猫クラミジアとは?
猫クラミジアは、「猫クラミジア」という病原体に感染する病気のことで、猫風邪の一種です。
◆粘膜の炎症を起こす病気
猫クラミジアに感染すると、3~10日後ぐらいから症状がみられるようになります。
猫クラミジアの病原体が目や鼻から猫の体内に侵入した場合、粘膜が炎症を起こしてしまいます。そのため、目ヤニや結膜炎、鼻水、咳、くしゃみなどの症状がみられます。
猫クラミジアによる気管支炎や肺炎などの呼吸器官の症状は少ないといわれていますが、子猫や老猫、免疫力が低下した成猫は他の感染症を併発しやすいので注意が必要です。
猫クラミジアは、生後2ヵ月~生後6ヵ月の子猫にかかりやすい病気です。症状をみるとひどい病気のように思えませんが、体力がない子猫が猫クラミジアに感染すると命に関わる怖い病気です。
◆猫クラミジアは人に感染する?
人の性病で「クラミジア感染症」という病気があります。これは、人との間で感染する病気で、猫が感染する「猫クラミジア」とは関係がありません。
一方で、猫クラミジアは、ごく稀に人に感染することがあるそうです。猫クラミジアに感染した猫の目ヤニや鼻水などが手についたまま、目をこすったりしてしまうと、結膜炎を起こしてしまうこともあるといいます。
猫クラミジアに感染している猫に触れた後は、必ず手を洗うなどの感染予防の対策を行ってください。特に小さい子どもや他の猫と一緒に暮らしている飼い主さんは、感染しないように消毒液などで念入りに消毒を行うようにしましょう。
猫クラミジアの原因は?
猫クラミジアに感染する原因でもっとも多いのは、猫クラミジアに感染した猫との接触です。
猫クラミジアの感染経路には、以下のようなパターンがあります。
◆飛沫感染
猫クラミジアに感染している猫の鼻水、咳やくしゃみなどの飛沫に猫クラミジアの病原体が付着していることで、他の猫の体内に猫クラミジアの病原体が侵入することです。
他の猫と一緒に暮らしている場合、口や鼻、目から猫クラミジアに感染してしまいます。
◆接触感染
猫クラミジアに感染している猫の分泌物や糞便などに触れることで、猫クラミジアの病原体が他の猫の体内に侵入することです。
多頭飼いをしている場合は、1匹でも猫クラミジアに感染すると、猫たちの間でのグルーミングや食器の共有などで簡単に猫クラミジアに感染してしまうことがあるので注意が必要です。
猫クラミジアに感染している猫と他の猫の食器やその他の猫用品は別々にする必要があります。
◆母子感染
母猫が猫クラミジアに感染している場合は、産まれてくる子猫も感染している可能性があります。
子猫が猫クラミジアに感染すると、結膜炎、気管支炎や肺炎を起こしてしまうことがあります。子猫は体力がなく、猫クラミジアに感染してしまうと、生後数日で死亡してしまう可能性もあります。
猫クラミジアの症状は?
猫クラミジアに感染している猫の特に目立つ症状としては、目ヤニや結膜炎の症状がみられるのが特徴です。鼻水、咳やくしゃみなど猫風邪によく似た症状がみられます。
◆猫クラミジアの特徴的な症状
・目から粘着性の目ヤニ
・結膜炎
・鼻水、咳やくしゃみが出る
・気管支炎
・肺炎
猫クラミジアの病原体が猫の体に侵入した場合、猫クラミジアに感染してしまいます。
猫クラミジアに感染してから3日後~10日後ぐらいに片方の目の炎症がはじまり、粘着性の目ヤニ(黄色または緑色の目ヤニ)が出てきます。
猫クラミジアの病気は目から症状がみられることが多く、粘着性の目ヤニによって結膜炎になります。
◆猫クラミジアと結膜炎
結膜炎の症状としては、結膜の充血や腫れ、瞼の痙攣などがみられます。ウイルス性の結膜炎よりも、猫クラミジアの病原体による結膜炎のほうが目の炎症が長引いてしまい、慢性化しやすいのが特徴です。
また、鼻水、咳やくしゃみ、気管支炎、肺炎などの猫クラミジアの症状は慢性化しやすいので、気をつけなければいけません。
子猫や老猫、免疫力が低下している成猫などでも、重症化すると気管支炎や肺炎など、他の感染症を併発してしまう可能性があるので注意が必要です。
猫クラミジアの治療方法は?
◆猫クラミジアの病原体の検査
猫クラミジアの診断は、猫の過去の病歴や症状をみる他、猫の結膜の菌を採取して、顕微鏡で猫クラミジアの病原体がいないか確認の検査をして診断を行います。
ただし、検査をしても混合感染が多いため、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症などの他の感染症との判断が難しいようです。
◆抗生物質の薬の投与
猫クラミジアの治療方法は、猫クラミジアに有効な抗生物質の薬の投与が基本になります。
目ヤニや鼻水を1日に何度も湿らせたティッシュなどで拭き取って清潔にします。その後、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の抗菌剤が含まれている抗生物質の点鼻や点眼、または薬を飲むことで全身に投与する治療を行います。
猫クラミジアの病原体が体内から完全に消滅されるには、抗生物質の薬を14日以上継続的に投与する必要があります。継続して抗生物質の薬を投与することで、猫クラミジアの病原体を消滅させます。
◆継続的な治療が重要になる
猫クラミジアの症状が軽いうちに抗生物質の薬の投与を行えば、重症化せずに回復することができます。
ただし、途中で症状が消えたからといって、抗生物質の薬の投与を中止してしまうと、猫クラミジアのキャリア猫(保菌状態)になる可能性があります。
猫クラミジアのキャリア猫になった場合、猫の体力や免疫力が低下した際に、猫クラミジアの症状がみられるようになり、猫クラミジアが再発してしまう可能性があります。
また、1度病気から回復しても、ストレスなどがあると再発する可能性もあります。
そのため、抗生物質で確実に猫クラミジアの病原体を根治することがとても重要です。
◆重症化した場合の治療
猫クラミジアの症状が重症化した場合は、発熱や食欲低下、嘔吐や下痢などで体重が減少してしまいます。
そのため、インターフェロンの投与や輸液、点滴の栄養補給などを行います。また、食事療法が必要な場合もあります。
猫クラミジアの症状が重症化してからの治療では、猫にとってとても大変です。早期発見のためにも日頃から猫の様子をよく観察しましょう。
猫クラミジアの予防方法は?
猫クラミジアは、ワクチン注射を接種すれば予防することができます。
◆猫クラミジアを予防できるワクチン
猫のワクチンには種類がいろいろとあり、3種混合ワクチン~7種混合ワクチンの種類があります。それぞれのワクチン注射の接種によってカバーしてくれる病気が変わってきます。
猫クラミジアを予防できるワクチンは、5種混合ワクチンと7種混合ワクチンです。ちなみに、3種混合ワクチンには猫クラミジアは含まれていません。
◆どのワクチンを接種するべき?
室内飼いの猫なら、他の猫と接触することが少ないのでワクチン接種の必要はないかもしれませんが、空気感染する病気もあるため、3種混合ワクチンを接種したほうがいいでしょう。
室内飼いでも猫の多頭飼いをしている場合や外出することが多い猫は、他の猫と接触することがあるため、猫クラミジアの予防として5種混合ワクチンや7種混合ワクチンを接種しておいたほうがいいでしょう。
◆多頭飼いの場合は他の猫と隔離
猫クラミジアは、感染力が強い病気です。猫たちの間でのグルーミングや密接な接触によって感染したり、目ヤニや結膜炎、鼻水、咳やくしゃみなどでの感染、排泄物からの感染もあります。
多頭飼いをしている場合は、猫クラミジアに感染した猫は入院させる、別の部屋に隔離するなど、他の猫たちとの接触は避けましょう。
◆人間も手洗いをする
猫クラミジアは、稀に人へ感染することがあります。猫クラミジアに感染している猫の目ヤニや鼻水が手についたまま、目をこするなどをして人が結膜炎を発症することがあるそうです。
その予防として、猫クラミジアに感染している猫を触ったあとは必ず手を洗うようにしてください。
最後に…
目ヤニや結膜炎、鼻水、咳やくしゃみなどの症状は、飼い主さんからすれば大した症状ではないかもしれませんが、猫にとっては病気のサインです。特にまだ免疫力が低い子猫にとって、猫クラミジアは命に関わる怖い病気です。
猫クラミジアは、生後2ヵ月~生後6ヵ月の子猫が病気になっていることが多いです。子猫の生死に関わる問題なので、目ヤニや結膜炎、鼻水、咳やくしゃみなどの症状がみられたら、動物病院で獣医師さんに診てもらいましょう。
猫クラミジアの症状は慢性化しやすいです。症状が軽くなったからといって、勝手に治療を中止はしないでください。
抗生物質で確実に猫クラミジアの病原体を根治することがとても重要です。慢性化することで、抗生物質の点鼻や点眼、または薬を飲むことで全身に投与する治療が長引くと治療費もかかり、猫にもストレスになってしまいます。
猫クラミジアに感染した猫と他の健康な猫との接触は大変危険です。多頭飼いをしている場合は、猫クラミジアに感染した猫を隔離しましょう。
飼い主さんの猫が猫クラミジアに感染する前に、ワクチン注射の接種をして、きちんと健康管理をしてあげましょう。
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