保健所にいる猫はどんな猫?
保健所とは、地域保健に関する様々な業務を行うところで、都道府県、政令指定都市、中核市、その他政令で定めた市又は特別区が設置しているものです。
この保健所にいる猫は、次のような猫です。
◆野良猫
野生で生まれた猫はもちろん、人間に捨てられた猫、飼っている家から逃げ出した猫、外に出て帰れなくなった迷子猫などが野生で生活するようになれば、野良猫となります。その野良猫が人に捕獲され、保健所に持ち込まれることがあります。
保健所では、基本的に野良猫の捕獲は行っておらず、野良猫を保護した方から持ち込まれる場合がほとんどです。
野良猫は、地域のゴミをあさったり、家に侵入したり、畑や花壇を荒らす、大きな声で鳴くなど、迷惑をかける場合があります。他には、猫そのものを嫌う人間もいます。
そういった猫を害獣だと感じる人が、自分で捕獲して、保健所に連れてくるということになります。
また、怪我をした野良猫を発見した人が保健所に連れてくる場合もあります。
◆捨て猫
飼っていた猫が子供を産んだが育てられない、猫を飼ってみたがしつけができず手に負えないなど、様々な理由で飼い主から捨てられた猫が保健所にいることがあります。
捨て猫を見つけた人が保健所に持ち込む場合がほとんどですが、飼い主が直接保健所に連れてくることさえあります。
ただし、近年保健所でも飼い主の直接持ち込みは相談を受けた後、飼い主自ら新しい引き取り手を探すよう指導が行われる自治体が増えているようです。
また、法律の改正により何度も持ち込みを繰り返す人やあらかじめ新しい飼い主を探すことを怠っている人からの持ち込みは拒否できるようになりました。
◆迷子猫
飼われていた猫が脱走したり、外に出ている猫が何らかの理由で帰って来られなくなったりして迷子になり、捕獲されて保健所に連れて行かれる場合があります。
首輪をしていても連絡先がなければ、保護した人は飼い主に連絡ができず、保健所に連れていくという場合もあります。
◆飼育崩壊した猫
猫を複数飼っているうちに繁殖していき、手が付けられないほど増えて、飼育環境が崩壊してしまった猫が保健所にいる場合があります。
多頭飼育崩壊の場合は、近所の人から苦情が出たり、飼っている人が愛護団体に頼んだりすることで、保健所に猫が連れて行かれることがあります。
猫を引き取る前に確認すること
保健所から猫を引き取りする場合には、次のことを確認しましょう。
◆猫が飼える住居に住んでいるかどうか
猫と暮らすことは、おもちゃやぬいぐるみを所有することとは違います。まず、猫を飼える環境なのか、賃貸であればペット可なのか、一軒家でも家族が同意しているのか、家族に猫アレルギーの人はいないのか、一人暮らしで飼うのかといったことを確認しましょう。
保健所や愛護センターから猫を引き取りたい場合に、当然ではありますが猫が飼える状況なのかということは必ず確認される項目だと思って良いでしょう。
一人暮らしであれば、自分に何かあった時に頼める家族はいるのか、家族がいる状態で猫を飼う時には家族が了解しているのかといったことも大切なことです。
簡単な気持ちで譲り受けた後に問題が起きると、再び猫を保健所に持ってくるということになりかねません。
◆猫にかかる費用を負担していけるかどうか
猫を飼うには必ずお金がかかります。猫の食費や病院代、猫トイレ・猫砂などは猫と暮らしている間ずっとかかる費用です。また、猫用ケージや猫ベッド、キャットタワー、おもちゃなども購入することがあります。
特に動物病院でのワクチンと健康診断は、定期的に必要になるものなので、必ず負担することになるものです。
◆猫と暮らすことでの生活の負担を受け入れられるかどうか
猫と暮らすことで、飼い主の生活の一部は猫のために使われることになります。毎日の餌やりやトイレの世話、遊んだり、病院に連れていったりする時間、また気軽に何日も留守にすることができなくなるなどです。
ある程度の自由がなくなる、ということは覚悟していないと、猫と暮らした時にこんなはずではないという思いをすることになってしまいます。
このようなことから、安易な気持ちで猫を引き取りはしたものの、再び手放すことになってしまう人も少なからずいます。猫を飼う時、引き取りをする時には、本やおもちゃや服などを手に入れるのとは違うということをしっかり認識しておくべきでしょう。
猫を引き取りする方法は?
保健所や動物愛護センターによって決まりがあったり、条件が異なることもありますが、大まかな流れは次のようなものです。
2.猫を譲り受けるための条件について確認する
3.里親としての登録をする(必要な場合)
4.動物愛護センターの譲渡会に参加する
◆保健所と動物愛護センターのちがい
保健所と動物愛護センターのちがいとしては、保健所は基本的に「人」を対象とした業務、動物愛護センターは「動物」を対象とした業務を行っているということです。
捕獲や保護された猫は、保健所で一旦保護され、一定期間を過ぎると動物愛護センターに送られます。動物愛護センターでは、一定期間、保健所から送られた猫を保護しますが、期限が過ぎると殺処分を行います。
ただ、地域によっては動物愛護センターがないところもあり、その場合は保健所で愛護動物に関わる保護、譲渡などの業務も行われています。さらに手続きの仕方がそれぞれに違いますので、実際に電話などで手続きについて確認してみたほうが良いでしょう。
◆譲渡会~引き取りまで
譲渡会では、大まかな流れとして以下のような手順で猫の引き取りができます。
- 連絡をする
- 当日、事前調査票に記入する
- 譲渡講習会を受ける
- 猫と実際に会う
- 譲渡が決定する
事前に動物愛護センターに猫を引き取りたい、譲渡会に参加したいことを伝えます。
猫を見に行きたい、または譲渡会が行われる予定があれば参加したいという連絡を入れます。その際に必要な物などを聞いておくと良いでしょう。
一般的には、身分証明書、印鑑が必要です。即日引渡しが可能というところであれば、猫を運ぶためのキャリーケースも必要になります。
また、賃貸に住んでいる場合には、ペット可の許可証や証明書などが必要な場合があります。
譲渡会を行う動物愛護センターでは、猫引き取りを希望する人は調査票の記入が義務付けられているところもあります。
猫を引き取りたいという希望だけでは猫は譲渡できず、愛護センターの定める条件を満たしている場合でなければ譲渡できないという場合があります。
保健所や動物愛護センターでは、猫を引き取りたい時には、譲渡前講習会を受けた人でないと里親になれないというところがほとんどです。
猫を引き取りするにあたっての最低限の知識があるかどうか、あまりに無知な人には猫を譲渡できないために講習を受けさせているところが一般的です。
猫に実際に会って、その場で相性や性格を判断して、譲渡希望であれば申し込みをします。申し込み希望者が多数の場合、抽選が行われます。
譲渡が決まり、猫の引き取りが認められれば、連れて帰ります。殺処分される予定であった猫の命を救い、今後の猫の一生を面倒見ることになります。
◆保健所の場合ほとんどトライアルはない
保健所や動物愛護センターの場合、民間の団体のようなトライアル(お試し期間)がない場合がほとんどです。相性が悪かったとか、やはり飼えなかったなどという理由で、猫を返すことは基本的にできません。
実際、そのような人は事前調査や講習の時点で、譲渡可能とは認められないと考えられますが、軽い気持ちで猫を引き取りする人もいることは事実です。
◆猫の引き取り後の過ごし方
猫の引き取り後は、すぐに慣れる猫もいますし、環境に馴染んで飼い主に慣れるまでに時間がかかる場合も多くあります。子猫であれば比較的慣れやすいと言えますが、もし慣れるのが遅くても、じっくりと構えて見守ってあげましょう。
そして早めに動物病院へ連れて行き、ワクチンや健康診断を受けさせて、健康状態をしっかり確認しましょう。
保健所にいる猫の引き取りのまとめ
保健所や動物愛護センターに保護された猫は、里親が見つからない場合には、一定期間を経たあとに殺処分されてしまうことがほとんどです。つまり、助け出してあげないと猫達は私たち人間の都合により、命を奪われてしまう運命ということです。
猫と暮らすということには、お金や時間、飼い主さんの行動が必要になりますし、それなりの覚悟を持って決断することです。そのことを理解した上で、これから猫を飼いたい、猫と暮らしたいという人は是非、保健所や動物愛護センターから猫を引き取り、猫の命を救ってください。
保健所からの引き取りで、猫との運命的で素敵な出会いがあると良いですね。
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