1.猫が寝たきりになった時にできること【食事編】
1-1.寝たきりの猫のためにその猫に合った食事を与える
1-2.寝たきりの猫のために食べやすい体勢になるよう介助する
1-3.寝たきりの猫がまったく食事を食べない場合
2.猫が寝たきりになった時にできること【水分補給編】
2-1.寝たきりの猫のためにスポイトやシリンジで水分補給させる
3.猫が寝たきりになった時にできること【トイレ編】
3-1.寝たきりの猫のためにおむつを使用する
3-2.寝たきりの猫のために圧迫排尿・排便を教わる
3-3.寝たきりの猫のためにペットシーツを利用する
4.猫が寝たきりになった時にできること【環境編】
4-1.寝たきりの猫のために落ち着いた環境づくりを心掛ける
4-2.寝たきりの猫のために寝返りを手伝う
4-3.寝たきりの猫のために安心させてあげる
猫が寝たきりになった時にできること【食事編】
生きるためには、毎日の食事はどの生物も欠かすことが出来ないと言っても過言ではありません。しかし、自宅で飼っている愛猫が寝たきりになってしまった場合、食事の世話が一番大変なことだと思います。
飼い主がどんなに忙しかろうが、大変であろうが、猫が餌をしっかりと食べないのであれば、繋げられるはずであろう命も繋げてあげることが出来なくなってしまうからです。
寝たきりの状態の猫に対して、どんなことを気遣ってあげればいいのでしょうか。
◆寝たきりの猫のためにその猫に合った食事を与える
寝たきりの猫に食事を与える際に、気になることと言えば栄養面ですよね。昨今では市販の餌も年齢別に分かれている物や、栄養面やカロリー制限がされたものなど、様々な用途で選ぶことが出来ます。
寝たきりの猫の場合、多くは体力が落ち、フードを食べる量が減ります。衰弱して餌をあまり食べない猫であれば、やはりエネルギー重視の高タンパク・高カロリーな栄養価の高い食事を与えてあげましょう。
少量でもフードを食べさせ、少しでも栄養を取れるようにすることが大切です。
ただし、寝たきりで食べないからと言って、すぐに介護食や流動食に頼るのではなく、その猫の症状をしっかりと熟知した上で、食事は様子を見ながら与えてあげるようにしてください。
もちろん流動食は手作りすることも可能です。気に入って食べていたドライフードがあるのであれば、お湯でふやかして潰してから与えてもいいですし、ウェットフードも少し水分を加えることで、だいぶ食べやすくなるはずです。
◆寝たきりの猫のために食べやすい体勢になるよう介助する
猫がある程度の食欲があるのであれば、身体を優しく起こし、犬の伏せのような姿勢にしてあげてから食事を与えてください。
猫が横になったまま、首から頭の部分を持ち上げた状態で食事を与えてしまうと、気管に食事が流れ込んでしまうことがあり、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こしてしまう危険性があるのです。
怪我などで寝たきりの場合は、沢山ご飯を食べて回復に向かう必要があるので、しっかりと飼い主が援護して身体を支えたまま、高めの台にお皿を乗せてあげて食事をさせてください。
老衰などであまり餌を食べない場合は、寝たきりの猫を優しく抱き上げて起こし、顔を斜め上にあげます。そのままの状態で指やスプーンで流動食を少量すくい、猫の鼻の上や口の端から犬歯の後ろに指を滑り入れ、流動食を頬の内側に付けてあげましょう。
この際、必ず飲み込んだかどうかをしっかり確認してから、次の一口を与えてあげてください。確認せずそのまま与え続けてしまうと、餌が気管に流れ込んでしまいます。
また、飲みこみやすいようにと水のようにサラサラした液体状の餌を与えるのも危険です。必ず目で見て分かるくらい、とろみが付いている状態の餌を与えるようにしましょう。
◆寝たきりの猫がまったく食事を食べない場合
寝たきりの状態の猫がまったく食事を食べない場合は、飼い主としてとても心配になってしまいますよね。命を繋げるためにも、何でもいいから食べてほしいと願ってしまうのではないでしょうか。
スポイトやシリンジ(注射型注入器)などを用いて強制的に食事を与える「強制給餌(きょうせいきゅうじ)」という方法もありますが、これは24時間以上まったく餌を口にせず食べない場合のみ、必要となってきます。
餌の味を思い出し、食欲が戻ることもありますが、老衰の場合は最期のときまでこの強制給餌が必要となる場合もあります。
飼い主にも沢山の負担がかかってきますので、必ず動物病院で相談してアドバイスを貰ってから行うようにしてください。
他にも輸液(点滴)や、チューブを入れる方法などもあるので、餌を食べない場合でも焦らず、落ち着いて対応することが飼い主には必要となってきます。
猫が寝たきりになった時にできること【水分補給編】
食事と同様、水分もしっかり摂らないと脱水症状を起こしてしまう可能性があります。
◆寝たきりの猫のためにスポイトやシリンジで水分補給させる
ドライフードや流動食を口にしているのであれば、水を飲まないことを問題視する必要はそこまでありませんが、あまり食事も摂れていないのであれば、やはりスポイトやシリンジなどで少量ずつ水分を与えることをお勧めします。
シリンジを使用する際は、勢いよく水分が流れ出てしまうことがあるので、様子を見ながら気を付けて使用するようにしましょう。
栄養面が気になるようでしたら、ブドウ糖を少量混ぜるのも良いですし、動物病院で輸液を処方していただくのも選択肢の一つとして考えるのもいいでしょう。
まずは猫の症状を見て、口に物を入れるのを拒絶するような仕草をするのであれば、自己判断で食事や水分を与えるのは止めて、動物病院に相談するようにしてください。
猫が寝たきりになった時にできること【トイレ編】
猫が寝たきりになってしまったら、トイレで用を足すことが自分では出来なくなってしまいます。
何もしないでそのまま寝かせておいただけでは、排泄物は垂れ流しとなってしまい、きれい好きな猫にとってはただのストレスでしかありません。
そのため、飼い主がしっかりと手を貸し、しっかりとトイレ対策をしてあげましょう。
◆寝たきりの猫のためにおむつを使用する
ペットショップで猫用のおむつや、小型犬用のおむつが販売されているのでそれを使用しましょう。
ペット用のおむつが手に入らなかった場合、人間の新生児用のおむつでも代用が可能です。
尻尾が出る部分に穴を開け、小型犬用のサスペンダーでしっかりと固定すれば、脱げる心配もありません。
排泄のたびにこまめに交換してあげることにより、常に清潔で居ることが出来るので、きれい好きな猫にとっては便利なアイテムだと言えますよね。
◆寝たきりの猫のために圧迫排尿・排便を教わる
おむつを嫌がって用が足せなかったり、自力で排泄が出来なかったりする場合は、動物病院で診察を受け、圧迫排尿・排便の仕方を教わりましょう。
ネットにも様々な情報が出てはいますが、この方法はプロの指導が必要となってきます。自己流でやってしまうと、猫の身体を傷つけてしまう恐れがありますので、必ず動物病院で指導を受けてから行うようにしましょう。
◆寝たきりの猫のためにペットシーツを利用する
とにかく寝たきりのままにしてあげたい、あまり無理やり動かしてストレスを与えたくない場合には、ペットシーツを使用するのも良いでしょう。寝ている場所に敷いておくだけで準備はOKです。
ただし、排泄したあとはすぐに身体を拭き、シーツも交換しなくてはいけません。そのままにしておくと感染症の危険もありますので、清潔を保つ心掛けが必要です。
猫が寝たきりになった時にできること【環境編】
寝たきりになってしまえば、人間であれ猫であれ、免疫力はどんどん低下していき、体力も一気に落ちてしまいます。一日の大半眠っている猫ですが、自分の意志で眠るのと身体に自由が利かず寝たきりになってしまうのとでは、精神的にも大きく負担がかかってしまっていることだと思います。
猫が寝たきりになってしまった際には、どんなことを気遣ってあげればいいのでしょうか。
◆寝たきりの猫のために落ち着いた環境づくりを心掛ける
まずは落ち着いて眠れるように、ゆっくりと身体を休めることが出来る寝床を作ってあげましょう。
その際、身体の圧力を分散させてくれるような低反発のマットや、エアマットなどを土台にして作ってあげれるとなお良いです。
食事がこぼれたり排泄してしまったりした際にすぐに交換出来るペットシーツを敷いて、その上には自分の匂いがついた毛布やタオルなどを敷いてあげると安心出来るでしょう。また、季節によって室温も気を付けてあげてください。
静かにしてあげることはもちろんですが、飼い主の気配を感じないと不安に感じてしまう子も居るはずですので、猫の性格によって寝かせてあげる場所も考えてあげましょう。
◆寝たきりの猫のために寝返りを手伝う
同じ体勢で眠り続けると、床ずれを起こしてしまうことがあります。床ずれを起こしてしまうと、皮膚が圧迫されたことによりその部分の血流が悪くなり、皮下組織や筋肉などに酸素や栄養が十分に行きわたらなくなってしまうのです。
食欲が低下し身体の骨が目立つようになってくると、更にその部分(肩甲骨・腰骨・足の関節など)は床ずれが起こりやすくなります。皮膚内部から壊死をしてしまうと、3日程で皮膚表面に穴が開き、細菌感染に繋がってしまう危険もあるのです。
猫の様子をしっかりと観察しつつ、2時間に一度程度寝ている姿勢を変えてあげましょう。
◆寝たきりの猫のために安心させてあげる
ただ苦痛に耐えながら身体に自由が出来ない状態というのは、猫にとって不安で恐怖でしかありません。そんなとき、一番安心出来るのは飼い主の肌の温もりとも言えるのではないでしょうか。
甘えん坊の子であれば、撫でられたり身体を触ってもらったりすれば安心してくれるはずです。
また、身体を優しくマッサージしてあげましょう。同じ姿勢で寝ていると、筋肉も硬くなってきてしまうので、優しくほぐす気持ちで触ってあげてみるのも良いかもしれません。
そして本来きれい好きなのにグルーミングが出来ない状態は、とてもストレスを感じていることだと思います。蒸しタオルで身体を拭いたりブラッシングをしてあげたりすることで、清潔な状態を保ってあげることが出来ます。
ただきれいにすることが目的ではないので、拭かれたりするのを元々嫌がる子であれば、無理に手入れをすることは止めてあげましょう。
まとめ
常に同じ体勢で居続けるということは、苦痛をともない多大なストレスを感じていることだと思います。
しかし、猫は自分の口から「お腹空いた」「水が飲みたい」「トイレにいきたい」「撫でてほしい」などとは言えないのです。ましてや餌を食べない場合には、命を繋げるために様々な手段を考え、迅速に対応しなくてはなりません。
飼い主に出来ることと言えば、今その子に対して出来ることを考えるよりも、今この子は何を望んでるかを考えてあげることだと思います。寝たきりになってしまう前のその子は、常に何を望み、どんな行動をして生活をしていたかをしっかりと思い出し、それをヒントに行動に移してあげてください。
言葉は通じなくても気持ちは理解出来るはずです。少しでも不安や苦痛を取り除いてあげるためにも、自身が出来ることを精一杯してあげつつ、安心出来る環境を作ってあげていってくださいね。
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