1.猫の毛づくろいにはどんな意味がある?
1-1.体をきれいにする
1-2.体温の調節
1-3.心を落ち着けている
2.猫に舐められると痛いのはなぜ?
3.猫が自分以外に毛づくろいをする場合
3-1.アログルーミング
3-2.飼い主さんをなめてくる
4.猫の毛づくろい時間が長いときは
4-1.過剰グルーミングになっていないか
4-2.皮膚に異常がないか
5.愛猫にブラッシングをしてあげよう
5-1.まずは手で撫でてあげる
5-2.定期的にブラシを使って
6.まとめ
猫の毛づくろいにはどんな意味がある?
猫と一緒に暮らしている方であれば、日常的に目にすることがある「毛づくろい」ですが、英語では「グルーミング」と呼び、一般的に知れ渡っている言葉でもありますよね。
自分の体をペロペロと舐めるような行為を私たち人間はしませんが、この行為が日課となっている猫にとっては、欠かせない行為であることは明確です。
猫が毎日せっせと行う毛づくろいには、以下のような意味があると考えられています。
◆体をきれいにする
やはり一番の意味として考えられるのは、体の清潔、衛生的維持を目的とした、毛並みをきれいにするといった理由が挙げられますよね。
猫には1年に2回ほど換毛期があり、その時期には抜け毛が必然的に多くなるので毛づくろいが欠かせません。
しかしこの換毛期以外であれば、猫の毛はまったく抜けなくなるというわけではなく、常に被毛は新しく生まれ変わっているので、猫は1年中ある程度の毛が抜けていると考えて良いでしょう。
なのでこの抜け毛を処理するためにも、舌先で不要な毛を取り除き、必要な被毛だけを美しく保つことを心掛けているのかもしれませんよね。
また、毛づくろいの際に大量の唾液を被毛に絡めているので、皮膚まで唾液を送り込むことができ、汚れと一緒に唾液を舐めとるといった一連の行為が繰り返されます。
大量の唾液で毛づくろいをしているとなると、ニオイも気になるところですが、猫って驚くほど無臭ですよね?
それどころかどこか甘い、優しい香りまで漂わせています。
これは猫が太陽の動きに敏感であり、陽の当たる時間帯は積極的に日向ぼっこをして、お日様の恩恵を存分に体で感じている証拠でもあるのです。
天日干しには殺菌効果があるので、猫は目に見えない細菌までも退治していることとなります。
このような行動を猫が無意識に行っているのは事実ですが、これが本能として組み込まれていることが、やはり猫はポテンシャルの高い動物ということが分かりますよね。
◆体温の調節
大量の唾液を含んで行う毛づくろいには、体温の調節が行われているとも考えられています。
唾液を含んだ舌で被毛を毛づくろいすることにより、毛と毛の間に気化熱を発生させ、体温を下げていると言われているのです。
私たちもお風呂上りに髪の毛を乾かさないでそのままにしていると、どんどん水分を含んだ髪の毛は冷えていき、首元から寒気を感じることがありますよね?
液体が気体になるときには必ず、周囲から熱を吸収して蒸発しますので、猫が唾液で被毛を濡らした際には、猫の体から熱を奪って唾液を蒸発させようとするので、猫の体温が低くなると考えられているようです。
その冷却効果は最大で16℃ほど見込めるとも言われており、毛皮を身にまとっていても夏場を凌げるのは、毛づくろいの習慣があってこその賜物と言えるでしょう。
そう考えると冬に毛づくろいをした場合、体温を奪って寒くなるのでは?という考えに辿り着きますが、冬前に換毛期を迎える猫は、たくさんの冬毛を蓄えて寒い冬を迎えます。
大量の唾液を含んだ舌で毛づくろいをしたとしても、簡単には皮膚にまで唾液は到達せず、冬毛であるアンダーコートに空気を含ませて、全体的にふっくらとさせることにより、保温効果を得られると考えられているようです。
◆心を落ち着けている
毛並みをきれいに整え、体温調節が期待できる毛づくろいですが、心を落ち着かせる効果があるとも言われています。
たとえば猫が高い場所に移動しようとしてジャンプに失敗したときや、猫同士のケンカで気持ちを落ち着かせたいときなどに、いきなり毛づくろいをする姿を見たことはありませんか?
これは猫の「転位行動」と呼ばれ、そのとき強く感じたストレスを一時的に落ち着かせる働きがあると考えられています。
猫に触れた際に、その箇所を頻りに舐めるようであれば、不満を解消するための転位行動による毛づくろいと考えて良いでしょう。
また、猫の舌はブラシと同じ効果があるとも言われているので、毛づくろいで皮膚を刺激することによって脳を活性化させ、マッサージ効果を得ているとも言われています。
このように猫は自分にプラスになることを本能的に理解し、毎日毛づくろいをすることによって、生活の質を上げているのかもしれません。
猫に舐められると痛いのはなぜ?
猫にとってはマッサージ効果を得られる舌ではありますが、猫に手などを舐められたとき、痛みを感じたことのある飼い主さんは多いのではないでしょうか。
なぜ猫に舐められると痛みを感じるかというと、猫の舌にはたくさんのトゲのような突起が生えており、その突起がブラシの役割を担っているからとなります。
この突起物を「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」と呼びますが、糸状乳頭は肉食動物である猫にとって、毛づくろい以外にも重要な働きをすると言われています。
この糸状乳頭は肉を骨から削ぎ落とす、スプーンの代わりとしても機能しているので、私たちが猫に舐められた際に痛みを感じるのは、そのせいなのかもしれません。
猫が自分以外に毛づくろいをする場合
毛づくろいは猫にとって必要不可欠な行為となりますが、まれに自分自身に行うだけでなく、飼い主さんに対してや、ほかの猫に対して行う姿を見たことはありませんか?
なぜ猫は、自分以外にも毛づくろいを行うことがあるのか気になりますよね。
猫がほかの対象に毛づくろいをする場合には、以下のような意味があると考えられています。
◆アログルーミング
猫が別の猫に対して毛づくろいを行うことを、「アログルーミング」と呼びます。
アログルーミングとは、愛情表現となり信頼関係が築けた者同士が行う、親和行動と言われているようです。
猫は警戒心の強い動物ですので関係性が築けていない相手に、体に触れられることや舐められることを極端に嫌がります。
お互いが相手を許容して、毛づくろいをしたりされたりしているのであれば、相手のことを大切に想っている証拠と言えるでしょう。
◆飼い主さんをなめてくる
愛猫が飼い主さんのことを、ふと舐めてきてくれることもありますよね。
これもアログルーミングと同じように、飼い主さんのことを信頼しているからこその愛情表現となります。
リラックスしてとても幸せな気持ちのときにしてくれますので、舐めてもらった際には、手で撫でてお礼をしてあげるようにしましょう。
その際に信頼関係が築けていればいるほど、猫は自分が撫でてほしい体の箇所を飼い主さんに向けてくるはずです。
その気持ちを汲み取ってお返しすることにより、さらに信頼関係は深まっていくことでしょう。
猫の毛づくろい時間が長いときは
猫にとって欠かすことのできない毛づくろいですが、ときにその行為が過剰に感じてしまうことはありませんか?
もしかしたらその毛づくろい、愛猫からのSOSかもしれません。
飼い主さんから見て毛づくろいの時間が長いと感じたら、しっかりと愛猫の様子を見極めてあげるようにしましょう。
◆過剰グルーミングになっていないか
愛猫が過剰に毛づくろいを行っている場合、その行為自体が転位行動になっていないか、まずは確認してあげてください。
猫の転位行動は極度のストレスを感じている証拠ですので、リラックスしている様子もなくやみくもに毛づくろいをしているのなら、その原因を追究してあげるようにしましょう。
また、もともと皮膚病を患っている場合や、アレルギー反応を起こしている可能性もあるので、原因を追究せず放置することだけは止めておきましょう。
◆皮膚に異常がないか
過剰な毛づくろいを続けてしまえば、表面の被毛は抜け落ち、突起がついた猫の舌により、皮膚を傷付けてしまうこととなります。
皮膚に異常が出ている状態で毛づくろいを毎日繰り返せば、その箇所が炎症を起こし、細菌やウイルスの侵入口となってしまうので、感染症などを併発する恐れがありますよね。
今度は皮膚の炎症自体が猫のストレスとなり、さらに過剰な毛づくろいへと進行していきますので、皮膚に異常が出ているのであれば、動物病院への早期受診をおすすめします。
愛猫にブラッシングをしてあげよう
猫の行っている毛づくろいは、飼い主さんがブラッシングをすることでも、同様の効果が得られると考えられています。
もしブラッシングを嫌がらない猫ちゃんであれば、飼い主さん自らブラッシングを行い、信頼関係をより深めていくようにしましょう。
◆まずは手で撫でてあげる
猫は個体によっては、物で体に触れられるのを嫌がる子もいますので、まずは飼い主さんの手で優しく撫でることから始めてあげてください。
飼い主さんの手であれば、猫にとってとても身近なものとなりますし、飼い主さんのニオイや温もりを感じて、リラックス効果を得られるはずです。
飼い主さんに体全体を撫でられることに抵抗しないようであれば、ブラシを使用したブラッシングに切り替えていきましょう。
◆定期的にブラシを使って
基本的には猫自身が毎日毛づくろいをしているので、ブラシを使用したブラッシングは、毎日行う必要はありません。
飼い主さん自身がタイミングを決めて、定期的にブラッシングを行ってあげてください。
ブラッシングは飼い主さんとのコミュニケーションの一環となりますので、さらに愛猫との絆を深めるためにもおすすめですよ!
まとめ
猫の毛づくろいにはとても大切な意味が込められており、綺麗好きな猫にとって、しなくてはいけない行為であることが分かりました。
理屈を猫が理解しているか否かは謎となりますが、なんにせよ猫の本能には驚かされるばかりです。
ですが過剰に毛づくろいをしていたり、皮膚に異常があったりする場合は、過剰グルーミングになっているかもしれないので、注意が必要となります。
愛猫の何かしらの異変に気付いてあげるためにも、飼い主さんによる定期的なブラッシングは需要が高いので、毛づくろいの手助けをしてあげるようにしましょう。
その好意を愛猫が喜んでくれるのであれば、さらに信頼関係も深められますので、この機会に是非実践してみてはいかがでしょうか。
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