【掲載:2018.11.08 更新:2024.10.30】
猫が日向ぼっこ好きな理由とは?
猫が日向ぼっこを好きな理由としては、やはり、日光に当たっていると暖かくなって気分が良くなり、過ごしやすく、リラックスするからといったことでしょう。
猫は1日のうち、成猫であれば14時間以上を眠って過ごすとされています。
そのため、陽の当たる暖かく心地よい場所は、猫が長時間眠るのにも適しています。
また、寒い時や体が少し濡れた時などに、日光浴することで体が乾くので、猫は自然と暖かい場所に行くとも考えられます。
猫が日光浴する効果は?
これらのことから、猫が日光浴をする効果には、次のことが考えられます。
◆エネルギーを使わずに体温を保てる
猫は恒温動物なので、体温を一定に保とうとする体の仕組みが働いています。寒い時には、体を動かして体温をあげるほか、じっとしている時には内臓の活動によって熱を生み出しています。
猫がじっとしている時でも、日向ぼっこで日光浴をすることによって体温があがれば、自分で熱を作り出さなくても良いので、エネルギーの消費防止につながります。
猫は野生の頃の名残で、狩りをする時以外には、体力温存のために休んだり眠ったりしています。日向ぼっこをしていることで体温があがれば、より体力が温存できているということになります。
◆体を乾かすことができる
日向ぼっこで日光浴をすることによって、体の表面を乾かすことができます。猫は水に濡れるのを嫌がりますので、体が雨などで濡れた時や湿気がある時などにも、日向ぼっこで体表面の水分を蒸発させることができます。
◆紫外線による殺菌作用
日向ぼっこで日光を浴びることにより、菌やウイルス、ダニなどの寄生虫が増えるのを抑える働きがあると考えられます。
例えば、皮膚に常在しているブドウ球菌は、紫外線によって増殖を抑えられることがわかっています。
また、日光浴をするだけでは、ダニが死滅するといったことは残念ながらありませんが、繁殖を抑える効果が期待できると言えます。
さらに、乾燥することによっても菌やウイルスの繁殖を抑えることができると考えられます。日光浴することで、猫の皮膚病を予防できる可能性もあります。
猫に日光浴は必要?
様々な効果をもたらす日光浴ですが、猫には必ず必要なのでしょうか。
◆猫と紫外線とビタミンDの関係
人間は、紫外線を適度に浴びることで、体内にビタミンDを作ることができます。
そのため、猫も日光浴することで体内にビタミンDを作りだしているのだ、という説がありましたが、実験により、成立していないことがわかりました。
実験では、猫が室内にいても外にいても、また被毛が厚くても薄くても、日光浴と猫の体内ビタミンDの濃度には変化がなかったそうです。
猫の皮膚には、紫外線の作用でビタミンDに変わる「7デヒドロコレステロール」という有機化合物が少ないため、というのがその理由です。
◆ビタミンDは食事から取り入れられる
それでは猫はどのようにビタミンDを取り入れるのかというと、食事から摂取することになります。
そのため、しっかり食事を与えていれば、日光浴できなくても、猫の栄養面においては大きな問題がないとされています。
猫用の総合栄養食を与えていれば、ビタミンDも含まれていて必要な分は摂取できると考えられるため、ビタミンDだけを特別に増やして与える必要もないでしょう。
◆適度に日光浴できる環境が大切
それでも、もし直射日光が入らない室内で猫を完全室内飼いしていたとすると、猫だけではなく、飼い主さんの生活にもあまり良い状況とは言えませんね。
窓から外の景色が見えて、太陽の光を感じられる環境であれば、日照不足のために猫の体調が悪くなるといったことはないと考えられます。
室内飼いの猫でも日向ぼっこする方法3つ!
野良猫の外飼いの猫は自由に外で日向ぼっこすることができますが、室内飼いの猫の場合は、どうやって日光浴させてあげればよいのでしょうか。
◆窓際に猫がくつろげる場所をつくる
室内でも猫に日向ぼっこさせてあげるには、まず陽の当たる場所に、猫がくつろげる場所をつくってあげてください。
窓が高くて床まで日光が入りにくい時には、棚やキャットタワーなどを置いて、窓と同じ高さに猫が行けるようにしてあげましょう。窓から外も見えるので、猫にとっては嬉しい場所となるでしょう。
クッションや箱などを置いたり、または物を片付けてスペースを作ったりして、猫がくつろいで寝転がったり座ったりできるようにしましょう。
また、窓に直接つけることができる猫用のハンモックが販売されていますので、家具を置けない時でも猫に日向ぼっこを楽しんでもらうことができます。
◆陽の当たる部屋に入れるようにする
猫が日向ぼっこするには、陽の当たる場所に猫が行けるようにしなければいけません。
ただし、窓際だと何かの拍子で猫が脱走してしまう可能性もありますので、開けないように気をつけるだけでなく、脱走防止の網やネットをつけるなどしておくと良いでしょう。
猫が入ってもよい部屋には、尖ったものや誤飲しそうな細かいもの、猫がかじってしまう観葉植物などを置かないようにして、心配なく猫に日向ぼっこさせられるようにしましょう。
陽の当たる部屋は、カーテンで締め切らないようにして、猫が日光浴できるようにしてあげてください。
そして猫が自分の意思で日陰に行ったり、別の部屋に行ったりできるように、閉じ込めないようにしてくださいね。
◆猫用の日向ぼっこの場所を作る
猫の日向ぼっこは、できればガラス越しではなく、日光浴ができるようにしたいものです。網戸にして、脱走防止の柵をつけておいて、日光浴させるという方法も良いでしょう。
ベランダに直接出すのは危険ですが、ネットを張って脱走できないようにした上で出したり、大型ケージごとベランダや縁側に出したりといった方法で、ガラス越しでなく日光を浴びることができます。
どんな状況でも外に出すことは、脱走や他の猫との接触などの危険がありますので、飼い主さんが必ず見ていられるようにしましょう。
猫に日向ぼっこさせる時の注意点は?
猫も大好きな日向ぼっこですが、いくつか日光浴する時の注意点があります。
◆落下する可能性のある場所には出さない
高所で日向ぼっこしていた猫が落ちて、怪我をするということを「高層症候群」と言います。
2階以上の高さから猫が落ちることを指しますが、打撲や骨折、歯や爪の欠損、内臓などが傷つくといった様々な症状があり、命にかかわることもあります。
猫が日向ぼっこして眠っているうちに落ちてしまうほか、起きていても、虫や小鳥を見つけて追いかけて足を踏み外したりすることもあります。
猫はバランス感覚に優れているといっても、高所から落ちれば無事なわけではありません。
そのため、落下防止対策をしていないベランダには出さないこと、窓を開け放したままにしておかないことなどが大切です。
高層症候群になる猫は、1歳未満の若い猫に多く、また暖かい季節にも多くなっているということです。暖かい季節に多いということは、日向ぼっこの頻度も増えているためと考えられます。
◆日なたにずっと猫を出しっぱなしにしない
猫をずっと太陽光のあたる場所で過ごさせると、場合によっては、脱水症状や熱中症などになる可能性もあります。
落下や脱走の心配がなくても、猫を日光のあたる場所にずっと出しておかないようにしましょう。例えば、ケージに入れたまま外に出したり、サンルームに閉じ込めたりしないようにいうことです。
猫が陽の当たる場所と日陰のある場所を、猫の意思で自由に行き来できるようであれば大丈夫です。
◆皮膚病になる場合もある
猫の日光皮膚炎という病気があり、日光に当たったことで皮膚に炎症ができてしまう状態を言います。
皮膚炎になりやすい場所は、耳の先、耳の裏側、目の下、鼻周り、唇周りや下顎などです。
また、毛の色が白い部分に起こりやすく、白猫はもちろん、三毛などでも白い部分に皮膚炎が起こることがあります。
初期の症状は、皮膚が赤くなりフケが増える程度ですが、悪化すると皮膚が腫れたり、猫が引っ掻くことによって皮膚が硬くなったり毛が抜けたり、出血したりします。
日光皮膚炎の猫は、日向ぼっこの時間を短くする必要があります。獣医さんに診てもらい日光皮膚炎の治療をしたうえで、日光浴についてアドバイスを貰うと良いでしょう。
猫の日向ぼっこまとめ
猫が幸せそうに日向ぼっこしている姿は、猫が気持ち良いのはもちろん、飼い主さんも癒されるものです。
猫の日光浴ではビタミンDを作ることは期待できませんが、猫の体を暖めたり、リラックスして睡眠が取れたり、皮膚を乾燥させたりすることができます。
猫が生きて行くだけであれば、必ずしも直射日光に当たる日光浴が必要なわけではありません。
しかし、猫は日の当たる場所が好きなものが多いですし、寝転がってのんびりしたり、眠ったりして、健康的に生きていくことが幸せですよね。
日中に日光浴をして、日向ぼっこしてリラックスして過ごすことは、猫にとって必要なことだと言えるでしょう。
室内飼いでも、部屋に入る日光を利用して工夫すれば、猫が日向ぼっこをすることができます。脱走や高い所からの転落に注意して、普段の生活に日向ぼっこがいつでもできるような環境を作ってあげられると良いですね。