1.猫につく虫にはどんな種類がある?
1-1.ダニ
1-2.ノミ
1-3.蚊
1-4.消化管内寄生虫
2.猫に寄生する消化管内寄生虫とは?
2-1.瓜実条虫
2-2.猫条虫
2-3.マンソン裂頭条虫
3.猫が条虫に寄生されたら
3-1.動物病院に連れていく
3-2.生活環境の掃除を徹底する
3-3.予防対策を万全にする
猫につく虫にはどんな種類がある?
私たちが暮らすこの地球では、目に見える生物のほかにも、肉眼では確認できないような小さな生物がたくさん存在しています。
そしてそのような小さな生物の中には、ペットとして親しまれている犬や猫などに寄生する虫も多くいます。
人間と共に暮らすペットから、人間に寄生する恐れもあるので、寄生虫はとても危険な生物ですよね。
その中でも家の中で暮らす猫には、どんな虫が寄生する可能性が高いのでしょうか?
◆ダニ
人間と猫が一緒に暮らす環境の中で、一番感染のリスクが虫といえば、ダニをまず挙げることができるでしょう。
ダニは猫の皮膚に寄生することが多い生物ですが、種類によって寄生する場所も様々です。
その中でもとくに猫に寄生しやすいダニは、「ヒゼンダニ」「耳ダニ」「ツメダニ」などが多いです。
ヒゼンダニは皮膚に穴を開けてもぐりこみ、皮膚疥癬症などの皮膚病を起こす厄介なダニです。
激しい痒みを伴い、感染により耳の縁から顔までかさぶたができてしまうことも。
耳ダニもヒゼンダニの一種ですが、こちらのダニは主に耳の中に寄生し、耳疥癬症や外耳炎などの病気の原因になることが多いダニとなります。
黒い耳垢が大量に見られ、激しい痒みを伴うことから、後ろ足で耳を掻く仕草を見せる猫ちゃんが多いです。
ツメダニはフケと勘違いされることの多いダニで、猫の背筋に沿って移動し、人間にも寄生することがあるので注意が必要です。
◆ノミ
驚異の跳躍力を持ち合わせているノミも、猫にとって厄介な虫として広く知られていますよね。
完全室内飼いの猫には無縁のように思える虫ですが、外に出ないからといって感染しない確率はゼロではありません。
外に出入りする人が野良猫と接触した場合や、衣服や荷物などに付着して家の中に迎え入れてしまうこともあるのです。
猫に寄生するノミは猫の血を吸う以外にも、人間にも寄生して吸血することがあり、吸血部から皮膚病を患うことが多いです。
そしてノミは条虫を媒介する役割を担うこともあるので、できることなら猫に近付けたくない虫であると言えるでしょう。
◆蚊
外から家の中に侵入しやすい虫として知られているのが、気温が上昇すると増えてくる蚊ですよね。
蚊はフィラリア(犬糸状虫)の媒介者としても有名で、猫が蚊に刺されてしまえば猫の体にフィラリアが侵入し、体の中で成長して主に肺などの血管に寄生すると言われています。
呼吸困難や急激な体重減少などの症状が見られますが、健康な猫でもフィラリアに寄生されてしまえば、見えない部分が徐々に蝕まれて死亡してしまうケースもあるようです。
◆消化管内寄生虫
体外から寄生する虫も寄生虫に含まれますが、一般的に猫の体内に侵入して目に見えない虫を、寄生虫と呼ぶことが多いです。
寄生虫の中でも猫に寄生しやすいと言われているのが、「条虫」「回虫」「鉤虫(こうちゅう)」「鞭虫(べんちゅう)」などの虫です。
これらの寄生虫はほかの動物や虫が原因となって、猫の体に侵入しますが、何かしらの症状が出てみて初めて、飼い主さんが気付くパターンがほとんどです。
猫に寄生する消化管内寄生虫とは?
猫の体内に侵入して暮らす寄生虫の中で、もっとも大きく成長すると言われているのが、たくさんの片節(体節)からなる「条虫(サナダムシ)」です。
別名「おなかの虫」とも呼ばれ、その名前の通り消化管(主に小腸)に寄生し、猫の体を蝕んでゆきます。
日本では猫に寄生すると言われている条虫が、10種類以上も存在すると言われていますが、その中でも多く見られるのが下記の3種類となります。
◆瓜実条虫
体内に条虫の幼虫を媒介しているノミに吸血されることによって、猫に寄生してくるのが「瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)」です。
瓜のような片節がたくさん連なった条虫で、腸に小さな頭を刺し、体を固定し節を増やしつつ、体の表面から猫の栄養分を吸いとるので、食欲不振や下痢、腸炎などの症状が見られます。
この連なった片節を持つ条虫が成虫になると、50cm以上の長さになることもあり、節の中には卵を蓄えていて、猫の便と一緒に体外へ排出されてゆきます。
ノミは繁殖率も高いので、ノミがこの条虫を猫に媒介したのなら、猫の体にはノミやノミの幼虫が寄生している可能性も高いですよね。
便と一緒に排出された条虫の卵入りの節は、猫の肛門付近や寝床などに落ち、その節を新たにノミが餌として摂取することとなります。
そのノミを猫がグルーミングで口にしてしまうことや、吸血されてしまうことによって、倍々方式に増えていく仕組みとなっています。
◆猫条虫
「猫条虫」はネズミを媒介者とし、猫が条虫の幼虫を体内に保有したネズミを捕食することによって感染します。
こちらの条虫は猫の腸に強大な頭節を粘膜に深く食い込ませ、栄養をどんどん奪っていき、食欲が落ちて毛艶も悪くなっていくことでしょう。
ネズミと接触する機会の多い猫ほど感染する確率も増えますので、お住いの環境付近でネズミを目撃することがあれば、どのご家庭でも注意が必要です。
猫条虫に感染して症状が重くなってしまえば、腸を傷付け穿孔(せんこう)させてしまうこともあるようです。
猫条虫も瓜実条虫と同じように、50cm以上に成長する寄生虫です。
◆マンソン裂頭条虫
カエルやヘビを媒介者として猫に寄生するのが、「マンソン裂頭条虫」と呼ばれる条虫です。
猫がカエルやヘビを捕食するという話はあまり聞きませんが、ヘビがカエルを食べ、そのヘビを鳥が食べ、その鳥を猫が食べ…といった食物連鎖が自然界で生まれます。
猫が排出した便の中の卵がミジンコの餌となり、そのミジンコをカエルの子供であるオタマジャクシが食べることによって、この食物連鎖は途切れることなく続いていくのです。
マンソン裂頭条虫はきしめんのように平べったく、切れることなく成長すると2m前後に成長することも。
大きく成長したマンソン裂頭条虫は、猫の肛門から出てくることもあり、引っ張って切れたとしても、頭部が腸に食いついているので、そこから再度成長していくのです。
症状としては、主に下痢などが見られます。
猫が条虫に寄生されたら
条虫は猫と人がスキンシップをとったり、条虫の卵を潰したりすることによってうつる可能性もあるので、早急に対処しなくてはいけませんよね。
もし飼い主さんの目に、愛猫が条虫に寄生されていることが判明した場合、どんな方法で猫を条虫の被害から守ってあげれば良いのでしょうか。
◆動物病院に連れていく
まずは条虫に寄生されていると確信が持てたのなら、すぐに動物病院へ猫を連れていってあげてください。
片節や卵を見つけて条虫に寄生されていると判明した場合は、写真で撮影するか現物を持って動物病院に行くと良いでしょう。
そうすることによって、獣医師さんがどの条虫に寄生されているのかを判断してくれるので、適切な薬(駆除薬)を処方してもらうことができます。
条虫の駆虫薬は市販薬として販売されていませんので、必ず動物病院を受診するようにしてください。
◆生活環境の掃除を徹底する
愛猫が条虫に寄生されていると判断できたのなら、生活環境の見直しも必要となってきます。
愛猫が普段よく居る場所や、寝床として使用している場所、そして排泄を行うトイレなどはとくに、掃除を徹底しなくてはいけません。
猫自身の条虫を駆除することができたとしても、生活環境の中に条虫の卵があっては、元も子もないですよね。
卵から条虫をふ化させないためにも、家の中を全部掃除するぐらいの勢いで、清潔に保つことを心掛けてください。
そして外部からノミなどが家の中に入ってこられるような、侵入経路があるようでしたら、しっかりと隙間を埋めて、虫が侵入してこないような心掛けも大切です。
◆予防対策を万全にする
猫が条虫に寄生されたあとは、薬を用いて排除することが大切ですが、一度駆除を行ったからといって、再度感染しないという確証はありません。
愛猫がまた条虫に寄生されないようにするためには、飼い主さんがしっかりと、対策をして予防をしてあげることが大切です。
猫が使用しているベッドやマットなどの定期的な洗濯はもちろん、猫自身にもブラッシングやシャンプーを定期的に行ってあげてください。
そして猫を外に出さないことも大切ですが、外部から侵入した寄生虫が猫に寄生しないように、駆虫薬を用いたりワクチンを接種したりして予防をする方法もあります。
愛猫にどの予防方法が合っているのか、そして飼い主さん自身がどんな対策をすべきかを見極めて、条虫をはじめとした寄生虫に寄生されないように配慮してあげるようにしましょう。
まとめ
猫に寄生する寄生虫はたくさんの種類が存在しますが、体内で大きく成長する条虫は、できることなら愛猫に寄生させたくはないですよね。
猫が家の中から外に出ないからといって、猫が安全というわけではなく、普段から寄生されないような予防対策も重要であると言えるでしょう。
体内に住み着く寄生虫は私たちの目には見えないので、愛猫の定期的な健康診断も効果的です。
そして家の中の清潔を保ち、何かしらの異変にもすぐに気付けるような生活環境を整え、猫ちゃんが常に健康で居られるような工夫を、普段からしてあげるようにしましょう。
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