【獣医師監修】猫の角膜炎がどんな病気か知りたい!予防をして美しい瞳を守ろう!

2021.02.28

【獣医師監修】猫の角膜炎がどんな病気か知りたい!予防をして美しい瞳を守ろう!

見ているだけで吸い込まれそうな、美しい猫の瞳に魅了されている猫好きの方はとても多いですよね。 なので愛猫には極力目の病気を患ってほしくないと願っている、飼い主さんは多くいらっしゃることかと思います。 そんな目の病気の中で、どの猫ちゃんにも発症の危険性があると言われているのが「角膜炎」と呼ばれる病気です。 どの猫にも発症する危険性があるため、普段からしっかりと予防しておきたいものですよね。 猫の角膜炎について理解を深め、猫の美しい瞳を守るヒントに繋げていきましょう。

猫の角膜炎ってどんな病気?

子猫

愛猫が目をショボショボとさせていたとき、飼い主さんからしてみたら「眠いのかな?」「引っ掻いちゃったのかな?」程度の認識で、そこまで気に留めない方も多いことかと思います。

ですがその症状、そのまま放置してしまえば最悪の場合、失明に至る病気かもしれません。

その病気の名前を「角膜炎(かくまくえん)」と呼びますが、目の表面を覆う透明の膜が、何かしらの原因により炎症を起こす病気となります。

角膜炎をたかが猫の涙目と思わないためにも、猫の角膜炎について探究していきましょう。

◆猫の目の構造

猫の角膜炎について探究するには、猫の目がどのような構造になっているのか知る必要がありますよね。

猫の目の仕組みや働きは、人間の目と大きな違いは無いと言われていますが、人間が持ち合わせていない猫のみにある目の特徴と言えば、暗闇でも目が見えてキラリと光り輝くところではないでしょうか。

これは眼球を覆っている網膜の後ろに、猫は「タペタム」と呼ばれる反射板が付いているので、タペタムで受けた光を網膜に反射させて2倍にし、暗い場所でも鮮明に目が見えると言われています。

そして猫は身体の大きさに比べて目が大きく、必然的に瞳孔も大きくなりますので、自在に大きさを変えて、より多くの光を取り入れることが可能なんですよね。

なので猫の目は暗闇では黒目がちになり、明るい場所では瞳孔が縦長に狭まり、鋭い目つきに変わるといった仕組みとなっているのです。

これらの光を取り込む働きの潤滑油となるのが、目の表面を覆う透明の膜となる「角膜」です。

カメラに例えるとレンズ部分となるので、目の働きの中でもいかに重要なポジションであることが分かりますよね。

この角膜が何かしらの外傷により、炎症を起こす病気を角膜炎と呼びますが、角膜炎はどのような原因により発症することが多いのでしょうか?

◆原因は?

角膜の役割は光を通す以外にも、外部からの細菌やウイルスの侵入を防ぐ役割を担っています。

通常であれば角膜は涙で保護されているので、簡単には異物が入れない仕組みになってはいますが、何かしらの原因により角膜が傷ついてしまえば、その傷から病原体が入り込み、炎症を起こします。

猫の場合その原因が、ケンカによる外傷や、グルーミングの際に自身の爪で角膜を傷つけてしまうことがほとんどです。

また、自身のまつげや抜け毛が目に入ることにより、角膜を傷つけてしまうこともありますので、全身に毛皮をまとっている猫にとって、普段から注意をしておく必要のある病気と言えるでしょう。

ウイルスが病原体となった場合、猫でよく見られるのは「猫ヘルペスウィルス性角膜炎」です。

いわゆる「猫風邪」の原因となるウイルスですが、角膜の病気が起こりにくい猫であっても、さまざまな要因が重なってしまえば、このウイルスにより角膜炎を発症させることが多いと言われています。

角膜炎を放置してさらに症状が悪化していくと、「角膜黒色壊死症」「好酸球性角膜」などの病気を併発することがあり、最悪の場合失明する危険性も否めません。

とくに角膜黒色壊死症はどの猫でも発症の危険性があるとされていますが、ペルシャヒマラヤンなどの猫種、またはその交配種に多く発生すると言われています。

それらの猫種と一緒に暮らしているのであれば、普段から角膜の病気に感染しないような対策も必要となってくるでしょう。

◆結膜炎との違い

猫の目の病気では角膜炎のほかに「結膜炎(けつまくえん)」と呼ばれる病気が有名ですよね。

結膜炎も感染経路は角膜炎とほぼ同じとなりますが、角膜に傷がつく角膜炎とは異なり、結膜炎は白目と瞼の裏を覆う膜に炎症が生じます。

重症化すれば猫の目にとって重要な役割を担う「瞬膜(しゅんまく)」が押し出され、充血や涙が出るに留まらず目の開閉ができなくなることも。

結膜炎や角膜炎は初期症状であれば、重い症状と受け止めない飼い主さんも多いので、少しでも愛猫の目に異変を感じた場合は、早めに動物病院に連れていくようにしましょう。


猫の角膜炎の症状

一方で猫が角膜炎を患った際には、どんな症状が出るのかも詳しく知っておきたいところですよね。

猫の角膜炎は、どんな症状が出やすいのでしょうか?

◆目に異常が出ている

猫が角膜炎を患った場合、その症状はすべて目に集中します。

猫の目の周りに目ヤニが多くついていたり、涙量が多かったり、白目部分が充血しているなどの症状が出るのが一般的となります。

これらは初期症状となりますが、重度になると瞳孔を覆う透明な角膜が白く濁ってくることや、角膜には存在しない血管が生じることもあるようです。

◆猫が目を気にしている

角膜に傷がついて発症する角膜炎ですが、角膜には多くの知覚神経が存在していますので、角膜に刺激を受けた際には激しい痛みを伴うことがほとんどです。

我慢強い性質を持った猫ではありますが、目を執拗に前足で擦る、家の中にある角のあるものに目を激しく擦りつけるなどの症状が見られます。

ですが目を執拗に気にして前足で擦ってしまえば、猫の手には鋭利な爪がありますので、症状を悪化させてしまう危険性がありますよね。

角膜炎を進行させないためにも、愛猫の目に異常を感じた際には、すぐに動物病院に連れていき、適切な治療を行ってもらうようにしましょう。


猫の角膜炎を予防するには

角膜炎はどの猫も発症する危険性の高い病気ではありますが、角膜炎の正しい知識を飼い主さんが身に着けることによって、予防することが可能となります。

猫の美しい瞳を守るためには、普段からどんなことを心掛けておけば良いのでしょうか?

◆なりやすい種類はある?

前述した通り、ペルシャやヒマラヤンなどの猫種は、角膜炎を発症しやすい好発品種として知られていますので、そのような猫種と暮らしている飼い主さんは注意が必要です。

これらの猫種のような目が大きくて鼻の低い猫は、一般的な猫よりも乾燥による慢性的な刺激を受けやすいので、角膜に何かしらの外傷を受けやすいと考えられています。

また、幼少期に猫風邪を患った猫ちゃんや、アレルギー疾患を持っている猫ちゃんも角膜炎を患いやすいと言われているので、角膜に外部からの刺激を受けないような配慮も必要となってきますよね。

◆ワクチンを接種して室内飼いをする

ウイルスによる感染症が原因となることの多い角膜炎ですが、定期的なワクチン接種が感染予防へと繋がります。

そして感染している猫との接触を防ぐためにも、完全室内飼いを推奨します。

愛猫を守れるのは飼い主さんだけとなりますし、長生きしてもらうためには必要なこととなりますので、しっかりと管理をしてあげるようにしましょう。

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◆危険なものは撤去する

愛猫を完全室内飼いするのであれば、室内を快適に過ごせるような工夫も必要となってきますが、愛猫に危険が及ばないようなお部屋づくりも大切ですよね。

部屋の中に角があるものが多かったり、ぶつかる危険が高い場所があったりするのであれば、クッション性のある素材でガードするなどの配慮も必要となります。

そして明らかに危険性の高いものは撤去し、いつでも猫が安全に暮らせるような環境を整えてあげてください。

そして自身の爪で目を傷つけないためには、同居猫が居る場合も含めて、すべての猫の定期的な爪切りを怠らないようにしましょう。

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猫がかかる目の病気

私たちにとって目は、ずっと使い続けなくてはいけない身体の一部となりますので、極力目の病気を患わない努力は必要となってきますよね。

ほかにも猫が患うと失明の危険が高い病気はいくつか存在しますので、簡単にご紹介していきます。

◆緑内障

目の中の房水と呼ばれる液体量が増えて眼圧が高くなり、網膜の視神経細胞が圧迫されることによって障害が起きる病気を「緑内障(りょくないしょう)」と呼びます。

緑内障は眼圧が上がるので強い痛みを伴う上に、進行性の病気となるので、最終的には必ず失明するといった恐ろしい病気です。

緑内障を発症した場合は、いかに現状を維持して痛みを取り除き、進行を遅らせる治療が行われますので、とくに注意しておきたい目の病気と言えるでしょう。

◆白内障

目の中の水晶体が、何かしらの原因により白く混濁する病気を「白内障(はくないしょう)」と呼びます。

猫の目の病気としてはまれと言われてはいますが、進行すれば目が見えなくなってしまうので、いくら視力が弱い猫であっても、生活に支障が出るのは必然と言えるのではないでしょうか。

初期症状では気付き難い病気としても知られているので、いかに猫の健康チェックを怠らずにしてあげられるかが、病気の予防にも繋がっていくことでしょう。

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まとめ

猫のチャームポイントでもある大きな瞳ですが、ほんの少しの外傷で角膜炎のような痛みを伴う病気を発症させることもあるので、普段から猫の目を守る工夫をしてあげたいものですよね。

角膜炎の初期症状は、見た目的には軽度に見えることもあり、重要視しない飼い主さんが多いのも事実です。

ですが考えてみてください。

私たちは抜けたまつげが1本目の中に入っただけでも、強い痛みを感じますよね?

この痛覚は猫も一緒です。

猫の周りには抜け毛や鋭利な爪、外傷を受けやすい角のある家具など、さまざまな障害物が身の回りに当たり前のようにありますよね。

これらのことを踏まえて、飼い主さんは愛猫の安全を確保してあげなくてはいけないのです。

愛猫が快適に過ごせる環境づくりはとても大切なので、普段から意識して生活環境を整えてあげてください。

そしてもし愛猫の目に少しでも異常を感じたのなら、迷わず動物病院に連れていき、早期治療を心掛けてあげるようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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