1.猫はどうして肥満になりやすいの?その原因や環境とは?
1-1.原因1.運動不足によりエネルギー消費量が減る
1-2.原因2.食事の与え方が適切でない
1-3.原因3.去勢手術や避妊手術後
1-4.原因4.シニアは太りやすい
2.猫の肥満の放置はNG!肥満が引き起こす問題をチェック
2-1.問題1.関節炎や脱臼、じん帯を痛めやすくなる
2-2.問題2.心臓への負担が大きくなる
2-3.問題3.便秘になりやすい
2-4.問題4.呼吸器を圧迫するかもしれない
2-5.問題5.糖尿病を引き起こす可能性
2-6.問題6.麻酔が効きづらくなることも
2-7.問題7.肝臓の病気を引き起こすこともある
2-8.問題8.皮膚トラブルが増える
3.猫ちゃんもダイエットが可能!?無理のない範囲で取り組もう
3-1.コミュニケーションを増やす
3-2.運動できるような環境を作る
3-3.食事を見直す
3-4.こまめな体重チェックと健康観察をする
3-5.ダイエットは緩やかに無理のない範囲で
4.まとめ
猫はどうして肥満になりやすいの?その原因や環境とは?
まずは、猫がどうして肥満になるのか、原因について見ていきましょう。
◆原因1.運動不足によりエネルギー消費量が減る
人間と同じですが、太る原因で大きなものが「運動不足」です。
そもそも、猫は寝ている時間が多い動物です。
野生時代は、狩猟で「自分のえさは自分で取る」というスタイルだったこともあり、狩猟以外の時間は「体力温存をしよう」とする本能があるからです。
そして、狩猟のときに溜めていたエネルギーを放って消費します。
飼い猫の場合、食事の心配はありません。
あまり運動しなければ、食べた分のエネルギーが消費できずに蓄積されていくことになるでしょう。
“まったりゴロゴロ”している猫は可愛いですが、野生猫よりは運動不足に陥りやすく、太りやすいのです。
◆原因2.食事の与え方が適切でない
猫の食事の主導権は飼い主さんが持っています。
食事の与え過ぎや与え方が間違っていることが原因で太ることがあります。
年齢や体重によって、1日に必要な食事量は異なります。
目分量で適当に与えていないでしょうか?
目分量だと、食事量が多すぎになってしまうかもしれません。
ただ、適正量を計って食事を与えているケースでも太ることがあります。
その背景には「オヤツを与え過ぎている」「多頭飼いでほかの子の分まで食べてしまう」など、様々な肥満になる原因が潜んでいることも考えられます。
そして、「オヤツをあげる」という習慣が肥満を引き起こしている可能性は高いです。
しつけの際にご褒美的として、あげている飼い主さんは多いかと思います。
適量であれば、猫との絆を深めるためには、必要なものと言えるでしょう。
ただ、カロリーがあるので、与え過ぎはよくありません。
本来の食事のほか、摂取カロリーが増えるわけですから、与え過ぎるほどに肥満になる確率が高まるでしょう。
また、年齢によって必要なカロリーや栄養分は違うので、「子猫時代は子猫用」「シニアに入ったら老猫用」など、ライフステージに合わせたキャットフードを選ぶことも大事です。
◆原因3.去勢手術や避妊手術後
性別による行動や病気のリスクを減らすため、避妊手術や去勢手術をすることがあります。
ただ、手術後はどうしてもホルモンバランスが崩れてしまい、代謝が落ちます。
以前と同じだけ動いても、エネルギーが消費しづらいのです。
また、性別による行動がおさえられた反面で、食欲が増えることもあります。
そのため、去勢手術や避妊手術後は、太りやすくなると言われています。
◆原因4.シニアは太りやすい
子猫の頃は、活発な猫ちゃんが多いです。
「何だろう?」「ワクワクする!」と、家のなかを探検してまわるアクティブな毎日を過ごすでしょう。
犬と違って散歩に出ることはないにしても、自分からたくさん動くので、エネルギー消費をしてくれます。
しかし、それも次第に落ち着いていきます。
猫種にもよりますが、生後数年も経てば運動量は減り、シニア世代に突入すると、寝てばかりというライフスタイルもあるでしょう。
加齢とともに代謝が減り、「あまり動かないのに食欲旺盛」というケースは、とくに太りやすい傾向にあります。
猫の肥満の放置はNG!肥満が引き起こす問題をチェック
「太っている姿も可愛い」「太ったのなら仕方がない」というように、飼い主さんが諦めの心を持っているケースもあるかと思います。
肥満になると、太っていないときと比べて病気のリスクは増えます。
愛猫が病気になると、きっと「もっと真剣に考えておけばよかった…」と後悔するのではないでしょうか。
肥満がどれだけ健康によくないことなのか、肥満になった後に起きるかもしれない健康問題を知っておくことが大事です。
◆問題1.関節炎や脱臼、じん帯を痛めやすくなる
足や腰は体全体をささえている部分です。
肥満になると、足や関節にかかる負荷が増えます。
これまで、高所からのジャンプや階段の昇り降りを得意としていたアクティブな猫ちゃんでも、ジャンプや着地の瞬間に違和感が出るでしょう。
関節の脱臼や炎症、じん帯を痛めるかもしれません。
そもそも猫は、野生の時には「自分の身は自分で守る」という生活をしていました。
そのため、関節に痛みを抱えていても、「悟られまい」と周りに知られないように隠すこともあります。
「あまり動かなくなった」「おとなしくなった」と飼い主さんが不思議に思ったら、実は関節系のトラブルを抱えていたということもあるでしょう。
◆問題2.心臓への負担が大きくなる
肥満によって体重が増えることで、心臓への負担を大きくしてしまうかもしれません。
心臓から全身に酸素や栄養分が送り込まれているため、肥満で体が大きくなれば、血管がその分長くなっていきます。
心臓は「全身へ血液を送り込む」ためのポンプであり、太るほどに心臓の作業量が多くなり、血圧も高くなるかもしれません。
猫自身も、あんまり動いていないのに「苦しいな」「つらいな」と感じやすくなるでしょう。
◆問題3.便秘になりやすい
肥満になると動きが制限されてしまいます。
結果的に運動量が減りますが、それが原因で排便を促す腸の力が衰えることも考えられます。
◆問題4.呼吸器を圧迫するかもしれない
肥満によって首回りにお肉がついたことが原因で、呼吸器が圧迫されます。
呼吸ができずに苦しそうにしたり、イビキのような音を鳴らしたりすることもあります。
呼吸器不全は死の危険があるので、注意しなければなりません。
◆問題5.糖尿病を引き起こす可能性
猫も、肥満により糖尿病を引き起こすことがあります。
糖尿病は、血糖値を正常に維持するためのホルモン分泌に異常を招く病気です。
軽度であれば食事療法やダイエットで改善できる可能性もあります。
しかし、重度まで症状が進行して低血糖になると、インスリン注射の治療を続けていかなくてはなりません。
猫にとっても、辛い日常になってしまうでしょう。
◆問題6.麻酔が効きづらくなることも
肥満になると、手術の際の麻酔が効きづらくなるかもしれません。
平均的な体重の場合、「このくらいの量で麻酔が効く」というデータがあります。
しかし、肥満は通常量よりも多い麻酔をかけなければなりません。
量が多すぎて目覚められなくなるという問題のほか、量が少な過ぎて麻酔の効果が弱まる可能性も考えられます。
◆問題7.肝臓の病気を引き起こすこともある
猫の体にとって重要な臓器のひとつが肝臓ですが、肥満により「肝リピドーシス」になることがあります。
肥満猫が食事をせずに、急に体重が減るというのが症状です。
黄疸やよだれなど、ほかの症状もいくつか表れます。
命の危険も脅かす病気です。
◆問題8.皮膚トラブルが増える
肥満になると体が大きくなるので、猫はグルーミングがしづらくなります。
普通、グルーミングで体のお手入れをして、清潔な皮膚を維持できます。
しかし、体が大きくなると、グルーミングでケアできない場所が出てきます。
そういった箇所から、皮膚トラブルが起きやすくなるかもしれません。
体全体に栄養が届きにくくなり、皮膚トラブルが起こりやすくなります。
猫ちゃんもダイエットが可能!?無理のない範囲で取り組もう
世間的に「デブ猫は可愛い」と注目されている節があります。
そのため、肥満になってしまった猫ちゃんを見ては「うちの子は可愛い」とプラス思考で考えてはいませんか。
確かに、ぽっちゃりしていると可愛いですが、何もしないでいれば、ますます太ってさらなる危険に愛猫をさらしてしまうかもしれません。
無理のない範囲でダイエットに取り組み、猫ちゃんの負担を少しずつでも取り除いてあげましょう。
それには一体どんな方法が良いのでしょうか。
◆コミュニケーションを増やす
犬と違って、散歩という習慣がない猫。
猫は何もすることがないとゴロゴロするので、飼い主さんから積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
加齢とともに、遊びにもあまり興味を示さなくなるかもしれません。
しかし、ちょっとずつでもいいので、飼い主さんから遊びに誘ってあげましょう。
猫じゃらしなどの市販のおもちゃをいくつか準備し、コミュニケーションの時間を増やしてみてくださいね。
1回の遊ぶ時間が数分程度でも、1日に何度も遊べば結構な運動になるでしょう。
◆運動できるような環境を作る
肥満になると、運動そのものが億劫になっているかもしれません。
しかし、それではますます動かなくて痩せないですよね。
キャットタワーや上下運動ができる環境を作ってみてはいかがでしょうか。
また、2段、3段のケージを置いてみるのもいいかもしれません。
トイレを下、ベッドを上というように設置することで、自然に動く量が増えるでしょう。
◆食事を見直す
これまでの食事方法を見直すのも、ダイエットに効果があります。
まずは、今の体重をきちんと計測し、適量を把握するところから始めましょう。
オヤツを与えたときは、メインの食事量を減らすなどして調整するようにします。
多頭飼いしているときは、ほかの猫の分を食べないように「食事時間をずらす」「食事場所を分ける」などの配慮をしてくださいね。
1日分の食事量を変えずに、1回の食事の量を少なくするのもいいでしょう。
これまで1日2回の食事だったら、4~5回、もしくは5~6回と回数を増やしてみてください。
また、ダイエットに適したキャットフードを食べさせてみるのもいいでしょう。
「ダイエット用」となっていれば、そもそもカロリー消費量が少なめで、同じ量を食べても満腹感が下がらないため、食事量を変えなくてもOKです。
◆こまめな体重チェックと健康観察をする
日頃から体重を測っておきましょう。
ただ、肥満か太っているかは、体重だけでは判断できないことも多いです。
体が大きくても、筋肉が適量で脂肪が少なければ、あまり問題がないこともあります。
特に、長い毛にかくれると肥満に気づきにくいケースもあるので、時々は背骨や肋骨に触ったりとチェックしてみることが大事です。
また、肥満にともなって体への影響がないかも観察しましょう。
肥満が原因で体に異変が起こっている様子が見られたら、早めに動物病院に行ってみてくださいね。
◆ダイエットは緩やかに無理のない範囲で
猫自身は、ダイエットに関して理解はできません。
猫の体重が増えたときは、飼い主さんが積極的に取り組むしかないでしょう。
ただ、食事量をいきなり減らすと「お腹がすいた」と鳴いてばかりになるかもしれません。
それに、無茶な食事制限は栄養不足で体力を奪ったり、ほかの病気の原因になったりとリスクがあります。
「健康的でいて欲しい」と願って始めたダイエットも、無理が過ぎると悲しい結果になってしまいます。
ダイエットを考えたら、まずは「無理のない範囲で」と緩やかな気持ちでスタートしましょう。
時間はかかるかもしれませんが、少しずつでも結果が出ると嬉しいですよね。
シニアの猫やケガをしている猫などは、そもそも無理に運動するのは体への負担となってしまうでしょう。
現在の体調と同時に獣医師に相談してみるのもいいかと思います。
まとめ
丸いフォルムで可愛らしいぽっちゃり猫は、実は病気のリスクと隣り合わせとも言えます。
“ぽっちゃり”から“肥満”へと変われば、さらに痩せにくくなってしまいます。
肥満から起こる問題を知ると、焦って急激なダイエットを考えてしまうかもしれません。
しかし、「食事を抜く」という絶食ダイエットはやってはいけない行為です。
くれぐれも無理のない範囲で、緩やかに取り組んでいきましょう。
猫ちゃんとのダイエットは長い闘いになるかもしれません。
まずは、肥満になる原因やその後に起こるかもしれない問題などをきちんと受け止めることが大事です。
あなたの愛する猫が、健康的で幸せでいられるように、正しい知識でサポートしてあげてくださいね。
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