スコティッシュフォールドってどんな猫?
◆起源
スコティッシュフォールドの始まりは、1960年代にイギリスのスコットランドの農場で誕生した1匹の白い猫です。
複数匹生まれたうちの「スージー」と名付けられた1匹だけ、なぜかどれだけ月日が経っても耳が折れ曲がったままでした。それから成長したスージーが出産した子猫のうち、同様に耳が折れた子がいたため、折れ耳は遺伝性であることが判明しました。
そこから繁殖が行われ、スコティッシュフォールドという猫種が誕生したのです。
◆性格
スコティッシュフォールドはよく「穏やかで人懐っこい」といわれています。猫は自由気ままに動き回るイメージがあるかもしれませんが、スコティッシュフォールドは運動量もそこまで必要なく比較的おとなしい性格です。
あまり甘えた声を出したり威嚇のような感情表現は少ないのですが、実はクリっとまん丸な目で見つめてくる甘えん坊タイプで、人間の子どもとも相性が良く、仲良く過ごしてくれる傾向にあります。
全体的に見た目も丸いフォルムなので、猫によく見られるキリっとしたクールな印象は少なく、のんびり・ほのぼのとしたイメージを持たれることが多いようです。
人懐っこい分一人ぼっちが苦手な面もあるので、長時間お留守番させたり放置するのは控えた方がよいでしょう。スコティッシュフォールドにとっては、構ってもらえない時間がストレスになることもあるので少し注意が必要です。
スコティッシュフォールドの「折れ耳」の理由
◆なぜ「折れ耳」?
スコティッシュフォールドの特徴はなんと言っても「折れ耳」。その理由とは前述の通り、突然変異で生まれた「スージー」という1匹の猫が始まりでした。
スージーが子猫を生んだ時もまた耳が折れた子が生まれ、「折れ耳」は遺伝からくるものではないかと気づき始めたウィリアム・ロスとメアリー・ロスの夫妻は、耳が折れた子を一匹もらい受け、新たな猫種を確立しようと試行錯誤を重ねていきました。
最初にブリティッシュショートヘア、のちにアメリカンショートヘアなどと交配を重ね、品種改良が進み、1994年から「スコティッシュフォールド」として、正式な猫種として公認されるようになりました。
しかし、スコティッシュフォールドの折れ耳は「骨軟骨異形成」という病気によるもので、同じ折れ耳同士で交配させると奇形が発症することもあるため、耳がしっかりと立った猫としか交配できないのです。
すべてのスコティッシュフォールドが耳が折れているわけでなく、確率としては3割ほどで折れ耳の子が生まれてくるようです。
◆名前の由来
正式な猫種として認められる前は「ロップイヤー」という耳が垂れたウサギにちなんで「ラップ」と呼ばれることもありましたが、のちに「折れた」という意味で「フォールド(fold)」という名称が使われるようになり、「スコットランドの耳が折りたたまれた猫」として「スコティッシュフォールド」と正式に名付けられました。
ちなみに、立ち耳の子の場合は「スコティッシュストレート」と呼びます。
◆「折れ耳」のメリット
スコティッシュフォールドの耳は、折れていることで耳の伝染病にかかりにくいと言う利点がありますが、汚れがたまりやすく、耳が折れているため飼い主が気付きにくいという点もあるので、定期的に耳掃除を行いながら病気を予防する必要があります。
スコティッシュフォールドの場合、折れ耳のため、内部に湿気が溜まりやすく、菌などが繁殖。炎症が発生することがあります。
頭をしきりに振ったり、耳をずっと掻きむしるような様子が見られたら、「外耳炎」にかかっている可能性があるので、病院で診察を受けるようにしましょう。
◆「折れ耳」の種類
スコティッシュフォールドは、耳が折り畳まれた頭の形と大きな眼という特徴から、フクロウに例えられることもあります。環境や体質によって、徐々に耳が立っていく子もいるようなのですが、スコティッシュフォールドの「折れ耳」には3つのタイプがあります。
シングルフォールドと呼ばれるタイプは、折り目が1つでゆるく垂れているだけなので、通気性はそこまで悪くないといわれています。
ダブルフォールドと呼ばれるタイプは、シングルフォールドよりもしっかりと垂れていて、頭につくくらいなのが特徴的です。通気性はよくないので、定期的にしっかりと耳掃除やケアをしてあげる必要があります。
最後に、トリプルフォールドと呼ばれるタイプは、ダブルフォールドよりもさらにきつく垂れていて、頭にぴったりとくっついていて、ほとんどまん丸の頭に見えるのが可愛い!とも言われています。
キャットショーに出場するスコティッシュフォールドはこのトリプルフォードタイプが必須条件になっていて、耳の折れ具合がきついほど評価が高くなります。
スコティッシュフォールドの値段の違いとは?
実際にスコティッシュフォールドを飼いたい!と思った方のために実際にかかる値段をまとめてみました。
スコティッシュフォールドの相場は約5~50万と幅広く設定されています。人気の猫種なのでブリーダーも全国におり、子猫が生まれる確率も高いので、猫種の中でも特に値段の幅が広くなっています。なぜこんなにも違いが出るのでしょうか?
スコティッシュフォールドの値段は、下記の6つを参考にすることが多いようです。
◆耳の折れ方
スコティッシュフォールドの魅力である耳の違いで値段が変わってきます。
実は最初から耳が折れているのではなく、生まれたばかりの時は他の猫種と同じように耳が立っています。その後遺伝的に耳が折れるか折れないかが決まっていくのですが、前述の通り折れ耳になるのは全体の3割程度で人気が高いので、折れ耳の方が立ち耳に比べて希少価値が高いのです。
この値段の違いは、決して立ち耳が不人気というわけではなく、折れ耳より立ち耳を好む方もたくさんいますし、比較的立ち耳の子の方が体が丈夫ともいわれています。
また、スコティッシュフォールドは折れ耳がチャームポイントではありますが、「骨軟骨異形成」という病気から生じている折れ耳であるということは、耳以外の骨や関節にも異常を及ぼす可能性があるので、飼う時には注意したいことがいくつかあります。
発症を防ぐことは難しいのですが、レントゲンで早期発見に繋げることはできるので、発症してしまった時はなるべく家の中をフラットに保ち段差からくる関節への負担を減らしてあげましょう。
肥満になりやすい猫種でもあるので、同じく関節への負担を減らすために体重管理はしっかりとおこなってあげましょう。
◆性別
他の猫種でもよくあることですが、男の子か女の子の違いでも値段に多少の差が生じることがあります。
スコティッシュフォールドの体長は約60センチ程度です。約1年で成猫になるのですが、女の子であれば3~5キロ、男の子であれば3~6キロが平均的な体重で、女の子よりも男の子の方が少し大きくなります。
スコティッシュフォールドの場合、より甘えん坊な性格の男の子の方が人気が高く、女の子に比べて少し高めに設定されることが比較的多いのですが、生まれる確率はどちらもさほど変わらないので、値段の違いは2~3万円程度です。
◆毛の長さ
短毛のイメージが強いスコティッシュフォールドですが、実は長毛タイプもおり、スコティッシュフォールドの値段は毛の長さによっても変わります。
短毛のスコティッシュフォールドに比べて、よりふわふわと厚みのある被毛で首や尻尾、足先に飾り毛があるのが特徴です。
一方、長毛のスコティッシュフォールドは、耳の形や体格、顔などは短毛の子とさほど違いはありません。名称のみ「ハイランドフォールド」や「ロングヘアフォールド」と呼ばれることもありますが、ペットショップなどでは長毛種でも「スコティッシュフォールド」と書かれている事が多いと思います。
折れ耳タイプが生まれる確率も3割程度と高くはないですが、長毛のスコティッシュフォールドが生まれる確率はそれ以上に低いので、折れ耳で長毛のスコティッシュフォールドは非常に貴重といわれています。
一般的には短毛の方が生まれやすく長毛の個体は珍しいため、長毛種の方が高値で販売される傾向にあります。
◆毛の色
スコティッシュフォールドはブラック・ホワイト・ブルー・クリーム・レッドの5種類のカラーがほとんどです。
さらに縞模様やまだら模様、毛先のみ色が入っている「シェーデッド」と呼ばれるタイプ、黒、赤(茶の場合もあり)、白の3色が入った三毛猫のような模様の「キャリコ」など、様々な毛色のタイプが存在します。
スコティッシュフォールドは、毛色による値段の違いはほとんどないといわれていますが、その中でも「キャリコ」は他の毛色に比べて珍しく希少価値が高いので、ペットショップやブリーダーによっては値段が高くなることがあるようです。
◆血統書の有無
人間でいう戸籍謄本のような「血統書」は、発行に手数料がかかるので血統書がついていない子に比べて値段が高くなります。
さらに血統書を取得するためには、厳しい基準をクリアしなければならないので、それだけスコティッシュフォールドの価値が上がるということになります。
◆若さ
他の猫種も同様ですが、子猫は可愛らしく人気が高いので、生後1年までの子猫はすぐに売れてしまうため、値段も高くなる傾向があります。生後1年を過ぎて体も大きくなってくると、値段が下がってきます。
スコティッシュフォールドに限りませんが、猫を飼うなら若さだけで選ばずに、飼育環境が整ったペットショップや信頼できるブリーダーから買うことをおすすめします。
さまざまなタイプが存在するスコティッシュフォールド
スコティッシュフォールドは「折れ耳」が特徴的ではありますが、耳のタイプや毛の長さ、毛色や柄の種類が豊富なので、同じ猫種でも見た目が被ることが少なく選ぶ際も楽しませてくれる猫種です。
性格も人懐っこく大人気の猫種ですが、あの愛らしい耳の形や座り方は「骨軟骨異形成」という病気から生じているということもぜひ知っておいていただきたいのです。
スコティッシュフォールドを飼う場合はそのような事情も踏まえて、生活環境に気を遣ったり、定期的に健康診断を受けるなどして過ごしやすい環境を作ってあげることが重要です。
今回ご紹介した通り、スコティッシュフォールドは値段の幅が広い猫種なので、値段の違いが出るポイントをおさえておくことをおすすめします。
ぜひスコティッシュフォールドの見た目の違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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