ブラッシングは猫のお手入れの基本
◆ブラッシング不足と毛球症
猫は自分でグルーミングをして抜け毛を取るため、ブラッシングは必要ないかのように思えます。しかし、ブラッシングには抜け毛を取るだけでなく、スキンシップの効果もあるので、ぜひ習慣にしたいお手入れです。
また、猫はグルーミングで取れた抜け毛を飲み込んでしまいます。本来は、吐き出したりうんちと一緒に排出したりしますが、飲み込んだ毛の量が多いと、胃の中で大きな塊になり、吐き出すことも腸に送り出すこともできなくなります。
これは「毛球症」という病気で、嘔吐や下痢につながります。毛球症は、通常、投薬で治療しますが、重症の場合、開腹手術もあり得る病気です。
また、吐き気から食欲不振になることもあります。
このような事態に陥らないためにも、日々のブラッシングが大切なのです。
◆マッサージ効果とスキンシップ
猫は、普段比較的自由に過ごしています。ブラッシングの目的には、抜け毛を取ることのほか、スキンシップ効果があります。
普段から愛猫に触れることで、皮膚や被毛のちょっとした異変にも早く気付くことができるので、病気の早期発見にもつながります。
全身をマッサージするようにブラッシングしてあげれば、血行促進になり、愛猫も気持ちがよくなりリラックスできます。
◆ストレス解消効果
猫同士が互いにグルーミングすることを、「アログルーミング」と言います。これは、基本的に親しい相手としか行わない行動です。
人間が猫にブラッシングをすることは、このアログルーミングに相当します。ブラッシングされている猫は、毛づくろいしてもらう気持ちよさと同時に、親しい仲間が傍にいるような安心感を得られるでしょう。
また、猫と触れ合っている飼い主さんにも、アニマルセラピーによるストレス解消効果が期待できます。
◆抜け毛対策
こまめにブラッシングをすると、抜け毛を減らし、家中に猫の抜け毛が広がるのを防いでくれるので、掃除や片付けの手間を軽減することができます。
また、部屋に抜け毛が多いと、衣服に毛がつきやすくなります。ペットの毛がついた服を着て外出するのは、少しみっともないですし、ペットと暮らしていない人は嫌がることが多いです。
猫アレルギーを持つ人がいたりすると、アレルギー症状を引き起こすなど迷惑をかけることもあります。
ブラッシングは、猫のためだけでなく、飼い主さんのためにも必要なお手入れと考えましょう。
猫用ブラシの種類
ひとくちに猫用ブラシといっても、種類が多くて、どのタイプを使えばいいのか、特に初心者には分かりにくいです。
100均ショップで売っているような人間用のプラスチックブラシは、用いないようにしましょう。静電気が発生して、猫がブラッシングを嫌がるようになってしまいます。
まず、猫用ブラシの種類と用途、どれが短毛種・長毛種のそれぞれに適しているかを、ご紹介します。
◆スリッカー
くの字に曲がった、細い金属のピンが並んだブラシで、抜け毛やもつれ毛を効果的に取り去ることができ、長毛種の毛玉を解きほぐすのに使います。
まず、毛先から解きほぐすように使い、根元をとかしていきます。乱暴に使うと猫の皮膚を傷つける可能性があるので、注意が必要です。
特に短毛種では、誤って皮膚を傷つけるリスクが高いので、長毛種用ブラシと思った方がよいでしょう。ピンの先端が丸まっているものなら、皮膚を傷つけにくいのでおすすめです。
◆ピンブラシ
太い針金でできていて、人間の髪の毛に使うブラシと形状が似ています。短毛種・長毛種どちらにも使えます。
先端が丸くなっているものなら、皮膚や被毛を傷める心配も少ないです。日常的に使うブラシとして、絡んだ毛をほぐすのに使います。
◆ラバーブラシ
ラバー(ゴム)や柔らかいシリコンでできているブラシです。浮いた毛を絡め取るブラシで、当たりも柔らかく、短毛種に適しています。
猫に痛みを与える可能性が低いので、マッサージにもおすすめです。
◆獣毛ブラシ
一般的には豚毛のブラシで、ホコリや抜け毛を取り除くために使います。獣毛のブラシは、適度な水分・油分が含まれているので、猫の被毛を艶々に仕上げてくれます。
長毛種には、毛先がバラバラの長さになっているハードタイプ、短毛種には、毛先の長さがそろったソフトタイプがおすすめです。
◆コーム
ブラッシングの仕上げに、毛並みを整えるために使います。一般には金属製の櫛で、粗目と細目があるので、両方がついた2wayタイプがおすすめです。長毛種・短毛種のどちらにも使えます。
また、ノミ取りのために使う専用のノミ取りコームもあります。
◆アンダーコートブラシ
抜け毛・ムダ毛・死毛を取り除くことに特化しているブラシです。少ない労力で大量の毛を取り除くことができ、換毛期など毛が大量に抜ける時期に活躍します。
毛を整えたり、毛玉をほぐしたりする効果はありません。
◆グローブブラシ
手袋のように手にはめて、手で撫でるのと同じようにしてブラッシングができ、ブラッシングを嫌がる猫でも受け入れやすいです。驚くほど、抜け毛が取れます。
猫用ラバーブラシを使うメリットは?
猫のブラッシングにラバーブラシを使うメリットについて、ご紹介します。
◆ブラッシングを嫌がる猫に
柔らかい素材でできているので、当たりも柔らかく、ブラッシングを嫌がる猫におすすめです。
◆皮膚を傷つけにくい
柔らかい素材なので、スリッカーなどのブラシに比べて、猫の皮膚を傷つけにくいです。猫の皮膚は、人に比べて驚くほど薄いので、皮膚を傷つけないブラッシングを心掛けましょう。
◆マッサージ効果
ラバーブラシは柔らかいので、猫もマッサージされているような感覚でブラッシングを受けることができます。
また、頭の毛を引っ張るようにとかしてあげると、頭皮マッサージにもなります。
◆広い範囲の抜け毛取りに
首や背中の広いエリアにラバーブラシを用いると、かなり大量に死毛を取り除くことができます。
◆ブラシについた毛が取りやすい
抜けた毛がブラシに絡みつくとなかなか取れませんが、ラバーブラシの場合、まとめて取りやすいので、使用後のブラシのお手入れが簡単です。
また、水洗いができるのもメリットの一つです。
猫用ラバーブラシおすすめ4選
◆カリーニャ にゃわらかグルーマー
体にしっかりなじむ柔らかさで、長短のラバーで被毛の表面から奥まで気持ちよくとかせます。長いラバートップで、皮膚まで届くのでマッサージにもなりますし、ねばりのある特殊ラバーでしっかり毛を絡めとります。
W4.5×D2.1×H8cmと小型で、顔周りなどの細かい部分にも使いやすいサイズです。
猫のシルエットになっているので、毎日のお手入れも楽しくなりますね。
◆コングラバーブラシ ネコ用
TPE(リサイクル可能な熱可塑性エラストマー)というエコ素材でできているので、環境にも猫の地肌にも優しいブラシです。
猫を模したデザインが可愛く、形も手になじみやすくなっています。
水に濡れても大丈夫なので、シャンプー時にもおすすめです。
◆フルーツ村のラバースリッカー
柄のついたスリッカーの形状の使いやすさを活かしたラバーブラシです。縦リブ構造のラバーピンを20°傾けてあり、しっかりムダ毛を取ることができます。
短毛種にも長毛種にもおすすめです。
◆ハニースマイル ツインソフトブラシ
柔らかなブラシなので、手で撫でるようにブラッシングできます。手にはめて使えるので、お手入れがしやすく、シャンプー時に使うのにもおすすめです。
W14.7×D4×H23.5cmと程よいサイズで、華奢な女性の手にもフィットします。
優しい感触の両面ラバートップで、マッサージをしながら抜け毛を取ることができます。
猫用ラバーブラシを使う時の注意点
最後に、ラバーブラシを使うときの注意点について、まとめておきます。
◆長毛種には向いていない
長毛種は毛が絡まりやすいため、ブラッシングの目的のひとつは、被毛の絡みを解きほぐすことになります。
長毛種の猫をラバーブラシでブラッシングしても、表面を撫でているようなもので、被毛の絡みや毛玉をほぐすことができず、ブラッシングの効果が得られません。
◆やりすぎに注意
ラバーブラシでのブラッシングをやりすぎると、生えている毛まで抜けてしまいます。同じ場所のブラッシングは、数回にとどめて、短毛種は5分以内で終わらせましょう。
◆強くこすり過ぎない
当たりが柔らかく、猫の皮膚を傷つけにくいラバーブラシですが、やはり強くこすり過ぎると、皮膚を傷つけてしまいます。優しくなでるような感覚で、猫が気持ちいいブラッシングを心がけましょう。
◆抜けた毛が飛び散りやすい
ラバーブラシでブラッシングをすると、かなりの抜け毛が舞い散ります。すぐに掃除できるように、あらかじめコロコロなどを準備しておくとよいでしょう。
◆ホコリを寄せ付けやすい
ラバーブラシは、ホコリを寄せ付けやすいので、使い終わったらケースなどに入れて保管することをおすすめします。
まとめ
猫用ラバーブラシを使うメリットと注意点、おすすめ商品についてご紹介しました。
ラバーブラシはブラシそのものが柔らかく、当たりも柔らかなので、猫の皮膚を傷つけにくくマッサージ効果もあり、おすすめのブラシです。
ただし、長毛種の場合、表面を撫でているだけのようになり、絡んだ毛を解きほぐすことができないので、ラバーブラシは向いていません。ラバーブラシは、短毛種の猫用と思った方がよいでしょう。
手で撫でるような感覚でブラッシングできるので、ブラッシングを嫌がる愛猫も受け入れやすいです。ラバーブラシの特性を押さえて、愛猫が喜ぶブラッシングの方法を見つけてあげてください。
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