猫は鰤を食べても大丈夫なの?与える際に注意するべき点とは?

2021.12.11

猫は鰤を食べても大丈夫なの?与える際に注意するべき点とは?

魚介類の中には生で食べるものや、加熱して食べるものがあり、季節によって身の引き締まり具合や脂の乗りも変わってきますので、季節魚は旬の時季に食べるのが一番です。 そんな魚の中でも、弾力のある歯ごたえとたくさんの脂が乗っている鰤は、冬の寒い時期に旬を迎え、焼いたり煮たり、お刺身にしても美味しい魚となるので、非常に人気の高い魚と言えますよね。 濃厚な味わいが楽しめる鰤ではありますが、この美味しさを愛猫にもおすそ分けしたいと考える飼い主さんは少なくないはすです。 猫に鰤は与えても問題がないものなのでしょうか?

猫に鰤を与えても良い?

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日本で暮らしている猫ちゃんは、魚好きなイメージがとても強いですが、猫が食べるキャットフードにもフィッシュ味が存在するように、肉食であっても魚をこよなく愛する猫ちゃんはたくさん居るはずです。

猫のキャットフードには主に、「まぐろ」「かつお」「」「サーモン」などが使われていますよね。

これらの魚はスーパーなどでもよく見かけますが、季節によっては鮮魚コーナーを占拠するような勢いで並べられている魚もあり、その中でも「鰤(ブリ)」が好物の方は多いのではないでしょうか。

鰤はキャットフードの原材料として使用されているイメージはあまりありませんが、猫が食べてはいけない魚なのか気になりますよね。

鰤は猫に与えても問題のない魚ではありますが、与え方に多少の注意が必要となってきます。

まずは鰤にはどんな成分が含まれていて、どんな効果が期待できるかなどを見ていきましょう。

◆鰤に含まれる主な成分

鰤は「出世魚(しゅっせうお)」とも言われ、成長段階によって呼び名が変わっていく珍しい魚でもあります。

旧歴の師走(12月)に脂が乗って旬を迎えることからも、「魚」と「師」を組み合わせて「鰤」という名前が付けられたようです。

旬の時期の鰤を「寒ブリ」とも呼びますが、たくさん脂が乗っていることからも、どんな成分が含まれているのか気になるところですよね。

鰤には良質なたんぱく質が含まれており、EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸、ビタミンDをはじめとしたビタミン類、タウリンなどが豊富に含まれています。

◆期待できる効果は?

たんぱく質は体をつくるために必要な栄養素となり、血液や筋肉の元となるのでとても重要です。

EPA(エイコサぺンタエン酸)やDHA(ドコサへキサエン酸)といった、オメガ3系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)は体内の悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させ、動脈硬化のリスクを抑えつつ、善玉コレステロールを増やす役割を担っています。

血栓の予防や脳を活性化させる働きをするので、猫にとっても嬉しい栄養素と言えるでしょう。

これらの多価不飽和脂肪酸は、青魚の脂に多く含まれていることもあり、旬を迎えた鰤は栄養価がさらに高くなることがうかがえますよね。

豊富なビタミン類には、骨の健康に欠かせないビタミンD、糖質の代謝を助け疲労回復の効果があるビタミンB1、脂質をエネルギーに変えるビタミンB、老化を抑えるビタミンEなどが含まれています。

そして猫にとって必須アミノ酸であるタウリンは、アミノ酸に分類される必須栄養素となり、肝機能を高める効果やインスリンの分泌を促進するなど、さまざまな効果が期待できるので、体内でタウリンを合成できない猫には嬉しい栄養素と言えるでしょう。

◆アレルギー

新鮮な天然の鰤にはアニサキス(寄生虫)が寄生していることがあり、アニサキスが寄生している鰤を猫が食べることによって、アレルギー反応を引き起こしてしまうことがあります。

主にアニサキスは青魚の内臓に寄生していますが、魚の鮮度が落ちていくにつれて可食部である筋肉に移動し、その状態の鰤を生で食べることによって、胃壁や腸壁をアニサキスが刺入していきますので、アレルギー反応が現れるといった仕組みです。

アニサキス症を発症すれば嘔吐や痛みを伴うこともあるので、注意が必要と言えるでしょう。

そして鰤を大量摂取することにより、アレルギーと似た症状と言われている「ヒスタミン中毒」を起こすこともあります。

このヒスタミン中毒は、もともと「ヒスチジン」という物質を持っている鰤に、細菌が持つ脱炭酸酵素が作用して鰤の体内でヒスタミンが生成し、常温で放置することによって細菌が増殖しますので、必然的にヒスタミンの生産量が多くなって、中毒を起こす確率が上がるといった仕組みのようです。

ヒスタミンは熱にとても強く、熱処理によって分解することは困難なので、新鮮な鰤を入手するようにし、常温の状態で放置した鰤は食すことのないように心掛けましょう。

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◆猫に鰤を与えるデメリット

鰤は猫に与えても問題のない魚ではありますが、鰤に含まれる不飽和脂肪酸によって「黄色脂肪症(イエローファット)」と呼ばれる病気を引き起こすことがあります。

黄色脂肪症は栄養の偏りによって体内の脂肪が変質し、変質した部分にしこりや炎症、そして壊死などが生じる病気となります。

症状が現れる部分が黄色く変色することから、このような名前で呼ばれる病気となりますが、不飽和脂肪酸が多く含まれる鰤をはじめとした、青魚の大量摂取は避けるべきと言えるでしょう。


鰤の与え方

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猫に与えても問題のない鰤ではありますが、大量に与えることは危険を伴いますので、猫に与える際にはどんなことに気をつけるべきなのでしょうか?

◆生で与える時は注意を

鰤のお刺身はとても美味しいですが、猫に生で与える際には注意が必要となってきます。

天然の鰤は生であるほどアニサキスの寄生が懸念されますし、鮮度が落ちたお刺身は「チアミナーゼ」と呼ばれる酵素が発生し、ビタミンB1を破壊して欠乏症へと導くようです。

猫は身体が小さいわりにビタミンB1の必要量が高いこともあり、生で与えたい場合には養殖でアニサキスに寄生されていない鰤や、冷凍処理した鰤を少量程度与えることをおすすめします。

◆火を通す

鮮度が落ちた鰤を猫に与える場合には、必ず火を通してから与えてください。

アニサキスの危険もありますが、何より傷んだ生の鰤は食中毒の危険性もありますので、愛猫が体調を崩してしまわないためにも火を通すことは大切です。

焼いたり煮たりして与えることが望ましいですが、その際に味付けはせず、そのまま与えるようにしましょう。

◆骨を取る

猫は食べ物をよく噛むようなことはせず、ほとんど丸飲みのような状態で食べますので、骨が残っていると体内の器官を傷付けてしまう可能性があります。

鰤には大きな骨もあり、その骨が刺さって取れなくなってしまえば最悪の場合、手術で取り除かなければいけないこともありますので、猫に与える際には骨が残っていないかの確認も怠らないようにしてください。

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皮は与えても良い?

鰤を調理した際に皮ごと食べる方も多くいらっしゃいますが、鰤の皮はコラーゲンが豊富に含まれているので、猫が食べても問題がない部分となります。

火が通った皮であれば、猫が食べやすいように細かくカットし、少量を与えるようにしてください。

ただ、鰤を焼いて皮目がカリカリになっている場合や、焦げている皮は猫の健康に害を及ぼす可能性もあるので、味付けがされていない柔らかい状態の皮のみ与えるようにしましょう。


鰤を与える時の注意点は?

鰤はとても美味しい魚なので、購入してきた鰤のニオイを嗅ぎつければ、欲しがる猫ちゃんは多いはずです。

しかし、毎回購入するごとに与えてしまうと、その美味しい鰤の味が癖になってしまい、通常の食事を食べなくなることや、好き嫌いが激しくなってしまうことも否めません。

人間が口にする食べ物の味に慣れさせることはよくないので、日常的に与えることは控えておくべきと言えるでしょう。

そして、猫が鰤を口にした際には、食後に体調を崩していないか、変わった様子はないかなどの経過観察も大切です。

アニサキスの潜伏期間は約10時間と言われていますので、それ以上の時間が経過しても、元気な様子が見られるのであれば心配要りません。


体調を崩した場合の対処方法は?

もし猫が鰤を食べたあと、体調に異変が現れた場合には、重篤な症状に発展させないためにもすぐに動物病院を受診し、獣医師さんに診てもらうようにしましょう。

鰤をいつ、どれぐらい食べさせ、どれぐらいの時間が経過した後に、どんな症状が出たかなどを明確にお伝えし、適切な治療を受けるようにしてください。


まとめ

鰤は脂の乗りがよく、好きな魚として挙げる方も多いのではないでしょうか。

飼い主さんが鰤をお刺身で食べたり、調理して食べたりする機会が多ければ多いほど、猫が鰤に興味を示す回数も必然的に増えてきますよね。

鰤は少量であれば猫が食べても問題のない魚ではありますが、一度でも与えてしまえばその味を覚えてしまいますので、鰤を購入してくる度に欲しがられることは覚悟しておかなければいけません。

猫にとって嬉しい栄養が豊富な鰤ではありますが、基本的には総合栄養食のキャットフードを食べていれば栄養が不足することはないので、はっきり言ってしまえば与える必要性がない食べ物とも言えるでしょう。

鰤を猫に与える際には大量に与えるようなことはせず、キャットフードのトッピング程度の認識を持って、与えることを心掛けてみてはいかがでしょうか。

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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