1.猫の平熱は38度台
1-1.子猫の体温は大きく変動する
1-2.猫の体温調節の方法
2.猫の体温の測り方
2-1.体温の測り方①体温計で直腸の温度を測る
2-2.体温の測り方②非接触型の耳式体温計で測る
2-3.体温の測り方②スキンシップで体温の変化を知る
3.>猫の体温が高い・低い時の温度と対処法
3-1.猫の体温が高い時
3-2.猫の体温が低い時
【掲載:2020.03.03 更新:2023.05.31】
猫の平熱は38度台
成猫の平熱は37.9から39.0度ほどで、38度台が平均的と言われいます。
子猫の場合、成猫よりも若干高く38度台後半から39度ほど、高齢猫になると反対に成猫より少し低く37度後半から38度前半が平熱になります。
子猫から高齢猫まで、人間の平熱である36度台よりも高いので、猫を触ったり抱っこしたりすると少し暖かく感じます。
◆子猫の体温は大きく変動する
生まれたばかりの子猫は体温が低い場合もあり、34度後半~37度前半くらいまでと、幅のある体温です。
生後1週間を過ぎると36度~37度後半の間くらいに保てるようになり、生後3週間くらいになると、平熱が38度前後に保てるようになってきます。
◆猫の体温調節の方法
猫は恒温動物ですので、外の気温に対応して、自分の体温を上げたり下げたりして、一定の温度に調節して平熱を保っています。
体温の調節は、脳の視床下部という部分で調整されています。猫が体温を上げる時には体を震わせて、筋肉を細かく動かし収縮させることで体温を上げています。人間でも寒い時には震えますので、同じですね。
逆に体温を下げる時には、猫は人間と違って汗をかけないので、別の方法で下げています。猫は主に、体を舐めることで、被毛を濡らし、それが蒸発することによって体温を下げているとされています。
猫の体温の測り方
猫の平熱が分かったところで、体温の測り方・体温計の使い方を見てみましょう。
◆体温の測り方①体温計で直腸の温度を測る
人間の場合脇に体温計を差し込むのが一般的ですが、猫の場合は肛門から直腸の温度を測ります。
ペット用体温計の先にワセリンや潤滑剤を塗って猫の肛門から1~2cmほど差し込み、直腸の温度を測ります。
ペット用体温計は、猫の体内を傷つけないように先端が柔らかくなっているものがほとんどですが、違和感はありますのでいきなり測定するのは困難です。
体温の計測をする前に、声掛けやお尻の方をなでたりして、慣らしてから挿入するようにしましょう。
また、この方法は保定出来る人がおらず、一人で行おうとすると危険が伴いますので、病院で獣医さんに測ってもらうのが安全で良いでしょう。
◆体温の測り方②非接触型の耳式体温計で測る
家庭で猫の体温を測るには、耳にあてて測定する、ペット用の耳式体温計がありますので、それを使うと安全でしょう。
耳式体温計は、鼓膜の温度を赤外線センサーで体温を知ることができます。
猫に苦痛や違和感などを与えることがなく、計測時間も短い時間で体温が測れる体温計です。
だだし、体温を正確に測るためには、耳式体温計では複数回の計測をすることが勧められています。
◆体温の測り方②スキンシップで体温の変化を知る
自宅では体温計を使って体温測定を行うのは難しい!という場合は、猫の体を触って体温の変化を見てみるのも一つの方法です。
正確な数値は出ませんが、日頃から愛猫とスキンシップを取ることで体温の変化を感じることができます。
猫と遊ぶため、可愛がる為にスキンシップをとるのも良いですが、体調管理の一環としてスキンシップをすることも心掛けると良いです。
体の隅々まで傷や腫れはないか確認したり、体温チェックとしてはお腹や耳、肉球の温度に注目します。
飼い主さんの感覚にはなりますが、毎日のスキンシップを通して「今日はなんだか熱いな、冷たいな」といった判断が出来るようになるでしょう。
猫の体温が高い・低い時の温度と対処法
◆猫の体温が高い時
猫の体温が高いとされるのは、平熱より高い39度~40度ほどになった時です。
病気や怪我のために発熱している場合もありますので、猫の様子をよく観察し、熱があれば動物病院で診てもらいましょう。
また、犬は体が熱い時に舌を出して息をして、呼吸器から体の熱を逃そうとする「パンディング」を行いますが、猫がパンディングはめったにすることはありません。
子猫は激しく遊んだ直後に見られることがしばしばありますが、成猫がパンディングしているのは要注意な状態です。
少し様子をみても改善しない場合は、呼吸器の問題やなにか病気の可能性があるので、動物病院を受診するようにしましょう。
◆猫の体温が低い時
猫の体温が37.8度以下と平熱より低い場合も、注意が必要です。
病気や怪我、低体温症などになっている可能性があります。
普段、触ると少し暖かく感じるはずの猫が、それほど暖かくないとすれば、思ったよりも猫の体が冷えているということになります。34度以下になってくれば、猫にとってはとても危険な状態です。
特に体力がない子猫や老猫は、冷えると命に関わることもあります。
暖房器具や毛布、湯たんぽなどを使い、ゆっくりと猫の体温を上げるようにすることと、元気がなくぐったりしているようであれば、すぐ獣医さんに診てもらってください。
猫の熱中症に要注意!
熱中症とは、体温の調節能力が低いか、体温の調節できる範囲を超えるほど外気温が高いことで、体温があがりすぎて、体の機能が低下してしまう状態です。
猫の平熱は37.7度~39.2度ほどですが、直腸温度が41度を超えると熱中症だと診断されます。ちなみに、猫の生死に関わる体温の境界線は、43.5度だと推測されます。
◆猫が熱中症になった時の症状
猫の場合、熱中症の初期には、体温を下げるために、パンディングが見られます。
具体的には次のような症状が見られます。
・心拍数が上がる
・よだれが増える
・ふらつく
・元気がなくなる
・ぐったりする
・口の中が赤くなる
・嘔吐する
前述の通り猫にとってのパンディングは、体温が上がり熱い状態で、体に負担がかかっていると考えられます。犬はよく見られる行動ですが、猫の時にはとても熱いと感じていて、何らかの対処がすぐに必要という目安になります。
よだれが出たり、歩きがふらついたりするのは、猫の体内に影響が出始めているということです。
熱中症が進行すると、猫の内臓や脳にまで障害が現れてしまいます。そして、血便や下痢、けいれん、昏睡状態、腎不全、心不全、敗血症などが起こり、死亡につながります。
◆熱中症は早急な対処が肝心
猫の熱中症は、初期のうちに、体温を下げて適切な処置と治療をほどこせば、猫が回復する可能性は高いです。
熱中症になりかかっている時には、猫の様子で飼い主さんが気づくことが可能ですし、その方が早く発見できることもあります。
ただ、飼い主さんが猫を触ってみていつもよりも熱い時にはもちろん、上記のような初期の症状が出たらすぐに病院に連れていくようにしてください。
連れていく時には、猫の体に霧吹きで水をかけたり、タオルで巻いた氷を脇に当てたりして、体を冷やす応急処置をしながら連れて行くと良いでしょう。
猫と人間とでは平熱が違うこともあり、外気の体感温度も猫と人間とで違います。
そのため夏場に飼い主さんの感覚で温度調節をしていると、猫にとっては暑過ぎる場合もあり、熱中症になる可能性があるため、気をつけなくてはなりません。
猫の熱中症予防のためにも、飼い主さんは次のことに注意しましょう。
・室内は締め切らない
・エアコンを使用する
・新鮮な水を常に飲めるようにしておく
・日陰を作る
・ひんやりグッズを活用する
まとめ
猫の平熱は、成猫であれば37.9から39.0度ほどで、人間よりも高めの38度台が平熱です。
猫の平熱は体温計で直腸から測れますが、必ずペット用の物を使うようにしてください。できれば、耳用の体温計を使うと猫に負担がかからず安全に測れるでしょう。
成猫の平熱は人間よりも高めのため、人間の体感温度で少し暑い程度でも、猫にとってはとても暑く感じている場合もあります。室内で暮らしている猫でも体が熱くなり、熱中症になる可能性があるため、飼い主さんは注意が必要です。
猫の平熱がいつもと違えば、病気や怪我などをしている可能性もあります。
自分の猫の平熱を測っておいて、普段からよく飼い猫とのスキンシップをとって触っておくことも、猫の異常に気づけるひとつの要素になります。
人間でも、具合が悪い時には体温を測りますから、猫にとっても体温を知ることは大切だと言えるでしょう。
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