スコティッシュフォールドの特徴
お手入れ方法をご紹介する前に、スコティッシュフォールドの特徴を抑えておきましょう。
スコティッシュフォールドは、イギリスが起源とされる猫の一種です。1960年代初頭に偶然発見された折れ耳の猫から折れ耳の子猫が生まれたことをきっかけに、ブリーディングが繰り返され現在のスコティッシュフォールドの原型が誕生しました。
折れ耳が何よりも際立った特徴とされ、名前に「折りたたまれた」いう意味の「フォールド」が入っています。
◆必ずしも折れ耳ではない?
折れ耳が特徴のスコティッシュフォールドですが、実は生まれた時はどの子猫も立ち耳なのです。生後2~3週間で耳が折れ始めますが、折れ耳になる子猫と、折れ耳にならず立ち耳のまま育つ子猫に分かれます。
もともと折れ耳は「軟骨形成不全」によって作り出されます。軟骨が正常に成長しないことで折れ耳になるので、正常に成長したスコティッシュフォールドは立ち耳となります。
◆耳の折れ具合は全部で4タイプ
スコティッシュフォールドは、折れ耳と立ち耳を合わせて4タイプに分けられています。折れ具合が小さいものから順にご紹介します。
・立ち耳
立ち耳である場合、「スコティッシュストレート」と呼ばれます。他の猫に比べて一回り小さい三角形の耳が立っており、こちらも見た目は非常に可愛らしいです。
また、立ち耳で育ったということは、「軟骨形成不全」ではないということです。そのため、立ち耳のスコティッシュフォールドは骨の病気にかかりづらい傾向があります。
スコティッシュフォールドと言えば折れ耳!と思っている方が多いため、折れ耳のスコティッシュフォールドに比べて比較的安く買うこともできます。
・シングルフォールド
シングルフォールドの耳の折れ具合は「緩め」です。耳の先が少し垂れているレベルです。完全にたたみきっていないので、耳の小ささと折れ耳感を両方楽しみたい方にオススメです。
・ダブルフォールド
ダブルフォールドは、シングルフォールドよりもしっかりと折れ目がついています。耳が根元から折れており、頭にもうすぐでつきそうなくらいのレベルです。
・トリプルフォールド
トリプルフォールドは、耳が根元から折れているうえ、さらに頭にぴったりと沿うように折りたたまれています。正面から見ると、顔の丸さもあいまってまん丸に見えます。
キャットショーでも評価が高いタイプである一方、遺伝性の疾患にかかりやすい弱点があります。
スコティッシュフォールドの耳のお手入れは必要?
直立した耳をもつ一般的な猫や、スコティッシュフォールドの中でも立ち耳のタイプは耳の中の通気を保つことができます。そのため、耳の中が蒸れにくく、汚れはそれほどたまりません。
汚れているかどうか毎日チェックすることは健康管理の一環なので良いですが、汚れてもいないのに耳掃除をする必要はありません。頻繁な耳掃除は、デリケートな耳の皮膚を傷つける可能性がありますので気をつけましょう。
一方、折れ耳のスコティッシュフォールドの場合、通気性が悪く湿気が多い環境になりがちです。そのため、雑菌が繁殖して汚れがたまる原因となります。
汚れが目立ってきたら優しく耳掃除をしてあげましょう。
◆耳のお手入れの頻度はどれくらい?
一般の猫であれば、定期的なチェックを別にすれば、耳のお手入れは頻度が高くありません。上記で説明したように、立ち耳は通気性が良いため汚れがたまりにくいためです。
しかし、折れ耳のスコティッシュフォールドは汚れがたまりやすいので、最低でも1週間に1度はお手入れが必要です。汚れているかどうかのチェックは3日ペースで出来ると良いです。
◆耳のお手入れをする際の注意点
スコティッシュフォールドに限らず、猫の耳掃除をする際は、ご自身の爪を切っておきましょう。爪が長すぎたり欠けていたりすると、やわらかい耳の中を傷つけてしまう可能性があります。
得に、スコティッシュフォールドが耳のお手入れに慣れていないときは、嫌がってよく動きます。自分が傷つけるつもりはなくても、スコティッシュフォールドが動いた拍子に傷つけてしまうこともあるのです。
常に自分の爪のお手入れは欠かさず、スコティッシュフォールドには少しずつ耳のお手入れに慣れてもらうところから始めるようにしましょう。
スコティッシュフォールドの耳のお手入れ方法
猫の耳の中は非常にデリケートで傷つきやすいです。得にスコティッシュフォールドの耳は折れているので、耳のお手入れにすこしコツが必要です。それではさっそくスコティッシュフォールドの耳のお手入れをご紹介します。
◆手順
1.コットン(脱脂綿)が半分くらいが湿る程度に、イヤーローションをつける。
2.そのコットンを自分の指に巻きつける。
3.反対の手でスコティッシュフォールドの顔や身体をそっと添えてやさしく固定する。
4.中がよく見えるようにスコティッシュフォールドの耳をめくる。
5.コットンを巻いた人差し指をスコティッシュフォールド耳の穴に入れて、優しく拭う。
6.もう一方の耳も同じように掃除する。
コットン(脱脂綿)が汚れたら、その都度取り換えましょう。
また、耳の奥は傷つきやすいので指を奥まで入れないようにしましょう。
スコティッシュフォールドが嫌がる場合は、正面ではなく同じ方向を向いてすると嫌がられにくいです。それでも嫌がる場合は、無理をせず獣医師やトリマーに依頼しましょう。
◆イヤークリーナー(洗浄液)はオススメ?
耳の奥にある汚れをかき出そうとしたり、頑固な汚れをこすって落そうとすると耳は簡単に傷つきます。そんな時に使うのがイヤークリーナーです。
イヤークリーナーは、耳垢や皮脂汚れを浮かしてしてくれるものです。コットンを使った耳のお手入れに慣れて来たら、イヤークリーナーを使っても良いでしょう。
使い方は、イヤークリーナーを直接耳の中に数滴たらして、耳の付けてを外から優しく10秒ほど揉みます。すると汚れが耳の入り口まで出てくるため、汚れと余分な液を拭きとります。
自分で頭を振って水分を外に出してくれる場合もありますが、折れ耳のスコティッシュフォールドは液が飛びにくいのです。そのため、耳を持ち上げてコットンで綺麗にしてあげましょう。
ここまでの流れを、汚れ具合によって1~3回繰り替えして終わりです。
◆オリーブオイルの使い方
オリーブオイルは耳ダニに効果的と言われています。ただし、コットンにしみこませて拭う方法で使いましょう。イヤークリーナーのように耳の中にたらして使ってはいけません。
また、どんなオイルでも良いというわけではありません。アロマオイルで命を落とす猫もいるため、「オリーブオイルがないからアロマオイルで…」という考えは非常に危険です。
◆綿棒は使ってもいい?
耳のお手入れに綿棒は使わない方がよい、というのが定説です。これは、綿棒を使うとせっかく入口にあった汚れを耳の奥に押し込んでしまったり、耳の奥の柔らかい皮膚を気付着けてしまったりするためです。
なるべくイヤークリーナーやコットンでお手入れしましょう。
スコティッシュフォールドの耳の病気
耳のお手入れを怠ったり、逆に頻度が高すぎることによって起こる病気をご紹介します。
◆外耳炎
外耳炎は、カビや細菌の繁殖、耳ダニなどの寄生、アトピーやアレルギー、異物混入などによって引き起こされます。
スコティッシュフォールドに次のような仕草が見られたら、外耳炎を疑いましょう。
・頭を振る仕草が見られる
・耳を床にこすりつけている
・耳垢の量が増えた
・耳が匂う
・耳が赤く腫れる
・耳に湿疹ができる
特に後半は、日頃のお手入れでチェックすることができます。もし該当するものがあったり、黄色い耳垢やドロッとした耳、茶色い耳垢が出てきたら病院へ連れていきましょう。
◆耳ダニ
耳ダニは、ミミヒゼンダニやネコショウセンコウヒゼンダニなど、耳の外耳に寄生するダニを指します。
耳のお手入れをするときに、黒い汚れがたくさん見られた場合は耳ダニを疑いましょう。コットンで拭いた際に赤黒い汚れがつくのは、耳ダニが吸血している証拠です。
まずは、オリーブオイルとコットンを使って、目で見える範囲を綺麗にしてあげると良いでしょう。
また、必ず病院に連れて行って診察を受けてください。耳ダニは自然治癒することがないので、薬を使った駆除が必要です。
スコティッシュフォールドのボディケア
スコティッシュフォールドの耳のお手入れについてご紹介してきましたが、ここでボディケアもチェックしておきましょう。
◆ブラッシング
スコティッシュフォールドの柔らかく綺麗な手触りを保つためにもブラッシングは欠かせません。スコティッシュフォールドは長毛・短毛の両タイプがいます。長毛は絡まりやすいので、できれば毎日お手入れしましょう。
ブラシは、長毛であれば猫用コームやスリッカーブラ、短毛であればシリコン製のラバーブラシや獣毛ブラシがオススメです。金属のブラシは皮膚を傷つけないように優しく使いましょう。ブラシの先が丸くなっているものを選ぶもの良いでしょう。
◆シャンプー
猫は綺麗好きで、シャンプーをしなくても自分で体を舐めて綺麗にします。これをグルーミングと呼びます。短毛のスコティッシュフォールドであれば、グルーミングで綺麗に保てるのでシャンプーは不要、またはしても年に1~2回で大丈夫です。長毛であれば1~2か月に1回すると良いでしょう。
シャンプーするタイミングとしては、夏前の換毛期と毛に汚れがついた時です。おもらしをしてしまったり、水分のあるエサがこぼれて身体についてしまった場合がシャンプーのきっかけとなります。
シャンプーをする際には、目や口に泡やお湯が入らないように気をつけましょう。また、タオルドライをしたあとしっかりとドライヤーで乾かさないと風邪を引く原因となりますので、根元まで乾いているかチェックしてあげてくださいね。
◆爪切り
部屋に爪とぎを置いていても、伸びるスピードに追い付かない場合がほとんどです。爪が伸びすぎると巻き爪になって肉球に刺さってしまったり、カーペットに引っかかって折れたりします。そのため、定期的に爪切りをする必要があります。
猫の爪は細いので爪の先を1度で切り落としましょう。爪切りを嫌がる猫は多いですが、時間をかけずササっと切ることが上手くいくコツです。
週に1回程度、様子を見ながらお手入れしましょう。一度に全部切れなくても、何回かに分けて爪切りができれば問題ありません。
また、爪を出す時に足先をギュっと力を込めて握らないようにしましょう。猫は強く握られると嫌がります。あくまでも優しく押し出すようなイメージで爪を出すと嫌がられにくいです。
◆歯磨き
野生の猫は肉をかみ切ったりする際に、歯と歯の間の汚れが取れるようになっていました。しかし、家猫や柔らかいキャットフードを食べることが多いため、口内に歯垢がたまりやすい環境になっています。
歯磨きをしないと歯周病になってしまうので、1日1回ブラシで歯磨きをしてあげましょう。
子猫の時から歯磨きの習慣があれば良いですが、成猫になっても歯磨きの習慣がないとブラシを口に入れたがらないことが多いです。その場合は、歯磨き用シートを指に巻き付けて、歯の表面を磨いてあげましょう。歯と歯の間の汚れは取れませんが、歯磨きしないより良いでしょう。
まとめ
スコティッシュフォールドの耳の身体のお手入れをご紹介しました。
耳に特徴のあるスコティッシュフォールドですが、耳をめくることとお手入れの頻度が少し高いこと以外は、一般的な耳掃除と変わりありません。家庭でケアできるよう、獣医に相談しながら少しずつできるようになっていけると良いですね。
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