ドワーフキャットってどんな猫?体が成長しない小猫症とは

2023.08.20

ドワーフキャットってどんな猫?体が成長しない小猫症とは

みなさんは「ドワーフキャット」という言葉を聞いたことはありますか? 月日を重ねても体が小さいままで、いつまでも子猫のような見た目の猫を指します。 この体が成長しない現象は「小猫症」を患っているからとされていますが、小猫症とは一体どのような病気なのでしょうか。 ドワーフキャットについて、詳しくご紹介します。

ドワーフキャットとは

子猫

なかなか出会う機会の少ない「ドワーフキャット」ではありますが、SNSなどでは「永遠の子猫」として取り上げられることも多く、そのような猫ちゃんを目にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

『ドワーフ』というのは「(伝説上の)小人」や「特別な小さな動物」といった意味を持っており、動物が標準的なサイズよりも小さく成長することを「ドワーフィズム(dwarfism)」と呼びます。

人医学的には「小人症」と呼ばれていますが、猫の場合では「ドワーフキャット(dwarf cat)」「小猫症」と呼ばれることが多いようです。

見た目だけでいえば子猫のように小さく可愛らしいようにも感じますが、小猫病(ドワーフキャット)は成長期を過ぎても身体が発達せず、おとなの年齢を迎えてしまうという病気です。
このため、さまざまな困難に立ち向かいながら生きていかなければいけません。

◆2つのタイプに分かれるドワーフキャット

ドワーフキャットは原因によって、2つのタイプ(型)に分類されます。

【不均衡(ふきんこう)型】
顔は通常サイズで四肢や背骨が極端に短く、先天性の関節疾患が起こりやすい傾向にあるため、飼育の際には関節に負担がかからないような暮らしが必須と言えます。

【均衡(きんこう)型】
頭も含めた身体全体が成長しない。内分泌(ホルモン)系の異常によって引き起こされていると言われている。
特定の病気(先天性甲状腺機能低下症・下垂体前葉機能不全)が原因として、報告されることが多いようです。


猫のドワーフィズムの原因や特徴は?

見つめる猫

成長途中で身体の発育が止まってしまうドワーフキャットですが、一体何が原因なのでしょうか。

最も多い原因として考えられているのはこれからご紹介する3つの病気となりますが、そのほかにも心臓病や腎臓病、内臓から肝臓に向かう静脈に問題が生じる門脈形成不全、必要な酵素の生成ができないライソゾーム病などが原因で、発育不全が起きることがあります。

◆骨軟骨異形成

不均衡タイプの原因としてもっとも多いのが、「骨軟骨異形成」といった筋骨格系の疾患となります。

見た目は短足であっても頑丈でしっかりとした手足を持つことから、健康上に大きな問題はないとされてはいますが、成長過程で異常な骨の形状や、脊椎の奇形、成長不良が現れやすいようです。
その他の特徴としては、動きがゆっくりであったり、鳴き声が小さいかほとんど鳴かないという事もあげられます。

先天性の遺伝子変異を患っていることから便秘や関節炎を発症しやすく、飼育の際には排便のケアをはじめとしたお手入れはもちろんのこと、段差を減らすなど生活環境を整えておく必要があると言えるでしょう。

一部の国や州では、ドワーフキャットの繁殖は禁止されており、マンチカンやミヌエットなどの純血種は、猫好きの方にとって認知度の高い品種となりますが、登録血統団体によっては登録をNGにしている団体も存在し、純血種としてグレーな存在であることがうかがえます。

◆先天性甲状腺機能低下症

均衡タイプの原因の1つとして考えられているのが、「先天性甲状腺機能低下症」です。
顔が大きく身体が小さいといった見た目が特徴の1つと言えます。

先天性甲状腺機能低下症は、気管軟骨の両脇に存在する甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが減少することや、作用が不十分なことにより起こる病気を指します。

猫での発症は稀ではありますが、遺伝性によるもの、免疫介在性によるもの、医原性によるものなどさまざまとなり、ほかの病気の影響で引き起こされる場合もあるため注意が必要です。

活動力が低下することで物事への関心低下、動きが鈍くなる、低体温、体重増加による肥満、毛並みの悪化や脱毛、慢性的な便秘、血圧の低下など、身体にさまざまな影響をもたらすことが分かっています。

◆下垂体前葉機能不全

もう1つの均衡タイプの原因が、「下垂体前葉機能不全」です。

下垂体前葉機能不全は脳の中にある、下垂体と呼ばれている内分泌器官の前方部分に異常が生じ、成長ホルモンの1つである「サイロキシン」の分泌が、滞ってしまう状態のこととなります。

「低ソマトトロピン症」「下垂体性小猫症」と呼ばれることもあり、成長ホルモンの働きは骨の成長や筋肉の発育、インスリン様成長因子-1の分泌促進などにも役立つため、この働きが上手に機能しなければ、小猫症だけでなく筋肉の萎縮、低血糖、腎不全などを引き起こしやすくなるようです。

症状としては頭も含め身体全体が小さい、歯(乳歯・永久歯)の成長遅延、被毛が少ない、発情の欠落、子犬のようにキャンキャン鳴く、角膜の混濁などの症状が見られます。

下垂体前葉機能不全は先天性ではなく、後天性の可能性が高いと言われており、外傷による脳細胞の壊死、血流不足にともなう梗塞、下垂体後葉の出血などが発症メカニズムとして想定されていますが、はっきりしたことは分かっていません。


小猫症の治療法とは

さまざまな原因から発症する恐れのある小猫症ですが、身体の成長が止まってしまう病気となるため、どのような治療が有効なのかも気になるところですよね。

基本的にドワーフキャットの治療法は、原因をしっかりと追究し、その原因に合った治療を行っていかなくてはいけません。

そして、動物病院側がドワーフキャットと明確な判断をするまでには、たくさんの検査を受ける必要があるため、原因追及までの道のりも長く、猫ちゃんだけでなく飼い主さんの根気も必要となってきます。

◆骨軟骨異形成の場合

骨軟骨異形成は先天性の病気のため、完治させることが難しく、特定の治療方法はありません。

主に関節炎や痛みに対しての対症療法が用いられることがほとんどで、消炎鎮痛薬やサプリメントなどで症状を和らげていきます。

骨や軟骨に異常が生じ、日常生活が困難な場合は、獣医師によって外科手術を検討する場合もあります(手術に耐えられる可能性のある個体の場合)。

◆先天性甲状腺機能低下症の場合

先天性甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの数値が低いことが検査によって早期発見、早期介入に繋がれば、甲状腺ホルモン剤の投与を行い、ホルモンレベルの正常化を目指します。

子猫のうちであっても、ドワーフキャットを疑うような特徴的な症状が1つでも見られる場合には、すぐにでも動物病院を受診するようにしてください。

一生付き合っていかなければいけない病気となりますが、定期的に血液検査を行い、ホルモンの数値を安定できれば、ほかの猫ちゃんと変わらない生活を送れるようになります。

◆下垂体前葉機能不全の場合

下垂体前葉機能不全が原因となる小猫症には、残念なことに確立された治療法はありません。

ごく稀にホルモン療法である程度の改善は望めるようですが、下垂体は複数のホルモン分泌をコントロールする部位となるため、この部位が機能不全を起こしていればほかの病気を併発する可能性も高く、現実的に治療が難しいと言わざるを得ないでしょう。


まだ不明な部分が多い『ドワーフキャット』

パソコンを見つめる猫

ドワーフキャットについてご紹介してきましたが、まだまだ解明されていない部分が多く、ドワーフキャットを疑ったときには、治療ができない場合もあるため、子猫をお迎えした際には、成長過程をよく観察しておくことも大切です。

猫好きな方であれば猫を迎えた瞬間から、家族の一員として愛情を注ぐはずですし、ドワーフキャットだったからといってお世話を放棄する方は居ないはずです。

普通の猫ちゃんよりもお世話のレベルは上がり、長くは生きられないかもしれませんが、それはその猫ちゃん自身の個性として受け止め、献身的に生活を共にできる方こそが、ドワーフキャットの飼い主さんに相応しいのではないでしょうか。

天使のように可愛らしいドワーフキャットではありますが、さまざまな不遇を背負ったまま生き続けなければいけない事実を、私たち人間は目を背けることなく向き合っていく必要がありますよね。

このような遺伝子疾患を持つ猫を生み出したのは、すべて人間です。

その事実を知った上でドワーフキャットの存在を理解し、可愛いだけの猫ちゃんではないことを知っていただければ幸いです。


まとめ

あまり日常的に出会える機会のないドワーフキャットとなりますが、永遠の子猫と言われているようにとても可愛らしく、飼ってみたいと考えたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、先天性の疾患が原因となることがほとんどであることから、日常生活の中でのお世話が難しく、飼い主さんから飼育放棄されるケースも多くあるようです。

ドワーフキャット特有の特徴を個性として受け止められる方でしか、飼うことができない特別な猫ちゃんとなるため、お迎えを切に願うようであれば、ドワーフキャットへの理解を深め、献身的にお世話ができると確信した際にお迎えをするようにしましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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