそこに記載されているのはローマ字の羅列や、難しい言葉が並んでいることが多いので、いまいち見方を理解できない方も多いのではないでしょうか。

そんな飼い主さんのために、血液検査結果の見方のポイントを押さえてご紹介いたしますので、是非参考にしてくださいね。

◆血球検査

血球検査は前述した通り、赤血球・白血球・血小板といった血球の数値の測定となりますので、主に貧血や血液の抗体、血液凝固状態などを調べます。

RBC(赤血球数)・HGB(ヘモグロビン値)・PCV(ヘマクリット値)
これらの数値は主に、貧血などの赤血球に関する検査項目となっています。

貧血に陥るとこれらの数値が低下し、脱水などで血液が濃縮すると数値が上昇します。

WBC(白血球数)
体を守るための免疫をつかさどる、白血球の総数や炎症の有無を調べます。

体内に炎症を起こしている場合や、ストレスや異物を誤飲した場合などに数値が上昇し、ビタミンの欠乏やウイルス感染症などにより、数値が低下すると言われています。

PLT(血小板数)
血小板の数は血液を固める、止血作用に大きく関わってきます。

減少する傾向として、自己免疫疾患やビタミン欠乏などの、様々な疾患が関係して起こると言われています。

◆血液生化学検査

血球検査で調べた数値とは別に、血液を分離した際に得た血漿(けっしょう)中の成分や、酵素の量などを測定することによって、各臓器の働きを調べていきます。

TP(総蛋白・トータルプロテイン)
分離された血漿中の蛋白量を調べることによって、猫の栄養状態や、腎機能や肝機能、そして免疫状態を把握することが可能です。

何かしらの臓器疾患があると数値が低下し、脱水症状があれば数値が上昇する傾向にあります。

ALB(アルブミン)
こちらも蛋白質の一種となり、傾向としてはTPと似ていますが、この数値が低い場合は、重度の外傷や出血、消化管あるいは腎疾患が原因となっていることが考えられます。

参考基準範囲の数値は3g/dl前後と言われているので、あまりにもこの数値が低い場合は、重篤な疾患が隠れていることもあるので注意しておきましょう。

Gre(血糖値)
血糖(グルコース)は体を動かすためのエネルギー源となりますので、膵臓から分泌されるインスリンなどの働きにより、一定に保たれるように調整されています。

しかし糖尿病や副腎皮質機能亢進症などの疾患により、糖の代謝に異常が生じてしまえば、血糖値が上昇して高血糖に繋がります。

また、この数値はストレスを感じると短時間で上昇するとも言われていますので、猫にとっていかにストレスが大敵であるということが分かりますよね。

BUN(尿素窒素)・GLU(クレアチニン)
これらの数値は、腎障害や尿毒症の指標に用いられることが多いようです。

腎臓の働きが正常かどうかを見る数値となりますので、腎機能をフル活用している猫ちゃんにとって、とても大事な数値と言えるでしょう。

ALP(アルカリフォスファターゼ)
肝細胞や骨芽細胞などで作られる酵素を、ALPと呼びます。

この数値は肝臓の数値となり、成猫で数値が上昇している場合には、糖尿病糖尿病胆管肝炎肝リピドーシスなどの重篤な病気の可能性があるので要注意です。


血液検査と併せて行いたい検査

血液検査で体の異常を把握することが可能となりますが、せっかく絶食までして検査をするのであれば、そのほかの検査を一緒にするのもおすすめです。

どのような検査を行えば、さらに詳しく愛猫の体のことを把握してあげられるのでしょうか。

◆尿検査

腎機能をフル活用している猫にとって、おしっこのトラブルは多いと言われていますよね。

そして健康状態はおしっこに出やすいとも言われているので、最低でも1年に1回は尿検査をしておくと安心です。

◆糞便検査

猫のおしっこ同様、猫のうんちも健康を現すバロメーターとなります。

便からは寄生虫やウイルスなどの感染症や、消化管に異常がないかの検査が可能です。

◆レントゲン検査

体外からは見ることのできない、体内の検査ができるのがレントゲン検査です。

臓器や骨に異常は無いか、怪しい影などはないかを獣医師さんが細かく見てくれます。

怪しい箇所があれば、さらに集中的に検査をして治療を進められますので、こちらも定期的に行うと安心な検査と言えるでしょう。

◆超音波検査

私たちの耳には聞こえない高周波数の超音波を反射させ、返ってきた超音波を画像化させたものが超音波検査です。

体内の臓器をくまなく検査できますし、痛みを伴わず無麻酔でできますので、ほかの検査と併せて行うと安心できますよ。


まとめ

愛猫の健康を望んでいたとしても、健康診断を定期的に受けさせている飼い主さんは現状、少ないのではないでしょうか。

そこには昨今のフードの質が上がり寿命が延びたこと、そして猫自身が我慢強く、不調があっても耐える性格ということが挙げられますよね。

見た目が健康であったとしても、なにか重篤な疾患が隠れている可能性も否めませんので、手遅れになってしまう前に、定期的な検査を行うことが一番です。

とくに血液検査は全身の健康状態を把握できますので、今現在どれぐらいの数値なのかを理解し、何に気を付けていくべきかなどの予防へと繋がります。

検査をせず愛猫の現状を把握しない状態が続いてしまえば、大きな病気をしたときに、その分愛猫に辛い思いをさせますし、多額の治療費を支払わなければいけません。

そのような最悪の状態にしないためにも、定期的に血液検査を行い、数値の見方も把握した上で、愛猫の健康をしっかりと守ってあげるようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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