【獣医師監修】猫の目にゴミが入っていて心配!取り除いてあげることが正解なの?

2023.04.30

【獣医師監修】猫の目にゴミが入っていて心配!取り除いてあげることが正解なの?

クリクリのお目々がかわいらしい猫ではありますが、顔の大きさに対して眼球の比率が大きく、目にゴミが入りやすいことでも知られています。 目にゴミが入ると私たち人間は痛みを感じますが、猫の場合は痛みを伴っているのかも気になるところですよね。 愛猫の目にゴミが入っていると感じたとき、飼い主さんはどのような対応をすれば良いのでしょうか。

猫の目に異物が!これは病気?

猫の目
猫は全身を被毛で覆われていることからも、ふと愛猫の目を見てみると、抜け毛が付着しているといった姿を目にしたことはありませんか?

このように猫の目にはゴミが入りやすく、その姿を見てしまえば飼い主さんは心配になってしまうことでしょう。

抜け毛ではなく別の異物が入っていた場合には、病気を疑うべきなのでしょうか?

◆異物が動くようなら心配いらないことがほとんど

愛猫の目にゴミのようなものが入っていた場合、そのゴミが動くかどうかをまずは確認するようにしてください。

猫の目にはまつげがなく、ゴミが入りやすい形状をしていることが分かりますが、眼球の表面は角膜で覆われ、さらにその表面には涙の膜が張られていて眼球を守ります。

そのため、目にゴミが入った場合には、涙の膜にゴミが張り付いた状態となっており、涙を目の表面に行き渡らせるための瞬膜が動けば、自然と張り付いたゴミも一緒に動くはずです。

このように異物が動くことが確認できれば、心配いらないことがほとんどのため、無理に飼い主さんが取るようなことはせず、自然と取り除かれることを待ちましょう。

◆異物が同じ位置から動かないようなら傷や病気の可能性もある

目にゴミが入っていた場合で心配が必要なのが、同じ位置から動く様子がない場合です。

異物が同じ位置から動かないということは、涙の分泌量が足りない場合や、角膜を傷付けている可能性が高いため、注意が必要と言えるでしょう。

ゴミや異物ではなく、傷や病気の判断は素人では難しいため、心配な場合は早めに動物病院を受診するようにしてください。


猫の目に入りやすい異物

猫は顔の比率に対して目が大きいため、異物が入りやすいのはある意味仕方がないとも言えますよね。

異物が動いている場合は心配が要らないことがほとんどですが、一般的にはどのような異物が目に入りやすいと言えるのでしょうか。

◆猫の毛

やはり一番猫の目に入りやすい異物と言えば、猫自身の被毛(抜け毛)ですよね。

猫は毎日セルフグルーミングに時間を費やし、被毛のお手入れを欠かさないため、目の中に抜け毛が入ってしまう機会が多いことが分かります。

被毛で覆われた手足でグルーミングは行われますから、必然的に抜け毛が目に入る確率は高くなりますが、猫の抜け毛程度であれば、涙の膜によって痛みも感じないため、そこまで心配する必要はありません。

◆目ヤニ

生理現象である目ヤニも、グルーミングで取り除かれることがなければ、乾燥した目ヤニが取れて目に入ることがよくあります。

もちろんグルーミングの過程で目に入ってしまうこともありますが、目ヤニが乾燥した大きな塊であれば、目の表面を傷付けてしまう可能性もあるため、注意が必要と言えますよね。

目ヤニは元々古くなった細胞や、目に入ってきたホコリなどのゴミといった、老廃物が混ざってできたものとなるため、そこまで心配する必要はありませんが、過剰に目ヤニが増えている様子が見られれば、何かしらの原因により分泌量が増えているのかもしれません。

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◆ホコリ

日常生活の中で空気中に舞うものといえば、ホコリが挙げられますよね。

一定時間空気中を浮遊したのちに、ホコリは床に落ちていきますが、人が歩いたりものを置いたりする衝撃で、再びホコリは舞い上がります。

そうなると人間よりも床に近い位置で生活している猫にとって、ホコリが目に入ってしまうリスクは必然的に高くなることでしょう。

このようなことからも日常的に室内の清潔を心掛け、こまめに掃除をしておくことも大切です。

◆おもちゃの繊維など

猫ちゃんのストレスや運動不足を発散する際に、おもちゃを利用する飼い主さんは多いと思いますが、そのおもちゃの素材(繊維など)が、遊ぶ過程で目に入ってしまう可能性も否めません。

おもちゃを勢いよく動かすことや、猫ちゃんの攻撃により素材の一部が剥がれることも多いため、遊ぶ際には顔の付近で動かさないなどの工夫も必要となりますよね。

おもちゃの素材によっては目に入るだけでなく、角膜を傷付けてしまう可能性もあるため、そのようなことも考慮しながら、安全に遊ぶことを心掛けるようにしましょう。


目にゴミが入っていると痛いの?取った方がいい?

猫の目のごみ
私たちは目にゴミが入ると鋭い痛みを感じますが、猫は目にあまり神経が通っていないこともあり、痛みを感じにくいと言われています。

痛みを感じていないようであれば、取り除く必要がないように感じますが、取った方が良いものなのでしょうか?

◆猫ちゃんが気にしている様子がなければ、自然に取れるのを待つ

目にゴミが入っていたとしても、猫自身が気にしている様子がなければ、自然に取れるタイミングを待つことが一番です。

無理矢理飼い主さんが取り除こうとすると、愛猫の眼球を傷付けてしまう可能性もあります。

傷がついてしまえば違和感から目を擦るようになりますし、そこからばい菌が入れば感染症や炎症を引き起こすことも否めません。

目に異物が入ればそれを体外に排出させるべく、涙の分泌量が増えるといった作用も働くため、飼い主さんは自然に任せて見守ってあげてください。

小さなホコリやゴミなどは、目ヤニとなって排出されることがほとんどですので、セルフグルーミングでも取り除かれる様子がなければ、水で濡らしたコットンや目ヤニ専用シートを使用して、優しくふやかして拭き取ってあげましょう。

◆片目だけショボショボしているときは獣医師に相談を

もし愛猫が片目だけをショボショボさせているときは、危険信号のサインとなります。

そちら側の目だけに何かしらの違和感を覚えている場合や、ゴミによって痛みを伴っている場合があるからです。

とくに結膜に炎症が起こる結膜炎や、外傷性による角膜炎は、猫が発症しやすい目の病気とも言われているため、このような病気を患っている可能性も疑わなくてはいけません。

これらの病気を発症するのは基本的に、片目だけの場合がほとんどになるため、ショボショボしているだけでなく、涙や目ヤニの分泌が増える、目を充血させて開けにくそうにしているようであれば、動物病院を受診して獣医師さんに相談してください。


猫の眼球の表面に丸い膜のようなものがついているとき

猫の目にゴミが入っていた場合の原因などを紹介してきましたが、眼球の表面に丸い膜のようなものがついているときは、さらに注意が必要な状態となります。

◆角膜潰瘍の可能性

眼球の表面を覆う透明な膜である角膜が、さまざまな原因によって深く傷が付くことの総称を「角膜潰瘍(かくまくかいよう)」と呼びます。

潰瘍は深部にまで及ぶ組織への欠損といった意味を持ちますが、多くは涙の減少により引き起こされると言われており、その原因はさまざまとなるようです。

角膜が深く傷ついた部分が潰瘍となり、その部分が丸い膜のように見える場合も多く、そのまま放置してしまえば、穴が開いて「角膜穿孔(かくまくせんこう)」へと進行し、最悪の場合失明に至ることがあります。

◆東洋眼虫の可能性

角膜潰瘍だけでなく、東洋眼虫と呼ばれる寄生虫が目に寄生して丸まることにより、眼球の表面が丸い膜のように見えることがあります。

東洋眼虫とはショウジョウバエの仲間となる、「メマトイ」とよばれる昆虫の媒介によって寄生し、名前の通り動物の目にまとわりついて、涙や目ヤニなどに含まれるたんぱく質を摂食しながら生息するようです。

フィラリア予防をしていない場合や、外への行き来が自由にできる猫ちゃんに発症することが多く、人間にも感染する危険性が高い寄生虫のため、糸状の膜のようなものがあった場合には、すぐに愛猫を動物病院に連れていくようにしてください。


まとめ

猫の目は大きいだけでなく、眼球の表面が前に出っ張っており、目にゴミが入りやすい構造となっています。

基本的には目に入ったゴミはまばたきや瞬膜の動きにより、涙鼻管へとゴミを涙に乗せて排出させ、その結果鼻くそとなって蓄積されていくようです。

また、眠っている時間帯はまばたきができないため、鼻くそではなく目ヤニとなってゴミは排出されますが、それらはセルフグルーミングで取り除くことがほとんどなので、飼い主さんが無理矢理取り除く必要はありません。

そして、目に入ったゴミが動いているようであれば心配いりませんが、動かない場合は対処が素人では難しいため、必ず動物病院を受診するようにしてください。

猫の視力は元々低いですが、視野は驚くほど広く、なくてはならない体の一部となります。

何よりもあの美しい猫の目を傷付けないためにも、日ごろから愛猫の目をよく観察するようにし、異変がないかの確認を怠らないようにしましょう。

●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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