【獣医師監修】老猫の目やにが目立つ際に考えられる原因と対処法が知りたい!

2020.07.01

【獣医師監修】老猫の目やにが目立つ際に考えられる原因と対処法が知りたい!

生きていると避けて通ることのできない老化ですが、猫はその見た目の可愛らしさからも、年齢が現れにくいと感じている飼い主さんもいらっしゃることでしょう。 私たちよりも年齢を重ねる時間の早い猫は、なにか異変が現れたときに、老猫だと実感することが多いのも現実です。 猫の特徴とも言える大きな目にも、老化のサインが出やすいと言われているのをご存知でしょうか? とくに目やには老化のサインとも言われているので、今回は老猫の目やにについて詳しくご紹介させていただきます。

猫の老化について

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変わらない毎日を繰り返すことによって、いつの間にか変わってしまっていることといえば、老化を挙げることができますよね。

これは生を受けた者にとっては、抗うことのできない自然の摂理とも言えるでしょう。

ですので私たち人間だけでなく、常に身近に存在している猫も、時間が経過していけば、確実に年齢を重ねていることとなります。

人間の約4倍ものスピードで、歳をとっていると言われている猫ですが、見た目と実年齢の差を見分けるのが難しいとも言われているのです。

猫の老化は、どのような部分を見るとそのサインに気付きやすいのでしょうか?

◆猫の老化による症状①日常生活によるサイン

毎日猫と一緒に暮らしていると、その日常が当たり前となり、変化に気付き難くなってしまうものです。

ですが同じようなことの繰り返しの毎日の中にも、老猫のサインは其処彼処に見受けられます。

食欲が落ちた、食べる量が減った、硬いキャットフードを食べづらそうにしているなど、食事による異変もよく見られるようになります。

ほかにもトイレでうまく排泄ができない、粗相をする、トイレの回数が減ったなどの、トイレ周りの異変も現れてくることでしょう。

これらは健康な状態を知っていないと、飼い主さんでもなかなか気付くことができないので、普段からよく愛猫のことを観察しておくことも大切ですよね。

そして歳をとった老猫は、起きている時間が減り、眠る時間が多くなってきます。

猫は元々よく眠る動物ではありますので、飼い主さんには気付き難い変化と言えますが、食事やトイレに行くとき以外はほとんど眠っているようでしたら、老化が進んでいると考えて良いでしょう。

◆猫の老化による症状②性格によるサイン

年齢を重ねた老猫は、性格にも変化が出てくるようになります。

もちろん元々の性格に個体差はありますが、大人しくて落ち着いていた猫が、老猫になってから大きな声で鳴き、自己主張が強くなることもあります。

そして飼い主さんに媚びない性格だった猫でも、老猫になってから急に甘えん坊になって、赤ちゃん返りをするなんてこともあるようです。

このように「昔は○○だったのに、歳をとってから○○になった」などの変化は、老猫によく見られる性格の変化と言えますので、このようなサインも見逃さないようにしましょう。

◆猫の老化による症状③見た目によるサイン

老猫になると見た目にも、様々なサインが出てくるようになります。

年齢を重ねるとおもちゃなどに興味を示すことも少なくなり、眠る時間が多くなることによって、太ももが細くなり、痩せて皮膚のたるみも目立つようになってきます。

高齢になれば歩く際にも足元がおぼつかないこともあり、そのまま転倒してしまえばケガをしてしまうほど、筋力も衰えていることでしょう。

食が細くなっていくことからも、十分な栄養が摂取できていなければ、毛艶がなくなり、パサパサとした毛割れも目立つようになってくるはずです。

ほかにも老猫になると口腔内にも老化の変化が見られ、歯は黄ばんで歯石が目立ち、歯茎が下がるなどの症状が見られます。

体の様々な機能が低下することによって、口臭も気になるようになり、いくつかの歯が抜けているなどの変化も見られることでしょう。

そして歯と同じように猫の目にも、老化の症状は現れやすいです。

眼球の中には、水晶体と呼ばれているレンズがあり、老猫になるとこのレンズが濁るといった症状が現れます。

また、分泌物である目やにも多くなりますので、目やにが気になるようになってきたら、老化が進んでいると考えるようにしましょう。


老猫の目やにの原因

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猫の目やには生理現象となりますので、通常であれば老廃物と粘膜が混ざり合った分泌物ですので、とくに問題はありません。

ですが猫が年齢を重ね、老猫になってから目やにが増えた場合は、なにか病気を患っているのかなど、飼い主さんは色々と心配になってしまいますよね。

老猫になって目やにがよく出ている場合には、どんな原因が考えられるのでしょうか?

◆老猫の目やにの原因①グルーミングをしなくなった

老猫は眠る時間も多くなりますので、そうなると必然的に起きている時間も短くなってきます。

本来であれば起きている時間をグルーミングに割く猫は多く、キレイ好きな本能からも自身の毛並みを隅々まで整えていますよね。

もちろん顔も前足でしっかりと洗いますので、目やにもキレイに落とされているはずです。

眠る時間が多い老猫はまばたきの回数も少ないので、目やにが溜まりやすくなっているのです。

そして起きている時間が少なく、あまりグルーミングをしなくなってしまえば、常に目やにが付いていても不思議ではありません。

◆老猫の目やにの原因②結膜炎を患っている

猫の病気としてもよく知られている結膜炎ですが、老猫はこの病気を患うことがとても多いです。

目を覆う結膜が炎症を起こす病気となり、原因も様々ではありますが、体力や免疫が落ちている老猫は猫風邪を引きやすく、この風邪が引き金となって結膜炎を発症することが多いんですよね。

目やにだけでなく、涙が増えた、結膜の腫れ、目が開かないなどの症状も同時に見られるようでしたら、すぐに動物病院に連れて行くことをおすすめします。

目薬や軟膏などでの治療が可能な病気ですが、老猫が患ってしまうと命に関わってしまうこともありますので、注意が必要と言えるでしょう。

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老猫に目やにが出てしまった場合の対処

老猫の目やにが頻繁に出ているようなら、そのままにしておくわけにはいきません。

愛猫が自分でケアをできないのであれば、飼い主さんがしてあげなくてはいけませんよね。

老猫の目やにが気になった場合、どんな方法で対処をしてあげるのが望ましいのでしょうか。

◆優しく拭き取ってあげる

老猫がグルーミングをしている様子が見られないのなら、代わりに飼い主さんが愛猫のケアをしてあげるようにしましょう。

目やにはそのまま放っておくと固まって、目の周辺にある毛に絡まってどんどん取りづらくなる上に、目やにの量が増えれば目を覆って開かなくなってしまいます。

そうなってしまうと痒みを伴い、前足で目を掻く際に爪で目を傷付け、血が出てしまうこともあるので注意しなくてはいけません。

目やにが気になったタイミングで、ぬるま湯で湿らせたガーゼなどで拭きとってあげてください。

取り方で注意しておきたいのが、力任せに取るのではなく、優しく毛の流れに沿って取ってあげるようにしましょう。

気付いたときにこまめに拭き取ることが一番ですが、あまり頻繁にやりすぎてしまうと、老猫が嫌がり負担になってしまうので、様子を見ながら行うようにしてください。

◆動物病院に連れていく

グルーミングを怠っていることによる、目やにの分泌であれば飼い主さんが拭き取ってあげれば問題ありませんが、結膜炎などの影響で目やにが増えているのであれば、拭うだけでは抑えることはできません。

目やにだけでなく、同時に具合を悪そうにしているのであれば、早急に動物病院に受診するようにしてください。

そのまま放置してしまえば、別の病気を併発する可能性も否めませんので、たかが目やにだと思って放置するのはとても危険です。

そして適切な診断をしてもらい、適切な目薬や内服薬を処方してもらうようにしましょう。

症状に合った薬で治療を行うことによって、状態は改善されていくはずですので、飼い主さんがしっかりと自宅でケアを行ってあげてくださいね。

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まとめ

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生きていく中で、どうしても抗うことのできない老化ですが、同じ時間を一緒に過ごしていたとしても、猫の方が歳をとっていくスピードは早いのです。

昨日まで元気だったとしても、明日が必ず元気かどうかは分かりませんので、一緒に過ごす時間を大切に過ごしていきたいものですよね。

老猫になれば様々なサインが出てきますので、そのひとつひとつを見逃さないことも重要となってきます。

中でも目やには、大したサインに見えないようにも思われてしまいがちですが、目やにが出る原因を探っていくと、体の衰えや病気が隠れているので注意が必要となってきます。

ですのでそのまま放置するようなことはせず、老猫が不快な思いをせずに、快適に毎日を過ごすことができるように、飼い主さんの手でケアをしてあげることが一番です。

大切な愛猫に長生きしてもらうためにも、毎日の観察は欠かさないようにし、異変があればすぐに気付けるようにしてあげてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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