1.猫の15歳は人間年齢何歳?
2.愛猫が15歳になったら
2-1.年齢や体調にあったフードを与える
2-2.家のレイアウトを見直す
2-3.可能なら数か月に1度病院へ行く
3.高齢猫が特に気を付けたい病気
3-1.慢性腎臓病
3-2.リンパ腫
3-3.甲状腺機能亢進症
3-4.歯周病
4.猫の最高齢はどれくらい?
4-1.猫の平均寿命
4-2.ギネス記録は38歳
5.まとめ
猫の15歳は人間年齢何歳?
猫の成長のスピードは人間とは異なるため、愛猫の年齢が人間の何歳くらいに相当するのか、すぐには分かりませんね。
諸説ありますが、一般的には、猫の生後1か月は人間の1歳に相当し、6か月齢で9歳、1歳になると18歳に相当するとされます。
人間の24歳に相当する2歳以降は、1年で人間の年齢でいうと4歳ずつ年を取っていくと言われています。
つまり、15歳の猫は、人間の年齢に換算すると76歳、もう後期高齢者ですね。
獣医学上は、7歳~10歳を中高年期、11歳~14歳を高齢期、15歳以上を老齢期と分類しています。
愛猫が15歳になったら
猫も高齢になると、人間と同じく心身に様々な変化が現れます。
老齢期となる15歳になったら、猫の老化も進み、いろいろな部分で衰えが見えてくるでしょう。
◆年齢や体調にあったフードを与える
現在、キャットフードは、年齢やライフステージなどに合わせて作られています。
一般に、7歳から高齢猫という扱いになっており、15歳以上には専用のフードが販売されています。
高齢猫では食事量が落ちてくるので、栄養やカロリーが足りるように調整されていたり、いろいろな病気に合わせて配合されていたりと、シニア期に合わせたフードです。
15歳を迎えたら、愛猫の様子を見ながら、15歳以上の猫用のフードに切り替えていきましょう。
◆家のレイアウトを見直す
猫も加齢につれて、筋肉が落ちてきます。
そのため、それまで上がれていた高いところに上がれなくなったり、さらに老化が進むとトイレの縁も越えられなくなったりします。
キャットタワーを低いものに買い替えたり、高さの違うものを配置したりして、段差を少なくしてあげるとよいでしょう。
また、上がって危険な場所には上がれないような工夫も必要です。
トイレの縁を越えづらくなっているようなら、浅いタイプのトイレに買い替えたり、スロープを作ってあげたりしましょう。
◆可能なら数か月に1度病院へ行く
若いころから1年に1度、7歳を超えたら半年に1度の健康診断を受けておくことをおすすめします。
15歳を迎えたら、可能であれば、さらに頻度を増やして、数か月に1度程度、動物病院で簡単な検診を受けるとよいでしょう。
獣医師さんに日ごろの様子を見ておいてもらうことで、ちょっとした変化にも気づいてもらいやすくなります。
高齢猫が特に気を付けたい病気
加齢に伴い、どうしても病気にかかることが増えていきます。
どんな病気も早期発見・早期治療が大切なので、飼い主さんは日ごろから様子をよく観察し、異変が見られたら早めに動物病院に連れて行きましょう。
◆慢性腎臓病
慢性腎臓病は、腎臓の機能が時間をかけてゆっくり低下していく病気です。
慢性腎不全とも言い、腎臓が徐々に炎症を起こして繊維化していくことで機能が衰えて、最終的に機能しなくなります。
加齢に伴って腎機能が低下していくケースが多く、7歳以上の猫によく見られる病気です。
初期は、水をたくさん飲み、オシッコの量が増えるようになります(多飲多尿)。
血液中に毒素が溜まっていくと、嘔吐や下痢、脱水症状などを引き起こし、さらに進行すると尿毒症を発症して死に至ることもあります。
多飲多尿が起きた頃には、すでに腎臓の機能は正常の1/4まで落ちています。
飼い主さんが気づくのは、多くは嘔吐や下痢、食欲不振などが起きてからです。
慢性腎臓病は進行性の病気で、一度失われた腎機能は元に戻ることはありません。
治療によって進行をいかに遅らせるかがカギとなり、初期には食事療法が最も重要な治療法となります。
これといった予防法はありませんが、良質な総合栄養食と新鮮な水を摂り、おやつは控えめにして、定期的に健康診断を受けることが大切です。
定期検診で血液検査や尿検査を受けていれば早期発見ができることもあり、早期に発見できれば進行を遅らせる治療を行うことができます。
◆リンパ腫
リンパ腫は、血液中にある白血球の一つであるリンパ球ががん化する血液のがんの一種です。
高齢の猫で発症することが多く、8~10歳に多く発症します。
猫白血病ウイルス(FeLV)に感染していると、1~3歳という若齢で発生することがあります。
FeLV以外では、免疫力の低下やストレス、遺伝など様々な要因が重なって発症すると言われています。
リンパ球はもともと全身に分布しているので、リンパ腫も全身の様々なところに発生します。
発生した場所によって症状は異なり、治療への反応や経過も異なることが分かっています。
発生した場所により、「多中心型リンパ腫」「消化器型リンパ腫」「皮膚リンパ腫」「縦隔型リンパ腫」などに分けられ、老齢の猫では「消化器型リンパ腫」が多いです。
消化器型リンパ腫では、多くの場合、腸管に腫瘍ができるため、下痢や嘔吐などの消化器症状が見られます。
進行すると、肝臓や脾臓、骨髄内へ入り込み、本来の機能を低下させます。
治療は抗がん剤の投与が一般的で、非常によく反応することが分かっていて、約60%の症例で効果があります。
治療を行った場合、平均余命は6~9ヶ月程度で、1年を越せる確率は20%程度という報告があります。
また、抗がん剤の副作用として胃腸障害による嘔吐や下痢、骨髄抑制による免疫力の低下、脱毛が挙げられます。
原因がはっきりしていないため確実な予防法はありませんが、FeLVへの感染が要因の一つとされているため、ワクチンの接種や完全室内飼育で感染を予防することは大切です。
早期発見により、進行する前に治療することができるので、先述の症状が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。
◆甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺の機能が活発化(亢進)してしまう病気です。
甲状腺は、身体の代謝を活発にするホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。
甲状腺ホルモンの分泌が増加すると、身体の代謝が活発になり、様々な症状が引き起こされます。
高齢になると発症しやすい病気で、10歳以上(報告によっては7歳以上)の猫の10%以上がこの病気を持っているという報告もあります。
初期症状は、行動が活発になる、落ち着きがなくなる、食欲が増すのに痩せていくといった一見病気と分かりにくいもので、飼い主さんが気づきにくい病気です。
興奮しやすくなるため、目がぱっちり開いていることが多く、よく鳴くようになって鳴き声は大きな声で叫ぶような鳴き方をし、夜鳴きが見られることもあります。
進行すると、体力が低下して食欲も落ち、嘔吐や下痢を繰り返します。
原因は、甲状腺組織の過形成や腫瘍化ですが、過形成や腫瘍化自体の原因ははっきりしていません。
治療法としては、甲状腺ホルモンの分泌をコントロールするための内服薬を使用します。
薬によって完治することはなく、一度発症したら生涯にわたり付き合っていかなくてはなりません。
また、療法食が処方されることもあり、場合によっては、療法食だけでコントロールできることもあります。
予防法がないので、早期発見・早期治療が大切です。
甲状腺ホルモンの診断ができる血液検査があるので、シニア期に入ったら定期的な健康診断を受けましょう。
◆歯周病
猫の歯の病気では、歯周病が最も多く見られます。
歯周病の原因は歯に付着した細菌で、細菌や細菌が出す毒素によって歯肉や歯周組織に炎症が起こります。
歯に細菌の温床となる歯垢(プラーク)や歯石が多く付着していると、歯周病になりやすいです。
また、糖尿病などの慢性疾患や猫白血病ウイルス(FeLV)感染症、猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症などで、猫自身の免疫力が低下しているとなりやすくなります。
歯周病は、食生活に支障をきたし、全身的な健康にも影響を及ぼします。
主な症状は、口臭、出血、痛みで、重症化すると歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病の予防法は、歯垢が歯に溜まらないように歯磨きをすることです。
理想は1日1回ですが、難しい場合には最低でも3日に1回は行います。
ゴシゴシこするのではなく、さっと撫でるイメージで優しく磨いてあげましょう。
猫の最高齢はどれくらい?
◆猫の平均寿命
一般社団法人ペットフード協会の調査(2019)によると、猫の平均寿命は15.03歳です。
これは飼い猫全体の平均寿命ですが、外に出ない完全室内飼育の猫では15.95歳、室内外を行き来する猫では13.20歳と、生活環境によって大きな差があります。
さらに、地域猫や野良猫として外で暮らす猫の場合、寿命は5~10歳程度と言われています。
これは、屋外では、交通事故や他の猫とのケンカ、感染症のリスクが高いうえに、治療も受けられないことなどによると考えられています。
◆ギネス記録は38歳
最も長寿の猫としてギネスに記録されているのは、アメリカの「Cream Puff」ちゃんという猫の38歳3日です。
日本では公式記録はありませんが、最も長生きした猫として知られているのは、青森県で36歳まで生きた「よも子」ちゃんです。
また、2018年から行われているanimaLaboのフォトコンテストで歴代の「ご長寿賞」に輝いた猫たちは、29才を筆頭に20歳超えの子たちがズラリ。
もう20歳を超える猫は、珍しくないのです。
まとめ
動物医療の進歩や、フードや生活環境の変化から、猫の寿命は長くなり、平均寿命は約15歳です。
猫の15歳は人間だと76歳に相当し、後期高齢者と言えるでしょう。
猫も高齢になると、心身に変化が現れ、病気になることも増えていきます。
加齢に伴う病気は予防が難しいため、早期発見・早期治療が大切です。
7歳を過ぎたら半年に1度、15歳以上になれば数か月に1度は動物病院を受診しましょう。
最近は、20歳を超えて元気な猫も少なくありません。
15歳を迎えたら、次は20歳を目指してケアをしてあげてくださいね。
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