1.猫にも鼻づまりは起こる!?
1-1.猫にも鼻づまりは起こる!?
2.鼻づまりが起きている際のサイン
3.鼻づまりの原因
3-1.鼻づまりを引き起こす病気
4.鼻づまりを起こしやすい猫種
5.鼻づまりの対処方法
5-1.鼻の表面をきれいにする
5-2.ネブライザーを使用する
6.まとめ
猫にも鼻づまりは起こる!?
人間なら誰しも鼻づまりを経験すると思いますが、猫ちゃんにも鼻づまりは起こるのでしょうか?
答えは・・・“猫ちゃんも鼻づまりを起こします”。人間同様、猫ちゃんにも鼻づまりが起こりますし、基本的に鼻呼吸をしている猫ちゃんにとって鼻づまりを起こすということは、呼吸が苦しいもしくは困難な状態であることを意味します。
鼻がつまってしまった猫ちゃんは食べ物などのニオイが分からなくなってしまいます。食欲もなくなっていき、徐々に弱っていってしまうので、飼い主様は早めに症状を発見して獣医さんに診察してもらうようにしましょう。
◆猫の呼吸は犬と違う?
猫ちゃんの呼吸はほとんどが鼻で行われています。疲れていたり暑がったりしているときのワンちゃんのように「ハァハァ」と口を大きく開いてする呼吸は基本的にしません。
構造としては人間と同じです。
鼻道の奥は喉に繋がっており、横隔膜が下がって肺が膨らむことで、気管や気管支から酸素が流れ込みます。口呼吸をしているということは鼻を使えなくなったということなので、うまく酸素を取り込めなくなってしまったら、呼吸困難で死亡してしまいます。
鼻づまりが起きている際のサイン
猫ちゃんにも鼻づまりが起こることが分かったところで、鼻づまりが起きているときの猫ちゃんがどのような状態なのか知っていないと気づくことができないですよね。そこで、猫ちゃんが鼻づまりを起こしているときのサインについてまとめてみました。
まず、一番判断しやすいのが猫ちゃんの鼻から出る“音”です。猫ちゃんの鼻の中はかなり細いので、鼻づまりを起こしている場合は「ブーブ―」と音を立てて呼吸をします。運動のあとに鼻息が荒くなって「ブーブー」と鳴っている場合は、人間やワンちゃんが「ハァハァ」と口から息をしている状態と同じで一時的なものなので、特に問題はないでしょう。
寝ているときのいびきが増えてきた場合、鼻が詰まって息苦しそうにしていないかを確認するようにしましょう。ただ一過性のいびきの可能性もありますが、呼吸に症状が現れている可能性もあります。
猫ちゃんはわたしたち人間のように、自分から「鼻が詰まって息苦しい」と言葉にして教えてくれないので、飼い主様が注意深く観察する必要があります。
普段は鼻呼吸する猫ちゃんも鼻が詰まっている場合は口呼吸をします。鼻呼吸をしているか口呼吸になっているかは口元を見ることで判断できます。口呼吸の場合、猫ちゃんは口を半開きにして少し苦しそうな様子で頑張って息を吸っているので、なるべく早く気付いてあげたいですね。
口呼吸が確認できてから3分~5分観察し、口呼吸が続いていたら動物病院に連れて行きましょう。
鼻水が出ている場合も鼻づまりを起こしている可能性があります。正常な様子でも鼻水が出ていることはありますが、注目すべきは鼻水の状態です。
正常な状態で出る鼻水は透明でサラサラとしています。しかし、鼻づまりなど何かしらの体調不良になると、黄色く粘り気のついた状態や血が混ざったもの、膿と混ざったものなど、鼻水の色や状態が変化します。
粘り気のある鼻水の場合、だらーっと鼻から垂れていたり、鼻ちょうちんができていたりしますが、鼻水を垂らしている姿がかわいいからなどと放置するのは危険ですよ!
目と鼻は鼻涙管という管で繋がっているため、鼻に炎症などの症状が起こっていれば目にも異変が起こります。涙があふれ出ていたり、目やにが毎日ついていたりするので、飼い主様は猫ちゃんの目元にも注目しましょう。
鼻づまりの原因
猫ちゃんの鼻づまりはどのようにして起こるのでしょうか。その原因を見ていきましょう。
・鼻水が鼻道をふさいでしまっている
鼻水が鼻腔内で固まってしまうと空気の通り道がふさがれてしまいます。猫ちゃんは必死に鼻を舐めて鼻水のかたまりを取り除こうとしますが、固まった鼻水は猫ちゃん自身ではなかなか除去できないので、飼い主が湿らせたガーゼなどで優しく拭き取ってあげましょう。
・炎症が起きていて鼻の組織が変形してしまっている
鼻の中の粘膜で炎症が起こり、鼻の内部がどんどん圧迫されて呼吸しにくい状態になってしまいます。
また、老猫などの猫ちゃんに多いのが腫瘍が原因で鼻周りが変形することです。腫瘍の周辺がどんどん腫れていくことで顔の形が少しずつ変形してしまい、その影響で鼻づまりが起こるというものです。
・異物が入った
あまり考えられにくい要因ではありますが、猫ちゃんが遊んでいるうちに鼻の中に何かが入り込んでしまった可能性もあります。飼い主様が取り除くのは危険なので、早めに動物病院で診てもらいましょう。
◆鼻づまりを引き起こす病気
猫ちゃんに鼻づまりが起こっている場合は、以下のような病気にかかっているかもしれません。
・猫風邪などの感染症
人間と同じように猫ちゃんも風邪をひきます。猫ちゃんが鼻づまりを起こす原因のうちのほとんどがこの猫風邪によるもので、免疫力がまだ低い状態の若い猫ちゃんを中心に猫風邪は流行していきます。
猫風邪そのものは猫ちゃんが死んでしまう要因にはなりにくいですが、人間の風邪と同じようにさまざまな症状が出るので、食欲もなくなっていき、かなり弱ってしまいます。
鼻づまりの他にも、涙や目やに、咳、くしゃみ、鼻水、発熱など、わたしたちも経験したことがあるような風邪の症状が出ます。猫風邪は多くの猫ちゃんが感染するような病気ですが、免疫力をサポートしてあげることで予防することが可能です。
・アレルギー性鼻炎
こちらも猫風邪のように人間も発症しやすい病気です。猫も花粉やカビ、ハウスダストなどが原因でアレルギー反応を引き起こし、鼻づまりやくしゃみなどの症状に繋がります。
猫ちゃんは人間のように話せないのでアレルゲンの究明がなかなか難しいですが、動物病院で診断してもらった上で家庭の環境を見直し、なるべく原因となり得るものを取り除いてあげましょう。
・副鼻腔炎
鼻の穴の奥にある“副鼻腔”という空洞内の粘膜に炎症が発生することを副鼻腔炎と呼びます。この病気は鼻炎による炎症が副鼻腔まで達してしまうと発症してしまいます。症状としては鼻炎と似ていますが、鼻のかなり奥まで鼻炎が広がっている状態なので、お薬での治療が難しく慢性化しやすい病気です。
放置してさらに状態が悪化してしまうと、鼻腔内に膿が溜まってしまい、蓄膿症を発症してしまうリスクもあります。命にかかわるので、異変に気付いた段階で早急に動物病院で診てもらいましょう。
鼻づまりを起こしやすい猫種
猫ちゃんにも起こり得る鼻づまり。猫ちゃんの中でも種類によっては鼻づまりを起こしやすい猫種もいます。
ここでは、鼻づまりを起こしやすい猫種とその原因について解説します。
短頭種は鼻がかなり短いという特徴もあり、“鼻ぺちゃ”という愛称で親しまれています。
長頭か短頭かは、猫ちゃんの「頭蓋骨:後頭部から目の部分まで」と「口吻部:目から鼻や口までの部分」との割合で判断されています。短頭種は頭蓋骨が長く、口吻部が短いです。
短頭種が鼻づまりを起こしやすい原因は、鼻腔の構造にあります。
短頭種が持っている短い鼻は猫好きの中でも人気がありますが、この鼻は愛猫家の意見をもとにして人為的につくられたものです。この品種改良が原因で、中には生まれつき鼻孔や鼻腔が狭い「鼻孔狭窄」状態の猫ちゃんもいます。
鼻孔狭窄の場合、呼吸をするたびに鼻の粘膜が刺激を受けるので、鼻づまりを起こしやすいです。また、鼻がつまっていない場合でも、猫ちゃんの体勢によっては空気の通りが悪くなる可能性があるので、睡眠時は特に苦しそうにしていないか注意しましょう。
短頭種に分類される代表的な猫種には次の種類がいます。
・ペルシャ
・ペルシャ
・エキゾチックショートヘア
ちなみにワンちゃんで短頭種に該当する犬種には、ブルドッグやパグ、シー・ズー、ボストンテリアなどがいます。
スコティッシュフォールドは鼻や耳の軟骨が複雑に変形しやすいという特徴を持っています。些細なことで怪我しやすく、出血や鼻づまりが起こりやすい猫種なので、少しでも異変を感じたら獣医師のもとを訪れることをおすすめします。
鼻づまりの対処方法
もし猫ちゃんが鼻づまりを起こしてしまったら、飼い主様はどう対応すればよいでしょうか。ここでは対応方法をいくつかご紹介します。
◆鼻の表面をきれいにする
猫ちゃんはきれい好きなので自分自身で鼻を清潔な状態に保っていますが、猫種や年齢によっては飼い主様が鼻をきれいにしてあげる必要があります。
まずは鼻に汚れや鼻水がついていないかを確認しましょう。ぬるま湯で濡らしたあと固く絞ったガーゼやコットンで鼻の周りを優しく拭きとってあげます。もし汚れていない場合でも、鼻の表面が乾いてしまったり鼻水が固まってしまったりする状態を予防することができるので、ぜひ普段からやってみてくださいね!
◆ネブライザーを使用する
ネブライザー治療は吸入療法の1つで、吸入薬を霧状にして鼻などの器官に送り届ける機械を用います。人間では、喘息のかたの治療によく用いられていて、吸入薬をセットして通常通り呼吸を続けるだけで症状がかなり楽になります。
注射などの猫ちゃんが痛がる治療ではなく、自然に呼吸するうちに鼻づまりが解消されて楽になる治療法なので、老猫など体の弱い猫ちゃんにも有効的だと思います!
動物病院で治療を受けるのが基本ですが、お家でもネブライザー治療は可能です。
用意するものは、衣装ケースなどの猫ちゃんがゆったりと入る箱とネブライザーの機械です。衣装ケースのフタには、ネブライザーの管が入るくらいの穴を空けておきましょう。
獣医師さんから吸入薬を処方してもらい、ネブライザーにセットします。あとは猫ちゃんを衣装ケースに入れて10分~15分ほどケース内で過ごしてもらうだけです。その時間でご飯を食べてもらうのも良いですし、おもちゃなどをおいておけばあっという間に時間が経つので、猫ちゃんにもストレスがかかりにくいと思います。
毎回動物病院に猫ちゃんを連れて行って治療を受けるのは、飼い主様にとっても負担になりますし、知らない場所で治療を受ける猫ちゃんにとってもストレスになってしまいます。吸入薬を処方してもらう必要はありますが、猫ちゃんが苦しそうにしている時にすぐ治療してあげられるのはとても良いですよね♪
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、猫ちゃんの鼻づまりについてご紹介しました。
飼い主様自身の身体のことではないので,外からみてなかなか異変を感じられないことが動物の病気の難しいところだと思います。安静時でも見てわかるくらい明らかな異常がある場合は、すでに手遅れに近い状態になっている場合もあるでしょう。
愛する猫ちゃんのためにも、小さな異変に気付けるように普段から猫ちゃんの様子をよく観察しておきましょう。未然に防げる病気はなるべく予防してあげたいですね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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