猫の熱中症対策に保冷剤はあり?
夏の暑い時期になると、必ず一度は耳にする「熱中症」というワード。
言葉を聞くだけでも暑苦しい気分になってしまいますが、私たちは熱中症にならないようにするために、一生懸命事前に対策をしますよね。
熱中症は体内の水分や塩分濃度のバランスが崩れることにより、急激な体温の上昇、めまいやけいれんなどの症状を引き起こす疾患ですので、出来ることならかかりたくないと思っている方が大半だとも思います。
ですが完全室内飼いの猫ちゃんはどうでしょうか?
エアコンが利いていない夏の部屋って、空気が常にモアっとしていて、本当に息苦しいですよね。
それに猫は夏でも全身に毛皮をまとっていますので、暑いからといってその毛皮を脱ぐことは出来ません。
猫が出来ることと言えば、家の中でもっとも涼しい場所を探すことぐらいなんですよね。
そんな姿を見た飼い主さんは、自分の留守中にいかに愛猫が快適に過ごせるか、夏の時期になると悩まれる方も多いことかと思います。
エアコンは確かに涼しくなる便利アイテムではありますが、外出中に何かしらの原因(故障や落雷など)で止まってしまった場合、窓を閉め切った部屋の中は蒸し風呂のようになってしまうことも考えられますよね。
冬場に同じ状態になっても寒くなるだけで済みますが、夏場はそうはいきません。
それこそ猫が熱中症や脱水症状を起こしてしまうこともあり、長時間その状態で留守番させていたとしたら、命に関わることも無いとは言い切れませんよね。
そんなときに思いつく保冷アイテムとして挙げられるのが、保冷剤です。
保冷剤は冷たさが持続しますので、飼い主さんが留守中でも大活躍してくれることでしょう。
なので猫の熱中症対策に保冷剤を使用するのはありではありますが、保冷剤を使用するときにはいくつか注意しなければいけない点もあります。
まずはどんな風に使用すべきか、ご説明させていただきますね。
保冷剤の使い方
基本的に保冷剤と聞いて思い浮かべるのは、ケーキやお惣菜を購入したときに、長期移動を申し入れると一緒に入れてもらえる物ですよね。
食品の冷却や腐敗を防ぐために使用される保冷剤ですが、そのまま捨てるのは勿体ないので、冷凍庫に入れてとっておいてあるご家庭も多いことでしょう。
夏場にはお弁当と一緒に包んだり、火照った体を冷やしたりと、何かと活躍する機会の多い保冷剤ですが、猫にはどのようにして使用するべきなのでしょうか。
手順はとても簡単です。
②保冷剤をタオルなどで包む
③ブラッシングをするように包んである保冷剤で猫の体を撫でる
たったこれだけです!
もちろん猫が寝ている場所に、タオルで包んだ保冷剤をそのまま置いてあげても良いですし、ブランケットの下に直接そのまま置いても使えます。
小さい物ですと保冷効果は数時間程度となりますので、長時間の保冷や熱中症対策として使用したい場合には、アウトドア用の長時間保冷が可能な保冷剤がおすすめです。
ただしこのような商品は冷却時間も長く必要になりますので、その点も踏まえて購入を検討した方が良いかもしれません。
保冷剤は使い方次第で様々な活用方法が可能となりますので、猫の暑さ対策のためにも重宝することでしょう。
猫に保冷剤を使ってもらうときの注意点
保冷剤はとても便利ではありますが、猫に使用する際はいくつか注意しなければいけない点もあります。
愛猫を危険な目に合わせないためにも、どんなことに注意して保冷剤を使用するのが望ましいのでしょうか?
◆保冷剤の中身に注意
保冷剤の中身は水が入っていて、それを凍らせているだけのようにも見えますが、溶けてくると触った感じがプニプニしているので、水ではないということが分かりますよね。
一般的な保冷剤の中身は、約99%の水分と、ポリアクリル酸ナトリウムと呼ばれる高級水性樹脂で作られています。
その他にも防腐剤や形状安定剤が入っているので、プニプニとした触感が味わえるのでしょう。
ほとんどの成分が水で出来ていることからも、猫にとって安全な気がしますが、実際のところはというと、固まらないタイプの保冷剤こそ注意が必要ということです。
保冷剤にはカチカチに固まる物と固まらない物がありますが、固まらない場合には「エチレングリコール」という成分が使用されていることがあります。
この成分はアルコールの一種となりますが、誤飲などで体内に入ってしまうとエチレングリコール中毒となり、腎障害を起こして命に関わる危険な状態になってしまうこともあるそうです。
しかもこのエチレングリコールは舐めると甘味を感じるそうなので、保冷剤をかじったり爪で引っ掻いたりした場合、中身が溢れてきてしまうことがあります。
そうなってしまった際に、猫が舐めてしまい、味が美味しいと感じればさらに多くの量を食べてしまうことも否めません。
日本製の保冷剤にはほとんど使用されていないとは言われていますが、エチレングリコールが入ってなかったとしても、防腐剤や形状安定剤が入っている時点で危険には変わりありませんよね。
ですので保冷剤を使用する際は、愛猫が絶対に誤飲をしないような対策こそが重要となってきます。
◆そのまま渡さない
保冷剤をそのまま猫に渡してしまうと、傷が付けば中身が溢れてきてしまうので、誤飲の心配も出てきますが、キンキンに冷えた状態の保冷剤は猫の体を傷付けてしまう恐れもあります。
キンキンに冷えている保冷剤は、熱によって表面が少し溶けますが、一瞬にしてその熱を奪っていきますので、猫ちゃんがもし肉球で触ったとしたら、肉球に保冷剤が張り付いてしまうといった危険が伴います。
猫ちゃんはびっくりして手を振りほどこうとしますが、皮膚まで一緒に剥がれ落ちてしまう可能性もあるので、大変危険ですよね。
そしてこのように冷たくなっている保冷剤は、猫の皮膚にそのまま当ててしまうと、凍傷になってしまう危険性もあるでしょう。
よかれと思って使った保冷剤も、猫にとってはただの迷惑な物体になり兼ねないので、使用をするときはタオルなどにしっかりと包んで、愛猫が怪我をしないような対策をしてあげてください。
◆気になる場合は代用品を使う
保冷剤は猫がいたずらをしない限り、とても便利な保冷アイテムと言えますが、愛猫に危険が及ぶような心配をするぐらいなら、使用しない方がいいと思ってしまう飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
そのような場合には飼い主さんのお手製で、保冷剤を作ってあげてみてはいかがでしょうか。
中身の入っていない500mlのペットボトルに水を入れて一晩凍らせれば、保冷が持続する保冷剤の出来上がりです!
そして濡らしたタオルをフリーザーバッグなどに入れて凍らすだけでも、簡単に自家製の保冷剤を作ることが可能となります。
凍らせたタオルは最初こそ硬いですが、使用するにつれて徐々に柔らかくなっていきますので、ベッドなどにも使用することが出来ますよね。
ただし手作りの保冷剤は使用の際に、水滴などの水分が気になると思いますので、そのまま使用するよりもタオルなどで巻いて、愛猫の体が濡れないような工夫も必要です。
猫は濡れることを嫌いますので、心地よく使用してもらいたいのなら、そのようなひと手間も大切ですよね。
他にも夏場になれば、冷却シートやひんやりマットなども多く販売されますので、愛猫が気に入ってくれるようなアイテムを購入してみるのもおすすめですよ。
まとめ
夏場は猫の熱中症がとても心配なので、どうやったら愛猫が涼しく過ごせるのか、毎年頭を悩ませている飼い主さんも多いことかと思います。
エアコンを長期間使用するのを懸念した場合は、保冷剤等で愛猫が涼しくなれる対策をしている方もいらっしゃることでしょう。
一般的な保冷剤は比較的危険な物は少ないとは言われていますが、絶対安心とは言い切れないところで少し不安が残ってしまうのも否めませんよね。
もし飼い主さんの留守中に保冷剤を使用する場合などに、保冷剤に穴が開けられていた場合、愛猫が誤飲をしてしまっている可能性が高いです。
その際に嘔吐や下痢などの症状が出ていないかを確認し、すぐに動物病院に連れていくようにしましょう。
保冷剤は使用したくはないけど、保冷効果のあるアイテムを使用したいという場合は、飼い主さんが愛猫に気に入ってもらえるようなアイテムを手作りするのもおすすめです。
ペットボトルやタオルを使用するだけで、簡単に手作りの保冷剤を作ることが出来ますので、飼い主さん自身も楽しみながら夏を越せれば良いですよね!
保冷剤を有効活用して、暑い季節を猫共々乗り越えていきましょう!
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