猫はどうしてバンザイをするの?
「バンザイ(万歳)」とは、おめでたいときや喜びの感情を表現するといった意味を持ちますが、その気持ちに併せて威勢よく両手を挙げる動作が伴うことが一般的なので「バンザイ」と聞くと両手を頭上に伸ばす姿をイメージされる方も多いことでしょう。
実際に勢いよくバンザイをしてみると、慣れない筋肉を動かすせいか、体の節々を痛めてしまいそうな気持になってしまいますよね。
一方で猫をよく観察してみると、両手を大きく広げながらバンザイをして眠っていることがよくあるので、一体どんな理由があってそのような姿をしているのかも気になるところです。
そのほかにも猫は両手前足を揃えて伸ばしたまま、リラックスした姿をしているときや、バンザイをしながら抱っこをせがんでくるといった子も居るので、猫にとってバンザイは日常的なポーズのようにも感じますが、実際のところはどうなのでしょうか?
このような私たちが普段しないような姿勢を、猫が日常的にするのにはちゃんとした理由があり、その理由として猫の体が柔らかいということが挙げられます。
猫は液体と呼ばれることもあり、顔の大きささえ通ることができれば、どんな狭い隙間でも通り抜けることができるように、滑らかな身体能力を持っているのは確実ですよね。
なぜこんなにも猫の体が柔軟なのかは、骨の数が関係していると言われています。
私たちよりも体の大きさがはるかに小さい猫ではありますが、猫は人間よりも40本ほど骨の数が多く、ほとんどは背骨としっぽを更生していますが、注目すべきは鎖骨と肩甲骨といった肩の構造です。
猫の鎖骨は非常に小さく、退化しているので私たちのように肩の関節と繋がっていません。
そして猫の肩甲骨は背中ではなく、首の後ろ側にあるので、この二つの骨の相乗効果により、足の動きや関節に従って、自由に手足を動かすことが可能となっているようです。
猫が溶けたようにバンザイといった体勢を難なく維持できるのは、猫の特徴的な柔らかさの賜物とも言えるのではないでしょうか。
猫がバンザイする時の理由
猫の体がもともと柔らかいこともあり、バンザイといった姿勢を維持できるわけではありますが、猫がバンザイをしているとき、どんな気持ちや理由があって両手を全開に開いているのかも気になりますよね。
猫がバンザイをするのには、何か特別な理由が存在しているのでしょうか?
◆飼い主を信頼している
猫がバンザイをするとお腹が全開になってしまうので、基本的に警戒心の強い猫は、人間にお腹を見せるような姿勢をすることがありません。
猫にとってお腹は急所であり、お腹を出している状態で敵に襲われてしまえば、命取りになってしまうことを本能的に知っているのでしょう。
しかし、飼い主さんとの信頼関係をしっかり築いている猫ちゃんであれば、飼い主さんへの警戒心は皆無となるので、お腹を出しても危険が及ばないことを理解している証拠です。
無防備にバンザイをして眠る姿が見られるのは、飼い主さんの特権ともなりますので、愛猫からの愛情表現をしっかりと受け止めてあげるようにしましょう。
◆甘えている
飼い主さんに遊んで欲しいとき、たくさん撫でて欲しいときなど、甘えたい気持ちのときにも猫はバンザイをして、意志表示をしてくることがあります。
飼い主さんを見つめながら床にゴロンと寝転がり、バンザイをされてしまえば、その可愛さにメロメロになってしまう飼い主さんも多いことでしょう。
成猫になってもバンザイで気持ちをアピールしてくる子は、子猫時代のとき母親に構ってほしいときなどには、バンザイをしてせがんでいたのかもしれません。
大きくなってもその感覚が残っており、対象が飼い主さんに移っただけですので、バンザイしているときに、目を細めて眠そうな表情を浮かべていないようであれば、おもいっきり一緒に遊んであげてください。
このとき、猫が遊んで欲しい気持ちがいっぱいだった場合、間違ってお腹を撫でてしまえば、ガブリと手を噛まれたり蹴られたりしてしまうことも。
甘えたい気持ちのバンザイは、その見極めも大切なので、猫ちゃんの表情などにも注目して、気持ちを汲み取ってあげてくださいね。
◆リラックス
窓辺や陽の当たる場所などで、猫ちゃんがバンザイしているときは、心も体もリラックスしている状態であることが考えられます。
体が柔らかい猫であっても、丸まって眠ったり日常生活で緊張したりするようなことがあれば、私たちと同じように体が凝り固まることもあるでしょう。
家の中で安心して落ち着ける場所に行き、両手を広げてバンザイすることによって、体の凝りもほぐれますし、何より気持ちがリラックスできますよね。
そのような時間を猫が自ら設けていますので、可愛くて触りたい!と思っても近付くようなことはせず、少し離れた場所で見守るだけに留めておきましょう。
◆暑い
猫の平均体温は38度前後と言われているので、体温調節をするために体のすべての部位を伸ばして、熱が籠る場所を作らないようにしていることが考えられます。
一見どうしてこんな姿をしているの?と目を疑いますが、そのような姿をする必要があるのかを考えてみると、自然とこのような答えに辿りつけるのではないでしょうか。
しかしこの体勢は決して楽な姿勢ではないので、猫の体温が上がっていないか、ほかにもなにか別の症状が出ていないかなど、しっかりと確認をしてあげる必要性があります。
部屋の温度や湿度が高い、平熱よりも高い熱が出ているなどの異常がある場合は、すぐに熱を逃すような工夫をし、具合が悪い状態が続くようであれば、動物病院を受診して適切な処置を受けるようにしましょう。
猫がバンザイしたまま寝る
猫のほとんどはお腹を下に向けて眠る子がほとんどですが、猫の中には仰向けになってバンザイしたまま、熟睡している子も居ますよね。
そんな可愛らしい寝姿を見せられては、猫のお腹に顔を埋めて吸い尽くしたい!とウズウズしてしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、バンザイしながら仰向けで眠っているということは、最高にリラックスしている状態であることが分かります。
もしかしたらとても幸せな夢を見ているのかもしれません。
そんな幸福な時間を過ごしている猫ちゃんに対して、飼い主さんの都合で起こしてしまうのは可哀相な気がしませんか?
猫がバンザイしたまま寝る姿は「へそ天」と呼ばれることもあり、こんな寝姿を傍で見られる飼い主さんは幸せ者以外の何者でもありません。
愛猫がバンザイをして寝ているようであれば、邪魔をせずに遠目で傍観しながら、その貴重な時間を堪能してみてはいかがでしょうか。
猫がバンザイして抱っこをせがむ理由
猫はバンザイをすると、リラックス効果が得られることを知っているはずですので、何かのきっかけに付随して、バンザイをすることがあるとも考えられますよね。
たとえば愛猫がバンザイをして飼い主さんに抱っこをせがんできた際に、抱き上げるとき飼い主さんは猫の脇の部分を持ちあげるはずです。
脇にはリンパが通っていますので、そこに刺激が加われば、溜まっていた老廃物が回収されて血流も良くなるので、肩こりの解消や疲労回復への効果が期待できるのではないでしょうか。
何度も抱っこをされるうちに、この相乗効果を猫が学んでしまえば、マッサージをしてほしいと思ったときに、毎回バンザイをして抱っこをせがむようになったとしても不思議ではありません。
腕を伸ばせば上半身の筋が伸びていきますので、マッサージが好きな猫ちゃんは、そのことをすべて分かった上で抱っこをせがんでいるのだとしたら、猫は本当に賢い動物だと再認識させられてしまうことでしょう。
まとめ
猫がバンザイをすると聞くと、そんなわけはないという気持ちになってしまいますが、猫は警戒心が弱ければ弱いほど、体勢が無防備になってしまうものです。
バンザイをしながら寝ている猫が居たのであれば、それは自分に対して警戒心を抱いていないということになります。
とくに猫と一緒に暮らしている方で、飼い主さんと猫との信頼関係がしっかりと築かれている状態あれば、猫は飼い主さんの前でおもいっきり無防備な姿を見せてくれることでしょう。
それぐらい猫という動物は環境に左右されて生きていますので、世の中のすべての猫ちゃんがバンザイできるような世界になっていければ嬉しいですよね。
そしてリラックスした様子で、バンザイしているようであれば構うようなことはせず、甘えたい様子でバンザイをしてきたのなら、気持ちを汲み取っておもいっきり遊んであげるようにしましょう。
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