1.便利なウェットティッシュ
1-1.ウェットティッシュの種類
1-2.ウェットティッシュの成分
2.猫にウェットティッシュを使用するのは危険!?
2-1.猫はアルコールを分解できない
2-2.精油が使用されている場合も
2-3.プロピレングリコールの危険性
3.ウェットティッシュの使い道
3-1.口周りの汚れを取る
3-2.目のまわりのケア
3-3.トイレの後
3-4.外出後の足拭き
3-5.シャンプー代わりに
3-6.ケージの掃除
4.猫のいる家でウェットティッシュを使用する時の注意点
4-1.ノンアルコールのものを選ぼう
4-2.ペット用でも成分に気をつけよう
4-3.家具や床を拭く際にも注意
4-4.成分が気になる場合は濡らしたタオル等を使用
4-5.汚れがひどい場合はシャンプーする
便利なウェットティッシュ
ウェットティッシュは、食べこぼしを拭いたり除菌をしたり、生活の様々な場面で便利なアイテムです。
口のまわりの汚れや目やにを取ったり、トイレの後の汚れを拭いたりと、ペットとの暮らしでもウェットティッシュを使う場面は多いでしょう。
そこで、まずはウェットティッシュについて、簡単にまとめておきます。
◆ウェットティッシュの種類
ウェットティッシュには、様々な種類があります。
まず、テーブルを拭くなどの掃除に向いているのが、アルコールが含まれている「除菌タイプ」です。
一番人気のあるタイプですが、商品によっては強いアルコールが含まれていることがあり、手や身体を拭くのには適していません。
「純水タイプ」は、ノンアルコールで肌に優しく、手を拭いたり体を拭いたりすることができます。
赤ちゃん用のウェットティッシュでは、「お尻拭き用」や「食事用拭き取りナップ」はノンアルコールですが、「除菌用」はアルコールを含むものとノンアルコールのものがあります。
さらにペット用のウェットティッシュもあり、おおむね犬や猫に無害な成分が使用されています。
◆ウェットティッシュの成分
ウェットティッシュの成分は、主に水です。
除菌成分としてアルコールが使用されていたり、保湿成分としてプロピレングリコールなど、保存料として安息香酸ナトリウムなどが含まれていたりします。
また、香料が含まれている商品も少なくありません。
赤ちゃん用のウェットティッシュには、プロピレングリコールなどが使用されていないものもあります。
猫にウェットティッシュを使用するのは危険!?
では、猫にウェットティッシュを使うことに問題はないのでしょうか?
◆猫はアルコールを分解できない
猫は、アルコールを分解できる酵素を持っていないため、アルコールを摂取すると嘔吐や下痢、意識障害、心肺停止など重篤な症状を引き起こす可能性があります。
人間用のウェットティッシュには、アルコールが含まれているものが多いです。
猫は、体が濡れたり、体に異物がついたりすることを嫌い、グルーミングで舐めとろうとします。
そのため、ウェットティッシュで拭いた部分を舐めることで、アルコールを摂取する可能性があります。
猫に対するアルコールの致死量は体重1kgあたり5.6mLとされているので、ウェットティッシュで拭いた後に残った量で即、重篤な状態になることはないでしょう。
しかし、人と同様、継続して摂取することで肝臓に負担がかかり、肝臓の病気になる可能性があります。
◆精油が使用されている場合も
近年の自然志向から、香りづけに天然成分である精油(エッセンシャルオイル)を使用した商品も多くなりました。
ウェットティッシュにも精油で香りをつけているものがありますが、猫に使用するのは危険です。
完全肉食動物である猫の肝臓には、「グルクロン酸抱合」という重要な解毒機構がありません。
このため、グルクロン酸抱合で分解されるべき精油の成分の一部が解毒されず、少量の精油でも中毒を起こしやすいのです。
精油の毒性は蓄積性があるため、長期にわたって摂取することで、ある日突然症状が現れる可能性もあります。
◆プロピレングリコールの危険性
プロピレングリコール(PG)は、酸化プロピレンの加水分解によって製造される人工物質です。
粘っこい液体で、ほぼ無色無臭、わずかな甘みがあり、毒性は低いです。
このため、現在、保湿剤や潤滑剤、乳化剤として、医薬品や化粧品、食品などに広く使用されています。
多くのウェットティッシュにも、保湿剤としてプロピレングリコールが使用されています。
しかし、猫がプロピレングリコールを摂取すると、赤血球の中の「ハインツ小体」を増加させます。
ハインツ小体は、「糖尿病性ケトアシドーシス」の際に見られる物質です。
糖尿病性ケトアシドーシスでは、細胞が損傷を受け、さらに脱水が加わると意識障害を起こします。
猫でのLD50(半数致死量)は18~24g/kgとされており、体の小さな猫にとっては少量でも危険な物質です。
このため、FDA(アメリカ食品医薬品局)や日本のペットフード安全法では、猫用のフードへの使用が禁止されています。
ちなみに、犬では同様の症状が確認されていないため、犬用のウェットフードにはプロピレングリコールを使用しているものがあります。
ウェットティッシュの使い道
それでは、猫との暮らしの中でウェットティッシュを使うのはどのような時でしょうか?
◆口周りの汚れを取る
猫は、食事の後、自分で口の周りの汚れを拭き取ります。
しかし、ゴハンの汚れは、顎など、自分の舌が届かない場所にもついていることがあり、汚れたままにしていると顎ニキビなどの原因になります。
特に長毛種では、汚れが原因でニオイがしたり、毛が汚れてしまったりするので、ウェットティッシュで拭いてあげるとよいでしょう。
◆目のまわりのケア
「寝子」が由来と言われるほどよく寝ている猫ですから、目やにが溜まりがちです。
目やにを放置しておくと、涙焼けの原因になることにもなり、さらに目やにが溜まりやすくなります。
目やにを取る時にティッシュを使うと、目の粘膜を傷つけることがあるので、濡らしたコットンやウェットティッシュを使いましょう。
◆トイレの後
猫は綺麗好きなので、トイレの後、自分で汚れを拭き取りますが、長毛種ではお尻に排せつ物がついてしまって取れないこともあります。
ウェットティッシュで、汚れを拭き取ってあげるようにするとよいでしょう。
◆外出後の足拭き
猫は完全室内飼育が原則ですが、外と行き来自由にして飼っている飼い主さんもいます。
外出から帰った猫の足は汚れているので、ウェットティッシュで拭き取るようにしましょう。
◆シャンプー代わりに
水が苦手な猫は、シャンプーを嫌う子が多いです。
しかし、ベランダや玄関の土間でゴロゴロとするような子は、体に土汚れなどがつきます。
シャンプーが苦手な愛猫なら、体の汚れを取るのにウェットティッシュを使うのもおすすめです。
◆ケージの掃除
猫は、ケージの柵を噛んだり柵で爪をといだりしますが、その際に猫に害のある物質が口や爪につく可能性があります。
そのため、ケージを拭く時には、ペット用ウェットティッシュを使うとよいでしょう。
猫のいる家でウェットティッシュを使用する時の注意点
◆ノンアルコールのものを選ぼう
前述のとおり、猫はアルコールを分解することができないため、アルコールを使用したウェットティッシュを使うことは避けましょう。
現在は、肌が弱い人やアルコールの匂いが苦手な人のために、ノンアルコールのウェットティッシュがたくさん市販されています。
特に、赤ちゃん用の商品は、ノンアルコールの製品が多いです。
ペット用の製品に比べて安価な場合が多いので、多頭飼いなどで大量に使用する場合には、赤ちゃん用のウェットティッシュを使うのも選択肢の一つです。
◆ペット用でも成分に気をつけよう
ペット用のウェットティッシュも、多く市販されています。
しかし、ペット用でもプロピレングリコールを使用している製品が少なくありません。
パッケージに「舐めても安心」と書かれていても、プロピレングリコールを使用していることがあります。
前述のように、プロピレングリコールは猫には有害ですが、犬には無害なため、犬用の製品には注意が必要です。
パッケージに猫の画像が使用されていても、実際には犬用である場合があるので気をつけましょう。
新しい商品を購入する時や、すでにウェットティッシュを使用していて愛猫の体調がよくないと感じる場合には、成分表示を確認するようにしてください。
◆家具や床を拭く際にも注意
家具や床の汚れを取る時に、ウェットティッシュを使用する飼い主さんも多いでしょう。
しかし、犬や猫といったペットは、家具や床を舐めてしまうことが少なくありません。
また、ケージの汚れを拭き取るのにもウェットティッシュは重宝しますが、猫はケージを齧ったり爪とぎに使ったりします。
この時、ウェットティッシュの成分が残っていて猫の体内に入ってしまう可能性があります。
猫が使う部屋の家具や床、猫のケージを拭く時には、猫に無害な成分だけを使用したウェットティッシュを使いましょう。
◆成分が気になる場合は濡らしたタオル等を使用
ノンアルコールであったり、プロピレングリコールを使用していなかったりするウェットティッシュでも、様々な化学物質が使用されていることがほとんどです。
使用されている量は、猫にとっても危険のない量であるはずですが、気になる飼い主さんも多いでしょう。
ウェットティッシュに使用されている成分が気になる方は、濡らしたコットンやタオルを使ってケアや掃除をすると安心です。
◆汚れがひどい場合はシャンプーする
猫は、通常、自分で体を舐めて清潔を保っていますが、汚れがひどい場合には飼い主さんがきれいにしてあげる必要があります。
また、シニア猫やぽっちゃりした猫は、グルーミングを十分にできていないことがあります。
汚れやニオイが気になる場合には、シャンプーをしてあげるとよいでしょう。
ただし、シニア猫などは、体調に十分配慮してあげてください。
まとめ
生活の様々な場面で重宝するウェットティッシュですが、アルコールやプロピレングリコール、精油など猫にとって有害な成分が使用されている商品があります。
猫と暮らすうちでウェットティッシュを使う場合には、ペット用のウェットティッシュを使うようにしましょう。
また、ペット用であっても犬用の商品にはプロピレングリコールが使われていることがあるので、購入の際には成分表示を確認するようにしましょう。
成分が気になる場合には、濡らしたタオルやコットンで拭いたり、シャンプーをしたりすることでウェットティッシュを使わずにケアをすることもできます。
成分表示をよく確認して、適切な用途で使用すれば、ウェットティッシュは非常に便利なアイテムですので、猫との生活に上手に取り入れてみてください。
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